ダンジョンで数多の魔剣に溺れるのは間違っているだろうか   作:征嵐

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 ダンまちメモリアフレーゼにリューさんが追加。

     こ  れ  を  待  っ  て  い  た  。

 あと、今回のブレxブレのイベント難しくないですか? 高火力の娘ばっかり育ててたから、ヒット数高くて育ってる娘がティナ=エンプレスしかいない。キラキラの魔法~(現実逃避)

 


第十九話

 ソーマ·ファミリアで火事があったらしい。そんな話を聞き付けたギルド職員と一部の冒険者が、水属性の魔法を駆使して鎮火作業に勤しんでいる。いや、ご苦労様です。僕のせいで余計なお仕事を増やしてしまって申し訳ない。

 

 そんな視線を向けて、汗をぐっしょりとかいているギルド職員の皆様を眺めていると、気になる言葉が聞こえた。

 

 「恩恵の無くなった冒険者は、まだ迷宮にいるんじゃないか?」

 

 今日も今日とて、ベルと件のサポーターちゃんは迷宮に潜っている。あの矮躯で、あのサイズのバックパックを背負えるのは、恩恵あってのことだろう。バックパックを捨てて逃げられればいいが、それにしたって、脚力は落ちているはずだ。ベルは耐久がそこまで高くない敏捷型で、誰かを庇いながらの戦闘には向かない。

 

 「やらかした?」

 「やらかしたわね。」

 

 グラムからの無慈悲な言葉に心を抉られつつ、迷宮へ走る。途中で何人か見知った顔とすれ違ったが、声も掛けずに素通りする。

 

 最近のベルは、そこそこ良い稼ぎが出る6、7階層で狩りをしていた。が、居ない。

 

 「もっと下に行ったのかな···?」

 

 入れ違っただけなら構わないし、徒労に終わっても構わない。とりあえず行くだけ行ってみようとして──下層から登ってくる人影に気付いた。

 

 「あれ? マスター! どうしてここに?」

 「ベル···良かった、生きてたんだね。」

 

 荷物は置いてきたのか、ベルはリリを背負い、リリは何も持っていなかった。

 

 「そうだ! 聞いてよマスター! さっき···」

 

 しばらくベルから報告を受け、得た情報を整理する。

 

 まず、リリがベルへモンスターを唆かけた。

 

 で、そのモンスターたちをどうにか撒いて、リリの所まで行ったら、恩恵を失った冒険者に、こちらも冒険者を失ったリリが囲まれていて、ついでにキラーアントの特性である、増援を呼ぶフェロモンまで発動していた。

 

 で、それもなんとか蹴散らして逃げてきた。と。

 

 「···その冒険者達は?」

 

 見た限り、ここにはベルとリリしかいないし、ここに来るまでも誰とも会わなかった。下層で死んだとは思えない。ベルの性格から言って、なんとしても全員を助けようとするはずだ。

 

 「流石に、恩恵の消えた人たちを連れて逃げるのは辛かったから、安全地帯で待って貰ってる。あとで、ギルドにでも言って救助してもらうつもり。」

 「じゃあ、ギルドには僕が行くから、ベルは休んで。リリは···」

 「えっと、神様に言って、ヘスティア·ファミリアに入れて貰おうと思うんだけど···」

 

 いや、伺いを立てるような視線で見られても。僕にはなんの決定権もないので。ただ、神ヘスティアなら大丈夫だろう。なんだかんだベルに甘いし。

 

 「ダメそうなら、僕も一緒に交渉してあげるよ。まずは迷宮を出よう。」

 「ありがとう! マスター!」

 

 言って走り出してしまったベルを追う。あの状態で魔物に会ったらどうするんだよ···あ、僕も武器ないじゃん。

 

 「待ってよ、ベル~。」

 

 5階層まで登ったところで、()()()()()()ベルとぶつかりそうになった。いや、何がしたいの···?

 

 「ま、マスター! 逃げて! 早くッ!!」

 「え? な、何?」

 

 僕を押しながらもと来た道を戻っていく。意味が分からん···。

 

 「ベル! 何? 説明してよ!」

 「ミノタウロスが!!」

 

 一言で察し、ベルを押し退けて坂道を昇る。曲がり角を曲がった先、目には見えないながら、そこに居ると分かる圧力が発せられている。知っている──いや、違う? 冥獣に近い、全てに向けられた殺気。それが収束し、僕に向いている。理性なき破壊の化身、冥獣には見られない特徴だ。「破壊すべきモノ」として僕を殺そうとするのではなく、「僕」を殺そうとして、僕を意識している。

 

 「なんだ···それ?」

 

 分からない。見たことがない。いや、知ってはいる。いや、違う。外見の情報は知っているし、纏う要素も知っているものばかりだ。だが、何故、お前らが、それを纏う? 誰が、それを与えた? 分からない。

 

 外見はミノタウロス。たった三匹の、頭が牛で体が人間の、ポピュラーな怪物だ。

 

 一匹目。首に爛れたような跡──まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()跡がついていて、神性を付与されている。

 

 二匹目。胸骨(あるのかは不明だが)の辺りに、赤く輝く宝石が埋め込まれ、右肩から逆側の腰にかけて、こちらも同じような跡がある。こいつも神性持ち。

 

 三匹目。いや···これを一匹と数えて良いのか分からないが。形容するなら、黒い粒子の集合体。それが偶々ミノタウロスの形をとっただけの様に思える。ミノタウロスという異形の中でも突出した異形っぷりだ。しかも、冥獣と同じ気配を漂わせている。

 

 やばい。今の残存魔力から考えて、オーア·ドラグを筆頭とした、高火力で広域殲滅に長けた魔剣なんぞを顕現させた瞬間にぶっ倒れる。が、この場を切り抜けるにはそれぐらいしか方法がない。

 

 魔剣グラムやグラム·オルタでは、三体同時に相手をするのはきつい。魔剣少女二人と共闘するという次善策も、魔力商品の観点で言えば好ましくない。アダマスの時間停止能力も、神性相手では心許ない。効かないことはないだろうが、もし、万が一、神性を付与したのがギルドの「あの神」だとすると、全く効かない可能性も存在する。

 

 「シャドウゲイトの転移はこれだから···」

 

 悪かったわね。と脳に響く声。いや、シャドウゲイトの転移は魔導書から使う転移魔法よりも出が早いから緊急時には重宝するんだよ? などと言い訳してみたり。

 

 「どうしよう···。」

 

 気絶してもベルがリリを背負っている以上、誰かが運んでくれるとは考えにくい。魔力が枯渇するなんてこと、今まで無かったのだけれど···魔界と違って、大気中のエーテルが薄いのが原因だろうか。回復速度の問題か···。あ、そうだ。魔力回復の手段が残っていt──背後から伸びた手に襟首を掴まれ、そのままミノタウロス(?)の横を通り抜ける。誰か、と、首を回すとベルだった。人一人を背負い、さらに追加でもう一人引きずってこの速度か。驚きだ。

 

 「マスター! 走って!!」

 「分かった!!」

 

 ミノタウロスsは意外なほどあっさりと僕らを通した。僕に視線を向けたまま、憎悪を振り撒きながら。

 

 

     ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

 

 

 迷宮を出た僕たちは予定通り、僕がギルドへ、ベルはホームへと戻った。

 

 いや、僕はギルドには行けてないのだけれど。

 

 「ちょっと、お茶でもどうかな? 勿論、奢るよ?」

 

 にこやかに自分達のホームを指す、オラリオトップクラスの冒険者、フィン·ディムナ。ロキ·ファミリアの団長である。僕を取り囲むように団員たちが展開しており──詰んだ。

 

 「お、お言葉に甘えます···。」

 





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