〜シニガミ〜 アインクラッド最凶のPKプレイヤーと呼ばれた男   作:酒ノ神

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急展開です。


第二話 悪のカリスマと《シニガミ》の誕生

バカヒコ打倒を決意した《始まりの日》から早一ヶ月と半分。

第一層の方で大半のプレイヤーが未知のデスゲームということもあり

約千人程がその命を散らしてしまったが、それでも攻略組は諦めずに前へ進み続け

一ヶ月後、ついに第一層フロアボス《イルファング・ザ・コボルトロード》撃破という

快挙を成し遂げた。

そこからSAOにおける攻略の基本を学び取り、次の第二層はなんと第一層の

四分の一の期間、つまり一週間でクリアされ現在の最前線は第三層となっている。

恐らく一人一人の戦いにおけるテクニックが上達してきており、なおかつこんなに

早く階層攻略がなされていることのよるモチベーションUPから今後はもっと攻略ペースが上がっていきある一定のところで安定するだろうと思っている。

そして俺はそれに貢献するのと自分の決意のために今日も

フィールドを駆ける・・・のであったがかなり厄介なことが起きてしまった。

 

「お前たちは・・・誰だ?」

 

目の前の存在たちに問いかけると

腰までのぼろぼろなフードを被っている五人組の内、一番奥の長身の男が答えた。

 

「oh・・・、俺たちみたいな不気味な五人組に対しても怖じけずに

 問を投げかけられるとは・・・やっぱ生粋の攻略組様は違うってか」

 

それは違う。

こんなヤバそうな奴らに隙を見せてはいけないと睨みつけて虚勢を張っているだけだ。

それを見抜いているのかいないのか、そいつはクツクツと笑ってそう返答する。

 

「はぐらかすな、俺はお前たちに誰だと聞いているんだ」

「おっとこれは失礼、そうだな・・・

ここは将来最も恐れられる‘‘PK集団《ラフィンコフィン(笑う棺桶)》‘‘とでも

名乗っておこうか」

「冗談にしては趣味が悪いぞ?」

「クックックッ、お前らにとっては冗談だと良かったかもな」

 

相手の様子を見てどうやら大真面目に言っているようだと分かると途端、背筋に悪寒が走った。何せPKとは通常のネトゲ等だったらいざ知らず、ここでは本当の殺人行為となってしまうからである。

こいつら・・・狂っている・・・ッ!

 

「さてと・・・んじゃそろそろ‘‘パーティ‘‘といくか」

「Ahッ!ヘッド!次は俺たちに殺らせてくださいよォ!」

「そうですよ、前回はできなかったんですからァ!」

「っと、そうだったか。じゃあ今日の獲物は譲ってやる」

「「さァ~すがヘッドォ~!」」

 

前の二人が口元を弧の形に大きく歪めると同時にそれぞれの武器を

腰から滑り抜く。

一人は細剣で、もう一人は短剣である。

そいつらの殺気を真正面からもろに受け、ついに俺のポーカーフェイスが崩れる。

 

「アッははHAHAァ!」

「こいつ、さっきまであんな睨みつけてたのに今じゃ恐怖に顔を

引きつらせてるぜぇッ!?」

 

なぜ、こんな事に?

そんな疑問が頭の中をぐるぐると回るがそんなことはお構いなしに

狂ったように笑い続ける二人組はこちらに突っ込んできた。

 

 

 

#####

 

 

 

そこからは怒涛の展開だった。

同時に、またはタイミングをずらして迫ってくる攻撃を文字通り

死に物狂いで捌き続けほんの一瞬、コンマ三秒以下の隙間に思いっきりタックルをかまし、体勢を崩し仰向けになった体に馬乗りになって何回も何回も何回も何回も驚愕と恐怖に染まった顔へ剣を突き刺しーーーーもう一人も似たような感じだったかもしれないーーーーそして気づいた頃には無数の結晶片が漂う中、俺がその中に佇んでいたという感じだった。

HPは残り数ドット、視界の端は赤く滲み奥の方には呆然とした様子の三人が・・・

いや奥の男だけはなぜか愉快そうに笑っている。

すると不意に、そいつはこちらへとポーションを投げて寄越し、流暢にこういった。

 

「Congratulations」

 

とりあえず無意識のまま、貰ったポーションを上に傾けてあおる。

するとトロリとしたミント風味の液体が口内を流れ落ちていきHPバーが

緩やかに回復していく。

それをぼんやりと確認しているとふたりが死亡し、残り三人となったPK集団が

脇を通り過ぎつつ長身の男が

 

「ついてこい」

 

とだけ言った。

不思議とその時は何も考えられず言われるがままについていった。

もしかすると殺人に対する罪の意識から逃れるために脳が一時的に

思考を放棄していたのかもしれない。

そして歩くこと三十分、なにやら薄暗いところで真ん中に大きな机が置かれており

それを囲むように五席の椅子が並べられている部屋に着いた。

 

「ここは俺たちラフィンコフィンのアジトだ。

歓迎するぜ?未来の殺人狂さんよォ?」

「ああ・・・」

「おいおい、ツレねぇなぁ?まぁ初めての人殺しともくればそうなるか。

っとまぁ雑談はここまでにしておいて、お前に提案がある」

 

ここで一旦言葉を切ってもったいぶるようにしてこう言った。

 

「俺たちの仲間にならねぇか?」

 

流石になぜそうなるのか訳が分からず返答に困っていると

さらなる追い打ちがかけられる。

 

「だって、現実に戻りたくないんだろ?」

「・・・ッ!」

「お前の戦っている最中の目はすべてを投げ打つ覚悟ができている者の目だった。

なにか守りたいものがあるやつはあんなのはできねぇ。

だからもしかすると・・・と思ったんだがどうやら図星みたいだったな」

 

そうだ、俺は現実から逃れたいがためにこれ(SAO)を手に取ったんだ。

ここ最近は余裕がなくてその事を忘れていたが男によって改めて指摘されてしまい

茅場打倒への決意の思いが少し揺らぐ。

これを成し遂げてしまったらまたあの世界へと戻らなければならないのではないかと。

そこを見抜かれたのか口の歪みを深めながらさらに目の前の男は言葉による追い打ちをかける。

 

「どうやら気づいたみたいだな?んじゃそれを解決するためにはどうすればいいと思う?俺はな・・・この城を攻略しようとしている奴ら全員を殺しちまえばいいと思うんだよ。ククッ、どうだ一緒にやってみねぇか?」

 

だめだ、乗るな。これは悪魔の誘いだ。

そうとはわかっていても男の言葉は俺を蝕むように侵食し甘く痺れさせていった。

そして目の前の事実にばかり囚われて麻痺してしまった心はやがて

思い出すであろう殺人に対する罪の意識さえも薄れさせ――――

 

「その話、乗った」

 

口を大きく歪ませたその姿はもはや攻略組の一人である《カララ》などではなく

正真正銘、アインクラッド最凶のPKプレイヤー《カララ》、別名《シニガミ》だった。

 

 

 

この日、電子の牢獄に大きな災厄をもたらす存在が生まれたことを

人々は知る由もなかった。




前は五千字くらいあったのに今回は約二千五百字・・・
すみません多分これからも文字数は安定しないと思います。

あと更新は不定期です。
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