個性:コジマ粒子   作:ドミナントソード♂

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第6話 憧れた白

 

 

 

 

──遅すぎる、これは

 

 

 

 

 

 

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今日も元気にOBで登校。うーん気持ちいい。って、あれはもしや?

 

「捕まえた!」

 

「ぬおおぅうっっ!!??」

 

オールマイトが空を飛んでいたため、襟の辺りを掴ませていただいた。ジャンプして飛びながら出勤とは、これまた中々に乙ですな。

 

「き、君はストレイド君!? は、離したまえ! 今、そう正に今! 事件が起きたんだ!」

 

「だいじょぶだいじょぶ。あんた以外にもヒーローは沢山いる。あんたがそうやって馬鹿みたいに仕事してると、新人ヒーローの仕事が減って、結果的に新人ヒーローは陽の目を見る事なく潰れちまうぜ? そんなんでいいのかい? 平和の象徴さん」

 

「それとこれとは話が別だ! すぐに離──」

 

「それこそ、それ(ヒーロー)これ(教師)は別だ。あんは今、教師なんだ。教師なら、学校の方を優先させるべきだろう。それに──」

 

雄英高校から少し離れたビルの上に降り立ち、ちょっとしたお節介を焼いてやる。

 

「──あんたは、いい加減引退すべきだ。もう十分に輝かしい実績を残した。ならば、後は後輩に任せるべきだ。そう思ったから、教師になったんじゃないのか、あんたは?」

 

「それは、そうだが……」

 

「それに、だ。ヒーローに守られるのが当たり前だと思っている、この世界もおかしい。己の身は己で守れ。それが、生物として当たり前の常識だ。だったら、襲われないようにするとか、そーゆー努力は、誰でもできるだろ? ヒーローにだって数は限りがあるし、無理なこともある。ヒーローを何でも屋だと勘違いしてる馬鹿どもには、そーゆーことを教えてやらんとダメだぞ、ダメ教師」

 

「……ぐぅ」

 

「ま、人間には得手不得手がある。あんたは殴るしか能がないんだし、そこは諦めな。んじゃ、先に登校しますんで、ヒーロー基礎学ではよろしく」

 

オールマイトを残し、俺は飛び立った。

 

まったく……

 

──歪んでるよ、この世界は。

 

 

 

 

 

 

 

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なんか今日はちょっと遠くでヒーロー基礎学をやるらしく、バスで移動するみたいなんで、中でグースカ寝てた。うん、やっぱり昼ご飯の後は昼寝をするべきだね。

 

で、辿り着いたのがUSJ。見た目もUSJだし、中身もUSJだった。ちょっと何言ってるのか分からない。嘘の災害やらなんやらの救助活動訓練で使うんだってよ。

コジマ粒子って、どう考えても救助向いてないよね?

 

「えー、始める前に、お小言を1つ、2つ、3つ4つ、5つ、6つ、7つ……」

 

いや多過ぎるわ。どんだけ増えるんだよ。

 

話してる内容は実に簡単なものだった。力そのものに善も悪もなく、力を振るうものによって善し悪しが変わる、的なアレだった。せやな。まさにその通りだわ。

 

「以上、ご静聴ありがとうございました。」

 

イイハナシダナー。クラスメートたちも、ブラボーだとか、ステキーだとか騒いでる。君たち、ノリがいいねぇ。

 

「よーし、そんじゃ先ずは──」

 

相澤先生の発言の途中で、施設に異常が起きた。

 

なんか、嫌な予感がするぞおい。

照明機器が不具合を起こしたのか暗くなった。

 

……ヤバイ、何かが来る。

 

いや、待て、情報を整理しよう。

今日の朝、オールマイトは事件を解決していた。

今日は普通の1日だった。

ヒーロー基礎学は、オールマイトと3人で担当することになった。

だが、今、オールマイトはこの場にいない。

 

ダメだ、情報が足りねえ。何も分からねえ。

 

チクリと首の後ろを刺されたような感覚と共に、俺の中の警戒度が一気に高まる。

 

「なっ、あっ!?」

 

なんだあれは!

噴水があった辺りが黒く染まり、大勢の人が溢れ出してきやがった!

 

これは、マズイ。相澤先生もマジモードに入ってやがる。これはもしや、襲撃されたのか!?

 

「──あれは、(ヴィラン)だ」

 

相澤先生の異様に落ち着いた発言で、俺たちに動揺が広まった。

 

チッ、まさかとはおもったが、やっぱりかよ!

出て来るのは基本的に雑魚ばかりだが、あの脳味噌が丸見えのやつ。あいつは、絶対にやばい。まともにやり合えば、死ぬ。

 

クソッ、今ここにいるのは餓鬼どもだぞ。そんな奴らが、まともに生きて帰れるわけがねえだろ。

 

今、相澤先生が敵陣に突っ込んで時間を稼いでいる。本当なら俺も敵陣に突っ込みたいが、仕方ない。誘導に従って逃げるとしよう。

 

だが、まぁ──

 

「初めまして。我々は、ヴィラン連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いた。平和の象徴、オールマイトに生き絶えて欲しいと思っての事でして」

 

──やっぱり来るよな、ワープ野郎。

 

通路を塞ぐように、その黒い靄は現れた。

 

「「でぇぇぇいいりゃぁぁあああ!!!」」

 

相手がグダグダ説明をしているというのに、まったく、あの馬鹿どもは。単純バカは、死なねば治らんか。

 

爆破と硬化が突っ込んだが、相手は見事なまでに無傷だった。良い噛ませっぷりを見せてくれた。

 

「退きなさい、2人とも!」

 

知ってた。足手纏いが突っ込んだところで、迷惑にしかならねえんだよなぁ。

13号先生が個性を発動させようとしたが、遅かった。

 

黒い靄が、俺たちを覆い尽くした。

いいぞ、いい事をしてくれた。俺にとっては、これ以上ない程に都合がいい。突っ込むのではなく、送り出されてしまった以上、正当なる防衛として、相手は殺しても問題ないのだから。ま、なるべく殺さないようにはするが。

 

ちょっとした浮遊感の後、砂漠の上に放り出された。

ジェットを吹かせ、ゆっくりと着地する。

 

さて、どうするか。

 

「──来たか」

 

「ッッッ!!??」

 

あまりにも自然に溶け込んでいた。気配を感じ取れなかった。

 

反射的にQTで後ろを振り向く。

 

「チィッ!」

 

状況を確認し、即座に横QB。

野郎、斬り掛かって来やがった。

大体、それはなんなんだよ。

 

あまりにも分厚い、紫色の刀身。

よく見慣れたそいつの名は──

 

「……参る」

 

──MOONLIGHT

 

なんだってヒロアカ世界でパワードスーツを着込んだ奴が月光で斬りかかって来るんだよ!

 

だいたいそれ、背中に追加ブースターがあるじゃねぇか! ふざけんじゃねぇ! テメェ真改かよ!

 

「クッ!」

 

月光はマズイ。流石にPAが削り取られちまう。

だったらこっちも、本気を出してやるよ。

 

空へと浮かび上がり、上からコジマキャノンで狙い撃つ。

だが、当たらない。回避が上手すぎる。

まさか、弾道予測? なるほど、否定できん。

 

「まさかとは思ったがな──」

 

──野郎、とうとう空飛びやがった。俺の領域に、足を踏み入れやがった。

 

クソッ、こいつとは相性が悪すぎる。戦法を変えよう。

 

一旦地上へと戻り、今度はコジマゼリーをばら撒きながら、相手の剣戟を避ける。コジマゼリーをばら撒く事で相手は警戒し、少し余裕が出来た。

 

だが、なんだこいつは。動きを先読みされてるせいで、逃げた先に回り込まれてやがる。

いくら速く動けたところで、置かれたら意味がない。

そもそも、こいつの動く速度と対応速度が速いわ。

 

だが、そろそろ流れを変えよう。

 

「っしゃあ!!!」

 

先読みで攻撃が置かれてる事を見越し、すぐ近くに相手がいる状況でAAを展開!

 

「クッ……ッ!」

 

っしゃあ! AAの直前、俺から離れるように逃げられたが、それでも装甲をかなり抉ってやった! 破壊力ならピカイチだぜ!

 

「……終止」

 

あいつは、ボロボロのパワードスーツで背を向けた。恐らく、これで終わりという事だろう。正直、俺としてもここは終わりにしておきたかった。幾ら何でも、相性が悪すぎる。

 

「出来れば、改心するなりなんなりして、ヴィランを辞めてくれるとありがたいんだが……無理そうだな」

 

取り敢えず、こいつは放置しよう。

……さて、問題のあいつらをどうにかしなければな。

 

ワープ野郎と、あの脳味噌丸出し野郎。あいつらは、殺さなきゃヤバイ。ワープ野郎に関しては殺しやすいだろうが、あの脳味噌丸出し野郎、アレの個性が分からない限り、迂闊に手は出せねえ。

 

だが、相澤先生の手伝いなら問題なくできる。

 

OBで一気に中央広場へと向かう。蛙の子とかが相澤先生の動向を見守ってるってことは、まだ余裕そうだな。

よし、突っ込むぞ!

 

「QBパンチ!」

 

説明しよう! QBパンチとは、時速300kmから繰り出される、手加減されたパンチである!

勿論、一般人が食らえば死ぬ。

 

ムキムキのモブに対して使ったら、あら不思議。骨が折れたような感覚と共に男が吹っ飛んでいった。

 

やっべ、殺したかも。

ま、いっか。殺す気でやって来てるんだから、殺されても仕方ないよね。

 

「あーいざーわせーんせ! 助けに来ましたよー」

 

「クッ、ハッ、なぜ来た!」

 

ま、そうだよね。普通ならそう反応するよね。

 

「いやー、よくもまぁそんなに器用に回避しながら話せますね。来た理由? 簡単ですよ。先生を援護する為ですよ」

 

こっちもこっちで、話しながらQBパンチを繰り出して雑魚を殺して回っていく。

 

「まったく……ヒーローってのは、カッコいいねぇ?」

 

なんやあいつ。手に掴まれてるコスチューム気持ち悪っ! 趣味悪過ぎだし陰キャラ臭やべえ。

 

「せんせー! せんせーの個性ってなんですかー?」

 

「個性を消す、個性だ!」

 

「じゃ、援護しやすいよう、さっさと雑魚を片付けますかね」

 

パパッとQBパンチで纏めて雑魚を殺し、これで2対2となった。

 

「じゃ、先生。俺があの陰キャラ殴るんで、援護頼みます」

 

「ダメだ」

 

「え? なんでですか?」

 

「人殺しは犯罪だ。その程度、分かるだろう」

 

「何馬鹿なこと言ってるんですか? 放置してたら生徒が殺されちゃいますよ? そしたら後々、面倒なことになりますよ? そんなんでもいいんですか?」

 

「そうならないよう、対処しているんだろう」

 

「はぁ……まぁ、そう言うんなら別にいいですけど。で、俺はどうすりゃいいですかね? 教師としては、生徒を逃して1人犬死するのが普通でしょうけど、どうします? ここで無様にヴィランに殺されるのと、大人しく2対2で対処するのと」

 

「……チッ! 卒業出来ると思うなよ!」

 

「了解したくはないけど、いい判断だ!」

 

このままQBパンチで吹っ飛ばして──

 

「じゃ、こっちも始めようか」

 

──ダメだ! 今、動いたらダメだ!

 

突っ込もうとしたのを止め、即座に後方へと連QBで回避する。

 

「ぐおおおッッッ!!!!!」

 

やべえ、相澤先生が脳味噌丸出し野郎にぶん殴られて吹っ飛んでった。

 

「先ずは、1人」

 

「……チッ」

 

あの脳味噌丸出し野郎、俺が普段使ってるQBかと思うほど速えぞ。

 

「どうせだ。お前には俺の個性を教えてやるよ」

 

「へぇ? 教えちゃっていいんだ。もう死ぬから、覚悟でも決めたのかい?」

 

「ま、そんなところだな。後には湖があるし、正に背水の陣ってやつだ。自分で言うのもあれだが、俺の個性は強力すぎてな、普段は封印されてるんだ」

 

「へぇ? でも、さっきまで普通に個性を使ってるように見えたけど?」

 

「封印されてあんな感じだ。だから、その拘束を解かせてもらうぜ」

 

頭部パーツを外し、着けられていた首輪を外す。

首輪があるおかげでコジマ粒子の毒性は無くなっている。だが、その首輪を外せばどうなってしまうのか。誰でも分かることだ。そして、首輪を着けられてからもう10年ぐらい経っている。その間、俺の個性は常に強くなり続けた。つまりだ。首輪を外した今、俺は本来の強さの個性を扱える。

 

「ゴメンな、セレン。首輪を外さなきゃ、無理そうだ」

 

首輪を後方にある湖へと放り投げ、ヘッドパーツを装着する。コジマ粒子を一気に精製し、PAを厚くしていく。

 

『不━な─━▲─が─━され◇━た』

 

ウッ、頭痛が激しい。頭の中に、ひどいノイズが走ってやがる。クソッ、これが本気を出した弊害か。高濃度のコジマ粒子に慣れてないせいで、気分が悪い。

 

 

 

あぁ、吐き気がする。

 

 

 

「あぁ? どうしたんだ、こいつ。さっきからフラフラして」

 

 

 

でも……やら、なきゃ。

 

 

 

「ター……げっト。確、に、ン……」

 

 

 

ヴィランを、殺さなきゃ。

 

 

 

──ハイ、除……カイシ

 

 

 

 

 

死神の鎌が、狙いを定めた。

 

 

 

 




これ書いて燃え尽きた。
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