ぐだ男がサーヴァントとしてぐだ子に召喚されたそうです 作:橘 翔
サブタイから察しろ
「…………」
「…………」
二人の男がまるで決闘するかのように睨み合っている。
片方はエミヤ。ついさっき召喚したアーチャーのサーヴァントだ。
片方はぐだ男。色々ありすぎて説明できない。
ともかく、何やら険悪な雰囲気が漂っている。
そこは、
キッチンだった。
その近くで頬を緩ませているマシュもいる。
二人が作った料理に舌鼓を打っているのだ。実際、二人の出す料理は美味しい。普段レーションが多い最近の食生活からすれば宝具に勝るとも劣らない価値があるだろう。
「先輩先輩!この煮付け美味しいですよ!でもこの茶碗蒸しも中々……ふふふ」
マシュが楽しそうにしているのを見ると和むのも確かだ。
だが、
だがしかし言わせて欲しい。
どうしてこうなった……
―――ことは1時間前に遡る。
「アーチャーのサーヴァントなのね?よろしく!」
「とりあえず、近況を教えてくれないか?」
「えっとね……」
ざっとだが、近況を伝える。
「ふむ……とりあえず、私をキッチンに連れて行ってくれないか?」
「うん……?別にいいけど?」
「これでも料理には心得がある」
「なるほどね、ついてきて」
そして料理をさせてみたら、
美味しいのなんの。
思わず周りの職員を呼び集めてしまった。
それからは連鎖反応のように職員が集まり、集まり、集まり、結局全ての職員が集まった。食事は娯楽の一種になりうる。レーションだけの料理に飽きていた職員達にとって美味しい料理はもはや麻薬だった。
そこかしこからおかわりの声が上がる。エミヤはそれを満足気に眺めていた。
それまではよかった。
「エミヤ!?」
あの馬鹿が来るまでは。
―――◇◆◇―――
いやー、新しいサーヴァントを召喚するとは聞いていたけど……エミヤとは……
とりあえず、勝負を吹っかけてみるか。
キッチンに俺も立ち、様々な料理を作っていく。エミヤ(俺世界)に教えてもらった俺に死角はないっ!エミヤも最初は気にもかけない様子だったが、俺の料理の腕前を見ると
「ふっ、面白い……」
熱が入ったように腕をふるい始めた。そこからは言葉を交わさなくてもわかる。試合のゴングが鳴ったのだ。
踊る包丁。
刻まれた材料が宙を飛び、
短時間に何品もの料理が並ぶ。
それはまるで戦場。
いや、料理人にとってはまさしく戦場なのだ!
数時間後、職員全てが満足した。溢れ出る精気が違った。やはり料理は世界を救う。
そして二人の料理人はお互いを見つめると、
「「見事だ……」」
そう一言呟くと、固く手を握りあった。
「すごい……!!これが男のゆーじょーですか!?先輩!」
「よし、マシュを汚したやつをぶっ殺すからそいつの名前教えろ」
「?ドクターが」
「殺す」
男二人は不気味に笑い合うだけだった。
―――◇◆◇―――
こうして、第一次カルデア料理戦争は幕を閉じた。しかし、ぐだ男曰く、
「俵のお兄さんが来たならばまた勃発するであろう」
とのこと。正直よくわからんが、メシウマなのは歓迎です。いやまじで。
「凄いですね。一度共に料理をしただけであそこまで仲良くなれるなんて……はっ!!まさかあれは料理によって世界を救ったBI☆SYO☆KU☆YAと呼ばれる方々なのですか!?」
「違うからね?」
マシュ、どこからそんな情報を……あー、ロマニね、おーけー。……本格的に締めてやろうかな……
あの2人?今は……
「じゃあ世界樹の種は?」
「ほぅ、確かにあれは独特の苦味がある、が、ちゃんとした下準備によって……」
よくわからん世界に入っていらっしゃる。
エミヤも嬉々として教えてるし、ぐだ男もキラキラした目でエミヤから教えを乞うている。こーゆーとこ子どもっぽいのよねー、男子って。
そこに誰かが駆け込んできた。
「ちょっと私の分は!?」
あ、さっき見かけなかった所長だ。
「ちょっと立花!!私の分は!?」
「来てない人の分なんてあるわけないじゃないですか。まるで飢餓の群れでしたもん」
「もん、じゃないわよ!私も食べたかったのにぃぃ!」
あ、ここにも涙目のお子様がいらっしゃった。
「なんで来なかったんですか?」
「う……それは……みんな頑張ってくれてるから……私の分は後回しでもいいかなーって」
「ぐだ男早く作ってあげてお願い!!」
指をつんつんさせながら理由を述べる所長を見ていたら先ほどの自分を殴りたくなった。なにこの可愛い生物……
「あ、マリー!遅いじゃんか、どしたの?」
「みんなに気をつかって遠慮しちゃったらしいの!だから早く作りなさい令呪使ってでも!!!」
「おうおう、マスター落ち着けって。マリーの分を忘れる訳なかろう、ほれ」
冷蔵庫から取り出したのは今日出てきた料理一種類ずつが一口大に盛られたお皿だった。とはいえ、様々な料理が作られていたためそこそこの量となっている。
「え、これ、私の分?」
「もちろん。作りながら取り分けるの大変だったんだぞ?一瞬で無くなるしさ」
「なんだ、それは自分の分ではなかったのか」
「ばーか、エミヤとの勝負に私情を挟むかよ。人の為だっつーの」
「ふむ……それで私のペースに追いついていたとはな」
「ギリギリだったけどな」
ふと見ると所長が泣いていた。
「ちょ、ぐだ男!泣かしてんじゃないわよ!」
「ふぁ!?え、ごめんマリー!残り物嫌だった!?新しく作ろうか!?」
あたふたする私達に首を振ると、所長は途切れ途切れながらも言った。
「ち、ちが……ひっく……うの。嬉しくて……ぐす」
ドキューン!!
「ほらほら所長、食べて食べて?」
「ストップ!温めてくる!」
そこからはひたすら所長を甘やかした。
『マスター、何やら美味しそうな匂いが』
「来るな!絶対出てくるなよ!?やめ、おま、こじ開けるなあああああああ」
『何故ですかマスター。食物は誰にでも平等に分配すべきではありませんか』
「お前が来ると平等なんて吹き飛ぶからだよぉぉぉ!!!」
何かぐだ男が叫んでいるが私は所長にあーんするので忙しいのでパス。
―――◇◆◇―――
その後、所長室にて、
「ほれほれ」ヨシヨシ
「えへへー」ニマニマ
軽く鼻血吹きそうなレベルで甘い所長とイチャイチャしておる。しゃあない、所長から呼ばれたんだもの。不可抗力。
「その……今日はありがとう……」
「どういたしまして」
「なんで私がいないこと分かったの?」
「ちらっと見えたけどすぐ引っ込んだから遠慮したんだろうなーって思った。えらいえらい」
「見られてたの……!?」
頬に手を当てて赤面する所長可愛い。誰だこいつ。
「でも意外ね。料理できるなんて知らなかったわ」
「そりゃ、サーヴァントには食事も睡眠も要らないからね。ここんとこずっとダウィンチちゃんと雑務してたなー」
「……ごめんなさい、貴方に負担を強いてしまって」
「いや、いいんだ。俺がマリーを手伝いたいだけだし」
「もうっ!」
あれ?俺達って恋人?(もはや間違いでは無い)
「これからもせいぜい頑張りなさい……頼りにしてるわ」
「おう、任せとけ」
いや、紳士なんで襲わないよ?(震え声)
―――◇◆◇―――
「ろーまにっ!」
「なんだい立花く……その手に握っているバールのようなものは一体何かな?」
「マシュに何を教えてくれちゃってるのかなー?」
「ナンノコトヤラー」
「ほうほうほう、死にたいのかー、そっかー」
「待ってくれそんな死んだ魚の様な濁った目で近づいてこないで、ちょ、え、まっ、アッー!」
「ドクター?職員さんがよんで」
「マシュ、ドクターなんていないよ」
「はい?」
―――◇◆◇―――
ぐだ男ズカルデア
青王「マスターがご飯を作ったのに呼んでくれませんでした」
おかん「それで私の所へ来たと?」
青王「はい。大変美味しいです」
黒王「もっとハンバーガーは無いのか?」
白王「すいません、私達まで」
ロマニ「ふぁ!?食料庫が半分消えた!?」
おかん「済まない……アイツらを止められなかった」
どうも橘です
こいつらの日常はこんなんばっか
楽しいならいいだろう?
ぐだ男は料理ができない?
んな訳ねーだろ!
専業主夫プレイの一貫で習得してる
(なんのプレイかはご想像にお任せします)
所長はチョロイン、イイネ?
これから24:00に投稿しようと思います。
毎日は無理でも2日に一回は(白目)