俺は走る、この奥で待つ彼女の元へと。
ギリアムさんが、マリア姐さんが、ヒューイが、クラリスクレイスが、カスラさんが、ゼノさんとエコーさんが、俺を前へと進ませる為に力を貸してくれている。
一度は間違えた、だけど、今度は必ず助けてみせる。
それが、アイツとの・・・
だから・・・。
待っていてくれ、マトイ
「・・・」
「・・・待たせたな、マトイ」
「・・・」
「大丈夫だ、俺は君を助けに来たんだ・・・待っていてくれ、今、助けるから!」
彼女、マトイは深遠なる闇としての力を存分に発揮して攻撃してきた。
俺は手持ちの武器が壊れるまで何度も、何度もマトイを攻撃した。
武器ごとに耐性が変わればそれを貫く武器に変え、壊れれば新たな武器で戦った。
だが、とうとう予備の武器が無くなりその隙を突かれ倒れてしまった俺。
俺はアレを使う事を決意した。
「・・・シャオ、聞こえてるか?」
『なんだい?』
「・・・創世器を、「界斬剣・雪片」を使う」
『なっ!?だ、ダメだ!ソレはジグにも使うなと言われただろう!ソレを使ってしまったらキミの命が・・・!』
「それでも!マトイを、俺の大切な人を助けたいんだ!救うと決めたんだ・・・今度は間違えない為に!」
『・・・分かった、無茶はしないでくれよ!創世器、「界斬剣・雪片」の封印を解除!』
「・・・ありがとな、シャオ。・・・おい、起きろ雪片。出番だぞ」
直後、膨大なフォトンの嵐が吹き荒れる。
半年の間、少しずつフォトンを溜め込み続けた雪片の封印が解かれていく。
それと同時に俺の体内のフォトンを吸い続ける雪片。
創世器 雪片、俺が篠ノ之道場から持ち出した刀がフォトンにより突如変異したかなり特殊な生まれの創世器。
俺が初めてそれを使った時、使用者のフォトンを吸い上げ、あらゆるエネルギー物質を斬り裂くある意味危険過ぎる創世器という事が判明して以来封印され続けた剣。
俺はそれを一度ダークファルス
その結果、俺は大量のフォトンを吸われ続けた事により数ヶ月の療養と絶対安静となっている。
それ以来、再び封印されていたのだが・・・その封印を再び解く。
「・・・封印、解放。斬り開け、「界斬剣・雪片」!」
雪片・・・何故だかとても安心する名前だ。
決して負ける事がない、そんな気持ちになる。
俺は雪片を構えてマトイへと向き直す。
「・・・っ!やっぱり・・・キツイなぁ・・・!だけど、これなら・・・キミを救える!」
俺は雪片を構えて駆けだす。
それと同時にマトイも剣を展開して向かってくる。
俺は彼女を助ける為に雪片で斬り裂いた。
大量にチャージされたフォトンの一撃により倒れるマトイ。
それと同時にフォトンを一気に失った事により膝をつく俺。
元の姿に・・・深遠なる闇としての姿になるマトイ。
俺は機能を停止した雪片をその場に刺し、近くに落ちていたソードNTを拾いマトイへと向ける・・・だが・・・。
俺の脳裏に彼女の笑顔が過ぎる
「・・・ダメだ、彼女を助けるって決めたんだろ俺・・・!」
「・・・」
「マトイ、聞こえてなくても聞いてくれ・・・君を、助けに来た」
「・・・」
俺の声に反応するかの様に剣を向けるマトイ。
俺は目を閉じ、彼女の一撃を受け止めようと・・・。
「・・・ほんと、あなたは・・・イチカは優しすぎだよ・・・」
「・・・え?」
アイツは言っていた、もう彼女の意思は闇に飲み込まれたと。
だが彼女は最後の最後で意識を取り戻したのだ。
「わたしはもう覚悟してたのに・・・手が、止まっちゃったじゃん。その優しさは、残酷だよ・・・」
「マトイ・・・意識が戻ったのか!」
「真っ黒い闇に包まれてた時も、貴方の声は届いてた。だから、出てこられた。これが正真正銘、最後のチャンス。わたしはきちんとやりとげなくちゃ」
「マトイ・・・何を・・・?」
「もう、止められない。深遠なる闇はわたしの内に顕現してしまった。でも、今ここでわたしが死ねば深遠なる闇を閉じ込める事ができる。それで終わり、それでおしまい」
「マトイ・・・」
「だから・・・優しすぎるあなたにできないなら・・・わたしが、わたしを・・・!」
マトイは自ら呼び出したアンガ・ファンタージに自分を攻撃させて自ら消滅しようとしていた。
だが、そんなことはさせない。
マトイのする事に気付いた俺はボロボロの身体に鞭を打ちマトイの前に飛び出してアンガ・ファンタージの攻撃を受け止めた。
「ぐぅぅぅぅぅぅ!」
「だ、ダメだよ!イチカ!あなたも巻き込まれちゃう!」
「避けるものか・・・!絶対に助けるって、決めたんだ!」
「このわからずやっ!邪魔しないで!これはわたしが望んでやっていることなの!わたしは与えられているだけだった。なんで、みんなを守りたいのかその理由さえわからないまま、戦ってた。・・・でも、今は違う!十年前とは、全然違うの!わたしは自分で考え、自分で思ったの!」
段々と押されていっている俺。
俺は身体の中に残っている全てのフォトンを集中させ受け止める。
俺ごとマトイにぶつけるつもりなのかアンガ・ファンタージが近づいて来ていた。
「みんなを守りたい。みんながいる世界を守りたい。・・・ううん、そうじゃない。イチカを・・・あなたをいる世界を、守りたい。あなたを守りたいって。だから、だからね。わたしはなにも・・・怖くない。なにも怖くなんか、ないんだよ」
アンガ・ファンタージの攻撃を抑えるのも限界で、大量の闇をその身に受けてしまった俺とマトイ。
そこに・・・。
「・・・ならば、なぜ泣く」
「・・・え?」
そこに現れたのは何故か白錫・クラリッサを持っている【仮面】。
「起きろ、クラリッサ!否、シオンよ!私たちの巡ってきた悠久の輪廻を、ここで終わらせる。そのために・・・力を貸してくれ」
「・・・もちろんだ。イチカよ」
【仮面】はクラリッサの力を使い、俺たちの闇をその身に取り込み始めた。
「な、何を・・・!」
「いくら器に適しているとはいえ貴様らはアークス、私はダークファルス。ならば、ダークファルスである私に闇が集うのは、当然のことだろう?」
「お、おい!どういうことだ!・・・まさか、最初からこれを・・・?」
「・・・貴様が、気づかせてくれた。ただ一人を救いたいという強い意思。それを成し遂げるためにやるべきことを!」
「・・・【仮面】」
「私は、彼女が救えればそれで十分!・・・それ以外は、何もいらない!」
全ての闇をその身に引き受ける【仮面】。
マトイは深遠なる闇になる運命から解放された。
俺とマトイは再びシオンと再会した。
その隣には【仮面】が、俺自身がいた。
「・・・ごめんなさい、ごめんなさいっ!わたしは結局、覚悟なんてできてなかった・・・。だから、あなたたちを犠牲に・・・」
「・・・きみは知らないだろうが、きみと私は、ひとつ約束をした。・・・泣くな、笑え」
「深遠なる闇は、わたしたちが受け取った。これで、彼女は生き、貴方も生きる。だが、深遠なる闇もまた、消し去ることは出来ていない。・・・やがて、形を取るだろう。ダークファルスを従え、現れる新たな深遠なる闇・・・人類の勝つ歴史を、わたしは知らない」
「シオンさん・・・」
「・・・だが、彼女が救われた歴史もわたしは知らなかった。イチカ、いや織斑一夏。ここからは、貴方次第だ。全知の先に、進み新たな歴史を、紡いでくれ。それが、わたしたちの最後の願いだ」
「ああ、分かった。だから、いつまでも見守っていてくれ。俺たち、アークスの行く末を、未来を」
・・・そうして、シオンさんとダークファルスとなった俺は消えていった。
俺たちに、全てを託して。
深遠なる闇・・・ディーオ・ヒューナルとなって消え去った。
「・・・ああいうの、ずるいよね」
「なにがだ?」
「ありがとうも言えなかった。さよならだって、言えなかった。ほんっとうに、ずるい。・・・でも、笑えって言われちゃったしわたし、笑ってることにする。泣いてもいいってなるまでは笑うことにする。だってそうでしょ。深遠なる闇が出てくるって言ってたもんね」
「・・・ああ、そうだな」
「わたしたちのせいで出てきちゃったようなものだし・・・わたしたちが、倒さないと!それにダークファルスも来るだろうしダーカーもなんとかしないとだし・・・ああ、いろいろやることたくさん!泣いてる暇なんてないね!ね、イチカ。そうだよね!」
「マトイ・・・」
「あ、あれ?おかしいな?わたし、笑ってるはずなのに・・・お、おかしいな、この、このっ!」
「・・・無理するなよ、泣きたかったら、思い切り泣いても良いんだぜ?」
「ちょっと・・・イチカ。このタイミングでそれはダメだよ、反則だよ・・・ごめん・・・ちょっとごめん・・・約束、守れそうに、ない」
そこにいたのは、ただ一人の少女だった。
何処にでもいる、悲しい時には泣いて、嬉しい時には笑う一人の少女だった。
「おかえり、マトイ」
「・・・ただいま!イチカ!」
こうして、マトイは深遠なる闇としては覚醒せず代わりにシオンと【仮面】が新たな深遠なる闇となった。
たった一人の少女を救うためにアークス全員が一丸となって動いたからこそなし得た奇跡の物語はここでおしまい。
ここから先は、俺たちにも分からない。
「・・・とまあ、これが俺が、俺たちが歩んできた道のりだ」
「・・・なんというか、その・・・大変だったな。宇宙の危機とか、世界が滅びそうだったとか」
「あはは・・・イチカにも、みんなにもいっぱい迷惑かけちゃったね。改めて聴くと」
「「「「・・・(ついてこれていない幼馴染.s&専用機組と妹)」」」」
「でも、俺はマトイにちょっと怒ってる」
「え?な、なんで?」
「こないだの【若人】が復活しかけた事件、カスラとアイカに聞いたぞ?まーた無茶したんだって?」
「・・・え、えーと、そのー・・・ごめんなさい!」
「・・・全く・・・今回はアイツがまた闇を取り込んでくれたお陰で無事だったものの・・・また深遠なる闇になりかけたらアイツに合わせる顔がねぇよ」
「・・・そう、だよね・・・ごめんね?」
「だけど、無事ならそれで大丈夫だ。今はゆっくり休もうぜ。久々に俺の住んでいた家に帰って来たんだし・・・」
「そうだね、シャオくんやシエラちゃんには悪いけど・・・アークスとしての活動は少しお休み、今はゆっくり休もうか」
イチカ
本名:織斑一夏。
クラス:ブレイバー/ハンター(のちにメインクラスをファントムにクラス換え)
使用武器:皇剣・雪羅/界斬剣・雪片(現在封印中)
年齢:18歳(EP4終了時点)
服装:
ベース、ビターシームーン(Ba)
アウター、ジェンダーピラウトM(Ou)
インナー、フロワガロウズ(In)
色は白メインの黒がアクセント。
設定
現在、アークス内でもトップクラスの実力を誇る「
8歳のころ、突如オラクル船団に転移しそのまま10年間をオラクル船団で過ごし、彼が14歳の頃からアークスとして過ごしている為、実を言うとアフィンより先輩である。
(一応教官としてアフィンと同行していて年も近かった為アフィンからは相棒と呼ばれている)
常に最前線で活躍し続けており、元六芒均衡の面々ですら一目置いている。
現在は地球での問題解決の後に貰った休暇で12年ぶりに自分の世界の実家に戻っている。
10年ぶりではないのは深遠なる闇との戦いの後に2年間、ダーカー因子の浄化のためにコールドスリープをしていた為である。
界斬剣・雪片に関しては再びジグにより封印が施され、現在は新たなマトイの新しい創世器であるクラリッサⅢとともにジグが制作した創世器、皇剣・雪羅を使用している。
なお、マトイは嫁である(本人談)。
皇剣・雪羅
ジグの手により新たに制作されたイチカ専用の新しい創世器。
性能的には界斬剣・雪片の性能の一部を受け継ぎつつ最大のデメリットであった大量のフォトン吸収を体内からではなく大気中から吸収するようになった事で使用者に負担が掛からないようになっている。
しかし、その代償としてあらゆるエネルギー物質を斬り裂く機能は失われてしまう。
だが、ジグの努力の賜物により斬り裂くのではなく、エネルギー物質を吸収しそれを刀身に纏わせてより斬れ味を増すという機能が追加されている。
見た目としては雪片弐式の刀身が淡く白く光り輝き、鞘自体に蒼いクリスタル状のパーツと鍔と柄自体がまるでマザーシップを思わせる作りとなっている。
マトイちゃん可愛い。
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