彼も彼女たちも偽物を欲しない   作:風来のアスカ

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あの人の登場回ですよ~。恐ろしきあねのん…。


13章・お姉ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!

鶴見さんとの話を終えて家路につく。

今日は色々話をしたいからと由比ヶ浜さんがお泊まりに来てくれた。…誰とも仲良くなれずにいた私と、友達に、親友になってくれた由比ヶ浜さん。同時に一番のライバルでもあるけれど…私はとても感謝している。去年のバレンタインデーの後、比企谷くんはこう語った。

「…これはひとり言だが…俺は今、こんな状況が正直幸せに感じてる。俺からあんなことを言った手前、悪い。だけど結論を急いでお前らに、二人にテキトーに答えたくはないんだ。だから、いつか必ず決めるから、それまでは奉仕部でいて欲しい。」

彼はひとり言だと言っていたけれど、私達二人に言っていた。気づいてはいるんでしょうね。でも彼はそういう気持ちに臆病な人だから…ひとり言だと言ったんでしょう。私も由比ヶ浜さんもそれを受け入れた。本当は決めて欲しかったけれど、明確に彼が自分の意思を表示した以上は受けようと二人で決めた。…今年はライバルが増えそうだけれどね。

「あと一人だね~。さがみんや留美ちゃんまでそうなんだってびっくりしちゃった。あ、ゆきのん今日はありがとうね、あたしだったら説明しづらくて。あはは…。」

「いいのよ、由比ヶ浜さんも頑張ってくれてるし、とても助かっているわ。」

ピンポーン。

誰か来たのかしら?営業とかじゃなければいいのだけれど。

「由比ヶ浜さん、ごめんなさい。はい、雪ノ下ですが。」

「ひゃっはろー。雪乃ちゃん元気?」

ね、姉さん⁉な、何をしにここへ…。

「何の用かしら…。私は姉さんを呼んだ覚えがないのだけれど。」

「ん?私は用事あるよ?雪乃ちゃん今日は何月何日か覚えてるかな?」

「…7月12日だけれど…。」

何の日だったかしら…。そう言えば姉さんも比企谷くんの事を…?

「とりあえず入れてくれる?ちょっと用事済ませたら帰るからさ~。」

仕方ない…確認の為にも姉さんには聞かなくては。

「陽乃さん…だよね?どうしたのかな。」

「わからないけれど、もしかすると比企谷くんに…。…姉さんいいわ。入って。」

「ありがと。」

「で、何の用かしら。」

「ひゃっはろーガハマちゃん。雪乃ちゃん冷たいな~。」

「陽乃さんやっはろー。」

一体何をしに来たのか…不安だわ…。

「ん~。さて雪乃ちゃん。5日前は何の日だったかな?」

5日前…七夕。比企谷くんが増える原因になった日…。

「あ…。」

「ど、どうしたのゆきのん?」

「姉さんの誕生日…。」

すっかり失念していたわ…。一応4月の時に手助けはしてもらえたからプレゼントは買ってはいたけれど…比企谷くんの事で頭がいっぱいだったし…。

「そうだよ~。雪乃ちゃんお姉ちゃんの誕生日忘れたのかと思って悲しかったよ~。ま、気にしてないけどね。それで久しぶりに祝ってもらいたくって来ちゃいました!」

「陽乃さん誕生日だったんですね、おめでとうございます!プレゼントはないですけど…。」

「ありがとうガハマちゃん!大丈夫だよ、雪乃ちゃんと仲良くしてくれれば。ね?」

姉さんはそう言ってにっこり笑う。4月のあの日から姉さんも以前は見せない様な笑顔を見せてくれる。比企谷くんと姉さんが母さんに熱心に訴えてくれて私は本音を母さんに言えた。その事には感謝している。そしてそれは姉さんもまた母さんに本音を言えた日だったのかもしれない。比企谷くんが姉さんにも何か影響を及ぼしたのかしらね。

「ね、姉さん。私からもおめでとう。それとこれ…。」

そう言って私は持ってきた紙袋を渡す。

「んん?何かな?雪乃ちゃんからのプレゼント?」

「え、ええ。最近ちょっと困ってて…忘れていたわけではないの。その…4月の事もあったから姉さんには感謝してるわ。これはそのお礼も兼ねて…。」

「おお~。ありがとう雪乃ちゃん!大好きだよ~。」

姉さんが抱きついてくる。く、苦しい…。

「さてさて、何かな?お、おおお⁉綺麗なネックレスだね~。雪乃ちゃんありがとう~。形はヘンテコだけど嬉しいよ♪」

「似合ってますよ陽乃さん!」

 

私が渡したのはちょっと変わった形のネックレス。タイガーズアイという変わった宝石。意味は高潔とからしい。姉さんっぽいと思ったから。形は…ちょっと目付きの悪い、やさぐれているような猫の形。…比企谷くんにちょっと似ているそんな猫の。

「ふんふん、比企谷くんっぽいね~。これ。」

な、バレてる⁉

「ゆきのんそうなの⁉」

「それは違」

「嘘はダメだよ~。雪乃ちゃんは嘘つきじゃないでしょ?私は雪乃ちゃんのこと何でもわかるんだからね?」

「くっ…。」

迂闊だったわ…。

「そ、そうよ!悪いかしら!姉さんには比企谷くんの様に少しはひねくれたりしてぼっち?の気持ちを知ってもらいたいからよ!」

「雪乃ちゃん…ぷっ。素直に自分の好きな男の子みたいに私も少しは信頼してくれてるって言ってもいいんだよ~。」

くっ…。顔が上気しているのがわかる。

「ゆきのん可愛い~。」

「そ、そんな事はいいのよ!そ、それより!姉さんに話があるの!」

「ん?何かな?雪乃ちゃんから話なんて珍しいね。」

 

 

 




さて七夕が陽乃さんの誕生日だということを忘れてたし、そろそろ陽乃さんも関わって来るだろうって事で、陽乃さん登場回でした。次回は陽乃さんの衝撃の事実が判明⁉お楽しみに。

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