昨日、また一人消えた。何か最初はキモいと思っていたが、自分が消えてくのもやはり気分の良いものでもないな。…概ね理解はした。七夕の日のあの願いが関係してるんだろう。
『俺の知り合い達の願いを叶えてくれ。』
…信じられないが、事実俺が増えたこともある。あの願いによってあの7人の何かしらの願いを叶えてしまい、だからこそ雪ノ下達がわかったのだ。
…話は変わるが、昨日、小町は大志達と遊びに行ったが、結局すぐに男女別れて遊んだらしい。カップルだった奴らがケンカしたとかで。ザマァ。
─────偽八幡(一)─────
いつもの様に総武高校に来たが…何故夏休みに来なきゃいけないんだろうか。一色とのデートのハズだが…。いや、アイツは生徒会長だからな…。一応だが…。
「せんぱーい!来てくれたんですね~♪」
「そりゃこれもある意味仕事だからな。」
「またまた~♪わたしに会いたかったんですよね?」
「いや別に。むしろ帰りたい。」
「ひどいないですか~⁉」
うむ。いつもの一色だ。しかしよく俺とのデートを引き受けたな。俺のせいかも知れんのに。
「それじゃーまずこれヨロシクです♪」
ドサドサッ。
「…何これ。」
「生徒会のお仕事ですよー。夏休みなのに酷いですよねー。」
ひどいのはお前だと言いたい。何故俺がお前の仕事をやらんといけないのか。言っても無駄だから言わんけど。
「終わったらデートですね、先輩へのご褒美ですよー。」
「帰っていい?」
「だ、ダメですよー!デート出来ないじゃないですか!」
「いや、俺は別に…。」
アレ?何でこんな怒ってんの?俺とデートなんてしたくないんじゃねえの?あれか、俺が沢山居るのはやっぱキモいから早く消したいのか。
「まったく、唐変木なんですから…。とにかく、ちゃっちゃと終わらせて行きましょー!」
「へいへい、俺を消すためだもんな。」
「⁉」
ん?何でコイツビックリしてんの?その後不安そうな悲しげな顔してるが…。
「そ、そうですよー!消さなきゃです!」
「?」
「さって、先輩どこに連れてってくれるんですかー?」
「何でお前普段からあんなに早く仕事しないの?」
何故かいつもじゃ見れないくらいのスピードで仕事終わらせた一色は、どうやら内容も完璧だったらしく平塚先生が驚いていた。
「それじゃ先輩に仕事あげられないじゃないですかー。」
「いらねえんだが。」
「先輩に会うためですよ?」
上目遣いでそう言う一色。やめろ、勘違いするだろうが。
「嘘をつくな、嘘を。」
「やっぱ先輩ですねー。普通の男の子なら一発なのに。」
あざとすぎなんだよ。プロぼっちの俺はそんなことで勘違いはしない!
「ホントなんですけどね…ボソッ」
「ん?何か言ったか?」
「何でも無いですよー。それよりどこに連れてってくれるんですかー?」
とりあえず以前に一緒に来た喫茶店に来てみたが…。
一色はどうやら喜んでいるみたいだ。
「先輩ここ覚えててくれたんですね~♪わたし的にポイント高いですよー!」
「お前は小町か。」
「…先輩、デート中に他の女の子の話はポイント低いですよ。」
睨むな、怖い怖い。小町が怒った時みたいに怖い。やはりあざと姉妹か。小町が生徒会の仕事手伝いはじめてから余計に似やがって。
「それはそうと、やっぱここ雰囲気良いですねー。」
「そうだな。静かだし今度一人でここで本読みに来よう。」
「せんぱーい、悲しくなりますよー。そこは彼女と来よう!でしょ。」
「ばっか、俺に彼女とか出来るわけないだろ。」
…何を言ってるんだろう俺。泣きたくなってきた。
喫茶店で少々他愛のない話をして、ららぽーとへ向かう。何やら一色は水着を新しく買いたいとか。
「そういえばお前、葉山はいいのか?」
「へ?」
「いや、だから葉山は?こういうのは葉山と来たほうがいいだろ。」
「もう先輩!葉山先輩は三浦先輩と付き合ってるじゃないですか!いくらわたしでも盗ったりしません!それにもう葉山先輩には興味もあまり無いです!」
「え?あいつら付き合ってんの?」
知らなかった…。まあ興味もなかったけど。
「知らなかったんですね…。とりあえず先輩、あそこです、早く行きましょー!」
水着ショップに来たが…場違い感半端ない。しかも一色はそれなりに見た目良いから他の男共の視線が痛い。
「先輩これどうですかー?」
そう言って一色が見せてきたのは、白いビキニ。
「い、良いんじゃねえの?知らんけど。」
「じゃあちょっと着てみますね!」
「え?お、おい!」
さっさと試着室に入っていってしまった。…男どころか、普通に水着を選びに来た女子まで俺を不審な目で見てくる。帰りてえ…。
「どーですか?先輩!」
着替えて出てきた一色を見て、俺は焦る。結構際どい…。
「お、おう、良いと思うぞ。だからそろそろ…。」
「あ、こっちも可愛い!ちょっと着てみますね!」
「お、おい…。」
結局5着位試着したのに最初のになった。俺が一番焦ってたかららしい。
その後、色々ショッピングして、一色を家まで送ってきた。なかなか良い家に住んでいる。
「先輩今日はありがとです!」
「おう。」
「それで先輩。ちょっとお話するのでちゃんと聞いて下さいね。」
いつになく真剣な眼差しの一色。きっと俺が消える方法を語るのだろう。
「去年先輩に会って、色々お話して…先輩が実はかっこよくて、先輩の熱い気持ち聞いちゃって、それで…。本当は葉山先輩の事、デスティニーランド行く前に興味なくなっちゃってて…。」
え?コイツ何を…葉山に興味なかった?デスティニーランド行く前から?俺が…かっこいい?何を言ってる…?
「先輩の口車に乗せられた振りしてたんです!ホントは先輩が好きです!他の人達に負けないくらい好きです!わたしも本物が欲しいから…。」
「…。それは…。」
「へ、返事はいいんです。だって今の先輩は…消えちゃうから。ずっとずっと…好きでした。先輩…が。これからも…先輩を…好き…です…。責任…とってくだ…さいね…。きっと、もう一回、言います、から…。」
涙を流しながら一生懸命に告白する一色に俺は返事を返す事は出来なかった。…だからさっきあんな顔…
いろはすデート回終了です。ようやく30章。まだまだ続きます。