残りは2人。由比ヶ浜と雪ノ下とのデートだけだ。
由比ヶ浜とは夏祭りに行ったりハニトーを食べに行ったりしているので、正直言えば2人での行動は初めてではないのだが、デートとなれば別である。そもそもデートなんて産まれてこのかた全然してないぼっちの俺だと言うのに、何故か去年から増えたのは由比ヶ浜の存在もあったかもしれない。ま、今日も俺じゃなくて偽八幡が行くんですけどね。
─────偽八幡(由)─────
由比ヶ浜とのデート。これはある意味で最も危険だと言える。まず最初に由比ヶ浜はアホの子である。簡単に騙されそうなので、その辺のキャッチセールスとかに引っ掛からないか心配だ。
次にアイツはどこがとは言わんけど柔らかい。なのにくっついてくるのだ。最近特に。おかげで理性の化け物と言われた俺も理性が爆発しそうで怖い。これでも健全な男子高校生ですし。
そして由比ヶ浜は俺が親しいと言える連中の中でも雪ノ下と同じくらいに最も親しいと言える存在だ。奉仕部を無くしたくないという理由で色々やったりもしたほどだ。…それにデートすると言うのはやはり好意を意識せざるを得ない。…そんなことを考えているうちに由比ヶ浜の家に着いた。
ピンポーン!
インターホンを鳴らす。ガチャ。
すると中から由比ヶ浜の姉、もとい母親が出てきた。
「おはようございます、…お久しぶりッス。」
「あらあら久しぶり、ヒッキー君!ちょっと待っててね、結衣呼ぶから。結衣~!」
やはり若いし、綺麗な人だな。そしてヒッキー君って…前にも思ったけど引きこもりみたいなのに君付けって…。
「ヒッキー迎えに来てくれたんだ。ちょっと待ってね、サブレが一緒に行きたいみたいで暴れててさ。ちょっと落ち着くまで待ってて。」
ワンワン!
サブレ、コイツを助けて事故った事もあったが、まあそれは良かったかもしれない。コイツも元気だし、由比ヶ浜や雪ノ下と会えたしな。高校生活はおかげで楽しいと思えるものになった。
「おう、いいz…」
言い終わる前にふと由比ヶ浜の後ろに由比ヶ浜ママが隠れてこっちを見ているのに気付く。
「どうしたのヒッキー。後ろに何かあ…ちょっとママ、何で見てるし⁉」
「あら~私もヒッキー君とお話したくて~ウフフ。」
「良いからあっち行くし!」
「あらあらウフフ~。」
何て言うか面白い人だ。俺なんかと話したいとか。
そう考えてると放置されたサブレが嬉しそうに尻尾を振りながら俺に飛びかかってくる。
ワンワン!
おいこらやめろ、ヨダレでベタベタになる!
「あ、ごめんヒッキー!サブレ、戻るし!」
由比ヶ浜に怒られるものの、意に介さずといった感じで更に顔を舐めまくるサブレ。…うへぇ、もう出かけるのもヤヴァイ。…日下部み○お可愛いよね。
話が逸れたがサブレを連れて一度由比ヶ浜宅に入り、顔を洗わせて貰った。
「…ありがとうございます。」
「いいのよ、サブレもヒッキー君と会えて嬉しいのね。会えるだけで幸せなのよ。どっかの誰かさんみたいね。」
「ママ!」
「あらあらウフフ。」
やっぱり面白い人だ。そして抱いてるサブレの頭に乗った二つの…やっぱり由比ヶ浜のお母さんだな。
「それじゃ行こーよヒッキー。」
「行ってらっしゃい、気を付けてね。」
今日は由比ヶ浜が前から見たかった映画を観に行こうと言うことらしい。
「最近流行ってる映画なんだけど、アニメだからヒッキーも観やすいと思うんだ。恋愛モノでスッゴい話題なんだって。」
「ああ、あれか。ちょうど俺も観たかったしいいぞ。」
「じゃあ決まりだし。時間まだあるから、ブラブラしてこっか。」
それから二人で映画館までの道程を歩きながら話をする。大学受験の話や奉仕部の部活(これもある意味受験の話だが)、観に行く映画の話等だ。すると、ちょっと離れた位置に珍しい二人を見つけた。
「アレ?あれって姫菜と…」
「戸部だな。」
二人は何か楽しげに話をしながら歩いている。…手を繋いで。戸部はまだ照れくさそうだが悪い雰囲気では無さそうだ。
「…あの二人付き合ったんだ。いいな…。」
「海老名さんもようやく戸部と付き合う決心したんだな。…今度祝ってやるか。由比ヶ浜、後で俺にメールしてくれ。」
「え?今いるじゃん?」
「いや俺は本物じゃないし。」
「あっ!…忘れてた。アハハ…。」
まあ別にいいけどな。
「だってヒッキー本物と変わらないんだもん。でもやっぱ寂しいよね、消えちゃうなんてさ。」
「そうかも知れんけど、俺はあくまでバグみたいなもんだ。消えなきゃどんな影響があるかわからない。」
「…そうだね…。」
「それより映画観に行くぞ、もう時間だ。」
「うん!」
次回に続きます。海老名さんは戸部と付き合う事になりました。