彼も彼女たちも偽物を欲しない   作:風来のアスカ

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ゆきのん篇後半。


34章・デート・ア・リーブ

アニマルテーマパーク・わんにゃんランド。最近出来た犬好きと猫好きの為の施設だ。そんなに大きいわけではないが、それぞれのいろんな種類と戯れることが出来る。無論キチンと犬コーナーと猫コーナーに分かれているため、雪ノ下でも来れる。雪ノ下は犬が苦手だからな。ちなみに俺も猫コーナーに行く。ここは実は客も猫耳や犬耳着けてたりするのだ。違和感もなくいられる。ところで…。

「猫…猫…。フフフ…。」

弱冠テンションがおかしくなってる雪ノ下。これダメなヤツだ。

「雪ノ下。落ち着け。普段の冷静さが無くなってるぞ。」

「はっ。な、何かしら。私は、至って、れ、冷製なのだけれど。」

冷静な。冷製ってパスタか何かになるのか?

「猫も流石にそんな態度だとビビるだろ。落ち着け。」

「そ、そうね。コホン。じゃあ行きましょうか。」

軽くスキップしそうな感じだな。ワクワク隠せてないし。鼻歌聴こえるし。

「スコティッシュフォールド…。アメリカンショートヘア…。三毛猫にヒマラヤン…。ここは天国かしら…。ニャー、ニャー?ニャアニャア~。」

猫語で話すな。可愛くてつい抱き締めちゃって通報されるだろ。通報されるのかよ。猫耳も着けてるし、猫尻尾(スカートの上に安全ピンで留めてるみたいだ)まで着けてる。

「こっちはラグドール…あっちはシャム…どれも捨てがたいわ…。こ、この子はペルシャの子猫!わ、私を悶え殺す気なのかしら…!」

また冷静さを失った。コイツ、普段と違いすぎだろ。

「肉球…ぷにぷに…。」

子供か。

「比企谷くん。」

「な、何だ。ビックリするだろうが。」

「さぁ、ねこ狂いましょう!」

…。ダメだ。どっかのギャンブル狂の少女みたいになった。確かに声はそっくりだけども。あっちは胸もあ…何か寒い気がするぜ。風邪かな?雪ノ下さんの冷気ですね。本当に冷製なのかコイツは。

当然だがここには一応猫カフェもある(犬コーナーにも犬カフェがある)。そこで猫の形をしたケーキやら肉球型に形どられたハンバーグやらがあって、雪ノ下は苦手な携帯を一生懸命に操作して写真を撮りまくっている。普通の女子高生か。

「なあ、雪ノ下。お前、熱でもあるのか?今日のテンションがおかしい気がするんだが。」

「にゃ⁉…コホン。何かしら?」

コイツ今絶対にゃ⁉って言っただろ。

「私は熱なんて無いけれど。ま、まあ、比企谷くんとここに来れて少しは嬉しいという事、なのかしら。」

で、でれのん、だと…!! か、可愛いとこもあるじゃないか。

「一人だと貰えない猫グッズがあるの。由比ヶ浜さんは猫じゃなくて犬コーナーに行ってしまうし。比企谷くんもこういうときは役に立つのね。」

…。前言撤回。やはり雪ノ下だ。おにのんめ。

「次はあそこへ行きましょう。」

土産品コーナー…か。しかも少しゲーセンみたいな物もあるな。

「これなのだけれど。どうやら私はこれは苦手なようで、前回50回試したのだけれど取れなかったの。」

「50ってお前…。ただのUFOキャッチャーに…。」

下手すぎだろ。

「比企谷くんならいつも一人でやってそうだし、取れないかしら。」

「一人を強調するのはどうしてでしょうかね。…ま、否定はしないけど。」

「悲しい事実ね…。冗談だったのだけれど…。」

哀れみの目を向けるな。泣きたくなるだろ。

「これは普通に引っ掛けるんじゃなくて、ここをこうして…。」

「え?それじゃ少し行き過ぎではないの?」

「まあ見てろ。」

1回目は少しずらす。引っ掛けるのは取り付けられた紐だと滑って落ちてしまうからだ。無論ボディ部分もダメ。重さで落ちてしまう確率が高いため、回数がかかる。狙うのはタグだ。今は隠れて見づらい。だからまずはずらす。そして2回目でここに引っ掛ける。タグの穴は小さい。引っ掛ける事が出来ればちょっとやそっとじゃ落ちないのだ。勿論それなりに技術がいるが。

「ほらよ。」

ぽいっと雪ノ下にその猫のぬいぐるみを投げる。

「あ、ありがとう比企谷くん。」

何かポーッとしてるけど大丈夫か?

「顔赤いけど本当に風邪でもひいてるのか?」

「え?いえ、大丈夫よ。それじゃ次に行きましょうか。」

逃げるように早足で次の場所へ行ってしまう。

結局土産のコーナーで大量に猫グッズを買った後でまた猫と戯れて、最後にペア限定のグッズを帰りに貰い雪ノ下の家に帰ってきた。俺は帰って、じゃなくて来ただけだが。

「お茶くらい出すからあがって。」

「あ、ああ。」

雪ノ下の家にお邪魔する。夜に二人きりでここにいるのは初めてなので緊張する。

「どうぞ。」

「お、おう。サンキュ。」

「今日はありがとう。とても楽しかったし、欲しいものも手に入って凄く満足したわ。比企谷くんのおかげよ。大切にするわ。」

「ああ、気にすんな。俺もまぁまぁ楽しかったしな。」

「そ、そう…。」

雪ノ下はそう言って無言になる。

「さ、さて帰るかな。」

「待って。比企谷くんに話があるの。比企谷くんの分身、つまり貴方を消す方法でもあるのだけれど…。」

「お、おう。」

スーハースーハーと何度も深呼吸する雪ノ下。どうしたんだろうか。

「雪ノ下?」

「ま、待って。少し緊張しているのよ…。貴方が消えてしまうことでもあるのだし…。」

「消えるのは必然だ。俺は本来居ちゃいけないものだろうしな。」

「…そうね。比企谷くんに迷惑だったかもしれないけれど、今回のこれは私達7人が七夕に願ったことが原因だと思うわ。」

「願い?」

馬鹿みたいな話だが、雪ノ下は冗談を言うようにはなったが、嘘はつかないだろう。そして実際、雪ノ下達7人はちゃんと俺ら分身を消している。

「正直に言うわ。…私は、比企谷くんが、比企谷くんを、す、好きになったの。…七夕の願い、それはみんな、貴方に告白する勇気を得るために書いているのよ。…勿論私も…。」

雪ノ下達が…。そうか…。だから、これは…。

「ひ、比企谷くんを愛して、います。…こんなこと、言うことなんて、もうないと思っていたけれど、私はこの2年で、貴方が好きになったわ…。この想いは勘違いではない。私の、雪ノ下雪乃の『本物』。今日は、ここまで…貴方は消えてしまうけれど、いつかの約束守ってくれてありがとう。好きよ、比企谷くん。またね。」

雪ノ下は笑っていつものように俺に小さく手を振ってくれた。…約束、か。

『いつか私を助けてね。』

守れてたのかね…。

 

 

 

 

 

 

 




雪ノ下篇完了です。デートをして、最後の偽八幡が去ってしまいました。
このあと、八幡と7人の女子の恋の行方は。おたのしみに。
※感想は受け付けますが、この後の展開に関する質問、意見は受け付けません。あの子とくっつけてなどのご要望にも応えませんので、ご容赦ください。
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