【改稿】この素晴らしい世界に沖田総司を!   作:とりるんぱ

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あるえさんがヒロインのおはなし書き始めました。
あるえさんの考察と紅魔の里の考察のハイブリッドにするつもりです。


真名

初期ステータス、敏捷性三桁台後半という期待の新人冒険者の誕生を前に、冒険者ギルドはにわかに色めきだった。具体的には、沖田を自分達のパーティに引き入れようとしたのである。

冒険者というのは、人間に仇なすものと討伐を生業とするもの、つまり切った張ったの生活を送っている者。なるべく危険を遠ざけるために仲間とパーティを組むのは当然のこと。そして、その仲間が強ければ尚良し。

というわけだから、()()()冒険者達は沖田を勧誘しようとした。

 

「俺達と一緒にパーティ組まない?」

 

「パーティ組もうよ! 今なら三食おやつ昼寝つき!」

 

「アクシズ教! アクシズ教に入信しませんか! 今なら超強くて凄くてカッコいいアクシズ教徒を名乗れる権利が付いてきますよ!」

 

しかし、そのような勧誘に対して、めぐみんが。

 

「おっと、この方はうちのパーティに入ることになっているのです。勧誘しようとしてもできませんよ。さあ、散った散った!」

 

と追い払うと、冒険者達は、

 

「なんだ、先客がいたのか」

 

「……いや、待て。カズマんとこに入る? ってことは相当な地雷案件なんじゃ……」

 

「そうか? 問題児の扱いに苦労しているカズマが、常識と尖っていない実力を兼ね備えた戦力を欲しがったって線もあるぞ?」

 

「いや、でも、カズマのパーティだぞ? あの子もキワモノなんじゃないのか?」

 

と、何やらヒソヒソと話し始めた。少々遠巻きに見られるようになった気もする。

よく分からないが、しつこく勧誘されなくなったのはいいことである。

沖田は辺りを見回す。げっそりした顔のカズマを発見した。隣には、泣き腫らしたアクアが。

 

「どうしたんですか? 二人とも」

 

「ああ、ちょっとこいつと色々あってな……」

 

「はあ……」

 

「うっうっ……あのね、カズマさんがね……」

 

「……は? 仲間に着火魔法を使って攻撃した?」

 

沖田はカズマを睨み付ける。

背中を合わせて戦う仲間に魔法で攻撃するとはなんということか。仲間を仲間とも思わぬ、そんな鬼畜な所業をする輩だというのか、この男は。

 

「いや、着火魔法っていってもライターとかジッポみたいな種火くらいしか起こせないやつだし……」

 

「しくしく……仲間のおでこを焦がした挙げ句、謝りもしないで弁明だなんて……。神聖なる私のおでこに一生消えない火傷痕が残ったというのに、謝りもしないなんて……」

 

沖田はカズマをゴミを見るような目で見つめた。

 

「……カズマさん、サイテーです」

 

「ちょ、そんな目で見ないでくれ……っていうか、ふざけんなよクソアマ、お前自分にヒールかければ傷なんてすぐに消せるだろうが!」

 

「この期に及んでまだ謝りもしないなんて、なんて心が狭いニートなんでしょう……」

 

「いい加減嘘泣きはやめろこのクソアマあああああああああ! いいからさっさとヒールかけろよ!!」

 

「何よ、人がこんなにしくしくと泣いているのに。カズマってば人の心がないわけ?

謝って! ちゃんと私のおでこを焦がしてすみませんでしたアクア様って、地面に頭を擦り付けて謝って!」

 

「『スティール』」

 

「……何すんのよカズマ。私の嘘泣き用の目薬盗らないでよ。消費者金融のおじさんに無理言ってお金借りるときに使えなくなるんですけど」

 

「そおい!」

 

「わあああああああああ! 投げられたああああああああああ!! ちょっと本当に何してくれるのよカズマー!」

 

 

賑やかな二人のやり取りをを眺めながら、沖田達は。

 

「あの、この後どうすればいいんでしょうか」

 

「そうですね……。まあ、あれはすぐに収まるでしょう。いつものことですし」

 

「謝って! 女神の目薬失くしてしまってすいませゆって、ちゃんと謝って!」

 

「その辺で買った数百エリスくらいの安物だろ。大体放り投げただけでまだ無くなってはいないだろ、探しに行けよ」

 

「人様の目薬ぶん投げておいて、その言いぐさは何? カズマが探していくべきじゃないかしら? 地を駆けずり、這いずり回って! ほら、探してきなさいよ早く!」

 

「『クリエイトアース』! 『ウインドブラスト』ッッ!!」

 

「ぎゃー! 目が、目があああああああ!!」

 

ムスカ大佐と化したアクアを見ながら、沖田がぽつりと。

 

「……本当にすぐ収まるんですか?」

 

「…………」

 

沖田の疑惑の視線に、めぐみんとダクネスが目を逸らした。

 

 

 

 

 

その後。

口論を終わらせたカズマとアクアは、とりあえずもう遅いからと拠点に帰ることにした。めぐみんとダクネスも反論は無い。

しかし、沖田はどうするのか。というと、彼らのパーティに着いていくことにした。

何せ明日からパーティに加入するのである。別段拠点に着いていっても問題なんか何もないだろう。

何故かカズマが難色を示していたが、()()()()()()()()()()()()()ので、遠慮なく着いていったのである。

が。

 

「うわぁ!」

 

彼らの拠点を見て、思わず沖田はそんな声を漏らした。まあ無理もない。

 

「こ、このお屋敷が、皆さんの拠点なんですか!?」

 

「あ、ああ。そうだよ」

 

「す、凄まじい……」

 

沖田は眼前の、のどかな田園風景にあって一際異彩を放つ、城のような豪邸を見上げながら戦慄していた。

沖田は日本の英霊なのでこのような邸宅には縁がない。実際見たのはこれが初めてだ。だがそれでも、こんな邸宅に住んでいる人はお金が有り余っている貴族か大富豪であることは知っている。

カズマ達一行はこんな屋敷を買えるほどお金を所有しているのだろうか。一流の冒険者って凄い。

沖田は天使のようにキラキラした目でカズマ一行を見つめた。

 

「……ああ、この屋敷はある依頼を達成した報酬として住ませて貰ってるとこだよ」

 

「幽霊屋敷と化していたここを超凄い私が除霊したら、住まわせて頂けませんかと依頼主からお願いされたのよ!」

 

「幽霊屋敷と化していたのはお前のマッチポンプだったけどな。っていうかお前全然反省してねーじゃねえか!」

 

「いはい! 何するの、はなひて!」

 

アクアの頬をつねるカズマを横目で見ながら、沖田は目を濁らせた。天使のように綺羅めいた瞳は堕天(ドロップアウト)し、今は腐ったドブ川のようで、見る影も無い。

 

(幽霊屋敷ですかー……)

 

無論、沖田は幽霊が苦手な訳ではない。不意打ち気味に飛び出す幽霊には流石に驚くが、そんなのは幽霊に限った話ではない。

第一英霊自身幽霊とさして変わらない存在だというに、どうして驚く必要があるのか。そんなものより薩長の方がよっぽど恐ろしい。恐ろしいだけであって別段怖くはないが。

そんなわけなので沖田としては幽霊が苦手な訳ではない。しかし、今から入る屋敷が幽霊屋敷と知らされるのは中々に微妙な心地がする。

そう、例えるなら物凄く楽しみにしていた映画を「それの原作読んだけど、面白くなかったよ」と言われたときのような――。

 

「何してるんですか? もう先に入っちゃいますよー」

 

めぐみんの声に我に帰った。ふと見ると、他の三人は既に屋敷の中に入っている。

 

「ちょっと待ってくださいよ……」

 

沖田は慌てて扉へと向かっていった。

 

 

 

広い。何が広いって部屋が広い。

ぱない。何がぱないって広さがマジぱない。

ヤバい。何がヤバいってマジヤバい。

 

案内された広間のあまりのデカさに圧倒され、語彙力が数値にしてマイナス五千兆になった沖田を尻目に。

 

「よし。今更だが、自己紹介をしようと思う」

 

本当に今更なことをカズマが言った。めぐみんが怪訝な表情で。

 

「いきなりどうしたんですか?」

 

「いやほら。よく考えてみれば、俺達この人の名前知らないし。俺らも名乗っていないわけだし、コミュニケーションが成り立たないんじゃないかなって」

 

「確かにそうですね! 名乗りを挙げないのは紅魔族のモットーにも反します!」

 

「そんなモットー、びりびりに破いて捨てちまえ」

 

何故かテンションを上げためぐみん。

沖田はカズマ一行の名前は全部覚えたので名乗られなくても問題はないが、沖田自身が名乗っていないのは確かに問題だ。

受付嬢が自分の名前をぶちまけたときもカズマとアクアは近くにいなかったわけだし。

 

「それじゃあ俺から始めるぞ」 カズマはソファーから立ち上がると、胸に手を当てて。

 

「俺は佐藤和真。クラスは最弱職の冒険者だ。何故かこのパーティのリーダーを張ってる。一応それなりにスキルは習得しているが、最弱職らしく()()()()で器用貧乏だから実力は期待しないでくれ」

 

「……は、はあ。随分と謙虚なんですね」

 

自信満々に自分がダメダメであるとのたまうカズマに困惑する沖田。――ひそかにクソステという言葉に親近感を覚えたが――

 

「では次は私ね」 ソファーの一つを占領し、ぐだぐだと寝っ転がっていたアクアが、その体勢のまま自己紹介を始める。

 

「私はアクア。水のめが――もとい、水の女神を御神体とするアクシズ教のアークプリーストよ。特技は宴会芸! いよッ、花鳥風月!」

 

アクアは体勢を直すと、何処からか扇を取り出した。

日の丸印の扇は、「花鳥風月」の掛け声と共に水を勢いよく吹き出し、扇の真上に綺麗な虹を作った。

吹き出た水は、しかし何故か落ちてくることは無く、頂点に滞空している。

沖田は立ち上がって拍手した。スタンディングオーベーションである。

 

「凄いです! こんなに凄まじい宴会芸なんてそうそうないですよ!」

 

「ありがとね。他にも羊の全力モノマネとか、手を使わずにコップを動かす宴会芸とか、帽子から虎を出す宴会芸とかがあるわよ」

 

「そこまでいくともはや超能力ですね。どうなってるんですか……」

 

凄いを通り越してドン引き。ふふんと得意気な笑みを浮かべるアクアに困ったような笑みを浮かべる沖田。

……と。

 

「それでは次は私の番ですね!」 めぐみんが勢いよく立ち上がった。沖田がソファーに座り、座るタイミングを掴めていなかったカズマもまた座る。

 

めぐみんはバッと器用にローブを翻すと、

 

「我が名はめぐみん。紅魔族随一の魔法の使い手。アークウィザードにして、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者」

 

と、仰々しく言った。

流石の沖田もこれには時間が止まる。 「……は? めぐみん? 渾名ですよね?」

 

「本名です」

 

「…………」

 

「おい、私の名前に言いたいことがあるなら聞こうじゃないか」

 

「い、いえ、何にも……」

 

据わった目をしためぐみんから逃れるように、沖田は顔を背ける。インパクトのない渾名だと思っていたが、その実インパクトしかない本名だった。

視線から逃れた先には、同士を見るような表情をしているカズマがいた。

 

(分かる。その気持ちはよ~く分かるが、あれが本名なんだ。それに、あいつには名前なんかよりもっとおかしいところがある。名前に気を取られていちゃ付き合っていられないぞ)

 

言葉は発していない。発していないが、何よりもその表情が雄弁に語っていた。

カズマに合わせて、沖田も声には出さずに返答する。

 

(本当ですか!? ただでさえこんな珍妙でキテレツな名前だというのに、それより更におかしいところがあるんですか!?)

 

「おい、二人とも」

 

地獄の底から響いてきたような重低音が聞こえた。

ビクッとするカズマと沖田。

 

「紅魔族は知能が高いのです。二人が今、どんなやり取りをしていたか当ててあげましょうか?」

 

極寒の眼差し。恐ろしいほどに凍てつく視線は、捉えられたら身体中が恐ろしいほど震え出すこと受け合いだ。フライゴンなら確定一発で氷付けになっていることだろう。

ちなみにガブリアスなら確定二発である。

 

地面タイプでもドラゴンタイプでもない沖田とカズマは流石に氷付けにはならないが、それでも震えることは震えてしまう。

そんな中、

 

「あー……コホンッ」

 

ダクネスが咳払いした。めぐみんは二人にれいとうビーム(極寒の眼差し)を送るのを止めてダクネスに目を向ける。低所から落としたピンポン玉のごとき震えから解放された二人も、遅れてダクネスの方を見た。

注目が向けられたことを確認したダクネスは立ち上がり、自己紹介を始めた。

 

「それでは私も自己紹介するぞ。……えーと。私はダクネス。クルセイダーだ。一応前衛職だが、私は不器用で素早さも無い。固いだけの女だ。攻撃には期待しないでくれ」

 

ダクネスは表情を変えずに言った。身を包む部屋着はその名の通り真っ黒。やけに布地が薄く、体のラインがハッキリと浮き出ている。

本人がモデルのようなクール系の美人であることもあってか、相当エロ……もとい、絵になる図だ。カズマのダクネスを見る目の色がおかしいのも少し頷ける。

……と、そのカズマが茶々を入れだした。

 

「何が不器用で素早さも無いだよ、その台詞は両手剣修練スキルを取ってから言えよ。このドM騎士」

 

「んくぅ……。お、おいカズマ、人前でドMとか言うのはだな……」

 

そう言いながらも、頬を染めて恍惚な表情を浮かべるダクネス。どうやら興奮したようだ。

確かにエロ……もとい、絵になる図だ。だがこれは絵にしてはいけない。何なら踏み込んでもいけない。性癖というものは人それぞれであるから、関わらないのが一番だ。というか関わりたくない。

 

ダクネスの隠された……隠された? 性癖に沖田がドン引きしていると。

 

「……まあ、ともかく。これで私達の自己紹介は終わりましたよ。次はそちらの番です」

 

めぐみんが、しっかりと沖田の目を見てきた。

 

 

 

 

「了解しました」

 

めぐみんに頷き、人懐っこく笑った英霊の女の人は、先程までのカズマ一行と同じように立ち上がった。

それに気付いたダクネスがソファーに座り、腰を正す。何だか肌がツヤツヤしていたが、めぐみんは黙殺した。

そういえば、先程からやけに静かだが、アクアは何をしているんだろうか? と思ってめぐみんがアクアの方に顔を向けると。

 

「ぷえー……」

 

寝ていた。それはもう見事な、これも宴会芸スキルのうちの一つなのではないかと思うくらい見事な鼻提灯を作って。

 

 

 

「いたいんですけど」

 

「これから自己紹介だってのに寝る奴が悪い」

 

……気を取り直して。めぐみんは促した。

 

「それでは自己紹介をどうぞ」

 

「はあ……」

 

英霊の人は頭にみかんのようなたんこぶを作ったアクアとその下手人のカズマをちらりと見たが、何もなかったかのようにめぐみんの方に視線を戻す。

それから、器用にダンダラ羽織をバッと翻すと。

 

「新撰組一番隊隊長、沖田総司。サーヴァントとしての適性クラスはセイバーとアサシン。冒険者としてのクラスはアークフェンサーです。スピードには自信がありますが、耐久と継戦能力には期待しないで下さい。……よろしくお願いします」

 

そう言って、ペコリと頭を下げた。

アクアとめぐみんとダクネスが立ち上がり、オキタソウジに手を差し出した。

 

「これからよろしくね、総司」

 

「こちらこそよろしくお願いします、ソウジ」

 

「よろしく頼む、ソウジ」

 

差し出された手を暫く呆けたように見つめていたソウジだったが、やがて感慨深そうに握った。

 

「……はいっ! これで、私もダクネスさん達の()()ですね!」

 

心の底から嬉しそうに笑うソウジ。彼女の容姿も相まってか、その姿は非常に可憐で、美しく見えた。思わずめぐみんとダクネスが呆気にとられるほどに。

そして、呆気にとられた自分がおかしかったのだろうか、はたまたソウジの美しい微笑みに釣られたのだろうか。ダクネスとめぐみんも笑いだした。

雁首付き合わせて笑う女性三人。全員が端麗な顔形をしていることもあってか、その光景は野に咲く百合の花のように尊く見える。

 

「……は? 沖田総司!?」

 

そんなきららでファンタジアな光景に水を差す頓狂な声が一つ。

ダクネスとめぐみんが驚いて声の主の方に顔を向ける。

 

「どうしたんですかカズマ、いきなり大声出して」

 

めぐみんが尋ねるが、カズマの耳には届いていないようで。

 

「……え? 沖田総司って、本当にあの沖田総司? 新撰組の? あの剣豪、沖田総司!?」

 

信じられないと言った風に目を見開いて、ひたすらソウジを凝視していた。

ソウジは頷く。

 

「そうですよ、その沖田総司です。……っていうか、さっき新撰組の一番隊隊長って言ったじゃないですか」

 

「お、おう。それもそうか。……いや、でも。え? 女? ええ?」

 

じとっとした目線を向けられて、カズマは一瞬納得したように頷いたが、すぐにまた首を傾げた。

端から見れば奇行極まりない。めぐみんが、

 

「どうしたんですかカズマ。とうとう頭がおかしくなってしまったんですか?」

 

「お前にだけは言われたくねーよ頭のおかしい爆裂娘。そうじゃなくて、俺、沖田総司って名前の人知っててさ……」

 

頭のおかしい爆裂娘呼ばわりされためぐみんが暴れだす中、ダクネスが眉を持ち上げて。

 

「ほう? ということは、ソウジはカズマの知り合いだったのか?」

 

「いや、知り合いというか、俺の国の有名人だよ。多分知らない人はいないんじゃないかってくらいの」

 

「なるほど、有名人か。ちなみにどんなことをして有名になったんだ?」

 

「何だっけな。京都の往来をうろつき回って気に入らない奴を斬り殺して有名になったんだっけ?」

 

「ただの犯罪者じゃないか!」

 

めぐみんとダクネスがソウジから一歩距離を取った。ソウジが汗を垂らして突っ込む。

 

「待ってください、新撰組をそんな質の悪いチンピラの集まりみたいに言わないで下さい」

 

「そうよカズマ。新撰組ってのは誠の名の下にクーデターを企画していた一派を一匹残らず斬り潰そうとした万年金欠の人斬りサークルのことよ。そんなチンピラの集まりみたいに言うのは失礼ってものだわ」

 

「そうですよ、アクアさんの言う通り……いや待って下さい、アクアさんも結構失礼なこと言ってませんか!?」

 

アクアの言葉に便乗しようとして、勢いよくアクアの方へ振り向いたソウジ。

そんな彼女を気にも留めないで、カズマは首を捻った。

 

「でも、おっかしいんだよな。俺の知っている沖田総司ってのは男なんだよ。こんな可愛い女の子じゃなかった筈なんだけど」

 

「へえ、オキタソウジは男だったんですか。……え?」

 

「「男!?」」

 

めぐみんとダクネスがソウジからバッと距離を取った。心外とでもいう風にソウジが叫ぶ。

 

「ちょっ!? 何で距離を取るんですか!? 私は正真正銘の女ですよ!」

 

「ほーん。じゃああんたは偽者ってことか?」

 

「ほーんーもーのーでーすー! ほら、羽織に『誠』ってでっかく描かれてるじゃないですか! 見えないんですか!?」

 

羽織を脱ぎ、背面に大きく描かれた『誠』の文字をうりうりと見せつけるソウジ。ちょっと涙目になっている。

しかし尚も疑いの目を向けるカズマ。人を見るときはまず疑ってかかる、猜疑心が人の形をしたような男は伊達ではない。人としてそれでいいのだろうか。

見かねたアクアがフォローを入れる。

 

「カズマさんカズマさん、信じられないかも知れないけれど、日本の歴史上の偉人って意外と女性が多いのよ?

男尊女卑が根深いから、後世に記録を残すときに男って書いてただけだからね?」

 

「え、マジかよ。ってことは本当にこの人は沖田総司なのか?」

 

「最初からそう言ってるじゃないですか! ぶった斬りますよ!?」

 

怒り狂うソウジ。あれだけ信じていなかった癖に、アクアの説明にあっさりと納得したのが気に入らなかったのだろう。

だが冗談でもぶった斬るというのは良くない。慌ててダクネスに取り押さえられるソウジ。

 

「ちょっ、何するんですか! 放してください!」

 

「落ち着けソウジ! まずは頭を冷やせ!」

 

「カズマ、いくらなんでも年頃の女の子を男呼ばわりは酷いと思うのです」

 

「しかも偽者扱いだからね。総司が温厚な英霊で良かったわね、怒りやすい英霊だったら今頃カズマさんはミンチだったわよ?」

 

「ミ、ミンチ!? ……っていうか、温厚? ……あれが?」

 

「せめて先っぽ! 先っぽだけでも斬らせて下さい!」

 

「だから落ち着け! どうしても斬りたいって言うんだったら私を斬れ! 手加減はしなくていいぞ!」

 

「貴女が何言ってるんですかー!」

 

ソウジが落ち着くまで三十分かかった。




どうでもいいんですけど、誰かスワティナーゼ×カズマとかいう誰得cpのss書かないかなぁ……。
誰も得しないcpだからこそ書く意味があるんだけどなあ……。
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