彼(彼女)は、山を登る。
山頂は、靄がかかったかのように見えることのない物だった。
あるいは、黒一色しかなかったのかもしれない。
彼(彼女)は、迷わず前へ、右へ、左へ移動しながら確実に前進する。
どれ程時間がたっても、山頂には全く届く気配がない。
しかし、彼(彼女)の後ろは、とても鮮やかだった。
まるで、モノクロの写真を見ているような彼(彼女)の目にその鮮やかな今までの現実は写らない。
映えない。
それでも、彼(彼女)は、進むことをやめない。
彼(彼女)の後ろの景色は、いつの間にか、とても多くの色が増えていた。
そして、色はまだまだ増え続ける。
彼(彼女)の全身が止まらない間は。
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「ユウヒ?何でここにいる?」
リョウタは、あり得ないものを見たといった顔だ。
そして、リョウタの存在に気づいたユウヒも驚いている。
「な、なんで、あ、あなたが、ここに?」
二人とも同じ質問をして、動揺しきっていた。
動揺するユウヒに、気づいたのか、チアキがユウヒに訪ねる。
「姉さん。あの人がどうかしたのですか?」
チアキの質問は、単純に二人の関係を聞いていたのだが、ユウヒは動揺したためか、まともに返答ができずにいた。
ナオも、ユウヒの驚きに驚いている。
リュウジは、ユウヒの名字タチバナを聞いたときに、なんとなくそうではないかな。と感づいていたので、さほど動揺はしなかったものの、まさかあり得ないだろうとも思っていた。
そうして、その場の全員(チアキを除く)が動揺や驚きに固まっていると、トイレに行っていたマサキとナミが帰ってくる。
「ち、ちょっとこれどういう状況?!」
マサキは、リュウジやリョウタが驚いているよりも、何故か自分達のBBQ台に女の子3人が追加されているのとと、リョウタの意識を向けている相手が自分じゃないことに妬んでいた。
「あなたたち誰よ?!何でここにいるの?」
嫉妬によって怒気をはらませた問いかけに答えたのは、チアキだった。
「いえ、先程友達のナオが、リュウジさんに助けていたいただいたのでそのお礼に伺ったのです。それと、ここで会ったのも何かの縁ですし、一緒に昼食でもと思いまして。」
的確な説明だが、この説明にリュウジの背筋が凍った。
「お兄さん?ちょーっと。宜しいですか?」
いつの間にか後ろに移動していたナミが、リュウジの首根っこをつかむ。
抵抗と言うか、こういうことにウェルカムなリュウジは、ナミのお誘いに乗って何処かへ連れ去られるのであった。
なお、リュウジとナミの一悶着あった間に、ユウヒたちは、リョウタと打ち解けていたのは、また別の、と言うか明日でのお話。
遅くなってすみません。