その日、少年は養父たる男に誓った。
「じゃあ、俺が正義の味方になってやるよ!」
それは幼い彼のほんの気まぐれから出たであろう言葉。しかし、その言葉にこれからその少年、衛宮士郎は何度も向き合っていくことになる。
それからしばらくたち、養父が亡くなった。士郎は一人残された屋敷にて茫然としていた。
「これからどうしよう…」
自分の面倒は、養父の知り合いである藤村家の人々が見てくれることになった。しかし、拾われてからずっと世話になった養父を失った士郎にとって、これからのことは不安だらけであった。
「……ん?」
そんな不安を抱いていた士郎の耳に、何やら金属音のような音が聞こえてきた。その音はどうやら家の裏手から聞こえてきている。
「何の音だろ…?」
気になった士郎はその音の方へと走っていき、塀の隙間から外を覗き見る。
そこにいたのは
「狼の…剣士…?」
見たこともないおぞましい化け物と闘う、狼の頭を持つ緑の鎧を着た剣士であった。
『おい、大丈夫か?総司!』
「大丈夫だ!年寄り扱いするなザイル!…と言いたいが」
腕の魔導輪、『ザイル』と話しながら眼前の怪物、ホラーと刃を交えるのは新緑騎士ゼンこと国見総司、ここ冬木市管轄の魔戒騎士であり、ここら一体では最年長のベテラン騎士であった。今回の指令を最後に、現役を引退して指導者に回ることになっていたのだが、まさか最後にこのような強いホラーと闘うことになるとは思ってもいなかった。
「ラクシャサ…だったか、ここまで強いとはな」
『人間に対する恨みから生まれたホラーだ。強い怨念を持った造形物をゲートとして出てくる。しかしここまで強いとは、よほど人間が憎いと見える。いったいこいつのゲートに何したらこうなるんだ?』
話し合う二人をよそに、ラクシャサは雄たけびを上げると双剣を振り上げゆっくりと近づいてくる。
『どうする?総司?』
「…一瞬だ。一瞬でも隙ができれば倒せる。しかし相手にその隙がない。どうしたものか…」
考えあぐねいている総司に、ラクシャサは勝利を確信したかのようにゆっくり近づいてくる。
その時
「たあぁぁぁぁ!」
『!?』
突然の子供の声に三者ともその声の方向、ラクシャサの後ろを見ると、ラクシャサのすぐ後ろに竹刀を振りかざした少年、士郎の姿があった。
士郎は油断していて動きを止めたラクシャサの懐に潜り込むと、上段から竹刀を振り下ろす。が、
ガァン!
「うわっ!?」
ラクシャサの堅い鎧の前には歯が立たず、跳ね返されて尻餅をつく。ひっくり返った士郎に対し、不意打ちながら一太刀を入れられたラクシャサは怒りを覚えて切り捨てようとする。
その隙を総司は見逃さなかった。
『総司!今だ!』
「応っ!」
すぐさま我に返った総司は魔戒剣に魔導火を宿し、こちらへの注意をそらしたラクシャサに向かって突撃する。
「はぁぁぁぁぁ!」
殺気に気づいたラクシャサが振り返るがもう遅い。魔導火の炎で燃え上がった魔戒剣は先ほど士郎の竹刀を弾いたラクシャサの鎧を易々と切り裂き、血の一滴も残さずにその肉体を焼き尽くした。
『ふうっ、奴が人間なら何でも相手にする奴で助かったな』
「ああ、だが…」
ホラーを切り捨てた総司は鎧を解除すると先ほどの乱入者、未だ尻餅をついてぽかんとしている士郎の元へ駆け寄る。
「…坊主」
「は、はぃっ!?」
呼びかけに士郎がロクに返事を返す間もなく、
バチィィィン!!
その頬を思い切りひっぱたいた。
「……え?」
「馬鹿野郎が!こんなところにノコノコ出てきやがって!今回は運が良かったからいいものを、普通なら殺されてもおかしくなかったんだぞ!俺はお前みたいな餓鬼をいちいち守っていられるほどお人よしじゃねえんだよ!」
痛みと混乱で思考の追いつかない士郎に、総司は怒鳴り声でまくしたてる。
『まあまあ総司、そこまでにしとけよ。こんな小さい子の、しかも恩人にそんなに怒ってちゃ可哀そうだぜ』
「チッ、…まあ助かったのは事実だ。礼は言っておくぞ坊主。家はどこだ?送ってってやる」
ザイルにたしなめられ、不満げに礼を言った総司の質問に、士郎は未だ状況を把握しきれないながらも背後の自宅を指さして言う。
「すぐそこだよ。……でも僕以外誰もいないよ」
「何?親御さんはどうした?」
「分からない。気が付いた時には父さんに拾われてたけど、その父さんも死んじゃった」
寂しそうにそういう士郎を見て、総司は何か考え込むような仕草をして、しばらくして語りかける。
「なぁ坊主。もし他に行くところがないってんなら…」
『おい総司まさか…』
「お前、俺の弟子にならないか?」
こうして少年、衛宮士郎は自宅を藤村家に任せ魔戒騎士ゼンこと国見総司の弟子となった。
しかし魔戒騎士の在り方は彼の理想とはかけ離れたものであった。
「全部助ける?なにふざけたこと言ってやがる。てめえ一人の命守れないような奴が何もかも救える分けねえだろ」
「俺たちがやらなきゃならんのはまず自分が生き残ることだ。他人の為に死んで、それから自分が救えるはずだった連中が死んだら、てめえ責任とれんのかよ」
「なんもかんも捨てねえってんなら勝手に思ってればいいさ。それができねえってことはてめえ自信で知るこったな」
魔戒騎士としての在り方と正義の味方としての在り方の狭間で悩みながら、士郎は自分にとっての正義というものを模索していく。
そしてそんなある時
「シュバルツバース…ですか」
「ああ、お前も知っているだろう。南極に現れた不可思議な空間のことを。番犬所からお前にそこの調査に向かうよう要請があった」
魔戒騎士として、一人の人間として足を踏み入れたシュバルツバース。そこで出会う『悪魔』と呼ばれるホラーとはまた違った異形の存在。
「あははっ!人間だー!あたし妖精ピクシー、悪魔だよー!」
「あ…くま?ホラーではないのか?」
闘いのなかで考えさせられる人間としての在り方。
「人間は弱いからねえ。だから我ら悪魔が守ってやろうといってるんだよ」
「あなた方が我らが主を信じる限り、我らはあなた方に味方しますよ」
そして選択する人類の未来。
「人類が生き残るためには、神の言葉に耳を傾けて生きていくしかないのよ!」
「このままじゃ人間は駄目になる。だからもっかいやり直すのさ。世界をあるべき形にな!」
士郎が選んだ未来とその果てに見出した己の答えとは。
「俺の正義は、俺がやるべきことは―」
そして訪れる運命の夜。
「その赤い魔槍…ゲイボルグ?ってことはお前クー・フーリンか?なんかシュバルツバースの時とキャラ違うな…」
「!俺の真名を…!?テメエ何もんだ!!」
正史とは異なる生き方を選んだ彼の選んだ結末はいかに―
「俺は衛宮士郎。またの名を―錬鉄騎士真狼(シロウ)!魔戒騎士だ!!」
Fate/stay night if
Fate/blade journey 近日公開…?
参考までに士郎魔戒騎士状態のスペック
名前:錬鉄騎士 真狼
鎧:赤銅色(10円玉みたいな色)。狼をモチーフにこそしているが他の鎧に比べ籠手や草摺など和風なあしらいがされておりいささか野性味が少ない鎧となっている。未熟さゆえに元々はくすんだ色をしていたが、シュバルツバースの一件以後、輝きを持つようになった。
魔戒剣:決まった形状無し(ソウルメタルが士郎の固有結界内に存在するため投影した武器すべてをソウルメタル製の武器とすることができる。ぶっちゃけチート)
魔戒馬:???
パラメーター ()内は鎧展開時
・筋力C(A) ・耐久B(A+) ・敏捷C(B) ・魔力E→B(B) ・幸運D(D) ・宝具???
元々の魔戒騎士としての壊れスペックに加えシュバルツバースでの経験によりさらに底上げされた。今はデモニカがなくとも想定レベル相応の実力を発揮できる。魔力がなぜ上がったのかは不明
はいこんなもんでどうでしょう
ぶっちゃけこれが一番書きやすいけどシュバルツバース編が大半占めそうだ…