え?待ってない?さいでっか…
空条承太郎。
名の知れたスタンド使いならば誰もが知っているであろう存在であり、最強のスタンド使いと称される男。
その命は、かつての宿敵DIOの親友を名乗る男エンリコ・プッチの操るスタンド『メイド・イン・ヘブン』によって失われたはずであった。
しかし、運命の重力は再び彼を数奇な世界へと引きずり込んだのである。
とある一人の天災によって歪められた女尊男卑の世界へと―
(ここは…どこだ…?)
空条承太郎は倦怠感と息苦しさを伴って覚醒する。
(白い壁、治療台……病院か?何故こんなところに…?)
自分の記憶が確かなら、自分はあの時確かに死んだはずだ。これまでの経験やあの痛みからして、あの状態から助かるはずがない。それは承太郎自身が一番分かっていることなので、一命を取り留めたとは到底考えられなかった。
(一体どうなって…)
「生まれましたよ!元気…な男の子です!」
(なに!?)
状況を把握しようとしていた承太郎の耳に突如聞こえた女の声。その声の主は、今自分の眼前にいた手術服姿の女性であった。ふと周りに目を凝らせば、そこには彼女の他にも手術服姿の医者やナースらしき人物がいる。そしてちらりと見えた、記憶にある自分の容姿からしてみればあまりにも小さすぎる自分の手足。
(まさか…)
「あら…、なんだかあまり泣かないワネェ…。元気…なのかしら」
「大丈夫ですよ奥様!こういう子だって結構いますから。あんがいこういう子のほうが丈夫に育ちますよ!」
おおやそあり得ないであろう結論に至った承太郎の耳に入る聞き覚えのある声。未だ据わらない首をもたげて見れば、そこにいたのは若かりし頃の自らの母、ホリィ・ジョースター改め空条聖子。その姿を見て承太郎は自身の置かれている状況を把握する。
(…やれやれだぜ。まさかの人生リセットとはな…)
空条承太郎、再誕。
再び、彼の奇妙な冒険の幕が上がった。
それから16年の歳月が流れ、承太郎は高校受験を今日に控えていた。
「ほら承太郎!はやく食べないと試験に遅れるわよ!」
「…ああ、分かってるよお袋」
母ホリィに急かされ、今や以前と同じ容姿に成長した承太郎は朝食を食べ始める。
(しかし…この世界、どうも前の世界と様子が違う。ジジイはスタンドや波紋のことなんざとんと知らねえモウロクジジイだし、調べてみたが杜王町やグリーンドルフィン刑務所も存在しねえ)
この16年間、承太郎は前の人生であったことを隠しながらこの世界のことを調べていた。しかし、この世界は前の世界と似通ってはいるものの承太郎が触れてきた存在、吸血鬼やスタンド使いといった存在に関する情報ははまったくと言っていいほど出てこなかった。
(それに…)
考えながら食事する承太郎の耳に、テレビのアナウンサーの声が入る。
「本日より、全国の私立高校の一斉入試がスタートします。それに合わせ、IS学園の入試も本日より…」
「あら、IS学園も今日からなのね」
テレビの情報に反応した母を見ながら、承太郎は前の世界と決定的に違うその存在のことを思う。
(IS…正式名称インフィニット・ストラトス。宇宙開拓というコンセプトで発表され、従来の兵器を遥かに凌駕する性能を持ちながら、女しか動かせないという欠点をもったパワードスーツ。今の女尊男卑の世界の原因ともなった存在。……前の世界にはあんなものは存在しねえ)
かつて小学生の頃に体験した『白騎士事件』。各国より放たれたミサイルをことごとく駆逐し、そのあとにやってきた各国の主力部隊を壊滅させた白騎士の姿を、承太郎ははっきりと目撃していた。それを見て承太郎は認識する。ここは前の世界とは似ているようで全く違う世界、所轄平行世界なのだと。
(とはいえラッキーだったのは俺のスタンドは無事だったってことだ。…若返ったせいか時を止める能力はまだ使えねえみたいだがな)
承太郎がこの世界に慣れ始めてから、すぐに行ったのは自身のスタンド『星の白金(スタープラチナ)』の存在の確認であった。しかし承太郎はいないとは考えなかった。なぜならスタンドとは持ち主の精神そのもの。もし失われているのであれば自身にもなんらかの影響が出るはずであったからだ。案の定スタンドは確認できたが、生まれ変わった影響からか、DIOとの闘いで会得した時を止める能力を発動することはできなかった。
(まあDIOの奴も居ない以上、時を止める必要はないがな…)
「あっ、もうこんな時間!承太郎!はやく支度しなさい、ホントに遅刻するわよ!」
ふと見れば時計の針は既に八時を指している。入試会場である藍越学園までの移動時間を考えれば、もう考えている余裕はなさそうだ。いそいそと支度を済ませた承太郎は、いつもの学ランに学帽を着ると玄関へと向かう。
「じゃあお袋、いってくるぜ」
「ええ、いってらっしゃい。………あっ、ちょっと待って承太郎!」
玄関に手をかけようとした承太郎を、ホリィが呼び止める。
「もし一夏君に会ったら、一緒に行ってあげてくれない?あの子も藍越学園だったわよね」
「一夏に…?なんでわざわざんなことしてやらなきゃいけねーんだ」
一夏とは、本名を織斑一夏といい世界最強のIS乗り『ブリュンヒルデ』こと織斑千冬を姉に持つ少年で、承太郎とは中学校三年間クラスメイトだったこともあってかそこそこの友達付き合いをしていた。
「ほらあの子、なにかとそそっかしいでしょ?だから会場間違っちゃったりしたら大変じゃない。だから承太郎が連れてってあげてよ、ね?」
「知るかんなこと!………もし会ったらそうしておいてやる。じゃあ行ってくるぜ」
息子の友人に対し若干ひどいホリィと、なんだかんだで、前世含めてホリィには逆らえない承太郎なのであった。
それから数十分後、一夏に会うことなく藍越学園前に到着した承太郎は、会場へ走る他の受験生を尻目にゆっくり歩いて向かっていた。そんな承太郎の前を走る学生の一人に、承太郎は見覚えがあった。
「ん…?あいつ一夏か。アイツ先に来て……あぁ?あいつどこへ行くんだ?」
眼前で明らかに急いでいる一夏は、会場前の案内板をロクに確認もせずに試験会場とは全く違う建物へと走っていった。
「…チッ、お袋の言った通りじゃねえかあの馬鹿」
放っておいても良かったが、母の言葉を無下にするわけにもいかず承太郎は一夏の跡を追って走って行った。
「これは…IS?]
織斑一夏は眼前に安置されている物体を見ながら呟く。試験会場へと急いでいた彼はロクに道順を確認もせず自分の勘を頼りに走っていき、その結果この部屋へとたどり着いた。眼前のIS,『打鉄』を前に、一夏は入試のことをすっかり忘れ、思わずそれに触れようとした
その時
「おい一夏!!」
後ろから聞こえた声に驚いて振り向くと、そこには学友である空条承太郎が立っていた。
「じょ、承太郎!?お前なんでここに?」
「それはこっちの台詞だこのヌケサク。てめえが場所間違えてやがったから追いかけてきてやったんだよ。オラ、とっとと会場行くぞ」
そう言うと承太郎はすぐさま踵を返して部屋を出ようとする。
「ま、待てよ!……!っとと」
さっさと行ってしまおうとする承太郎を追いかけようとする一夏は焦るあまりバランスを崩してISにもたれ掛った。その時
…ィィィィン ピカッ!
「うわっ!」
「!?」
何かの起動音がしたかと思うと、突如ISから閃光が走り、二人の眼が眩んだ。
「…チッ、一体何が…!!」
視界が回復した承太郎が一夏の無事を確認しようとする。そこには
「じょ、承太郎…」
女にしか扱えないはずのISを装着した一夏の姿があった。
「いち…」
「一体何の騒ぎよ、この部屋から……!!」
承太郎が何か言うよりも早く、たまたま見回りに来ていた女性職員が部屋に入ってきて、眼前の光景に目を見開く。
「う、嘘…なんで男がISを……た、大変だわ!!」
そういうと女性職員は大急ぎで部屋から出て行った。それを見送ると、承太郎は溜息をついて未だにポカーンとしている一夏に歩み寄る。
「おい一夏、お前がISに乗れるなんざ初耳だが、知ってたのか?」
「し、知らねえよ!俺だってわけわかんねえんだから!」
「……まあいい。それより、その内あの女が他の先公連れてくるだろう。事情説明できるようにそいつ外しとけよ」
「あ、ああ。……けどどうやって脱ぐんだこれ?」
解除しようにもISのことをロクに知らない一夏は四苦八苦しながらあちこちいじる。
「チッ、面倒臭えな」
もたつく一夏に痺れを切らした承太郎が無理やり引っぺがそうとISの装甲を掴んだ。
その時
ドクンッ!
(!?この感触は…!)
ISより伝わってくる感触に、承太郎は既視感を感じた。それはかつて自分が、いや多くのスタンド使いが感じたことがあるであろう感触、あの壮絶な戦いの日々の始まりとなったであろう感触。
(初めてスタンドを認識した……あの時と同じ…)
そんな承太郎をよそに、再びISより閃光が走る。そして視界が戻った時、目の前でこちらを唖然とした表情で見る一夏はISを着けておらず。
「じょ、承太郎…お前も…」
嫌な予感を感じて手を見ればそこには装甲をまとった自分の手。
「…やれやれだぜ」
そう、一夏が装着していたISは、今は承太郎に装着されていた。
「こ、こっちです!早く……!!?」
「本当ですか?そんな訳が有る訳………は?」
そんな時に戻ってきた先ほどの女性職員と連れられてきた他の職員。
「き、君がいっていたのはあの彼のことかい?」
「い、いえ違います!私が見たのは隣の奴で、あいつまで…そんな…」
「ということは…」
「ふ、二人だ!男のIS操縦者が二人現れたぞー!!!」
「……本当にやれやれだぜ」
世界初の男性操縦者としてIS学園にやってきた一夏と承太郎。そこはまさに女の園であった。
「空条承太郎。好きなものは大相撲。学ランと帽子は気にしないで欲しい。よろしく頼む」
「キャー!!イケメン!!」
「背も高い!!」
「ファッションはちょっと古臭いけどそこがいい!!」
『神様ありがとう!!』
「やかましい!!うっとおしいぜ、お前ら!!」
承太郎の在籍する4組。そこで出会う一人の少女。
「わ、私は更識簪っていいます。よろしく…」
「空条だ。よろしく頼む」
めまぐるしく移りゆく学園生活のなかで生じる闘いの数々。
「いらっしゃい空条君、お姉さんが可愛がってあげるわ♡」
「上等だ…。女を殴る趣味はねえが覚悟しろよ!」
そして浮き上がる『矢』との因縁。
「うーん、なんでお前なんかがISを使えるのかな?やっぱりあの変な『矢』を使ったのが駄目だったのかな?」
(『矢』だと…。まさか、それが原因なのか?もしそうだとしたら…)
歪みきった世界に、承太郎の拳と雄たけびが轟く!!
「ぶちかますぜっ!!星の白金(スタープラチナ)!!!」
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!』
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こんなもんでどうでしょう?
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