提督夫婦と愉快な鎮守府の日常《完結》   作:室賀小史郎

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下ネタ含みます。


土曜の夜は特別な時間

 

 9月のとある土曜日。この日の夜を迎えた艦娘たちは無事に本日の訓練や任務を終え、明日に備えてそれぞれ英気を養っている。

 そんな中、執務室へ向う一団がいた。

 

「やっぱ土曜の夜は最高に胸が踊るな〜♪」

「もう土曜の夜が来ないと終われないわよね〜♪」

 

 ルンルン気分でそう話すのは飛鷹型軽空母二番艦『隼鷹』と千歳型軽空母一番艦『千歳』。

 隼鷹は艦隊一のお酒好き。休肝日なんて愚の骨頂と言っており、晩酌だけは365日欠かさずしている。しかし宴会以外では酔うほど飲まないので、酒癖は決して悪くない。

 千歳も艦隊きってのお酒好き。自分を軽空母にまで育ててくれた提督が大好きなLOVE勢で、提督にお酌してもらうのが最高の瞬間。しかし一方で阿賀野から惚気話を聞きながら飲むのも好きなので、見守り勢である。

 

「飲むのはいいけど提督に迷惑掛けないでよね〜」

「そうそう。あとで私たちが謝りに行く羽目になるんだから……」

 

 そんな二人に注意を促すのは二人のそれぞれの保護者役である飛鷹型軽空母一番艦『飛鷹』と千歳型軽空母二番艦『千代田』。

 飛鷹は軽空母として初めて鎮守府に着任した古参の軽空母。提督の遊び心には未だに頭を抱えることはあるが、概ね笑って許せるほどの信頼関係を築いている。上官と部下というよりは、姉と弟の方がしっくりくる。

 千代田はいつも姉の千歳を追い掛けるお姉ちゃん子な艦娘。その一方でいつも千歳と一緒に編成を組んでくれたり、自分個人のこともちゃんと見てくれる提督を兄のように慕う妹気質あふれる子だ。

 

「今日は飲んじゃいますよ〜♪」

「だからって酔っても脱がないでね」

 

 そして団体の最後尾を歩くのが、イタリア重巡洋艦姉妹のザラ級一番艦『ザラ』と三番艦『ポーラ』。

 ザラは何事にも一生懸命で頑張り屋な艦娘。その名前からあるロボットアニメが好きな提督や艦娘たちからは妙にいじられるが、そのお陰で艦隊にも馴染めたところもあるため笑って流している。

 ポーラはザラの妹……そしてザラの平穏をぶち壊す存在。着任早々、着任パーティ中に酔った勢いで全裸になり、提督を押し倒してしまうという伝説を残した。そんなことをしても笑って許してくれた提督にとても懐いている。

 

 どうしてみんなして執務室へ向かっているのかというと、執務室は土曜日の夜だけ『ダバダバー』というバーを開店させるからだ。

 鎮守府は大規模作戦中以外の日曜日は多くの者が休暇を取る。なのでその前の晩にお酒好きの艦娘やアダルトでムーディーな一晩を過ごしたい艦娘のために提督自らバーテンダーとしてもてなすサービスなのだ。

 

 ー執務室『ダバダバー』ー

 

「お邪魔しま〜す♪」

「こんばんは〜♪」

 

 いつもはちゃんとノックして入ることが義務付けられている執務室だが、『ダバダバー』の掛看板がある時はそのまま入っていい。

 隼鷹たちが満面の笑みで入店すると、もう既に何人かの艦娘がグラスを傾けている。

 

「いらっしゃい……え〜っと、六人だからこっちのソファーテーブルに座って」

 

 ホールスタッフとしてお手伝いしている矢矧に促され、隼鷹たちは揃ってソファーテーブル席へ座る。

 因みに提督は黒と白のバーテンダーユニフォームで矢矧や阿賀野たちお手伝いスタッフは茶色と白のバーテンダーユニホーム(ミディアムスカート)を身にまとい、執務室の照明も少し落として本格的なバーにしている。月明かりが強い時は月明かりとロウソクの灯りだけでやる時もある。

 

「提督〜、あたしら三人はいつもので〜」

 

 隼鷹が真っ先に注文すると提督は「あいよ〜」と返して準備に入った。

 

「私はロゼワイン頂戴」

「あ、ザラも飛鷹さんと同じ物で♪」

「なら私もザラ姉様たちと同じ物〜♪ それとカプレーゼくださいな〜♪」

 

 飛鷹たちの注文にも提督は「ほいほい」と返し、手際よく準備していく。

 

「阿賀野、すまないがハイボールのお代わりを人数分頼む」

「は〜い、少し待っててね〜♪」

 

 一方でカウンター席から阿賀野へ注文するのは妙高型重巡洋艦二番艦『那智』。今回は隼鷹たちとではなく妹分の神風型姉妹と飲んでいるのだ。

 那智は普段から凛々しく男前な艦娘。しかし身だしなみはいつも細心の注意を払っているため女子力も高い。提督のことは敬愛していて、このバーの常連客。

 

「司令官、チョコパフェお代わり〜♪」

「ほいよ〜」

 

 そんな中、チョコパフェのお代わりを頼むのは神風型駆逐艦二番艦『朝風』。

 朝が大好きな元気ハツラツっ子。一方で夜は苦手だがみんなと過ごす夜は好きな子。提督の料理が好きでこのバーには着任してからほぼ毎回来ている。

 

 ーソファーテーブル席ー

 

「お待たせしました。隼鷹さんたちの大吟醸の冷と各種の山菜のおひたしです」

「季節のお刺身はカンパチだよ〜♪」

 

 能代と酒匂が隼鷹たちの注文品をテーブルへ並べると、隼鷹たちは揃って『(。✧Д✧)(こんな)』表情を浮かべた。

 

「お待たせ。ロゼワインとカプレーゼね」

 

 最後に矢矧が飛鷹たちが頼んだ物を持ってくると、飛鷹たちもパァっと笑顔の花を咲かせる。

 

「んじゃ、乾杯♪」

『かんぱ〜い♪』

 

 隼鷹の乾杯でソファーテーブルの酒盛りが始まると、みんなお酒は勿論だが提督の料理や刺身にも舌鼓を打つ。

 

 ーカウンター席ー

 

「はい、みんなのハイボール♪」

「それとチョコパフェな」

 

 その一方で那智や神風たちにハイボール、そして朝風へチョコパフェを渡す提督と阿賀野。みんなしてハイボールで再度乾杯する中、朝風だけはチョコパフェで乾杯している。

 

「あむあむ……ん〜、おいひぃ〜♪」

「朝風は本当にチョコパフェが好きね〜」

「見てるこっちが幸せになる食べっぷりだよな」

 

 神風と松風がそう言うと春風も同意するようにクスクスと朝風を眺めていた。

 

「ごくん……だって司令官のチョコパフェってこのバーでしか食べられない限定品よ? みんなだって司令官のお料理好きでしょ?」

「確かに好きだけど……チョコパフェばっかりは食べられないな〜」

 

 神風が苦笑いを浮かべて返すと春風や松風もうんうんと頷く。

 そんな姉妹たちに朝風は「美味しいのに〜」と返しながら、またパフェを幸せいっぱいの笑顔で頬張り、それを那智や阿賀野、提督は微笑んで見つめるのだった。

 

 ーソファーテーブル席ー

 

「かぁ〜っ……美味え〜!」

「お酒もお刺身も最高♪」

「日本酒におひたしがよく合う〜♪」

 

「そりゃ良かった」

 

 日本酒組の隼鷹たちが盛り上がっていると、提督がカウンターから出てきて声をかける。提督は基本的にカウンターにいることが多いが、注文がないとみんなの席を回ってコミュニケーションを取るのだ。

 

「提督やっときた〜♡ お酌してよ〜、お酌〜♡」

 

 千歳はそう言って提督を少々強引に自分と千代田の間に座らせる。

 

「千歳、もう酔ってんのか〜? ほれ……」

「おっとっと……ふふ、提督にはいつも酔ってるわよ?♡」

 

 千歳の返しに提督は苦笑いを返すと千代田には「私はいつでも本当の妹になってもいいよ♪」と笑いながら脇腹をツンツンされ、隼鷹の方は「一夫多妻制待ったなしだな〜♪」と煽った。

 

「ほらほら、千歳〜。千代田と隼鷹も提督を困らせないの。それと阿賀野がカウンターから睨んでるわよ」

 

 飛鷹がちゃんと助け舟を出すと三人して「は〜い♪」と提督をからかうのを止め、提督はホッと胸を撫で下ろす。

 

「提督は相変わらず沢山の人からアプローチされてますね〜♪」

「それだけ魅力的な人ってことよね、提督は」

「慕われるのは素直に嬉しいが、正直なとこ悪い冗談は勘弁願いてぇとこだな……」

 

 ザラとポーラの言葉に提督がそう返すと、

 

「ガチ勢も多いのにそのアプローチを冗談で済ませるお前にも要因があるんじゃないか?」

 

 カウンター席から那智が少々厳しい言葉を返した。それだけ二人の距離は近いという証拠でもある。

 

「でも俺、好意を寄せてくれたみんなにはちゃんと阿賀野と結婚するからって断ったんだぜ?」

「みんな内心は貴方が阿賀野と離婚してまで自分と結婚してくれるなんて思ってないわよ」

 

 提督に飛鷹が諭すように優しく言葉をかけると、千歳も「そうそう」と言って口を開く。

 

「私もそうだけど、アプローチすればその時だけは提督が自分のことを考えてくれるでしょう? みんなそれが狙いでしてるのよ……んでガチ勢は『もしおこぼれにあやかれればラッキー♪』って感じ」

「ラッキーって言われてもなぁ……」

「まぁこれからも色々されるでしょうけど、頑張りなさい。少なくとも私は貴方たちを応援してるわよ?」

 

 飛鷹が微笑んで温かいエールを送ると、ザラやポーラ、那智たちも提督夫婦を応援した。

 提督と阿賀野はそのエールに感謝するのだった。

 

 ーーーーーー

 

「でさ〜、阿賀野ちゃ〜ん? 最近旦那とはどうなの〜?」

 

 ここからが本番とばかりに千歳がニヤニヤと怪しく笑いながら訊ねる。

 

「おい、ここにその旦那がいるってぇのにーー」

 

 なんてことを訊くんだ……と文句を言おうとした矢先、

 

「お昼休みの時に〜、慎太郎さんの()()()()してもらっちゃったぁ〜♡」

 

 阿賀野は照れながらもすんなり夫婦の営み事情を喋ってしまう。そんな嫁に提督は「うぉぉぉいっ!」と猛烈にツッコミを入れた。

 

「へぇ〜……二人して仮眠室行ったと思ったらそんなことをしてたのね……」

 

 そして提督の背後には般若のような矢矧が佇んだ。これには提督も冷や汗が滝のように流れ、若干だが肩を震わせている。

 

「い、いや……だって、そういう雰囲気になったから……!」

 

 提督は矢矧の目をしっかりと合わせつつ、ジリジリと飛鷹の背中へ避難。

 

「どうせ阿賀野に迫られたんでしょう? 据え膳食わぬは男の恥ってね……ましてお嫁さんに迫られたら旦那としては応えるしか選択肢ないじゃない」

 

 飛鷹が提督の頭をポフポフと撫でながら擁護すると、他の面々もうんうんと頷く。

 

「……確かに私だって休憩時間に何しててもいいとは思ってるけど……そんなことまでするのは……!」

 

 矢矧も頭では理解したが体ではワナワナと肩を震わせていて、ちゃんと節度は守ってほしいといった様子。

 

「しちゃったことに関しては色々意見が分かれるでしょうけど、阿賀野さんのせいにしないだけ男らしいと思うわ♪」

「まぁ、確かに」

 

 朝風の意見に同意する神風。この意見には春風、松風も同意見の様子だ。

 

「ほらほら、矢矧。落ち着いて落ち着いて」

「いつもみたいに落ち着くツボを押そ〜♪」

 

 能代に制され、酒匂に耳の神門と呼ばれるツボをふにふにされる矢矧。

 

「するなとは言わないけど、そういうのは仕事が終わったあとにしてね……お願いだから」

 

 矢矧の言葉に提督は同意するようにコクコクと高速で頷くが、阿賀野の方は「気をつけま〜す♪」とのほほんと返すのだった。

 

「そんじゃ、次の暴露話にいってみよ〜♪」

「最近の二人はどんなプレイをしてるの〜?♪」

 

 悪ノリしている隼鷹の声や千歳の質問に提督は「やめろぉぉぉ!」と叫んで二人の口を押さえるが、阿賀野はデレデレした顔で話す気満々。

 しかし能代と矢矧が阿賀野の口を押さえたので、夜の営み暴露は無事に阻止されるのであった。

 

 その後は幸いにも艦娘が続々と来店したので、暴露会はせずに済んだーー。




今回はお酒の席という風景を書きました!

読んで頂き本当にありがとうございました!
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