「Nice to meet you. Lucky jervis、来たわ! そう、もうゼッタイよ! 任せておいて!」
「
「あ、あたし……夕雲型、駆逐艦、十三番艦……。ちゃ、着任しました……。は、浜波……です」
「日振型海防艦、一番艦、日振! 提督、日振型、着任しました! 頑張りますっ!」
「日振型海防艦、その二番艦、大東さ! ちゃっくにーん! あんたが提督かー。へへ、いいね! あたいもよろしくなー!」
イントレピッドたちが着任してから数日後、昼下がりになると新たに五人の艦娘が着任し、執務室で提督へ自己紹介をしている。
此度着任したのは
イギリス駆逐艦『ジャーヴィス』
ロシア駆逐艦『タシュケント』
夕雲型駆逐艦十三番艦『浜波』
日振型海防艦一番艦『日振』
〃 二番艦『大東』
である。
ジャーヴィスは明るく活発なパツキン娘。多くの提督たちから既にミニ金剛や小さい金剛とまで呼ばれるほどなので、ここでもすぐに馴染めるだろう。
タシュケントは大人びた見た目であるがれっきとした駆逐艦。因みに
浜波はとても内気で言葉もしどろもどろ。でもその瞳は綺麗でとても澄んでいるため、慣れればコミュニケーションも難なく取れることだろう。
日振は小さいながら一生懸命さが伝わる子。これには提督も思わず可愛いなぁと頬を緩めた。
最後に大東は涼風や谷風、朝霜を彷彿とさせる元気っ子。きっとここでも持ち前の明るさでみんなを鼓舞してくれるだろう。
「俺がここの提督、興野慎太郎だ。これからよろしくな。詳しいことはあとで案内役の奴らから訊いたり、俺やこっちに並んでる阿賀野たちに訊いてくれ」
提督が軽い挨拶をすると、阿賀野型姉妹の面々は笑顔で五人へ手を振り、みんなはそれにお辞儀したり手を振り返したりして応えた。
そして、
「よ〜しっ、んじゃ新入りはみんなこっちに来い! 特別に駄賃をやろう!」
また提督の悪い癖が発動する。
矢矧はあちゃ〜と、阿賀野たちは『始まった始まった』と笑みをこぼした。
ひとりひとり提督から五百円玉を手渡すと、
「ワォ! 早速ボーナス!?
「嬉しい気配りだね。大切にするよ」とタシュケント
「ど、どうも……ありがとう、ございます……」と浜波
「あ、ありがとうございます! 大切に使わせて頂きます!」と日振
「やった! あんがとな提督!」と大東
みんなそれぞれ提督から五百円を受け取った。
そして、
「磯風と浜風にもな!」
五人の護衛任務に就いた二人にも提督は駄賃をあげる。
二人は昨日"乙改"への改造を施し、今日はその試運転的な名目もあって護衛任務に就いたのだ。
「ありがとう、司令。大切に使わせてもらおう」
「ありがとうございます、提督。私も大切に使わせて頂きますね」
磯風と浜風から返ってきた言葉に提督は父性あふれる笑みでウンウンと頷くと、我が子を可愛がる親のように二人の頭を優しくポンポンっと撫でる。
そんな二人が揃って『えへへ♪』と笑みをこぼしていると、
「
ジャーヴィスが自分にもとナデナデをせがんできた。
提督は「おぉ、いいぞ〜♪」とジャーヴィスの頭を撫でるが、一部の者たちはそれどころではない。
それは阿賀野と護衛任務に就いた加賀で、二人は控えめに言って鬼のような形相を浮かべているからだ。
すると加賀と同じく護衛任務に就いたアークが「少し落ち着け」とフォローに入った。
しかし、
「どうしてよ!? 旦那さんをポッと出にダーリン呼ばわりされてるのに!?」
「私もまだダーリンだなんて呼んだことがなのにですか!?」
この二人が落ち着く訳がない。相方の赤城も「まぁまぁ、二人共」となだめる中、アークが「まぁ、聞け」と前置きして阿賀野と加賀に説明を始めた。
「私の祖国イギリスでは、ダーリンという単語はよく使う単語なんだ。アメリカや日本のように恋人に対して使うダーリンとは意味が違うし、そもそもイギリスでもアメリカでも男性の恋人にはハニーと呼ぶのが主流だ」
だからジャーヴィスが言ったダーリンは二人が思っているものではない……とアークが言うと、阿賀野も加賀も毒気を抜かれてやっといつも通りに戻った。
「なぁんだ〜、良かった〜。また提督さんのことを好きな子が増えちゃったのかと思ったよ〜」
「ふふふ、しかし今私が説明した通りだ。ダーリンなんて言葉に大した意味は無いんだからな」
阿賀野の肩を軽く叩きながらアークが声をかけると、加賀が「だからあなたは平然としてたのね」とつぶやいた。
「まぁね……それに私ならアドミラルのことを呼ぶなら"シィ"だな♡ 彼の名前の一文字を愛情込めて呼ぶのが私流であり、愛称でパートナーを呼ぶのがイギリス式だ♡」
「わざわざご説明ありがとう。でも呼ばなくていいからね〜?」
「そうです。それに私は提督のことは旦那様とお呼びしたいです♡」
こうしてアーク、阿賀野、加賀が妙な張り合いをしている間も、提督は他人事のように聞き流しながらジャーヴィスだけでなくみんなのことを優しくナデナデしていた。
「なんだかここの鎮守府は面白そうだね♪」
「そうだね! これから楽しみだよ!」
ナデナデされてご機嫌のタシュケントとジャーヴィスが早速コロコロと笑って、楽しそうにつぶやいている横では、
「………………」
(どどど、どうしよう……司令にナデナデされちゃった……初めて男の人に触られちゃった……優しくて温かくて気持ち良かったなぁ……頑張ったらまたナデナデしてくれるかな? またあの笑顔をあたしに向けてくれるかな? これから頑張ってみようかな……えへへ♡)
浜波が顔を真っ赤にしながらも、恍惚な表情を浮かべて提督のことを前髪に隠れる2つの目で熱っぽく凝視している。
更にその横では、
「提督にナデナデされちゃいました! 嬉しいです!」
「なんか父ちゃんが出来たみたいだよな!」
日振型姉妹がとてもニッコニコの笑顔でご満悦だった。
こうして顔合わせが賑やかに終わると、ジャーヴィスとタシュケントは響、レーベ、浜波は夕雲、清霜、日振と大東は択捉、佐渡に連れられて執務室をあとにする。
「んじゃ、護衛に就いたみんなも精密検査と補給に向かってくれ」
みんなを見送ったあとで提督が加賀たちに指示を出すと、加賀たちは揃って『了解』と敬礼。
すると加賀が何かを思い出したかのようにハッと目を見開いた。
「? 加賀さん、どうかしたの?」
いち早く気がついた矢矧がそう訊ねると、
「日振さんたちを小脇に抱えて『提督と私の子です。責任取ってください♡』作戦を今思いついて後悔の念が押し寄せてきてます!」
加賀はその場でガックリと両膝を突いて嘆き、悔やむ。
ただ、他の面々に同情や慰みといった思いはない。あるのはただ『こいつも
いつだったか前にも加賀のようなことをした海外の戦艦がいた。しかしその目論見は叶うことなく潰え、涙を飲んだ。
「あの〜、加賀さん?」
苦笑いしながら提督が加賀を呼ぶと、加賀はキリッとしたいつも通りの顔で「何かしら?」と立ち上がる。
「その作戦はよぅ……本人の目の前で言ったらダメなんじゃね?」
「…………そうね。私としたことが迂闊でした。次回は違う作戦名にしてチャレンジします♡」
その曇りない真っ直ぐな眼差しと言葉に提督は何もツッコミを入れられず、ただ「お、おう」とだけ言葉を返した。
こうして加賀は提督へ再度お辞儀すると目を爛々に輝かせて執務室をあとにし、赤城、アークはそんな加賀の背中を苦笑いしながら追った。
そんな加賀たちを見送ると、
「司令……その、男冥利に尽きるとは流石だな」
「色々とあるでしょうけど、阿賀野さんと頑張ってください」
磯風と浜風は苦笑いを浮かべて提督へ気遣いの言葉をかけ、最後は護衛任務で旗艦を務めた霧島が「ファイトです、司令!」と爽やかな笑顔で敬礼していくのであった。
こうして提督と阿賀野型姉妹だけになると、
「……誰でもいいから、お茶くれ。冷たいやつ」
提督はぐったりと背もたれに寄っかかってお茶を飲みたいと願う。
すると能代が苦笑いを浮かべながら「今お持ちしますね」とお茶汲みへ向かった。
「本当、加賀さんはブレないわね……お疲れ様、提督」
「心遣いあんがと、やはぎん」
「でも普段頭がいい加賀さんも、リシュリューさんと同じようなこと考えてるなんて意外だったっぴゃ〜」
「どうしてそうなんだろうなぁ……嫌われてるよりはいいんだけどなぁ」
提督の言葉に矢矧と酒匂は揃って困ったような笑みを浮かべ、なんと返せばいいのか言葉が見つからない。
すると、
「馬鹿だからよ。提督さん好き好き馬鹿だからみんな似たりよったりの行動に出ちゃうんだよ」
阿賀野がなんとも身も蓋もないことを言い放つ。
「ストレート過ぎない?」
「でもなんとなくわかっちゃうね……」
矢矧、酒匂とそうこぼす横で、提督はノーコメント。
「ほら、類は友を呼ぶって言うしさ……それに愚者は自分を愚者とは思ってないもん。だって自分が愚者だからね」
とても良い顔で毒を吐く阿賀野。的を射ているため、誰も異論を言えなかった上、これが阿賀野とガチ勢との関係なのだ(決して仲が悪いのではない)。
しかし能代も矢矧も酒匂もこう思ったーー
阿賀野姉ぇ(ちゃん)もガチ勢と一緒で提督好き好き馬鹿の一員だよね……
ーーと。
結局のところ、LOVE勢はみんなしてなんだかんだ似た者同士ということなのだろう。
「は〜い、提督。冷たいお茶が入りましたよ。阿賀野姉ぇたちの分もあるから、休憩にしましょ」
能代がみんなのお茶を用意してそう促すと、提督たちは揃って頷きを返してソファーテーブルへと移り、これからの新着任艦たちの予定や今後の全体での任務分担を話し合いながらのんびりと過ごすのであったーー。
今回は五人一気に登場させました!
より賑やかになる鎮守府と頑張れ提督!って感じで♪
読んで頂き本当にありがとうございました!