私が知っているスウェーデンの漢字表記は《瑞典》なのでそれをそのまま書きました。
ご了承ください。
10月に入った泊地。
気温も落ち着き、泊地の秋は深まっていくこの頃。
鎮守府の裏にある丘の木々たちもその葉を秋らしい色に染め、艦娘たちへ秋の美しさを見せていた。
一方で艦隊は無事に誰一人欠けること無く、先の大規模作戦を完遂。
そしてその功績により、鎮守府にまた新しい仲間の着任許可が下りた。
夕雲型駆逐艦十五番艦『岸波』
岸波は駆逐艦でありながら冷静沈着で頼りになる艦娘。姉夕雲たちの補佐は勿論のこと、自分の妹たちへの面倒もしっかりこなす。
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大鷹型軽空母四番艦『神鷹』
神鷹は元はドイツ貨客船シャルンホルスト。よって時折ドイツ語を喋るが、物腰の柔らかい日本人らしさも兼ね備える艦娘だ。
書類上大鷹型とされるが上記のように元々が違うので純粋な姉妹とはいかない。しかし大鷹とは既に普通の姉妹同然に過ごしている。
史実において、戦時中の日本政府はミッドウェー海戦の敗北で早急に空母を確保しなくてはならず、母国へ帰れずにいたシャルンホルストをドイツ政府に譲ってほしいと交渉して空母へ改装した。
因みにシャルンホルストを譲ってくれと交渉する前、日本政府はシャルンホルストではなく『グラーフ・ツェッペリン』を譲ってほしいと申し出たという記録がある。しかしこれは流石のドイツ政府も『艦載機無しで日本へ送るなど自殺行為だ』と断り、実現はしなかった。
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イタリア駆逐艦『マエストラーレ』
マエストラーレはリベの姉であるためかはたまたイタリア人気質からか、とても明るくて人懐っこい性格のため、着任して2日足らずだというのにみんなとは既に仲良く過ごしている。
睦月や吹雪なんかとは性格が似ている部分が多く、リベやイタリア艦娘以外だとその二人と特に仲良しなんだとか。
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スウェーデン軽(航空)巡洋艦『ゴトランド』
ゴトランドは大規模作戦中に締結された日瑞軍事同盟によって国防軍へ派遣されたスウェーデンの艦娘。礼儀正しく、スウェーデン人としては珍しくフランクな性格で同じ寮室となった酒匂とは上手くコミュニケーションを取れている。
艦種となるとゴトランドの場合、軽(航空)巡洋艦であり軽巡に分類。
何故このような複雑な表記になるのかというと、スウェーデンは軽巡・重巡の定義を定めた軍縮条約を締結してないためだ。
よって軽巡と重巡の区別がスウェーデン海軍にはない……しかしそのままではこちら側(日本国防軍)で彼女を表記する際に困るため、それを回避するために大本営が航空巡洋艦であり軽巡洋艦であると定めた次第である。
因みに第二次世界大戦が勃発した当初からスウェーデンは中立国としてその立場を守っていたので、艦時代のゴトランドが実戦に参加する機会は無かった。
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イギリス戦艦『ネルソン』
ネルソンは長門や陸奥がビッグセブンと呼ばれていたのと同じく、当時世界に名を馳せたイギリス海軍を代表する艦娘。自分に絶対的な自信を持ち、長門とは会ったその日の内に演習訓練を経て友情を築きあげた意外と大胆な金髪脳筋娘。
しかし一方で例の如くイギリス海軍の代表として着任したネルソンは、着任するやいなや『奇跡の救出劇』に携わった日本海軍とその艦娘たちに心からの尊敬を表し、コンサーティナで『この日のために練習した』と"君が代":"海行かば":"軍艦行進曲"を演奏してくれた。
その演奏会の中で、ネルソンは雷に特別の感謝と表して片膝を突いて手の甲へキスまで見舞った。
このようにまた頼もしい仲間が増え、賑やかさが更に増した鎮守府。
なので提督は新しく着任する予定であった艦娘たちが出揃ったので、今日は夕方から食堂で彼女たちのお披露目会と表した着任式を開いた。
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「んじゃあ、新しい仲間に……乾杯!」
『カンパーイ!』
早速提督の音頭で幕を開けた着任式。
今回は立食パーティ形式で、みんなは自分が食べたい物が並ぶテーブルに行ってよそるバイキング的なシステムだ。
「こ、ここ、これが神戸牛!?」
「この日のために提督が奮発してくださったみたいですよ?」
神鷹は艦娘になって初めて目の当たりにする神戸牛のステーキに感動のあまり全身を震わせる。
その隣で妹へ大鷹が優しく声をかけると、神鷹は提督に「あたし、幸せです!」と感謝して涙を流しながらその神戸牛を頬張っていた。
そんな神鷹へ提督は「遠慮せずに腹いっぱい食えよ!」と豪快に返し、そんな提督の男気に奥様やガチ勢たちは瞳の奥にハートマークを浮かべていたそうな。
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「ねぇねぇ、フブキー、これはなんていう食べ物なの?」
「これはね、茶碗蒸しっていうお料理だよ」
「熱いから火傷しないようにね!」
「プリンみたいだけど、全然違うからねお姉ちゃん!」
こちらではマエストラーレが初の茶碗蒸しを見、目を輝かせているところ。
吹雪と睦月が料理を説明し、リベがこれまで経験してきた話を交えながら食べ方を教えている。
マエストラーレはその中でも青葉特製の伊太利コロッケと瑞鳳特製の玉子焼きを気に入り、青葉に至っては「青葉と司令官の娘になりませんか?」と切り出して衣笠や矢矧に注意されていた。
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「ほう……日本はウィスキーも流石の一言だな。そして何より料理も美味……もっと早く来日したかったぞ!」
「ははは、なぁに、これからは長い付き合いになるんだ。好きなだけ堪能したらいい」
「そうよ♪ それに料理以外でも日本のいいところはまだまだあるんだから♪ でも提督のことは譲らないわよ?」
また別のテーブル(主に酒が楽しめるテーブル)ではネルソンが長門や陸奥に勧められるがまま日本のお酒に舌鼓を打っている。
陸奥は相変わらずだが、ネルソンはそれを気に留めることもせずに提督にお酌を要求。しかしそれは陸奥たちのような下心からではなく、これから己の命を預ける盟友として酒を酌み交わすため。
日頃の豪快さから絡み酒かと阿賀野は警戒したが、そこはやはり誇り高きビッグセブン。ちゃんと人に迷惑をかけない程度に嗜んでいたので、奥様からの鉄拳制裁は発動しなかった。
ただ、そのどさくさに紛れてアークが提督へ口移しで酒を飲まそうとしたため、アークには鉄拳制裁が発動された。
そんなアークを見、ネルソンは「嘆かわしい」とぼやいて阿賀野へアークの代わりに謝罪するのだった。
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「えへへ、また清霜にお姉さん増えた〜♪ 嬉しいなぁ♪」
「私も妹が増えて嬉しいわぁ♪」
「もう、夕姉さんも
一方、こちらでは岸波が夕雲と清霜に挟まれて苦笑い中。
夕雲は妹がまた着任した喜び、清霜は姉がまた着任した喜びということでくっついて離れようとしない。
なので夕雲はパーティが始まってからずっと岸波を甲斐甲斐しく構ってお姉ちゃんお姉ちゃんし、清霜は清霜で新しいお姉ちゃんにずっと抱きついて妹妹している。
そんな二人に岸波は苦笑いしているものの、その表情はいつも以上に柔らかく幸せに満ちていた。
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夜も更け、パーティの盛り上がりは一層増す。
そうなると始まるのがもはや鎮守府名物と化した『鎮守府へ行こう! 新人の主張』だ。
用意された小さなお立ち台の後ろに控えるは、新しく着任した艦娘たち。そしてそんな彼女たちの前では、相変わらずお玉をマイク代わりに阿賀野が「新人の主張、は〜じ〜ま〜る〜よ〜!」と声をかけて注目を集めていた。
そしてトップバッターは神鷹。実は大鷹から「早めにやった方が恥ずかしくないですよ」とアドバイスをもらったので、こうして一番に名乗りを上げた次第だ。
「ど、どうも、みなみな皆しゃん、ああぁぁたしししは、ししし、神鷹でしゅしゅ……」
しかし一番は一番でやはり緊張してしまい、神鷹は顔を真っ赤にして噛み噛み。
それでも観客たちからは「かわいいよー!」、「リラックスリラックス〜!」、「みんな家族だよー!」と温かい声援が送られ、神鷹は少し肩の力を抜くことが出来た。
「今後の目標はなんですか〜?」
タイミングを見計らい、阿賀野がお決まりの質問を投げる。
すると、
「そうですね……あたしは元ドイツの商船で、正直なところ日本にはまだまだ馴染みが薄いかと思っております。
ですので……今度こそ、精一杯努力して、皆さんと共に国の皆さんを守りたいです……!」
先程の緊張なんて何処かへすっ飛び、清々しくも凛とした声で目標を宣言した。
これにはみんなも大拍手。観客の中からは「一緒に頑張ろうな!」、「今度酒飲もうな!」、「改装空母同士で頑張りましょ!」と声をかけられ、神鷹はその目に薄っすらと涙を浮かべつつも笑顔でお辞儀して降壇していった。
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神鷹に続いたのはゴトランド。ゴトランドに至ってはとてもリラックスした状態で登壇し、阿賀野の質問にはこう答えた。
「私の目標は祖国のために深海棲艦を倒すこと! そしてそれは世界に名高い日本国防軍の皆さんと成し遂げたい! 私が遠い日本に来たのはそのためです! 私に出来ることは全力でやります! ですので、これからよろしくお願いします!」
まるで宣誓でもするかの如く放たれた力強い言葉に、誰もが声をあげ、全員が平和な海を取り戻そうと気持ちを新たにする。
ゴトランドはそんなみんなからの声に大きく頷き、台の上から深々と頭を下げてから降壇した。
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続いてお立ち台に上がったのはマエストラーレで、
「私の目標は平和な海を取り戻して、みんなと仲良く遊べる世の中にしたい! リベが先に着任したから練度はまだまだだけど、早く追いついて頑張るね! Grazie!」
阿賀野に訊かれる前に堂々と目標を叫んだ。
見た目に反し、いい意味でマエストラーレらしい目標を聞いたみんなは彼女へ温かい拍手と声援を送った。
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マエストラーレの次は岸波が登壇。
「こんばんは、夕雲型駆逐艦の岸波です」
岸波はここでも至ってクール。
なので阿賀野はちょっと意地悪することにした。
「じゃあ岸波ちゃん、艦娘になって姉妹と再会出来た喜びをどうぞ!」
これまでは目標だったが、今回は自分の姉妹へ己の思いを告げなくてはならない。
よって流石のクールビューティ岸波もこの質問を前にあたふたと冷静さを欠く。
「あ、阿賀野さん、さっきまでしていた質問と違いませんか!?」
「えぇ、阿賀野〜、聞こえな〜い♪」
「阿賀野さん!」
「えぇ〜、でも〜、夕雲ちゃんたちは聞きたいと思うな〜?」
わざとらしく言葉を返しながら、阿賀野は夕雲たちへ『聞きたいよね?』と言うように視線をやる。
すると当然、
「お姉ちゃん聞きた〜い♪」
「清霜も〜!」
「こうなったら言うしかないな♪」
「きっしーガンバ!」
姉も妹もみんなして『聞きたい聞きたい』との大合唱。
なので岸波は観念したかのように夕雲たちの方を向いて、口を開いた。
「えっと……その、素直に嬉しいです。艦時代は姉妹といっても作戦行動を共にする姉妹は限られていましたから……。
なので、艦娘になり、今度は姉妹揃ってお役に立てることが出来るので、本当に幸せです。
こんなに幸せなのに、まだ着任していない姉たちもいて……これからもっともっと幸せなことがあるんだ、って心から楽しみにしてます。
だからみんなで……姉妹全員が揃う日まで、頑張りましょう!」
岸波はそう言うと、軽くお辞儀してからそそくさと降壇。
すると夕雲たちはすかさず岸波の元へ駆け寄って『みんなで頑張ろうね』と抱きしめ合い、岸波も恥ずかしそうにしながらもまばゆい笑顔を浮かべていた。
そんな美しい姉妹愛に観客たちは盛大な拍手と声援を送り、その一方で提督は密かに感動の涙をこぼし、それをLOVE勢(主にガチ勢)たちは脳内メモリーに永久保存していたとか。
ーー
トリを飾るのはネルソン。
ネルソンはお立ち台に仁王立ちすると、阿賀野のお決まりの質問も待たずに声を張り上げる。
「余はイギリス艦隊旗艦を務めてきたネルソン! そして余は、今こそあの時の恩を返すために日本へやってきた!」
その第一声に観客たちは息を呑んだ。
イギリス海軍の旗艦を長きに渡り任されてきた誇りは勿論だが、ネルソンにはそれ以上に誇らしく思っていることがある。
それは再び日本海軍と共に肩を並べて歩めることだ。
過去とはいえ、一度は同盟を破棄し、互いに刃を交えてしまった。
しかし今は違う。
「正直なところ、余はある意味で深海棲艦に感謝している。深海棲艦が現れなければ余……艦娘というのはこの世に生を受けずにいた。
そんな深海棲艦が現れるまで日本はアメリカなんぞとよしなにしていたが、今の世は違う……今こそ再び、余の祖国こそが日本と肩を並べて世界へ平和な海を取り戻すために歩もうではないか!
先の大戦での日本がイギリス兵へしてくれたあの恩を今こそ返せる! こんなにも胸が昂ぶる時が来たのだ! 今度は余が……イギリスが日本を助ける番なのだ!
さぁ、皆の者っ! この世を深海棲艦の魔の手から救おうではないかっ!」
高らかに拳を振り上げ、その目から大粒の涙を流すネルソン。
幾拍かの時が過ぎると、観客たちから大きな声援が巻き起こる。
気がつけば提督も阿賀野たちもネルソンの言葉に感動し、涙を流していた。
「はい、提督。ハンカチ」
「ありがと、やはぎん……流石はネルソン。言葉の重みが違うなぁ」
提督の言葉に矢矧もしみじみと頷き、「心強い仲間が増えたわね」と微笑む。
「こりゃ、俺も改めて気合を入れ直して指揮しなきゃな」
「期待してるわよ、提督」
そう言うと矢矧は提督の胸へ軽く拳をぶつけ、提督はそれに笑顔で応えた。
「それじゃ次はみんなお待ちかね! 『食堂の中心で愛を叫ぶ』の時間だぁぁぁっ!」
『いえーーい!』
しかしそんな感動も次の演目を報せる武蔵の叫び声で塵と化す。
当然提督は「感動が台無しだろ!」とツッコミを入れるが、"それはそれ"で"これはこれ"という問題。
ネルソンたちもそんな余興を大いに笑い、艦娘たちは絆をまた深めたーー
「提督さんの浮気者〜!」
「俺は阿賀野一筋だからぁぁぁ!」
ーー夫婦の痴話喧嘩と共に。
ということで、まだイベは終わってませんが、先んじて今回は新しく実装された艦娘たちの着任式パーティの様子を書きました!
読んで頂き本当にありがとうございました!