皆もアメコミ版、買おう!(露骨な販促)
あ、ちなみに赤髭のとっつぁんがアルトリアの生前の時代にいるのは突っ込んじゃやーよ。
はてさて、俺がアーサーと出会ったのはいつの事だったのやら。Wikipediaによればアーサーが活躍していたのは5世紀ぐらいってなってるが、別にその時代に行ったからって、一体いつなのかがわかるわけじゃない。
つまり、本当にあれがイギリスが誇るアーサー王物語の舞台、時代だったのか、皆目見当もつかない。
……だが、あのタイムスリップでの出来事は、紛れもなく現実だった。
『何者だ、貴様』
『あー、俺? リツカ・フジマル。日本人だ。スシが美味いって評判の。あー、でもオタクら生モノ食べねぇよな?』
『……何を言っているのだ貴様』
馬の上から偉そうにこっちを見下す、端正な顔つきのアーサー。
『やぁやぁ、待ちたまえよ。彼こそ、死者の書に書かれている勇者に違いない』
『勇者だと? この道化が? ……そうではあるまい。こ奴は敵の手の者だ! この者も穴落としの刑に処す!』
『は? え? 何?』
その傍で俺の事を『勇者』だと呼ぶ、クソッタレの魔法使い。本人はハナの魔術師だとか名乗っていたが。花? 鼻か?
だが、アーサーは特に考えたわけでもなく、俺を奴隷のようにしょっ引きやがった。連中が敵対していたという赤髭のとっつぁんとその配下も一緒に。
ひでぇ体験だった。関係ないのに石は投げられるわ、殴られるわ、ついでに兄上の仇だとか言われて髪の毛むしられるわ、あんなのは二度と御免だ。
そして俺は、穴に落とされた。穴にいたのは、あの山荘で嫌という程戦ったクソ忌々しい化け物――死霊。
ただでさえ疲れ切っているというのに、数少ない武器すらも没収された俺は、右手無しというハンデを背負って殴り合いの死闘を演じさせられた。
上では民衆がギャアギャアと喚いてやがる。思わず皆殺しにしてやろうかという考えを抑えられたのは、目の前の
『天の使いよ! これを使いたまえ!』
そこに助け舟を出したのは、他ならぬ魔法使いの野郎だった。
奴が投げ入れた武器――チェーンソーを右手に嵌めた俺は、死霊をぶった切り、ケツの穴から脱出する事に成功した。
まぁ正確には脱出するまでに、追加で現れた死霊と、迫りくる棘付きの壁からの死に物狂いの逃走劇があったのだが、そこは割愛しよう。
脱出に成功した俺は、ぶっ倒れてしまいそうな体に鞭打ち、俺にこんな仕打ちをしたアーサーの前に立った。
『――よぉ、大将。靴の紐が解けてるぜ』
後はまぁ、予想通り。クソムカつくその面に、一発パンチをお見舞いしてやった。
******
「卑王鉄槌。極光は反転する――光を呑め!」
――それがまさか、こんな形で返ってくるなんて誰が思っただろうか。
「マァァァシュ!! 宝具だ! 急げ!」
「は、はいッ! 真名、偽装登録――行けます!」
急いで俺は、マシュに宝具の解放を命じる。畜生、英霊ってやつぁなんて出鱈目なんだ。見ろ、アイツの剣、なんか黒い光が集まってんぞ。昔会った時はあんなじゃなかったのに!
「『
うわ、なんかビームが出た!
しかし、そのビームを防ぐように、魔法陣の描かれた光の膜が、マシュのデカい盾から展開される。
「宝具――展開します!」
展開された仮の宝具――『
こいつぁいかん、と、俺はマシュの手に自分の手を重ね、一緒に盾を支える。
つか、こんなトンデモビーム使えるならあの時の戦いでも使っとけ! 何、城が吹っ飛ぶ? やられるよかマシだ!
どれぐらい経っただろうか。ようやく黒い光が消えた時、俺達は――なんと両足で立てていた。だが、支えていた足が悲鳴を上げている。
「ほう、今のを耐えたか。……だが」
しかし、そんな俺達を見て憐れんだり、加減してやろうと考えるようなアーサーではなかった。
さっきのビームをまた撃たんと、再び剣を構えている。
だが、そうはいかんざき!
「マシュ、よく頑張った。今度は俺の番だ」
「先、輩――」
「所長さんよ。ちぃとばかしコイツを持っててくれ。今のままじゃ邪魔になる」
「えっ、ちょっとォ!?」
マシュの声を背にし――ついでに所長にチェーンソーを投げ渡し――俺はアーサーに向かって駆け出す。
ムッ、とした顔をするアーサーは、構わず剣を振り抜こうとするが、それよりも先に、左手に持ったレミントンが、いつもより派手に火を噴く。
「そんなもの――ッ!?」
余裕ぶっこいて鎧で防ぐアーサーだったが、まるで最近の特撮番組みたいに、これまた派手に火花が散る。
キャスターの加護が効いているのか、アーサーにある程度のダメージが入ったらしい。これが生前ならノックアウト出来たんだがな。
とにもかくにも、黒いビームをキャンセルせざるを得なかったアーサーは、再度剣を構えるが、そこを俺が許さない。
過去の戦いで培ったショットガン捌きで、高速でリロードを完了させ、再度撃つ。またリロード、そして撃つ!
「チィ!」
「獲ったァ!」
それなりにダメージが蓄積されているのか、さっきから剣で散弾を防ぐアーサーと距離を詰めた俺は、必殺の鉄拳をアーサーに繰り出し――
「……と、そんなもので私がやれるとでも?」
――あっさり、アーサーに拳を引っ掴まれた。ジーザス。
「あら、あららぁ?」
ギ、ギ、ギ、と義手が嫌な音を立てて、腕が捻り上げられる。チッ、流石にダメか。
――ま、是非もないよネ!
どこからともなくそんな声が聞こえた、気がした。なんだ畜生。幻聴か?
「フンッ」
「うぉあぁぁぁ……」
そのままあっさり放り投げられた俺は、面白いように吹っ飛ばされ、うつ伏せで回転しながら地面を滑った。いてぇ。
「無駄な足掻きを……」
俺を仕留めに歩み寄ってきたアーサーが剣を振り下ろす。だが、それを何者かが防ぐ……マシュだ!
「やらせません!」
「猪口才な!」
無様に倒れている俺の目の前でぶつかり合う、マシュとアーサー。
キャットファイトだなんて生易しいもんじゃない。アーサーはマシュの未熟さを見抜いて、盾を弾いた隙を突いて攻撃しようとしているし、マシュはマシュで、その未熟さを補うように、向上した身体能力で無理矢理盾を振るい、これを防ぐ。
全く、俺の入る隙間がねぇってぐらいのやり合いだ。お熱いね全く。突っ込んだら確実に死ぬわ俺。
「――甘い!」
「あっ……?!」
しかし、やはりというべきか、最終的にはアーサーの方が上手だった。
黒いオーラ的な何かを発すると同時に、マシュの体勢を崩したアーサーは、そのまま力任せに盾ごとマシュを殴り、そのまま倒す。
「これで、終わりだ」
「ッ、しま――」
「――ってねぇ!」
それを、みすみすやらせるわけにゃいかねぇ。倒れたマシュに剣を振り下ろすアーサーに合わせるように、俺は右手を差し込む。
ぶった切れねぇかと冷や冷やしたが、思った以上に頑丈で良かったぜ。
「……おのれ。やはり貴様が邪魔をするか。花の魔術師よ」
だが、その安心も長くは続かない。アーサーは剣をいったん腕から離すと、今度は薙ぎ払うように剣を振るう。
何度も、何度も。何度も!
「アッ、おい、ちょ、やめろこのヤロ! オイ! 聞いてんのか馬鹿野郎!」
「ああ。聞こえているとも。それが何か」
畜生めェ! あの頃のお前はもっとマトモだったぞ!
「だが、これで――」
そして、今以上に剣を振りかぶると――
「終わりだ」
――ガシャン、という音と共に、俺の義手が吹っ飛んじまった。
「て、んめぇ!」
「それもだ」
抵抗とばかりにレミントンを構えようとしていたが、それも足で蹴られ手放してしまう。
「さて、これでもう障害はなくなった」
……ああ、その通りかもな。
「やべぇ、チビりそう」
いけね、つい本音のほう言っちまった。
「せ、んぱい」
視界の端でマシュが、腰の抜けた俺を助けようと立ち上がろうとするが、ここまでの戦いでの疲労のせいなのか、腕がガクガクと震え、生まれたての小鹿どころじゃないレベルで立ち上がれないでいた。
「ふむ。そこのサーヴァントは見込み違いだったか。まぁ、致し方なし」
どこか、失望混じりの目でマシュを見やったアーサーは、その冷たい目を俺に向ける。
「私に負けるようでは、この先の戦い――
……ん? 今なんかわざとらしく意味深な言葉が……。
「――さらばだ。我が友よ」
それを問いかける前に、アーサーの黒い剣が俺に向かって振り下ろされ――
アルトリア含め、円卓の騎士が生前、あのトンデモ宝具の数々を後のFate作品同様に使えたかの解釈。これがまた難しい。
アンデルセンやシェイクスピア、マリー・アントワネットやドレイクの姐御達のはともかく、エクスカリバーはFate世界では正真正銘の神造兵器なので、生前でも案外あんなビームが撃てそうだよなぁとか思わないでもなかったり。
Fateは基本アニメ・漫画民なので、もしどこかで生前の頃のエクスカリバーの描写があったら教えてください、オナシャス!