ーバハルス帝国領内の酒場ー
帝国首都にある酒場は、今日も普段と変わりなく冒険者や荒くれ者達で賑わっていた。
「しってるか?」
カウンター席に座る男は、隣に座る友人に話を振る。
「なんだよ。今日はやけにテンション高いな。」
テンションの高い友人に驚いているが、酒の席では良くある話で、気にせずいつものように気兼ねなく返事をする。
「今日、闘技場に行ったんだけどよ。ずけー美人揃いの5人組の冒険者チームが出てたんだよ。しかも女だけのチームだぜ。内3人は少しガキだが見てくれは悪くなかった。その上、めっぽう強いと来たもんだ。グッとくるものがあったぜ。」
「そうかよ、お前はいつもそうだな。てか、お前幼女好きの変態だったのかよ。」
興味無さそうに返事をする男。
「幼女好きじゃねぇ。女だけの冒険者チームなら数は少ないが普通にいるが、そいつらは1日でミスリルになったんだぜ。俺には魔法の事はよく分からねぇが
「そいつは凄いな。」
話を聞く男も魔法には詳しいわけではないが剣士であり、冒険者でもある。
男はオーガを一刀両断するという偉業を成し遂げた女冒険者チームの話を俄に信じられないが興味が湧いていた。
「そうだろ。明日も闘技場で試合をするらしいんが、その相手があのギガントバジリスクだってよ。服がはだけて、あられもない姿が見れるかもしんねぇぜ。」
「確かにいい試合が見れそうだが。なぜ、ギガントバジリスクのような強力なモンスターが闘技場にいるんだ?」
男は不思議に思う。ギガントバジリスクはアダマンタイト級冒険者が数人がかりでやっと倒せるレベルだ。そんなモンスターをテイムする者がいるとは思えない。
「なんでも次の相手のギガントバジリスクは珍しいタレントを持ったテイマーがアダマンタイト級冒険者1チームとオリハルコン 2チームと協力してテイムしたらしいぜ。それにその試合で勝った方は武王と戦うって話だ。明日の試合は皇帝陛下も来るらしい。案外、鮮血帝なんて呼ばれてるが陛下も美人に目がない普通に男なのかもな。お前も明日の試合を見に行かないか。」
皇帝に勝手に親近感を感じている男は、酒を飲み笑いながら話す。
「何で野郎と一緒に見なきゃならないんだよ。そこまで美人で強いと言うなら見に行くけどよ。」
「相変わらず素直じゃねぇな。」
結局、見に行く友人にそう言いと男達はその後も陽気に会話をしながら酒を交わす。
ー闘技場紫 視点ー
今、闘技場でゴブリンやオーガと対面しています。
え?何が起こったのか?正直、自分にも分からない。
まず、冒険者組合に登録したあと闘技場を下見しに行った。
そこで受付に内容の説明をしてもらっていた訳で。その途中で、別のスタッフが受付嬢に耳打ちをした。
内容としてはどうやら今日、試合を行うはずだった冒険者チームが来れなくなったらしい。既に受付嬢には第6位階まで使えることを言っているわけで、何故か参加するように進められ訳が分からない内に急遽参加することになってしまった。
とりあえず、誰でもいいんで詳しいルール説明を…。
いや、そんな事しなくても藍に任せればいいんじゃないか。頭もいいしなんとかなるんじゃね?
「藍、橙、やっておしまい」
某水戸の御老公スタイルで行けると思う。(BBAじゃないからな)
「はい、了解致しました紫様」「わかりました、ゆかりしゃま」
ロリコンじゃない筈だか、橙かわいい。もちろん、藍も可愛いが、橙には小動物的な可愛さがある。
「あっ」パタ
何も無いところで橙が転んだ。そういえば、ドジっ子キャラ付けてたな。よくも橙を、許さんぞゴブリンどもめ。設定したのは自分だろって?ㅤゴブリンがいなければ橙は転ばなかった。いいね?
「がきが ころんだ さきにころす。」
一人(匹?)のゴブリンが橙に向かって走り出す。
「『
キャラ崩壊してね。いや、なんか自分が想像していた藍との差が激しい。それよりも、ゴブリンの一部炭化してるんですが。
この過剰な反応は、橙を溺愛しているという設定の性なのか。これじゃ893じゃないですか。893で思い出したがそういえば、紅魔館のメイドである咲夜にも似たような設定が…。これ以上は考えないようにしよう。
完璧に設定ミスだろと思うかもしれないが大抵、人間(?)一つくらいは欠点があるものだからこの設定も問題ない。(言い訳)
「なんという ちからだ。ぜんいん で かからなくては やられる。」
その位の判断はつくのか。モンスター、いや厳密に言うと亜人種だが。そう言った者達の生態や知能などは不思議である。
「斬れぬものなどあんまり無い!!」
そのセリフが聞きたかった。萃夢想妖夢でもいいんだよ。
全員で掛かってきたが、その甲斐なくオーガは妖夢によって真っ二つになり、ゴブリンの集団は萃香が蹴散らした。
同じ鬼なのに全然違うな(棒)。西洋ダカラカナ。
そしてこちらにも1体向かってきたので、本気(申告上の)を見せてあげよう。
『
転移でオーガの後ろに回り込み日傘の先端で頭部を刺す。基本、魔法職をとっている上に、この傘の武器種は杖に近い扱いなので、本来なら威力は期待出来ないが、敵が低レベルなのでLv15 分の
だが、前衛職Lv30と第6位階の魔法を使えるとなると確実に怪しまれる。
『
突き刺した日傘から電流を流しオーバーキルする。
オーガを倒し終えると歓声が上がり、他のモンスターも全て萃香や妖夢、藍と橙によって倒されていていた。
やはり、ユグドラシルの時と同様にレベル差でオーガだと相手にすらならないな。
その日は何故か宿も用意してくれた。出来れば明日の試合にも出てほしいとの事。相手の腹の中を読むに帝国(の闘技場)にスカウトしたいようだ。
明日の試合の件には了承しておいた。
この時は帝国へのスカウトが闘技場ではなく宮廷だったことは知らなかった。情報が少な過ぎるんだよな。
その後は冒険者組合の人がミスリル級に認定するという事を伝えに来た。プレートに関しては明日までに発行するらしい。
明日までは絶対に帝国にいて欲しい感じが出ているな。
ー帝国 宮廷ー
バハルス帝国主席宮廷魔法使いのフールーダ・パラダインは、報告に来た弟子の話を聞き、喜びを隠せないでいた。
「私と並ぶ第6位階の
欲しがっていた
………
ージルクニフ sideー
「それで爺、お前はどう思うのだ?」
ジルクニフは突然現れた第6位階の
「そうですな。現状、第6位階とはいかなくても第5位階まで使えることは間違いないですな。
「ほう。爺、えらく嬉しそうだな。」
「私と同格の
200年前の十三英雄のリグリット・ベルスー・カウラウより高みにいると自負しているフールーダにとって、同格の存在は魔法の深淵を覗くための一歩になると思っていた。
「しかし、何故今になって冒険者として闘技場に参加したのか。気になるがこちらに引き込める可能性もある以上、手荒い真似は出来ないな。怪しまれない程度に出来るだけもてなせ。」
ジルクニフは思わぬ者の出現にどうするべきか冷静に考えていた。
「心得ております。明日の試合に出てもらう事にして、宿を用意し帝国に留めています。」
「そうか。爺はこういう事になると仕事が早いな。」
魔法関係になると我を忘れるフールーダを軽く茶化しながらも、突然現れた一団への対処を考える。
「俺も直々に出た方が良さそうだな。明日の予定を全て辞めて闘技場の観戦をするように変更しろ。」
「では、私も観戦していいでしょうか?」
「爺、意地悪を言うな。お前が来なきゃ第6位階の魔法詠唱者をどうしろと言うんだ?」
冗談めかして言い放つ。
「まず、第6位階を使う者以外にも英雄級の弟子や剣士がいる時点で、帝国騎士が幾ら集まろうと勝てないでしょうな。」
フールーダは笑みを浮かべながらも冷静に状況を判断する。
「一応、冒険者組合に奴らをミスリルかオリハルコンに推薦してはどうだろうか。」
幾ら国に関わらない冒険者組合でも、実際に実力のある冒険者を推薦する事に問題は無い。
「それがいいでしょうな。実力が飛び抜けているとはいえ、実績がない。ならばオーガを一刀両断した剣士がいるという事でミスリルに推薦しましょう。それに明日の試合で
ジルクニフはその話を聞いて、明日の試合の相手を決めて許可を出す。
ー紫 視点ー
さぁ、闘技場2日目です。本日のお相手は…
『ギガントバジリスク』です。
えっ、ギガントバジリスク…いや待てよ。何でトラウマ掘り返してくるんだよ!!(イラついてます)
帝国に闘技場作った皇帝陛下のせいだな。(ある意味当たっている)
皇帝陛下、見に来てるじゃん。もしかしてトラウマ知っててやってるのか。(イラついてます)
とにかく餅つけ。いや、落ち着け。落ち着くんだ僕。皇帝陛下がそんな事する訳ないだろ。(許可は出してます)
しかし、ギガントバジリスクは死すべき慈悲はない。トラウマを想起させた罰だ。命をもって償って貰うぞ。
「萃香、妖夢やっておしまい。」
またもや、某水戸の御老公風に言ってみた。え、何故今回は橙や藍じゃないかだって?
魔法使うと1発で倒してしまう可能性があるから…。
どう見てもアダマンタイト級がやっと倒せる相手を一撃は不味い。なので剣や素手なら手加減出来ると思い接戦を演じさせている。橙には魔法で援護させているがバフをメインで攻撃は第3位階のみにしている。
妖夢はギガントバジリスクに比較的ダメージの無いように掠るように切り刻む。
ギガントバジリスクが爪を振りかざし攻撃すると、接戦している様に見せる為、剣で相手の攻撃を受ける。
萃香は全てギリギリで躱して、軽く殴る。いや物理攻撃強いな…。敵のギガントバジリスク、脳震盪か知らないけどフラフラしてるよ。ボクシングでいうKOも近いよ。というかレフリーが1回中断させるレベルだよ。いや、あんまりボクシング知らないけど。
「紫様、そろそろ我々の力を見せる時ですね?」
あらかじめ決めておいたセリフを藍が言い、観客を沸かせる。
「そうね。」
『
『
『
橙に
『『
時間経過によって発動する橙の魔法に合わせ、藍と共に
雷で出来た龍が電気の玉を追いかける様にギガントバジリスクに直撃する。今回の場合、6つもである。
モモンガさん達もモテない男同盟と称して『
クリスマスの日に仕事でINできなかった時は、散々リア充なんて言われたが…。
そして、6つの玉を追いかける6体の雷の龍全てが命中し、ギガントバジリスクの体を中心として雷が迸る。
勿論、即死である。
「「「「うおおおお!!」」」」「なんだあの
観客のほとんどがスタンディング・オベーションしていた。
戦闘描写が苦手だからギャグテイストのような説明口調にしたなんて言えない。
ちなみに、プロットでは東方キャラの活躍は闘技場(帝国編)の話の後に用意してます
因みに、主人公の一人称は感情が顕になった時は『僕』で、普段は『自分』とかです。
追記
沢山の誤字報告ありがとうございます。(沢山あったら駄目だろ)
『くんち』については、書き方が悪かったので少し訂正しました。