「それじゃあ傑さんは、
「そうだ。と言っても、相討ちと言うより、死ぬ間際の俺が相手を道連れにしたようなかたちだがな。」
自己紹介をした後、真夜は父親に連絡を取り迎えが来るまでの間、傑と話しをしていた。
正確に言えば、傑の素性を聞き出していた。
真夜は初め、傑を怪しんでいたが、自分の危機を救ってくれた相手ということもあり、それなりに信頼できるようになった。
ちなみにここまでの会話が〜〜〜
『ミキ・・・"三木"・・・・貴方、"十師族"?』
『ん?"十指族"?ここでは、種族ごとに指の数が違うのか?』
『十師族も知らないなんて、あり得ないわ。さっきも数ある種族とか言ってたし、まるで人間以外にも知能がある種族が居るみたいな言い方して。』
『俺が居たところにはな。
『・・・貴方、頭は大丈夫?』
『これといって不調になった記憶は無いが?』
『アニメやゲームの観すぎで、そういった種族がいると錯覚してるんじゃなくて?』
『???アニメ??ゲーム??なにそれ??』
『・・・・貴方ホントに何処から来たの?このご時世でそれ知らないって、幾らなんでもおかしすぎるわ?魔法師としての実力は一級品なのに。』
『・・・魔法"師"?』
『?あの施設から脱出した時に自己加速術式を使用したじゃない。違うの?』
『あれは気を全身に巡らせて脚力を強化しただけだ。魔法じゃない。』
『気って確か、古式魔法師の人たちが使う、
『また知らない単語が出てきた。"サイオン"て?』
『質問してるの、私なんだけど。・・・想子は、魔法を使うのに必要な認識や思考結果を記録する情報素子のこと。要は魔法師は体内の想子を使って、魔法式を構築して、魔法を使うの。』
『・・・・俺の知ってる魔法のプロセスと違う。』
『・・・魔法師なら誰もが知ってる一般常識なのだけれど。』
『ここに来たのは、ほんの数時間前だからな。この世界の常識にはかなり疎いところがある。』
『・・・?この世界?』
『ああ。俺は数時間前まで別の世界にいた。』
『やっぱりどこかで頭を打ち付けてしまったのね。現実と妄想がごちゃ混ぜになってるのよ。』
『別に無理に信じる必要は無い。俺自身初めての経験だからな。』
『・・・・冗談じゃないの?』
『冗談を言っていい状況だったか?』
『・・・じゃあどうやって来たの?』
『俺は前の世界で死んで、神様と名のる男にこの世界に転生して幸せになれと言われた。で、光の穴をくぐったら、キミが拐われてる光景が見えたから助けに来た。』
『・・・・私を助けるために?』
『ああ。それは間違いない。キミを助けるために、俺はここに来た。』
『・・・・・・・ありがとう。』
『どういたしまして。』
~~~という会話の後暫く話しをして、真夜は傑が異世界から来た人間だと信じるようになり、冒頭の会話になった。
「しかし、真夜のお父さんが言ってた迎えは、後どれくらいで着くんだ?このまま夜が明ければ敵に姿を見せる事になるからあまりいい事にはならないんだけど。」
「仕方無いわ。相手の規模は解らないけど、十師族の子供を拐ったのだから、少なくとも国が関与してるのは間違いないもの。国を相手に少人数で迎えに来ても、最悪殺されるだけよ。」
「夜闇に紛れる事は?」
「赤外線や熱源関知は誤魔化せない。」
「成る程、残るは大部隊による物量で圧するしかないか。」
「そうなるわ。だから、どんなに速くても後、3〜4時間はかかると思う。」
現在の時刻を確認しながら答える真夜。時刻は深夜2時、不安と緊張が和らぎ、強烈な眠気に襲われた。
「フム・・・少し休んでおくか。ここら辺まで来れば、そうそう襲われる事はないだろう。」
そう言うと傑は、ポツンと建っていた二階建ての一軒家を見つけ、真夜を抱えたまま屋根にジャンプした。
「ここならゆっくり寝られるだろ。」
「衛星中継でばれると思うのだけど・・・。」
人工衛星の存在を傑が知るはずもなく、屋根の上なら安全と言うが、真夜は不安を口にするが、眠気のせいであまり強く言えず、傑の腕の中で眠ってしまった。
傑は、屋根の上に真夜を降ろすと、家の中を確認した。
(人の気は感じられないけど、気配がある。幽霊か?入って大丈夫かな?)
傑は玄関の扉をノックして誰も出てこない事を確認し、ドアノブを回し鍵が掛かっていない事を確認すると扉を開け中に入っていった。(靴を脱いで)
すると、家のあちこちから視線を感じ、その中の一番強い視線の先を見た。
女性が居た。黒いスカートに白いシャツ、茶色い長い髪をおろし土気色の肌をした30代くらいの女性がじっとこちらを見ていた。
傑は、その女性に近づき、
「あなたがこの家の主ですか?勝手に入って申し訳ない。一晩だけ毛布を貸していただけないだろうか。」
と、交渉しだした。
傑の以前の世界にも幽霊の存在は確認できていた。しかも傑は幽霊が怖いものと認識していないので普通にお願いしていた。
女性は暫く傑をじっと見つめていたが、やがて傑に背を向け、階段の上に消えていった。
傑は女性についていく形で階段を上り、ドアが開いている一室に入った。
中は寝室だった。少し埃を被ったベッドが二つ、血がこびりついた壁に荒らされたタンスや化粧台、床にも衣服が散乱していた。傑はベッドに近づき、
「やっぱり外で寝るよりここで寝た方がいいか?」
ベッドの状態を確認してそう言うと、窓を開け、一つのベッドの枕、掛け布団、シーツをベランダに持っていきバサバサと埃を払い、室内に戻りベッドメイキングを始めた。先程の女性の幽霊は傑の事をじっと見ていたが、傑は気にせずベッドメイキングを終えると、ベランダから屋根に上り、真夜を片手で抱えたままベランダに降り、室内に入りベッドに寝かせ、掛け布団を掛けた。女性の幽霊は傑が真夜を抱えて降りてきた辺りから、目を細め非難するように傑を睨んでいた。傑が真夜をベッドに寝かせた頃になると、女性は真夜の脇に移動して、真夜の寝顔を、優しい眼差しで見下ろしていた。
生前この女性にも子どもがいたんだろうと傑は考えながら、真夜を寝かせたベッドの脇に背もたれ付きの椅子を用意し腰掛け、真夜の様子を見ながら寝に入った。その間にも女性は、真夜の寝顔を覗きこんだり頭を撫でたり(幽霊なので触れてはない)していた。
───???side───
私は今、どんな顔をしているだろう。
台北で真夜が誘拐されたと聞いてからおよそ五時間はたった。
交流会には私も参加する予定だったが、日本を
出発する前、真夜は私の体調を心配していたが、いってらっしゃいと私が言うと、あの子は笑顔で家を出ていった。
それがこんな事になるなんて思ってもみなかった。
会場に武装した集団が押し入り、真夜を拐ったと言う。
妹の婚約者の
真夜はどうなるのだろう。
私の頭の中に真夜と二度と会えないのでは。と、不安だらけな考えがぐるぐると渦巻いていた。
私が不安に思っていると部屋の外がやけに騒がしい事に気がついた。
なんだろう、と気になっているとこちらに近づく気配を感じた。
私がドアを注視していると、気配はドアの前で止まり、ノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼します!!」
私が中に入るよう促すと1人の女性が入ってきた。女性は私担当の女中だった。女中はドアを開け部屋の前で一礼すると、私のそばに駆け寄り、
「
と、希望に満ちた笑顔で私に告げた。
私は大きく目を見開き、椅子から立ち上がり部屋を飛び出した。そして一目散にお父様が居るであろう談話室のドアを開いた。
「お父様!真夜が見つかったとは本当ですか!?」
談話室にはお父様だけでなく、四葉の分家にあたる家の当主も何人かいたが、私は気にせずお父様に詰め寄った。
「本当だ。先程真夜本人から連絡があった。」
お父様がそう答え、私はホッと胸を撫で下ろそうしたが、ある部分に引っ掛かり疑問を抱いた。
「
「そうだ。真夜の端末から、真夜本人の声で、無事であることを確認した。」
「・・・真夜は誘拐されたのでは無かったのですか?」
誘拐された本人から連絡が来るなど、普通あり得ないこと、私はそれを含めてお父様に問いかけると、
「・・・真夜の話では、"ミキ"と名乗る青年に助けられたそうだ。」
「三木・・・その方は十師族なのですか?」
「いや違う。現在の十師族で三の字を使っているのは三矢のみだ。おそらく百家に列なる者だろう。問題は真夜のいる場所だ。」
「場所?真夜はどこにいるのですか?」
「・・・・・・真夜は今、泉州にいる。」
「泉州?それは大漢の・・・」
「そうだ。そこの崑崙方院の支部研究所に囚われていたそうだ。」
その話を聞き、私は血の気が引いた感じがした。
崑崙方院は四葉が事実上の主になっている第四研究所とは別の意味で黒い噂が絶えない大漢の魔法師開発機関。そんな所に囚われていた真夜が青年と共に脱出したとしても追っ手が掛からない訳がない。しかも真夜の誘拐の状況から考えて、政府や魔法協会も関わっている。
「私は今から四葉の魔法師部隊を編成し真夜を救出しに行く。お前は部屋で私たちが戻るのを待っていなさい」
「嫌です!私も行きます!」
「駄目だ!!これから行く場所はお前のような子どもがいていい所ではない危険なところだ。真夜だけでなくお前にまで何かあったら。」
「私も真夜の無事な姿を早く見たいのです。それに、幼いと言えど私も四葉の魔法師、戦場に立つこともあります。それが幾ばくか速まっただけです。私だって戦えます!」
「しかし、」
「お願いです!私も連れて行って下さい!」
私は頭を下げお父様に必死に連れて行ってくれるようお願いした。
「・・・・わかった。しかし、行くからにはお前を娘として扱わん、1人の魔法師として扱う、私の命令には従って貰うぞ?」
「!ありがとうございます、お父様!」
「であれば、早く準備をしてきなさい。私たちは会議をした後直ぐに真夜の救出に向かう。」
「わかりました!」
そう言うと私は談話室から出て急いで自室に戻り準備を始めた。部屋着から動きやすい服に着替え、腕輪型の汎用型CADを装着し、拳銃型の特化型CADをホルスターにしまい腰に巻いた。靴はヒールの高い靴からスポーツシューズに履き替え感触を確かめる。
「これで準備は終わり。待ってて真夜、直ぐに行くから」
こうして私は、準備を整え、お父様が救出部隊を編成し終えるのを待っていた。
と、ここまでです。
実は本編の魔法科高校の内容は頭に有るのだけど、こっちは行き当たりばったりなのです。書いてる時にふと思ったことを書いたりしてます。
今回の幽霊はぶっちゃけネタです。この先はたぶん出ないでしょう。
やっと深夜さんが出た。救出部隊に入れたのは今後のだめです。
今更ながら傑君魔法使って無いじゃん‼
やっぱりさっさと追憶編にいこう。