白猫あうあう物語   作:天野菊乃

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改:2024/2/3


原作前
アイリス、大地に立つ。


 ───『白猫プロジェクト』というゲームをご存知だろうか。

 そう、あのガチャ運が恐ろしく低いあのゲームだ。配布キャラだけでは絶対にクリアが不可能だとも言われるとも言われる伝説のゲーム。私はそんなゲームを一ヶ月ほどして、アカウントが何故か消滅。後に配信されたバトルガールハイスクールに逃避した現役大学生であった。

 さて、なぜ私がこんな話をしているかと言うと。

 

「白猫プロジェクトの世界に行きたくないですか?」

 

 神々しい雰囲気を放った白い民族衣装を着たお姉さんが目の前に現れたからです。彼女はそうやって私に柔らかく微笑みかけると、静かに語りかけてきました。

 

「私は神です」

「自称、ですか?」

「貴女は死にました。不慮の事故で」

「唐突なのですね」

「だから白猫プロジェクトの世界に転生したくないですか?」

「絶対に嫌です」

 

 あんな最初しか主人公が活躍出来ないゲーム転生したらどうなるかわってるんですか。私に死ねと。そういう事ですか。

 

「ストーリーにしか沿わないんですよね?」

「それはもちろん」

「キャラチェンジとか出来ないんですよね?」

「現実の人間がキャラクターチェンジなんて出来ますか?」

 

 なるほど、彼女の言うことは尤もである。

 ちなみに、星4ガチャの排出率は恐ろしく低い。もし、ここで星4キャラを引けなければ───

 

「…………。念の為聞きますが、転生先は?」

「主人公かアイリスですよ、おめでとうございます」

 

 それならバトルガールの世界に行って女の子とイチャコラしている方がいい。

 ろくに戦えない主人公とろくに戦えないヒロイン。転生したら先ず詰むだろう。

 

「女子大生だったんですね、そんな体型で」

「すみませんね!こんな体型で!いたくてこんな体型でいる訳じゃありませんよ!!」

 

 年齢は確かに19ではあるが、体型は小学生の頃からまるで成長していない。親戚の小学生と同じくらいの体型で、その友達は自分よりも胸がある。

 悲しいかな、これが現実だ。ボンキュッボンになる前に死んでしまった。

 

「否定権、ないので」

「じゃあせめて主人公転生はやめてくださいお願いします」

「はいがんばってください」

「話を聞いください!?」

 

 こうして無理矢理転生させられました。おばあちゃんお母さん、私を助けてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 転生先はアイリスであった。

 主人公じゃないことには助かりましたがここで一つ言わせてください。

 

「なんで森の中に転生させたの?」

 

 あまりにも酷い。私が前世で何をしたというのだ。

 ちょっとお母さんの作った料理をつまみ食いしたり、お父さんが大事にしていたツボを壊しただけじゃないですか。あまりにも理不尽すぎませんか、と思わず天を仰ぐ。空はうんざりするほどの晴天だったが、生い茂った木々のせいで僅かな光しか差し込まない。

 そんなことよりもキャトラはどこだろうか。

 

「アイリスー!アイリスー!!」

 

 上から声がした。聞き覚えのある声に視線を動かすとそこには。白色碧眼の猫がいた。キャトラだった。

 

「助けてー!助けてー!!」

 

 変なツタに捕まってました。ツタはうねうねと蛇のように動く触手のよう。

 リアルで見ると気持ちが悪い。

 残念なことに魔術師のアイリスにはこれをどうする手段はない。一応、杖はあるが使い方なんてわからないし頭に雷マークを刻んでいるハリーしているポッターではあるまいし杖を持った瞬間に髪の毛が上がったりもしない。それに、呪文も何ひとつとして知らないのである。万が一、億が一にも呪文を知っていたとしてもそれはきっと自爆して辺り一体が焦土になるのは目に見えている。

 それにキャトラのツタを解こうとしたら絶対によからぬ展開になるのは目に見えていた。

 答えは決まった。ここでアイリスが取るべき選択、それは───

 

「主人公が来るまで、待つ」

 

 それしかないだろう。




あうあうー!梨花に呪われたのですよー!!
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