鬱蒼と茂った緑。道は舗装も整備もされておらず、星たぬきやコボルト、ジャガーが通った後であろう場所を歩くしかない。しかし、それは同時にモンスターたちと出会うということであった。
「アキト、本当にこの道で大丈夫なの?」
「ああ」
「……全く道がないのだけど」
「立ち入り制限区域だからじゃないのか?」
草陰から飛び出してきたグレイルジャガーを殴り飛ばしながらそう返してくるアキトを見て、引き攣った
もし、今アキトではなく自分が狙われていたら───なんて考えてしまったせいで背中に冷や汗が伝う。今から前言撤回して来た道を引き返したいところだが、アキトと離れて無事で居られる保障もない。ならば、少なくともまだ安全が保障されているアキトの横にいた方がいいだろう。
「ギルドの人はなぜ動かないんだろう」
「あんな大金を請求するような組織だ、いろいろ資金が不足してるんじゃないのか?」
多分な。そう後付けするアキトであったが、なるほどと納得する。運営費、維持費、人権費。何をするにもお金が必要となってくる。大陸の都市ならまだしも、ここは辺境の人通りの少ない島だ。冒険者の少ないこの島では赤字続きだとしても不思議ではない。
「……ほら、言ってる間に今回の目標だ」
言っている間に眼前に目標であるグラマラスクイーンを見つけた。このまま討伐すればそのまま任務達成───となるのだが、どうやらこの世界はアイリスにとってハードモードのようだ。三つの頭を持ち、その頭部に生える突起はまるで王を冠する冠のような形だ。下には二つの砲身が飛び出ており、何処からどうみてもアイリスたちが知っているグラマラスクイーンではない。
「ねえアキト」
「なんだ」
「私の知ってるのと影も形もないんだけど」
無言でアキトは剣を構え、真剣な面持ちで目の前の怪物を睨む。
「アイリスは後ろから支援を」
その言葉でアイリスもようやく臨戦態勢に入る。アキトがこう言うということは、先程と同じように軽口を叩いて戦えるような相手ではないということだ。
そんな中、空気を壊すかのようにキャトラが飛び出し、アキトの真横に立った!
「アキト、私は!?」
「お前は───」
キャトラの身体をがしっと掴むと、全力投球した。
「囮にでもなってろ!」
「ぎにゃぁあああ!?」
なぜアキトはこうもキャトラに対して当たりが強いのか理解に苦しむが、もしかしたら朝方アキトの朝食を盗み食いしたのをまだ怒っているのかもしれない。
「無事帰れたら、また作ってあげよう」
アイリスはそう呟くと、レクス・ルークスを構えた。