無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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14.デート

「今日はこれから、私とデートして欲しいの」

 

 

「え、あ、はい。行きましょう」

 

恋人役をし初めて数日。女性との付き合いなんて皆無だったアリシアも随分慣れた。

そして、授業後。すぐに来たクルルシファーはデートのお誘いをした。

反射的にOKを出していたが、後から思うととても恥ずかしかった。

しかも回りからは黄色い声が上がっており、クルルシファーは平然と、アリシアはバレない程度に、そそくさと教室から去っていった。

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

「さて、残念ながら俺はこっちに来てから1週間しか経ってない身。どこにも連れて行けるような所なんて、知らないよ?」

 

今はクルルシファーと並んで町を歩いている。

行った通り、アリシアは1週間前に城塞都市に来たばかりであり、こっちに来てからもあまり外出はしなかったため、女性を連れていけるような所など知っていなかったのだ。

 

「残念ながら私もあなたには期待してないわ」

 

分かり切っていながらもひどいと思う。

そうして数分歩いて行くと、美麗な看板と彫り物の飾りがついた、大きめの洋服屋にたどり着いた。

 

「さ、行きましょう?」

 

クルルシファーが入って行ったため、後に着いていく。

 

 

 

ーーーそして一時間。

 

「......って俺の服だったんだな」

 

そう。ここで購入したのはなんとアリシアの服だった。

 

「安心した。試着した限りでは礼服もなかなか似合っていたわ。さすがは、軍の指導教官様ね。」

 

他人事のような笑みを浮かべ、クルルシファーが返す。

 

「いやでもーーー、流石に払ってもらうのは.....」

 

男としてのせめてもの威厳が......。

 

「気にしなくていいわ。私が自由に使えるお金の範囲だから。たいした額でもないし」

 

さらりと言う辺り、やはり彼女もお嬢様なのだと、改めて思い知る。

アリシアも少なからず給料は貰っていたが、大半はルクス達の借金返済に当てていた。

こんなことになるなど思ってもいなかったため、生活に必要な分しか残していなかったのだ。

 

などと、話していると.....

 

 

 

 

 

「.....ッ⁉ 危ないッ!」

 

アリシアは叫ぶと同時に、クルルシファーへ抱きつくような形で、身体を押す。

 

直後、鞭のようなものが高速で伸び、何もない空間を巻き取った。

同時にーーー

 

「動くなよ、上から仲間が狙ってる」

 

ローブを纏った男が一人、ナイフを突きつけてくる。

屋根の上にはドレイクが3機。

一つ舌打ちすると、アリシアは剣帯から機攻殻剣を外し、地面に置いた。

クルルシファーも両手を上に上げるが、

 

「どうにかして、隙をつくって貰えないかしら?機竜召喚したいわ」

 

小声で言ってきた。

アリシアは小さく頷く。

そしてーーーーー

 

 

 

「ぐふっ......!」

 

アリシアは目の前のローブの男の腹に、右ストレートを見舞った。

ドレイクは驚いたように一瞬動きを止め、そして機竜息銃を構える。

だがアリシアはそのローブ男の首もとを掴むと、空に掲げる。

ーーーその男を盾にするようにして。

 

流石にドレイクは発砲しなかった。

隙としては十分以上だろう。

 

 

 

 

 

「ーーー転生せよ。財貨に囚われし災いの巨竜。遍く欲望の対価となれ、≪ファフニール≫」

 

 

 

「デートの邪魔をした借りは、返させて貰うわ」

 

そうとだけ言うと、クルルシファーの機竜ーーーーーファフニールが素早く動いた。

一動作が一秒にも満たない、標準を定める間もない恐るべき早撃ち、そして、三方向への発射にも関わらず、異常な速さと正確さで、全てのドレイクを打ち緒とした。

 

だが決して、賊の動きも悪い訳ではなかった。

つまりーーーーー

 

(あれが、財禍の叡智......)

 

以前リーシャより聞いていたファフニールの神装だろう。

間近でそれを見、その恐ろしさを垣間見た衝撃に、呆然としたいた。

そして気付いた。

 

「あ」

 

右手で持っているローブだが、中身がなかった。

急いで周りを見回すと、ナイフを片手に走り去る男が見えた。

だがその先には、細身の女性が立っていた。

 

「危ないッ!」

 

咄嗟に、後ろの白い機攻殻剣を抜こうとしたがーーー、

 

「助けなら、必要ないわ」

 

「え......?」

 

真顔のクルルシファーに、そっと手で制止される。

 

「随分と治安が悪いのですね。この国はーーー」

 

キンッ!

 

静かに女性が呟いた直後、賊のナイフが宙を舞った。

 

「動かないでください。手もとが狂いますから」

 

その場で尻餅を着いた男は、長剣の切っ先を喉元に突きつけられる。

女性の持つ長剣の表面には、無数の銀線が走っているーーー機攻殻剣だ。

 

そして、その女性は顔を上げた。

 

「ご無沙汰しております。お嬢様」

 

その言葉に合点がいった。

つまりこの女性こそーーー

 

「ええ、彼女はエインフォルク家の執事、アルテリーゼ・メイクレア。私の様子を見に来た、エインフォルク家の従者よ」

 

「場所を変えてもよろしいですか?ここは話をするには不向きです」

 

アルテリーゼと呼ばれた女性は、そう静かに申し出る。

 

遅れてやってきた警備兵ーーーーー面識はないーーーーーに事情を話し、賊を引き渡すと、アリシアとクルルシファーは、アルテリーゼの後に従った。

 

 




すべきことが山程ありますが、なるべく早め早めに出そうと思いますので、気長にお待ち下さい。
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