「おお、やっと来たか、アリシア」
バルゼリットと決闘することとなった日の翌日。
夕刻にリーシャから依頼があるということで、工房を訪れたアリシア。
中に入るとそこには、リーシャを始め、ルクス、アイリ、ノクトがいた。
とりあえずルクスの隣に座ると、ノクトが紅茶を淹れてくれたため、それを啜る。
「まったく、お前も随分落ち着いた奴だな」
リーシャに呆れられたが、気にしない。
一呼吸置いて、
「それで?実際依頼じゃないんでしょ?」
アリシアが尋ねると、アイリが頷き、数枚の紙をその場に広げた。
「これはーーーーー」
「はい。《バハムート》と《ゼル・エル》の出力解析結果です。前回の戦闘をノクトのドレイクで観測させていただきましたので」
ルクスとアリシアはそれぞれの紙束に目を通す。
「それよりアリシアよ。ひとつ聞きたいんだが」
粗方読み終えると、リーシャが聞いてくる。
「何ですか?」
「お前の機竜、バカみたいに出力が高いがなんでだ?」
当然の疑問だろう。隣のルクスの結果と比べても、倍に近い数値が出ていた。
「出力を落とそうかとも思ったんだが、流石に高すぎるし、この前も十分戦えていたからな。理由を聞いてから変えようかと思ってな」
なるほど、リーシャなりにちゃんと考えてくれているようだ。
「あー、俺の機竜が装着中に神装を使えないことは知っていますか?」
こくりと頷く。
「理由も知ってるかと思いますが......」
そこで急にアリシアの声は小さくなっていく。
「アリシア?」
リーシャが聞いてくるも、アリシアは下を向き、表情がわからない。
「確か、要求出力が高過ぎるからだったと思いますが、使えないものにエネルギーを流すのは非効率的ですから、神装への出力を完全に切ってるらしいですよ」
ルクスが助け船を出してくれた。幸いリーシャは怪しむ様子はなかった。
「最低出力でもなのか?」
さらに疑問をぶつけてくる。
「切ってると言うより、切れてる、ですけどね」
それには再起動したアリシアが答えた。
「たぶん初期設計から最低出力を高くしてあると思います。最低出力でさえ今のバハムートより少し高いですから。て言うか、何かロックがかかってるようで神装へのエネルギー供給をオンにはできませんでしたよ」
紅茶を一口飲み、
「つまりこの機竜は神装は諦めて、出力で押す感じですね」
「じゃあ、出力はそのままでいいんだな?」
「微調整してくれると言うのなら、喜んでお願いします」
リーシャの確認にアリシアは頷く。
「ルクスのもーーーそれを見ながら、私が細かい出力の調整をバハムートにしておいたんだ。無駄に使われていそうな出力をできる限りカットしたから、前よりだいぶーーーーー楽に戦えると思う」
「ありがとうございます。リーシャ様」
ルクスが笑顔を向けると、リーシャはぽっと顔を赤らめて、視線を逸らす。
「私とノクトもお手伝いしていますからね。兄さん。アリシアさん」
「あ、二人とも、ありがとう」
「ありがとな、二人とも」
「Yes,恐縮です」
「なっーーーーー」
背後で絶句するリーシャをスルーして、アイリは話を続ける。
「お二人とも?長時間戦って欲しいという意味ではありませんからね?」
「あ、うん。わかってるよ」
アイリの念押しに、ルクスは返事をし、アリシアは渋い顔をする。
「ありませんからね?」
「りょ、了解」
更なる念押しに、ようやくアリシアも返事をする。
返事を聞き、アイリは満足そうな笑顔を向けてくる。
コンコン。
という軽いノックが聞こえてきた。
「こんばんわーっす!」
返事をする間もなく、ティルファーが入ってくる。
「みんな何やってるの?面白そうだから私も混ぜてよー」
その高いテンションに一同、渋い顔をする。
「何をしに来たのですか?ティルファー」
みんなに代わってノクトが、呆れたように尋ねる。
「えっとね、男子二人に伝言なんだよ。レリィ学園長から、今夜は後5分くらいしたらーーーーー、お風呂入れそうだってさ」
「あ、そうなんだ」
「どーも」
どうやら珍しく、ちゃんと目的があって来たようだ。
「じゃあーーーーー」
「僕達は行ってきてもーーーーー」
「むう.......、仕方ないな。今日は解散だ。この話は、また今度にしよう」
アリシアに続きルクスもリーシャの許しを得て、工房を出る。
そして何事もなく、ルクスとアリシアは入浴を終えた。
遅くなった割りに短くてすみません
次回はいつになるかわかりませんが、
8月上旬中には出せるはずです。