無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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16.夜の密会

「おお、やっと来たか、アリシア」

 

 

 

バルゼリットと決闘することとなった日の翌日。

夕刻にリーシャから依頼があるということで、工房を訪れたアリシア。

中に入るとそこには、リーシャを始め、ルクス、アイリ、ノクトがいた。

とりあえずルクスの隣に座ると、ノクトが紅茶を淹れてくれたため、それを啜る。

 

「まったく、お前も随分落ち着いた奴だな」

 

リーシャに呆れられたが、気にしない。

一呼吸置いて、

 

「それで?実際依頼じゃないんでしょ?」

 

アリシアが尋ねると、アイリが頷き、数枚の紙をその場に広げた。

 

「これはーーーーー」

 

「はい。《バハムート》と《ゼル・エル》の出力解析結果です。前回の戦闘をノクトのドレイクで観測させていただきましたので」

 

ルクスとアリシアはそれぞれの紙束に目を通す。

 

「それよりアリシアよ。ひとつ聞きたいんだが」

 

粗方読み終えると、リーシャが聞いてくる。

 

「何ですか?」

 

「お前の機竜、バカみたいに出力が高いがなんでだ?」

 

当然の疑問だろう。隣のルクスの結果と比べても、倍に近い数値が出ていた。

 

「出力を落とそうかとも思ったんだが、流石に高すぎるし、この前も十分戦えていたからな。理由を聞いてから変えようかと思ってな」

 

なるほど、リーシャなりにちゃんと考えてくれているようだ。

 

「あー、俺の機竜が装着中に神装を使えないことは知っていますか?」

 

こくりと頷く。

 

「理由も知ってるかと思いますが......」

 

そこで急にアリシアの声は小さくなっていく。

 

「アリシア?」

 

リーシャが聞いてくるも、アリシアは下を向き、表情がわからない。

 

「確か、要求出力が高過ぎるからだったと思いますが、使えないものにエネルギーを流すのは非効率的ですから、神装への出力を完全に切ってるらしいですよ」

 

ルクスが助け船を出してくれた。幸いリーシャは怪しむ様子はなかった。

 

「最低出力でもなのか?」

 

さらに疑問をぶつけてくる。

 

「切ってると言うより、切れてる、ですけどね」

 

それには再起動したアリシアが答えた。

 

「たぶん初期設計から最低出力を高くしてあると思います。最低出力でさえ今のバハムートより少し高いですから。て言うか、何かロックがかかってるようで神装へのエネルギー供給をオンにはできませんでしたよ」

 

紅茶を一口飲み、

 

「つまりこの機竜は神装は諦めて、出力で押す感じですね」

 

「じゃあ、出力はそのままでいいんだな?」

 

「微調整してくれると言うのなら、喜んでお願いします」

 

リーシャの確認にアリシアは頷く。

 

「ルクスのもーーーそれを見ながら、私が細かい出力の調整をバハムートにしておいたんだ。無駄に使われていそうな出力をできる限りカットしたから、前よりだいぶーーーーー楽に戦えると思う」

 

「ありがとうございます。リーシャ様」

 

ルクスが笑顔を向けると、リーシャはぽっと顔を赤らめて、視線を逸らす。

 

「私とノクトもお手伝いしていますからね。兄さん。アリシアさん」

 

「あ、二人とも、ありがとう」

 

「ありがとな、二人とも」

 

「Yes,恐縮です」

 

「なっーーーーー」

 

背後で絶句するリーシャをスルーして、アイリは話を続ける。

 

「お二人とも?長時間戦って欲しいという意味ではありませんからね?」

 

「あ、うん。わかってるよ」

 

アイリの念押しに、ルクスは返事をし、アリシアは渋い顔をする。

 

「ありませんからね?」

 

「りょ、了解」

 

更なる念押しに、ようやくアリシアも返事をする。

返事を聞き、アイリは満足そうな笑顔を向けてくる。

 

 

 

コンコン。

 

という軽いノックが聞こえてきた。

 

「こんばんわーっす!」

 

返事をする間もなく、ティルファーが入ってくる。

 

「みんな何やってるの?面白そうだから私も混ぜてよー」

 

その高いテンションに一同、渋い顔をする。

 

「何をしに来たのですか?ティルファー」

 

みんなに代わってノクトが、呆れたように尋ねる。

 

「えっとね、男子二人に伝言なんだよ。レリィ学園長から、今夜は後5分くらいしたらーーーーー、お風呂入れそうだってさ」

 

「あ、そうなんだ」

 

「どーも」

 

どうやら珍しく、ちゃんと目的があって来たようだ。

 

「じゃあーーーーー」

 

「僕達は行ってきてもーーーーー」

 

「むう.......、仕方ないな。今日は解散だ。この話は、また今度にしよう」

 

アリシアに続きルクスもリーシャの許しを得て、工房を出る。

 

 

 

そして何事もなく、ルクスとアリシアは入浴を終えた。

 

 




遅くなった割りに短くてすみません
次回はいつになるかわかりませんが、
8月上旬中には出せるはずです。
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