無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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な、長くなってしまいました。



17.作戦開始

「では、本日の作戦決行の、予定変更点についていくつかあげる」

 

 

 

 

教官のライグリィが、微かに苦い顔を見せて言う。

 

 

先日の情報交換の翌日。

作戦決行の当日となるその日に、ルクス、アリシアを含めた十五人ほどの騎士団の団員は、演習場の控え室に集まっていた。

だが、何故かーーーーー、

 

「まずーーーーー今回の作戦に、留学生のクルルシファーも、特別に参加してもらうこのになった。」

 

「よろしく。みんな」

 

そう。クルルシファーがいるのだ。

留学生は他国との関係で普通はこういう作戦には出ないはずだが、本人の強い希望だそうだ。

だが、例外はそれだけではなかった。

 

「そしてこの方はーーーーー」

 

「ああ、紹介はオレ自らしよう。教官の手を煩わせることもあるまい」

 

アリシアは内心舌打ちした。

俺とて教官やってるんだがな、と思いながら。

そしてライグリィの隣を見ると、見覚えのある男がいた。

 

「オレの名はバルゼリット・クロイツァー。この度の幻神獣討伐及び遺跡調査の任に関し、手助けになればと思い、協力を申し出た」

 

決闘相手のバルゼリットだった。

 

 

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

「これが、『箱庭』.......」

 

隣でワイバーンを纏い、滞空するルクスが言う。

 

出発してから十数分。

城塞都市から二十klほど離れたところにそれはある。

アリシア自身は周辺警備も、内部探索も行ったことはあるが、ルクスは中に入る機会はなかったのだろう。

少し物珍しそうに眺めていた。

 

「おい。みんな気をつけろ!前方に幻神獣を確認した!」

 

そこにリーシャからの竜声が届く。

ルクスもすぐに警戒態勢をとった。

 

そこにいたのは半身を岩の鱗に覆われた、金属の巨兵だった。

通称、ゴーレム。

巨驅を誇る、大型の幻神獣。

今回の討伐目標だ。

 

「時間がかかり過ぎるわね」

 

そう言ったのは今回特別に付いてきてるクルルシファーだ。

元々予定していた作戦では、ワイバーンで敵を撹乱し、地上からワイアームの最大充填した機竜息砲で胸部へ攻撃、核が露出するまで削り続けるというものだった。

 

「陽動と攻撃は、私に任せてもらえるかしら?その方が早いわ」

 

つまり一人でやるということだ。

 

「ちょっと待て!流石のお前でもそれはーーー」

 

「じゃあーーー行動を開始するわ」

 

そうとだけ言って、本当に一人で二役をこなし始めた。

 

(やはり何か焦ってる......)

 

ルクスも気付いているであろう。

アリシアは少しルクスを見るも、ルクスもクルルシファーの突進に茫然としながら、リーシャの説明を聞いているところだった。

 

 

 

グ.......ォォアアア!

 

 

 

いつの間にか、ファフニールの連射でゴーレムの胸部と核を撃ち抜いていた。

 

一瞬の後、歓声が上がった。

 

「ええい、静かにしろ!まだ作戦の途中だぞ!」

 

それに対し、リーシャが怒鳴り散らしている。

だがーーーーー

 

 

「みんなっ!気をつけてーーー何か来る!」

 

地上にいたティルファーが、警戒の声を上げる。

 

「レーダーによる敵影を確認。新手の幻神獣です」

 

続いてノクトも声を出す。

そこにいたのは、短剣ほどの牙を持ち、赤黒い口を凶悪に歪める、化け物だった。

 

「ディアボロス......か!」

 

リーシャが眉をひそめて叫ぶ。

 

「ーーーギエェァアァアアエイアァァァッ!」

 

同時にディアボロスが絶叫にも似た、唸り声を上げた。

そして空を蹴る。

それと同時にーーーーー

 

「『厄災』!」

 

アリシアも声を張った。

 

ノクトの元へ爆発的な速度で迫ったディアボロスとノクトとの間に、間一髪でアリシアが間に合う。

 

「逃げろ!」

 

頷くことさえせず、すぐにノクトは引き下がった。

だが、ディアボロスの力は半端ではなかった。

厄災を使ったアリシアでさえ、押されることはなくとも、押し返すことができないのだ。

このまま保持することは可能だが、アリシアにも当たる可能性があるため、騎士団は攻撃ができない。

ーーーそう、騎士団は。

 

 

 

「ふ、はははははッ!」

 

 

瞬間、バルゼリットの哄笑が響き、バルゼリットの纏う神装機竜《アジ・ダハーカ》の両肩に連結された特殊武装、《双頭の顎(デビルズグロウ)》が火を噴いた。

アリシアと拮抗するディアボロス目がけ、二筋の閃光が襲いかかるーーーが、紙一重で敵は空に逃れ、しかしディアボロスを押し返そうとしていたアリシアは、前にーーー先程までディアボロスのいた位置につんのめる。

 

そしてその閃光が爆ぜた。

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

どこからともなく悲鳴が上がる。

騎士団は混乱状態だ。

 

「バルゼリット!貴様......!」

 

リーシャが睨み付けるも、その混乱を見逃すディアボロスではなかった。

 

「グルアァアァアア!」

 

再度、咆哮を上げディアボロスは、しかしまたもノクトを追った。

ノクトもアリシアの被弾に動揺しており、とても防御も回避も間に合わなかった。

 

 

 

「ーーーーーッ!」

 

 

 

またもやアリシアが割り込まなければ。

 

「ガアァアァアアッ!」

 

ディアボロスは二度も攻撃を止めたアリシアに、猛攻撃をする。

単なるパンチのようだが、一発の威力が桁違いだ。

そう気づいた時にはアリシアは、厄災での全力を持って、伸ばされた右腕を切り落としていた。

 

「ギエェァアァアアエイアァァァッ!」

 

そこでディアボロスは距離を取ると、ようやくその場に滞空し、様子見の態勢をとっていた。

 

そこにーーーーー

 

「どうだ、教官殿?このオレと勝負しないか?あの幻神獣を、どちらが先に倒せるのか」

 

アリシアはあえて何も言わず、意識はディアボロスに向けながら、冷ややかな視線をバルゼリットに向ける。

 

「いい加減に、ふざけた真似はやめてもらえるかしら?」

 

側に戻ってきたクルルシファーが、いつになく真剣な声で割り込んだ。

 

「あなたより先に私が敵を始末するわ」

 

そして、少し離れたとこに滞空するディアボロスに向かって、クルルシファーは飛翔した。

そして接近すると同時に、特殊武装《凍息投射(フリージング・カノン)》を構えて、幻神獣を狙う。

だが、

 

「......ッ!?どうして、ファフニールの予知がーーー?」

 

交戦の瞬間、クルルシファーの横顔に動揺が走り、動きが止まる。

そしてその瞬間にディアボロスが火を噴き出した。

 

「危ないッ!」

 

厄災は切れていたが、アリシアはとっさに最大出力で、クルルシファーを突き飛ばす。

 

「アリシア!」

 

ルクスが叫び、リーシャはすぐに射撃を開始。

すぐにルクスと騎士団も集中砲火を浴びせるも、全てかわされる。

 

「やれやれ、やはりオレの助けが必要じゃないか」

 

地上にいたバルゼリットが砲撃を行う。

当然ディアボロスはそれをかわすーーーーーが、

 

「グアアァッ!?」

 

その胸に、一本の戦斧が、突き立っていた。

そう。バルゼリットが地上から投擲し、当てたのだ。

だが、ディアボロスはあくまでも、周りに障害物のない空中にいた。

だがバルゼリットはどこに逃げるかがわかってるかのように投擲し、見事に命中せしめたのだ。

 

 

みんなが呆気に取られていたが、

 

「グ、ルァアアアア........!」

 

突然、胸に大穴の空いたディアボロスが声を上げると、その体が倍以上に膨れ上がった。

 

「全員、障壁を最大出力だ!」

 

リーシャの叫びが耳に届く、と同時に、

幻神獣の全身に赤い亀裂が入り、光を帯びた。

 

そしてアリシアはそれに気がついた。

 

「どうして.....動かないの?私のファフニールがーーーーー」

 

クルルシファーが、状況を理解している様子もなく、そしてその機竜が、ガタガタと震えていた。

 

 

ーーーーー暴走の兆候だ。

 

だが、暴走することも危険だが、クルルシファーはこのままではろくに障壁を展開することなく、爆発に飲まれる。

アリシアはそこまで考えが至った瞬間駆け出していた。

 

厄災は切れている。

アリシアは機竜咆哮も使用し、クルルシファーを抱き抱え。必死に耐える。

視界が真っ白に染まった瞬間ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーアリシアは意識を失った。

 




少し家を空けるので、次回はいつになるかわかりません。
8月中旬.......お盆ぐらいには出せるようがんばります。

それと毎回の誤字・脱字報告ありがとうございます。
これからもお願いします。
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