無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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最初はグロいです。
注意。


18.遺跡

白い空間にいる。

 

白い空間が広がってるだけだ。

 

足が着いているのかさえ、わからない。

 

そんな白い空間にいる。

 

「アーちゃん」

 

いつの間にか、ピンクの髪を下げた大人しそうな少女がいる。

 

年は十歳ぐらいだろうか。

 

そう。フィルフィだ。

 

だが、アリシアがフィルフィの方へ一歩踏み出すと、それに気づいた。

 

フィルフィの体の下半身が、ない。

 

そしてフィルフィの横には、腰までしかない下半身がある。

 

アリシアは驚きのあまり声も出せずに一歩後ずさると、

 

トンッ

 

背中に触るものがあった。

 

急いで後ろを振り返ると、そこには、

 

年は十五、六くらいだろうか。

 

特徴的な白髪に、整った顔、鋭利な目は剣の刃を想像させる。

 

フギル・アーカディアだ。

 

胸を撫で下ろし、もう一度見ると、

 

フギルの目はなかった。

 

目のあるべきところからは血が溢れていた。

 

「アリシア」

 

呼ばれ、右を見ると、

 

優しそうな笑顔で、茶髪の女性が立っていた。

 

どこかアリシアを思わせるその顔は、

 

アリシアの母、ライラ・レイヴンだ。

 

「母さん」と呼ぼうとして、それは起きる。

 

ライラの体が一瞬にして膨れ上がった。

 

そして、濁流の如き赤黒い液体が流れてきた。

 

いつの間にか白い空間は真っ黒に染まっている。

 

そしてそこは、見える限りの

 

人、人、人、人、人、人、人.........

 

だかその全ての人は正常ではない。

 

ある人は両腕がなく、ある人は体に穴が開き、ある人は頭が割れ脳が見えある人は........

 

アリシアは悲鳴を上げた。

 

そしてアリシアは血の如き奔流に飲み込まれる。

 

アリシアは必死に手を伸ばし、足掻き、もがき続けた。

 

 

 

 

 

ーーーーー誰かが手を取り、助けてくれると信じて

 

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 

 

 

「....シ..ん!ア..シ....くん!アリシア君!」

 

その声にアリシアは跳ね起きる。

 

そして声の方を向くと、暗くて分かりにくいが、クルルシファーが心配そうな目でこちらを見ている。

 

「随分うなされてたけど、大丈夫かしら?」

 

だが、アリシアにはその声も聞こえてないようだった。

 

 

 

「みんなと.....ごうりゅうしないと.....」

 

アリシアは独り言のように呟き、遅い速度で立ち上がった。

 

「ちょ、ちょっと.....大丈夫なの?」

 

クルルシファーが声をかけてくれるが、気づかず、一歩踏み出そうとすると、視界が急に傾いた。

 

ぱたん

 

アリシアは自分が倒れたことに気がつかない。

十七歳の男性が倒れたとは思えない軽い音だった。

 

「アリシア君、落ち着いて」

 

少々強めのその声で、やっと自分が倒れていることに気がついた。

再び立とうとするも、

 

「だから落ち着きなさい」

 

クルルシファーが肩に手をかけて、止める。

だがアリシアはそれを振りほどき、尚も立とうとする。

だが、それは叶わなかった。

クルルシファーが後ろから抱き着いてきたのだ。

 

「クルルシファー.....?」

 

アリシアは初めてクルルシファーに声をかけた。

 

そのまま永遠にも感じられた数秒が経って、

 

「落ち着いたかしら?」

 

微笑を浮かべるクルルシファーと目が合った。

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

 

「随分と取り乱していたようだ。すまない」

 

あれから一分くらいの後、ようやくクルルシファーは離してくれた。

 

「らしくないわね。あなたが、上の空状態なんて」

 

それにはアリシアは苦笑いしながら返す。

 

「それはこっちの台詞なんだけどね。クルルシファーこそ、らしくないぞ?随分焦ってるように見えたが」

 

すると驚いたように身を見開き、

 

「驚いたわ.....。あなたちゃんと周りを見ているのね」

 

「すっごい馬鹿にしてるだろ」

 

笑いが漏れた。

少なくとも、馬鹿話ができるくらいには回復したようだ。

そして気付く。

アリシアの横には炭が転がっており、だんだん明るくなってきたことに。

 

「.....もしかして、一晩寝てた?」

 

恐る恐る聞いたその質問にクルルシファーは、こくりと頷く。

 

「......すまない。迷惑をかけたな」

 

その言葉にクルルシファーは、くすりと笑う。

 

「あら?それこそ私の台詞よ?あなたが幻神獣の爆発から守ってくれなかったら、私が無事じゃなかったもの」

 

アリシアはそこでようやく状況が整理できた。

 

「じゃ、お互い様だな」

 

アリシアとクルルシファーは顔を合わせ、笑い合った。

 

 

 

 

 

††††††††††

 

 

 

 

 

「さて、じゃあどうしようか」

 

ひとしきり笑い終え、今後の方針の相談を始める。

 

「ーーー中心の祭壇へ向かいましょう。そこにきっと、みんなも集まるはずよ」

 

アリシアは考える。

負傷しているなら脱出を優先するが、幸い二人は目立った負傷はない。

みんなもそうだとするなら、合流の見込める祭壇に行くのも一つの手だ、と。

 

「......そうだな」

 

そしてアリシアとクルルシファーは祭壇へ向かい歩き出す。

 

 

 

しばらくの間、二人は無言で足を進めた。

 

「.......聞かないの?」

 

クルルシファーが問う。

先程うやむやにされた、クルルシファーが焦っている件だろう。

 

「聞いて欲しいのか?」

 

足を止めず、前を向いたまま、アリシアが返す。

 

「.......ありがとう」

 

アリシアはわざと聞いていない。

彼女自らが話せるようになるのを待っているからだ。

 

 

 

そして、十数分後、

クルルシファーとアリシアは、ついに中心地の祭壇へ、辿り着いた。

 

「どうやら、私たちが一番乗りみたいね.......」

 

クルルシファーは辺りを見回しつつ、そっとその宝石に歩み寄る。

すると、

 

『《鍵》の存在を認識しました。特殊コードの解錠を行います。問題がなければ転送を開始します』

 

突然、その場にその音が響き渡った。

瞬間、床に描かれていた模様が、目映い光を放つ。

 

 

 

光が収まると、全ての景色が変わっていた。

 

「ーーーどうやら、私たちは内部に転送されたようね」

 

青白い金属板に囲まれ、瓦礫が無数に転がる、無機質な回廊。

少し行った所には壁ーーーいや扉があった。

クルルシファーがその扉に触れた瞬間、

 

『鍵の認証を確認。第二層管理室への施錠を解錠します』

 

祭壇で聞こえたのと同じその音がなった。

同時に、その扉が開いた。

 

「そう.......。やっぱり、私は、そうだったのね」

 

部屋の中は比較的広く、壁際には棚が並んでいる。

そしてその部屋の奥には、地下へと続くと思われる階段がある。

クルルシファーは棚に向かって、歩き出した。

棚には、無数の《ボックス》が置いてあった。

従来、ボックスは時間をかけて壊す以外に開ける方法が解明されてない。

 

だが、ボックスはクルルシファーが触れた瞬間、小さな音と共に開いた。

中にあった、紙束に目を通すと、その度に「違う.....」と、静かに首を振り、奥の階段へと歩いていく。

アリシアは驚きを隠すことも忘れて、ただ茫然と見ているだけだった。

 

だが次の瞬間、ズンッと辺りに衝撃が走る。

その振動にクルルシファーは足をとられ、転んだ。

そしてアリシアは天井から、パラパラと小石が落ちてきておるのを認めると、急いでクルルシファーを抱え、階段を懸け下りた。

 

 

 

 




早くあげたかったので少し短くして切り上げました。
次回で決闘ぐらいまで行くかな?

ここまで来てバルゼリットの倒し方をまだ思い付いてない......

次回も少し遅れると思いますが、よろしくお願いします。
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