無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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遅れる詐欺してすみません。

決闘までいきませんでした。
次回も決着が着くかどうか.....



19.クルルシファー・エインフォルク

パラパラ

 

 

崩れ、塞がった階段の入口からは小石が落ちる。

クルルシファーを抱え飛び込んでから、すでに数分経っていた。

アリシアは未だに、肩を上下させて息を荒げていた。

 

「はぁっ......はぁっ......はぁっ」

 

体力に自信のあるアリシアがここまで息を荒げているのは、一重に疲れているわけではーーーーーいや実際に疲れてはいるのだがーーーーーなく、珍しく感じた命の危機ってやつから生還し、生きてることを自覚するために、たくさんの空気を吸っているのだ。

もっとも、

 

「あんまりキレイじゃねぇけどな」

 

たくさん吸いたくなるような空気ではなかった。

 

「あら?そんなに私重かったかしら?」

 

からかうように言ってくる。

 

「そ、そんなことはない!」

 

勢いよく起き上がると、否定する。

 

「ええ、そうね。ありがとう」

 

クルルシファーはにっこり笑っていた。

 

「........」

 

やはり口では勝てないアリシアであった。

 

「そ、それよりも......」

 

強引に話を変えて塞がった階段の方を見る。

 

「ちょっと突破は難しそうだな」

 

そこは階段であるため、瓦礫を除いても上から降ってくるだろう。

上から掘ってくれない限り、たぶん出られない。

 

「ちょっと、辺りの様子見でもしてくるかな」

 

言いながら立ち上がる。

 

「.......ごめんなさい」

 

いつの間にか黙って下を向いていたクルルシファーが、謝罪の言葉を述べる。

 

「気にすんなよ。それよりーーーーー」

 

言いながらクルルシファーの頭を撫でていると、不意にクルルシファーがアリシアの手を取った。

 

「もう少しだけ、わがままを言ってもいいかしら。話を聞いて欲しいの」

 

アリシアは無言で了解の意を表す。

 

「私は、遺跡の生き残りなのよ」

 

クルルシファーはぽつりぽつりと、言葉を並べ始めた。

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

クルルシファーによれば彼女は、ユミル教国の第四遺跡『坑道』で発見された。

先程のものとは別の形のボックスに入っていたらしい。

それを今の義父が発見し、養子として引き取った。

何も知らずに育っていったクルルシファーだが、段々とその事実に気がつき、それでも家族として認めてもらえるように努力を重ねた。

だが重ねる毎に、クルルシファーは家族から遠退いてしまった。

そして、ユミル教国での遺跡の暴走が起き、疫病神のように扱われ、他国に送られた。

そしてクルルシファーは、今回の遺跡調査でそれが事実だったのか確かめたかったらしい。

 

 

そしてそれは、その通りであった。

遺跡はことごとくクルルシファーに反応し、今までとは違う対応をしてきた。

 

 

「もう、いいのよ。今はもう、怖くなったしまったわ。この遺跡を探し続けて、他に私のような遺跡の人間がいても、私を認めてくれないかもしれない。そう思うと」

 

その間、アリシアはずっと無言で聞いていた。

何をするわけでもなく、ただ、ずっと。

 

「俺はーーーーー」

 

そして口を開く。

 

「俺はお前にかけるような言葉を持ってはないし、そんなことが言える立場でもないと思ってる」

 

少し怯えたような目でクルルシファーはこちらを見る。

 

「だがーーーーー」

 

今一度、浅い深呼吸をし、告げる。

 

「少なくとも俺はこの数日間、一人の女、俺の恋人として、お前に接してきたつもりだ」

 

クルルシファーの目を見、伝える。

 

「そしてわかった。お前はただ、不器用なだけの一人の女の子なんだってな」

 

アリシアは微笑む。

 

「だから俺は言おう。誰がお前の存在を否定しようが、俺はお前を一人の女の子として認めている、とな」

 

クルルシファーは、きょとんとした顔で茫然としていた。

そしてアリシアは目をそらし、

 

「あ、青臭かったか......?」

 

顔を赤らめて言った。

 

「ふ、ふふふ......」

 

何かを堪えるような顔で、笑い出した。

 

「かっこいい台詞を言ったのだから、胸を張っていればよかったわね。それじゃあ折角の台詞が台無しよ?」

 

「な........」

 

アリシアは開いた口が塞がらない。

 

「でも本当に、どうしてそんなに人がいいのかしらね。この前の国のことを考えると、男性で女性に優しくできる人なんて珍しいと思うのだけれど」

 

「本当に、何でだろうな」

 

クルルシファーの言い分もその通りである。

 

「親が旧帝国の思想に染まらず、厳しい人だったのかしら」

 

更に続ける。だがーーーーー

 

「俺は親のことは、覚えていないんだ」

 

「え......?」

 

クルルシファーは思わず聞き返した。

 

「幼いときに亡くなった.....とかかしら?」

 

少し遠慮がちに聞いてくる。

 

「それもわからない」

 

苦笑いして肩をすくめる。

 

「誰にも.......何がなんでも、絶対に、他言しないと誓って貰えるか?」

 

「誰にも?」

 

そんなことは口にせず、頷く。

 

「わかったわ。あなたの認めたクルルシファー・エインフォルクの存在に誓うわ」

 

その大袈裟な言い様に苦笑いする。

 

「じゃあーーーーー俺の機竜の神装は知っているよな?」

 

クルルシファーにはいつか話したはずだ。

無言で頷く。

 

「実は、ちゃんと、しかも大きな欠点が一ヶ所あるんだ」

 

クルルシファーはすこし肩を震わせた。

 

「俺の機竜は神装を発動する度に.......」

 

 

 

 

塞がった階段からすきま風が吹いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

 

 

「あなたそれ、アイリさんに言ってないわよね」

 

一通り話し終えると、呆れたようにクルルシファーが聞いてくる。

 

「うっ.........」

 

図星なのだ。

 

「やっぱりそうね。知ってるのなら彼女が止めないはずないものね」

 

細い目で見られると、悪いことをーーーーーいや実際に隠しているなら悪いことをしているのだろう。

 

「はぁ....。だってーーーーー」

 

アリシアは急に話すのをやめた。

首を傾げるクルルシファーに対し、アリシアは自分の口元に人指し指を伸ばしあてる。

静かに、と。

 

すると崩れたときより弱く、定期的な小さな振動が伝わってきた。

そして声。

 

「この下にいるの!?アリシア!クルルシファーさん!」

 

ルクスの声だ。

 

「おー!下にいるぞー!」

 

そこでアリシアは数秒考えると、

 

「ルクスー!他に誰かお前の周りにいるか⁉」

 

「リーシャ様だけだけど!」

 

すぐに答えてくれた。

アリシアはひとつ頷く。

 

「ルクス!そこから十分に距離をとって離れてろ!」

 

「......りょーかい!」

 

少しの後の返事の直後より、定期的な振動はなくなった。

そしてアリシアは徐に後ろの、白い機攻殻剣を抜き放った。

 

 

 

「ーーー昇華せよ、万物を絶つ諸刃の剣、我を糧とし力と化せ、≪ゼル・エル≫!」

 

 

そして白い剣竜を纏う。

 

「ちょっと離れてて貰えるか?」

 

クルルシファーは頷き、下がった。

アリシアはそれを確認すると双重刃を構えた。

もともと双重刃は両刃の双剣であり、両手に持つその剣の腹同士を合わせるように平行にし、少しだけ間を空ける、そしてその切っ先を塞がった階段に向けた。

すぐに、二本の剣の間に雷のように光が走る。

剣の切っ先は、キャノンのエネルギー充填のように光が溜まって行く。

 

そして、発射。

 

 

着弾した瞬間に瓦礫は吹き飛んだ。

アリシアはすぐに障壁を展開したため、後ろにいたクルルシファーも無事だった。

そして先程いた部屋からは二つの悲鳴が聞こえた。

一つはルクス。

もう一つの方は、女子とは思えないその悲鳴からして、リーシャだろう。

 

「く、くっくっくっ......」

 

アリシアは笑いながら機竜を解除した。

 

「あなたって.....本当に無茶苦茶だわ」

 

アリシアは後ろで呆れているクルルシファーと共に階段を登った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー確かな誓いを胸に秘めて。

 

 

 

 




相変わらずそんなに長くないですね。
もうちょっと長い方がいいですかね?
希望がありましたらお教え下さい。

.....ペースが落ちるとは思いますが。
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