決闘までいきませんでした。
次回も決着が着くかどうか.....
パラパラ
崩れ、塞がった階段の入口からは小石が落ちる。
クルルシファーを抱え飛び込んでから、すでに数分経っていた。
アリシアは未だに、肩を上下させて息を荒げていた。
「はぁっ......はぁっ......はぁっ」
体力に自信のあるアリシアがここまで息を荒げているのは、一重に疲れているわけではーーーーーいや実際に疲れてはいるのだがーーーーーなく、珍しく感じた命の危機ってやつから生還し、生きてることを自覚するために、たくさんの空気を吸っているのだ。
もっとも、
「あんまりキレイじゃねぇけどな」
たくさん吸いたくなるような空気ではなかった。
「あら?そんなに私重かったかしら?」
からかうように言ってくる。
「そ、そんなことはない!」
勢いよく起き上がると、否定する。
「ええ、そうね。ありがとう」
クルルシファーはにっこり笑っていた。
「........」
やはり口では勝てないアリシアであった。
「そ、それよりも......」
強引に話を変えて塞がった階段の方を見る。
「ちょっと突破は難しそうだな」
そこは階段であるため、瓦礫を除いても上から降ってくるだろう。
上から掘ってくれない限り、たぶん出られない。
「ちょっと、辺りの様子見でもしてくるかな」
言いながら立ち上がる。
「.......ごめんなさい」
いつの間にか黙って下を向いていたクルルシファーが、謝罪の言葉を述べる。
「気にすんなよ。それよりーーーーー」
言いながらクルルシファーの頭を撫でていると、不意にクルルシファーがアリシアの手を取った。
「もう少しだけ、わがままを言ってもいいかしら。話を聞いて欲しいの」
アリシアは無言で了解の意を表す。
「私は、遺跡の生き残りなのよ」
クルルシファーはぽつりぽつりと、言葉を並べ始めた。
△▽△▽△▽△▽△▽
クルルシファーによれば彼女は、ユミル教国の第四遺跡『坑道』で発見された。
先程のものとは別の形のボックスに入っていたらしい。
それを今の義父が発見し、養子として引き取った。
何も知らずに育っていったクルルシファーだが、段々とその事実に気がつき、それでも家族として認めてもらえるように努力を重ねた。
だが重ねる毎に、クルルシファーは家族から遠退いてしまった。
そして、ユミル教国での遺跡の暴走が起き、疫病神のように扱われ、他国に送られた。
そしてクルルシファーは、今回の遺跡調査でそれが事実だったのか確かめたかったらしい。
そしてそれは、その通りであった。
遺跡はことごとくクルルシファーに反応し、今までとは違う対応をしてきた。
「もう、いいのよ。今はもう、怖くなったしまったわ。この遺跡を探し続けて、他に私のような遺跡の人間がいても、私を認めてくれないかもしれない。そう思うと」
その間、アリシアはずっと無言で聞いていた。
何をするわけでもなく、ただ、ずっと。
「俺はーーーーー」
そして口を開く。
「俺はお前にかけるような言葉を持ってはないし、そんなことが言える立場でもないと思ってる」
少し怯えたような目でクルルシファーはこちらを見る。
「だがーーーーー」
今一度、浅い深呼吸をし、告げる。
「少なくとも俺はこの数日間、一人の女、俺の恋人として、お前に接してきたつもりだ」
クルルシファーの目を見、伝える。
「そしてわかった。お前はただ、不器用なだけの一人の女の子なんだってな」
アリシアは微笑む。
「だから俺は言おう。誰がお前の存在を否定しようが、俺はお前を一人の女の子として認めている、とな」
クルルシファーは、きょとんとした顔で茫然としていた。
そしてアリシアは目をそらし、
「あ、青臭かったか......?」
顔を赤らめて言った。
「ふ、ふふふ......」
何かを堪えるような顔で、笑い出した。
「かっこいい台詞を言ったのだから、胸を張っていればよかったわね。それじゃあ折角の台詞が台無しよ?」
「な........」
アリシアは開いた口が塞がらない。
「でも本当に、どうしてそんなに人がいいのかしらね。この前の国のことを考えると、男性で女性に優しくできる人なんて珍しいと思うのだけれど」
「本当に、何でだろうな」
クルルシファーの言い分もその通りである。
「親が旧帝国の思想に染まらず、厳しい人だったのかしら」
更に続ける。だがーーーーー
「俺は親のことは、覚えていないんだ」
「え......?」
クルルシファーは思わず聞き返した。
「幼いときに亡くなった.....とかかしら?」
少し遠慮がちに聞いてくる。
「それもわからない」
苦笑いして肩をすくめる。
「誰にも.......何がなんでも、絶対に、他言しないと誓って貰えるか?」
「誰にも?」
そんなことは口にせず、頷く。
「わかったわ。あなたの認めたクルルシファー・エインフォルクの存在に誓うわ」
その大袈裟な言い様に苦笑いする。
「じゃあーーーーー俺の機竜の神装は知っているよな?」
クルルシファーにはいつか話したはずだ。
無言で頷く。
「実は、ちゃんと、しかも大きな欠点が一ヶ所あるんだ」
クルルシファーはすこし肩を震わせた。
「俺の機竜は神装を発動する度に.......」
塞がった階段からすきま風が吹いた。
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「あなたそれ、アイリさんに言ってないわよね」
一通り話し終えると、呆れたようにクルルシファーが聞いてくる。
「うっ.........」
図星なのだ。
「やっぱりそうね。知ってるのなら彼女が止めないはずないものね」
細い目で見られると、悪いことをーーーーーいや実際に隠しているなら悪いことをしているのだろう。
「はぁ....。だってーーーーー」
アリシアは急に話すのをやめた。
首を傾げるクルルシファーに対し、アリシアは自分の口元に人指し指を伸ばしあてる。
静かに、と。
すると崩れたときより弱く、定期的な小さな振動が伝わってきた。
そして声。
「この下にいるの!?アリシア!クルルシファーさん!」
ルクスの声だ。
「おー!下にいるぞー!」
そこでアリシアは数秒考えると、
「ルクスー!他に誰かお前の周りにいるか⁉」
「リーシャ様だけだけど!」
すぐに答えてくれた。
アリシアはひとつ頷く。
「ルクス!そこから十分に距離をとって離れてろ!」
「......りょーかい!」
少しの後の返事の直後より、定期的な振動はなくなった。
そしてアリシアは徐に後ろの、白い機攻殻剣を抜き放った。
「ーーー昇華せよ、万物を絶つ諸刃の剣、我を糧とし力と化せ、≪ゼル・エル≫!」
そして白い剣竜を纏う。
「ちょっと離れてて貰えるか?」
クルルシファーは頷き、下がった。
アリシアはそれを確認すると双重刃を構えた。
もともと双重刃は両刃の双剣であり、両手に持つその剣の腹同士を合わせるように平行にし、少しだけ間を空ける、そしてその切っ先を塞がった階段に向けた。
すぐに、二本の剣の間に雷のように光が走る。
剣の切っ先は、キャノンのエネルギー充填のように光が溜まって行く。
そして、発射。
着弾した瞬間に瓦礫は吹き飛んだ。
アリシアはすぐに障壁を展開したため、後ろにいたクルルシファーも無事だった。
そして先程いた部屋からは二つの悲鳴が聞こえた。
一つはルクス。
もう一つの方は、女子とは思えないその悲鳴からして、リーシャだろう。
「く、くっくっくっ......」
アリシアは笑いながら機竜を解除した。
「あなたって.....本当に無茶苦茶だわ」
アリシアは後ろで呆れているクルルシファーと共に階段を登った。
ーーーーー確かな誓いを胸に秘めて。
相変わらずそんなに長くないですね。
もうちょっと長い方がいいですかね?
希望がありましたらお教え下さい。
.....ペースが落ちるとは思いますが。