「腰痛い...」
宿のベッドに身を投げ、髪を一つに結わえた少年―――アリシアは少し1日を振り返っていた。
―――本日朝
練習場へ行く途中、馬鹿が馬鹿やってるところへ教官として乱入した。
この事を報告するため、王城へ向かった。
だが、通されたのはなんと謁見の間、即ち女王の元だった。
アティスマータ新王国はクーデターを首謀した男が戦死したため、王様ではなく、女王が国のトップだった。
そして報告を済ませると...
「ごめんなさい、アリシア。あなたに軍の指導を全て押し付けているからですね。私個人としては、あなたには同年代の人たちと同じように過ごしてほしいのですが....」
そう言うラフィ女王は申し訳なさそうに少し俯く。
「ですが、起きてしまったことは仕方がありません。ちょうどいい機会です。あなたに1ヶ月程休暇を与えます。その間に学園に赴き、謝罪をしてきてください。」
そう言うと女王は徐にペンを走らせ、手紙を書き上げてアリシアにそれを渡した。
「どうせなら、罪滅ぼしにでも臨時教官をして来ても、いいかもしれないわね」
アリシアが手紙を受け取る。
「その手紙を門番に見せれば、中に入れてくれるでしょう。そしたら学園長にそれを渡してください」
そして、ラフィ女王陛下は微笑むと、
「休暇、楽しんで来なさい」
と言ってくれた。
「ありがとうございます」
そうしてアリシアは謁見の間を後にした。
その後練習場へ顔を出し、さっきの3人組に説教し、他の奴らにも釘を刺しておき、王都を出た。
だがしかし一ヶ月経たずして彼らと再開することになるとはこのときはまだ誰も知らない。
そして馬車に揺られること1日。
城塞都市に着いた頃には辺りは真っ暗になっており、
なおかつ、1日中座っていたものだから少し腰が痛かった。
そのため適当なところで宿をとり、今に至る、と言う訳だ。
だがそこで寝ることはせず日課である筋トレを行い、汗を拭いて、機攻殻剣を磨き、そして寝た。
翌日は波乱万丈な1日になるだろうと予想しながら。
明くる日、いつもより少し遅い時間に起きたアリシアは、身なりを整える―――と言っても、すぐに王都を出たために、ろくな着替えも持っておらず、昨日と同じ指導教官としての少々お堅い服を着直し、宿を出た。
そう時間はかからずに学園―――王立士官学校の校門へついた。
「止まれ!用のある者は通行証となるものを提示しろ!」
「ないのなら早急に立ち去れ!」
と警備員2人―――流石に面識はない―――に言われた。服の内ポケットから女王からの手紙を出して警備員に見せると一瞬訝しげな目を向けたが、その目線がアリシアの左の腰に吊るしてある機攻殻剣に向き、
「学園長に話がある。通してくれ」
とアリシアが言えば、更に数秒間睨まれ続けたが
手紙を返しながら
「案内は必要でしょうか?」
片方の男が言う。
「では、お願いします」
アリシアが言うと、もう何も言わずに歩いていったので、黙ってそれについていくことにした。
そして歩いてる時にそれに気が付き、聞いた。
「校舎から離れていっているようですが...」
すると止まることはなかったが、少しこちらを見て
「現在演習場で模擬戦を行っており、そちらにいると聞いていたので、演習場に向かっています」
と言う。
だがこの時期に模擬戦とは少しおかしい気がした。
全竜戦に向けての選抜戦はもう少し先のはずだし、士官学校とは言え、そう簡単に模擬戦をするとは思えなかったのだ。
その疑問を口にするべく、口を開けようとした瞬間、
光の柱が立った。
演習場から。
これには警備員も唖然としていた。勿論アリシアも。
唖然としながらも考えることを止めなかった。汎用機竜の装備にあんなものはなかったはずだ。つまりあれは汎用機竜じゃない―――すなわち神装機竜だ、と。
『神装機竜』それは汎用機竜を遥かに上回る出力に、神装と呼ばれる特殊能力をもった機竜。
それを学生どうしの戦闘でしかも模擬戦で使うとはこれ如何に...
そう思いながら、唖然としながら、歩いていた。
それからと言うものの轟音が鳴ったり歓声が上がったりしていたが、演習場へとあとちょっとと言うときにそれは出てきた。
ギィィィィィエェェェェェェェ!!!!!
幻神獣だった。
『幻神獣』
それは遺跡より現れる謎の生物。
色々なタイプがいたが、今回のはガーゴイル型と呼ばれるものだった。
だが1体ではなかった。
計3体だ。1体は演習場の方へ、2体は上空へと上がっていった。
そして直ぐに悲鳴が上がった。
そりゃそうだ。いるはずのない、安全なはずのところに幻神獣がいきなり現れたら普通の女子は悲鳴を上げるだろう。同時に警備員は門の方へと走り戻って行った。彼は機攻殻剣をもっていなかったからだ。
だが驚いたことに数名の生徒が避難誘導を行っていた。年長の3年がいないから動きは悪いかと思っていたが、そうでもなさそうだ。
実際に随分な量の生徒達はその避難誘導に従って避難していた。
だがそれを邪魔するものがいた。
幻神獣だ。上空へ上がっていた片方が、避難誘導をしていた特装型に分類される『ドレイク』と呼ばれる機竜を目掛けて急降下してきた。
直前にドレイクの機竜使いは気が付いたがもう遅かった。
「っ...」
息を飲んだその瞬間
「『厄災』」
アリシアは既に纏っていたワイバーンでその少女の前へと出ると、幻神獣の攻撃を受け止めた。
「下がって!!!」
助かったことへの安堵と、いないはずの、そして幻神獣の攻撃を防げている少年へ驚きが入り雑じった瞳をしていたが、直ぐに後方へと跳んだ。それと同時に幻神獣も再び中空へと飛んだ。
アリシアは追撃をする。だがその速度は汎用機竜のそれではなかった。神装機竜にも負けてなかっただろうその速度で幻神獣に追い付き、その体を一刀両断した。
「...!!!」
これには先程助けたおとなしそうな少女も目を少し見開いていた...気がする。その驚いた目には、あり得ないその速度もそうだが、幻神獣を一人でしかも一刀で倒したことへの驚きがあった。
だがアリシアはそんな少女の反応を気にも止めず上空の幻神獣へと迫った。
こちらは一刀とはいかなかったが、一刀目で片方の翼を落とし、返す剣で足を落とし、次の剣で胴体を横に薙いだ。そして絶命した幻神獣をも気に止めず、演習場へと飛ぼうとした。
その瞬間―――
また光の柱が立った
先程見たやつだ。
そうわかった時には演習場へと降り立っていたが、
そこには圧倒的な存在感を誇る1機の赤い、朱い竜がいた。神装機竜だ。
聞いたことがある。真っ赤な神装機竜とその機竜使い。
――――――リーズシャルテ・アティスマータ
そう思ったときには行動していた。先程の速度にも劣らない勢いで機竜を解除し、頭を垂れた。
「お初お目にかかります、リーズシャルテ姫。アリシア・レイヴンと申します。」
『リーズシャルテ・アティスマータ』この国の女王、ラフィ・アティスマータの娘にしてこの国の王女。
そんなお姫様であるはずだが、突然の闖入者に驚いてる様子で口をパクパクさせていた―――のを一瞬確認した後に続けざまに
「先程こちらにも幻神獣が来るのを確認しましたが...」
そこで王女は再起動したのかハッとした表情になり
「残りの2体は!?」
と身を乗り出して聞いてきたので
「私が始末しました」
とは答えたものの内心、王女らしさがなんかないな...と苦笑いしていたりした。
「そうか...さっきこっちに来たのは私が処理した。....ま、大半奴の手柄だがな」
そこまで言って、王女が機竜を解除した。
そしてそれまで機竜に隠れていたものが見えた。
.....人だ。
倒れている。
そしてその白髪と横顔には見覚えがあった。
「ルクス!?」
奇しくもそれはアリシアの親友にして戦友であった。
アリシア「第二回!激白!≪製作秘話≫のコーナー!」
パチパチパチ...
アリシア「何も考えずに始まったこのコーナーは一応第二回!第一回とてあってないようなものでしたが、やっていきましょう!」
アリシア「それではまずは本日のゲストをご紹介しましょう。こちらの方です!」
リーシャ「新王国第一王女、リーズシャルテ・アティスマータだ。気軽にリーシャと呼んでくれ。よろしく頼む」
アリシア「と、いうことで今回は本編ではまだ会って数行のリーシャ様にお越しいただきました!」
リーシャ「おほん!私が新王国の王女としてーーー」
アリシア「はい、キャラじゃない言い方をするリーシャ様は置いといて」
リーシャ「っておい!そこは王女らしさというものが必要だろう!」
アリシア「リーシャ様の王女らしさなんてそのうち崩壊しますよ」
リーシャ「なんだと!貴様!不敬罪で捕まえるぞ!」
アリシア「残念ながら俺、作者でもあるので不可能です」
リーシャ「そんなバカな!」
アリシア「逆に言えばリーシャ様を登場させないってこともできるんですよ」
リーシャ「そんな理不尽な!」
アリシア「さぁ、認めた方が楽になりますよ?」
リーシャ「わた、わ、わたしは...」
アリシア「さぁ、さぁ、さぁ」
リーシャ「...私は実は王女なんてキャラじやーーー」
アリシア「おっと今回はここまで!それでは!」
ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ......