無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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投稿ペースが落ちると言ったな。

あれは嘘だ。



基本不定期なので、よろしくお願いします。


21.婚姻?

 

 

「んっ.........」

 

 

 

 

アリシアは混乱している。

 

目の前には少し頬を赤くした、クルルシファーの整った顔がある。

 

もう一度言おう。

 

 

 

 

アリシアは混乱している。

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

「此度の件。バルゼリット卿の謀を見抜けず、婚約を推し進めようとした私の責任です。お嬢様とアリシア・レイヴン様には、謝罪の言葉もございません。厳罰はエインフォルク家に戻り次第受けますので、この場ではどうか、ご容赦のほどを.....」

 

現在、バルゼリットと決闘を決めたあの店に来ている。

そして、クルルシファーの横に座り、出された紅茶を啜っていたら、アルテリーゼが頭を下げた。

アリシアは何も言わずクルルシファーに視線を向ける。

 

「顔を上げてくれるかしら。店内で頭を下げられるのも、恥ずかしいから」

 

涼しげな顔で、クルルシファーが答える。

 

「今回の件は、私も悪かったわ。あなたも苦労するわね、アルテリーゼ。だからーーーーーおあいこよ。何も謝ることはないわ」

 

ほんの少しだけ、二人の視線が交わり、穏やかな沈黙が生まれる。

アリシアはまたも何も言わない。

 

ーーーーーいや、内心は驚愕で染まっていた。

何も言わないのではない、言えないぐらいに驚いているのだ。

あのクルルシファーが優しく、丁寧に、謝った。

それが驚きでしかなかった。

 

「もったいなきお言葉です。ですがーーーーー私の使命は、もはや解決されたも同然ですね」

 

「えっ?」

 

アルテリーゼの突然の言葉と、自分に向いた視線に、驚いていたアリシアは聞き返した。

 

「アリシア・レイヴン様の機竜使いとしての実力、バルゼリット卿の策略を見破り、罠を打ったその叡知。しかと拝見させていただきました。更に、新王国の女王陛下にも認められ、軍の上に立つその立場。我がエインフォルク家の当主も、婚約者として相応しいと判断するでしょう」

 

「うえっ!?あいや、えっとーーーーー」

 

アリシアは慌てて隣で、涼しい顔をして紅茶を啜るクルルシファーに耳打ちする。

 

「ちょ、クルルシファー!どゆこと!?言ってないの!?その.....一週間だけだって」

 

「そんな暇なかったのよ。だから今から、言うつもりだったのだけどーーーーー」

 

想定外だったのか、形相だけは焦ったように、だけど声だけはいつも通りに言う。

 

「ちょっ.....アルテリーゼさん!そのーーーーー」

 

「ご安心ください。ここからは私の仕事です。我が主であるエインフォルク家の当主には、是非あなたを婚約者にと、私の全霊を懸けて推挙させていただきます」

 

アリシアは敬語も忘れ、慌てて訂正しようとするが、

 

「ではーーー私はこれにて。料理の会計は済ませておりますので、お二人でごゆっくりどうぞ。私からの、せめてものお詫びです」

 

そう短く告げると、アルテリーゼは静かに席を立った。

 

「では、失礼致します。お嬢様ーーー。またいずれ、お伺いします」

 

「あなたもーーー元気でね」

 

クルルシファーの穏やかな笑みに、アルテリーゼは一礼して、そして出て行ってしまった。

 

「あっ.....」

 

「行ってしまったわね。ユミルに戻っても、元気でやってくれるといいけど」

 

アリシアは轟沈した。

 

「アリシア君さえよければ、正式に婚約を交えてもいいのよ?」

 

クルルシファーが悪戯っぽい笑みを浮かべて言う。

アリシアは机に突っ伏したまま、顔だけクルルシファーに向ける。

 

「でも、これであなたとの契約も、ひとまず終わりだわ」

 

学園長の気紛れで作られた、魔法の依頼書は、その効果を失おうとしていた。

『恋人』になる、というクルルシファーの依頼。

雑用の義務はないアリシアだが、初の大仕事だった。

 

「そうだな」

 

クルルシファーに振り回され続けた行ってるを思い出す思い出す。

決してーーー、悪くはなかったはずだ。

 

「報酬を払わないといけないわね」

 

クルルシファーが微笑む。

 

「あ、でもそれはーーーーー」

 

「目を瞑っててもらえるかしら?」

 

決して強い声ではなかったが、その声には有無を言わせぬ何かがあった。

 

意を決し、目を瞑る。

 

 

 

クルルシファーの近づく気配。

 

 

そして、唇に触れる、柔らかな感触。

 

思わず目を開く。

 

目の前には少し頬を赤くした、クルルシファーの整った顔がある。

 

アリシアは混乱する。

 

だが、口に入り、舌に触れ、口の中を蹂躙する、柔らかいーーーーークルルシファーの舌。

 

そして、理解する。

 

「ーーーーー」

 

アリシアは何も出来ず、何も考えれず、なされるがままとなる。

 

そして、離れる。

 

アリシアとクルルシファーの口の間に銀線が延びる。

 

「もし、アリシア君が本当に婚約してくれればーーー、この続きをしてあげてもいいわよ?」

 

アリシアは呆然とする。

 

 

「な、なにやってるんですか!」

 

突然、ノクトを連れたアイリが店内に乱入してくる。

 

「仕方がないわね。それじゃ、婚約の話は考えておいてね」

 

「こ、こんやっ.....」

 

アイリが顔を真っ赤に染め上げる。

 

「ちょ、それはーーーーー」

 

アリシアはやっと再起動する。

 

 

 

アリシアたちの、慌ただしい日常が帰って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

††††††††††

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルルシファーはアリシアに舌を絡ませながら、とある会話を思い出す。

それは、遺跡での、アリシアの話。

 

 

 

『ーーーけど、大切なことは無くなってない。アイリと初めて会ったときのことはまだーーーある』

 

 

 

クルルシファーは一つの決意のもと、この策を決行した。

 

アリシアに、自分を植え付けるのだ、と。

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

 

クルルシファー、アイリと並び、ノクトが斜め後ろより着いてくる、士官学校への帰り道。

 

頬を膨らませ、そっぽを向いたままのアイリを見ながら、アリシアはいつしかクルルシファーに言ったことを思い出し、内心アイリに謝る

 

ーーーーーごめんな、アイリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーーーーー俺の機竜は神装を発動する度に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の記憶を喰っている』

 

 

 

 

 





原作2巻相当まで終わりました。
これも一重に読者の皆様が読んでくださってのことです。
ありがとうございます。
そしてこれからも、
『無敗の最弱とその影は』
をよろしくお願いします。
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