無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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お待たせしました。
お待たせし過ぎて、アリシア君の口調忘れました...


追記:敵機竜の操縦士の特徴の書き忘れを直しました。


27.校内選抜戦・強襲

「それでは、校内選抜戦Aグループ一番ペア対、Bグループ二番ペアの模擬戦を開始する!」

 

アリシアと戦った翌日だと言うのに、演習場の、ルクスとフィルフィの反対側にはセリスティアがいた。

ルクスとの戦闘で負けたからか、ペアがサニアからシャリスになっている。

 

「アリシアさんは勝てると思いますか?」

 

聞いてきたのは無表情が特徴のノクトだ。

今回もいつも通りアイリやノクトと座って観戦している。

 

「ははは、嘘でも勝てると言った方がいいか?」

 

この試合結果で、ルクスとアリシアの在学も決定するはずだ。

負けてはならないのだ。

 

「No,軍指導者としての意見をお聞かせ願います」

 

士気のためにも勝つと言った方が良かったかとも思っていたが、ノクトは気にしないらしい。

 

「可能性は、ある」

 

アイリは話を気にもせずフィールドを見ている。

 

「フィルフィがどこまで戦えるかわからないが、シャリス先輩にルクスが無傷で勝利し、フィルフィが多少なりともセリス先輩にダメージを与えられれば可能性は十分ある」

 

アリシアもフィールドを見て、ノクトも続く。

そこでは、今まさに、戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

「ふふ、手こずらせてくれたけど、これでようやくーーー」

 

「立ち入り禁止場所で、探し物ができるーーーですか?サニア先輩」

 

フィールドではルクスとセリスの一騎討ちが始まっていた頃、図書館ではサニアとアイリ、三和音のシャリスを除く二人がいた。

 

「...何の用です?お兄さんの戦いを見守らなくていいの?アイリちゃん」

 

サニアは一瞬驚いた様な顔をしたが、すぐにそれはなくなり、アイリに話しかけた。

 

「動くな、サニア・レミスト」

 

だが、突如横から入る声。アリシアだ。

少し長めの前髪の隙間から覗くその目は、いつもからは考えられないくらい細く、鋭かった。

 

「何の用かは、言わずとも知れているだろう?ヘイブルグ共和国のスパイさん?」

 

そう言ってアリシアは懐から薄汚れた紙の束を取り出した。

それはサニアが学園の内情について記した、ヘイブルグ宛の密書だった。

 

「学園にも、王都の方にも報告済みだ。諦めてお縄につきな」

 

抜剣していた機攻殻剣をサニアにつきつける。

 

「そう簡単に捕まるとでも思っているのか?」

 

笑みを浮かべながら、サニアは三つ編みに結んだ髪を解いた。

 

「アリシア・レイヴン。お前は確か機竜を整備中じゃなかったか?だから選抜戦では、そこのドレイクを借りていたんだろ?」

 

アリシアはあくまでも表情を変えない。

 

「たかが、学生二人で捕まえられるとは...舐められたものだな」

 

サニアが機攻殻剣を抜き払う。

 

「来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜。我が剣に従い飛翔せよ、≪ワイバーン≫」

 

一瞬遅れて、ノクトとティルファーも機竜を呼び出す。

が、

 

 

 

ィイィィィィイィイイ.......!

 

 

 

 

聞いたことのある不協和音。

笛の音だ。

そして変化があったのは状況ではなく、サニアの纏うワイバーンだった。

機竜の表面に赤黒い血管のようなものが這い、装甲が悲鳴のような軋みを上げ、幻創機核が不吉な輝きを帯びた。

 

「『厄災』!」

 

それを見たアリシアは『厄災』を発動。

サニアに襲いかかる!

 

「出番だ!メス犬!」

 

だが、サニアに機攻殻剣が当たる寸前、一つの大きな影が割り込んで来た。

 

「ちっ...!」

 

それは、鈍い銀色と深緑の装甲機竜だった。

搭乗者は不気味な面をしており顔が確認できないが、装衣からして女子だろう。

そしてアリシアはその長い茶髪を見た瞬間、何か分からないが旋律を覚えた。

 

 

「っっ...!」

 

数秒間の鍔迫り合いを制したのは、身の三倍はあるのではないかという大剣を持つ、敵の機竜だった。

 

 

 

ーーーに留まらず、体勢をくずしたアリシアに追撃を放ってきた。

 

「アリシアさんっ!」

 

かろうじて攻撃を機攻殻剣に当てることが出来たが、アリシアは吹き飛んでしまう。

 

「余所見とは、随分余裕ですね」

 

アリシアに気をとられた、ノクト、ティルファーへ、サニアが剣を振り下ろす。

 

「ちょっ...」

 

ティルファーがワイアームで応戦。

ノクトはアイリを抱き抱える。

だが敵は一人ではない。

 

「...!」

 

ノクトの前に立ちはだかる、先程の銀と緑の機竜。

高々と振り上げられていた剣を無造作に振り下ろす。

ノクトはアイリを抱え込み、敵の機竜に背を向ける。

ただし、味方も二人だけではない。

 

「ノクト!アイリを安全な所に!」

 

飛ぶように戻ってきたアリシアが機竜の剣を受け止め、叫ぶ。

ノクトは頷き、ドレイクの迷彩を使い、姿を眩ます。

 

 

「変な力があるようだが、そんなのではどうにもーーー」

 

 

 

「昇華せよ、万物を絶つ諸刃の剣、我を糧とし力と化せ、≪ゼル・エル≫!」

 

 

 

アリシアは『ゼル・エル』を纏い、右の剣で、敵の機竜を吹き飛ばす。

 

はずだった。

 

 

少なくとも陸戦型の神装機竜でさえ吹き飛ばずとも押し戻せるはずだが、剣を弾くことには成功したが、その機竜はその場からは一歩たりとも動いてはなかった。

 

アリシアは怪訝そうに目を細め、左の剣を振り抜く。

だが結果は同じだった。

 

「ちっ....!」

 

やむを得ず機竜を放置、ティルファーの戦うサニアの元へ飛ぶ。

サニアに対しても右の剣で大降りをした。

こちらは狙い通り吹き飛んだ。

 

「ティルファー!学園の皆の避難を!」

 

頷いたティルファーは学園の方へ走り去って行った。

だが、吹き飛んだサニアも学園の方へ体を向けていた。

 

「待っ...」

 

追いかけようとするアリシアの行く手を阻む敵の機竜。

 

「邪魔だ!」

 

≪神速制御≫を使い剣を薙ぐ。

装甲が幾つかは破壊できると思って放ったその一撃だが、敵の機竜には大きな傷は見当たらなかった。

それどころか、こちらの足を掴み、地面に向かい投げ下ろす。

着弾寸前に体勢を立て直し、無事着地。

 

「野郎....っ!」

 

アリシアは降りてきた敵の機竜を睨み付け、再度突撃する。

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

その頃の演習場では、セリスティアが一人で終焉神獣のポセイドンを討ち取った所だ。

 

「すごい...」

 

ルクスは感嘆した。

戦闘をしながら終焉神獣の核の位置を特定、無数の触手をくぐり抜け、その核を的確に撃ち抜いてみせた。

かの終焉神獣をひとりで倒して見せた。

 

「う...あ」

 

だが流石に消耗したのか、突き立てた槍を引き抜きながら、セリスはぐらりと体を揺らした。

 

「セリス先輩っ!」

 

ルクスが慌てて側に駆け寄ると、

 

「この私に、気遣いなど...」

 

「必要です」

 

頑なな声でセリスを一言で押し止める。

 

「どうして、あんな無茶をしたんですか?あなたが怪我をしたら、ここの生徒はみんな悲しむはずです。辛いのに、辛くないフリをする人のことを、だれかが気遣わなくてどうするんですか?」

 

「......。あなたはーーー」

 

ルクスの寂しそうな声に、セリスは一瞬、驚いたように目を見開く。

が、その時、

 

「ハッハッハッハッハァー!」

 

半壊した演習場の観客席から、甲高い哄笑が聞こえてきた。

そこにいたのは、頭まですっぽり覆ったフードを被り、その下から覗く銀髪が特徴の、男か女かも判断のつかない人間。

 

「さあ、早く俺を楽しませてくれ!お前ら下賤どもが喰われゆく様を、絶望の顔を、裏切り者たちの末路を見せ、この渇きを満たしてくれ!」

 

 

 

ィイィィィィイィイイ!

 

 

 

不協和音が鳴り響く。

同時に、ズン!と演習場のリングが陥没し、大地に深い亀裂がはいった。

 

「グ...ーーーヴァァアアアアアアァァァアアアア!」

 

核を貫かれ、完全に沈黙したはずのポセイドンが、咆哮を上げ、再び蘇った。

 

再び動き出す、最強の幻神獣を見たセリスは、≪雷光穿槍≫を構える。

その時、

 

ドォン!

 

≪リンドヴルム≫が爆風に吹き飛ばされ、セリスは瓦礫の山に激突した。

 

「な......ッ!」

 

驚きとともに背後を振り返ると、そこにはーーー

 

「さすがはセリスお姉様。まだやられてはいませんでしたか」

 

穏やかな微笑を浮かべたサニアが、中空からセリスを見下ろしていた。

 

「何をしているのですか、サニア...?」

 

それを聞いたサニアは、更に獰猛な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

その頃の、図書館付近ではーーー、

 

「チッ...!」

 

基本性能の桁違いな『ゼル・エル』が、だが性能の不明な敵機を倒しきれないでいた。

 

溜めの大きすぎる≪強制超過≫や、隙の生まれやすい戦陣こそ使ってはいないが、それなりの技術は目白押しに使っているつもりだった。

 

だが、敵の装甲に傷をつけれてはいるものの、あまり大きなものはなく、有利とは言えない状況だった。

 

対してアリシアは、傷こそつけられてはいないが、男である。更に消耗の激しい『ゼル・エル』なのだ。気を抜いたらいつ限界が来るか、と時間にも迫られている。

 

だが、アリシアは学園の心配はあまりしていなかった。

何故ならーーー、

 

「あんたらには、わかんないだろうがなぁ...あの王子って、意外と頼りになるんだよな...」

 

アリシアは話しかけるも、仮面の女は無反応だ。

 

「だが反面、抱え込みやすくも、あるんだな...」

 

アリシアは腰を落とす。

 

「だから、俺は先を、急いでいる!」

 

全速で敵に接近する。

だが敵は、敵機はその場から動こうとはしない。

アリシアは二つに揃え、並べ構えていた≪双重刃≫を前に突き出す。

そして、激突。

 

 

ギィィィン!

 

 

敵の大剣に止められた。

 

ーーーが、

 

「俺も最大威力での発射は初めてだ、悪く思うなよ」

 

充填していたエネルギーを放出。

 

 

ドォォォン!

 

 

最大威力の爆風によりアリシアも吹き飛ばされるが、その爆風に乗り中空まで上昇、学園の方へ飛び立った。

 

 

 

††††††††††

 

 

 

「頭悪ィなぁ、さすがは脳筋の公爵令嬢サマだぜ!お前たちは踊らせれていたんだよ!」

 

「ッ......!」

 

ローブの言葉に、セリスは絶句する。

 

「了解ーーーそういうわけで名残惜しいですが、死んでください。セリスお姉様」

 

サニアは大型のブレードを振りかぶり、セリスに斬りかかる。

 

「ハァ......。またお前か?そりよりもいいのか?祖父の敵を庇っても」

 

「どういう意味だ?」

 

ルクスは上空で佇むサニアを睨み付け、問いかける。

 

「お前の祖父を殺したのはその女だってんだよ!」

 

サニアの発射したキャノンにルクスは被弾。

終焉神獣の咆哮とともに撒き散らかされた黒い霧により、ルクスの視界が暗転した。

 




あ、場面転換は1話につき三つまでにしようも思ったんですけど、これ4つになってますね...
わかりにくかったり、見にくかったり、ご意見あればお願いします。
それと毎回誤字報告等ありがとうございます。
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