無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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ボロボロですね...修正していきます。


28.決着

「ーーーごめんなさい」

 

漆黒の闇が辺りを包み込み、爆発で崩れた、壁面のがれきが降る中で、セリスの消え入るような声が聞こえてきた。

 

「私、言い出せませんでした...。ウェイド先生のーーーあなたのお祖父さんのことを...」

 

そうしてセリスは語り出した。

セリスが偶然耳にした旧帝国の悪事、それをルクスの祖父であるウェイド・ロードベルトにそれを話してしまい、それを進言したウェイドは投獄されてしまったらしい。

 

「だからセリス先輩は、僕の協力を受けず、ひとりで終焉神獣と戦おうと...?」

 

セリスは小さく、小さく頷いた。

 

「ごめんなさい。恨んでいますよね?でも大丈夫です。あなただけは私の命に代えても、守ってみせますから...。絶対に助けて、みせますからーーー」

 

「違う!僕はーーー」

 

ザシュッ!

 

と、瓦礫の隙間を縫ってきた触手を切り落とされ、立ち上がろうとしたセリスの眼前に、ルクスの剣が掲げられる。

キマイラに襲われたセリスを救った、あの黒の機攻殻剣を。

 

「黒の、機攻殻剣...!?それは、ルノが持っていたーーー」

 

セリスが目を見開き、震える声を上げる。

それに対し、ルクスは寂しげに微笑んだ。

 

「黙っていてすみません。お叱りは後で、ちゃんと受けますからーーー」

 

そうしてルクスは剣を構える。

 

「顕現せよ、神々の血肉を喰らいし暴竜。黒雲の天を断て、≪バハムート≫!」

 

直後、ルクスの背後に巨大な黒の機竜が現れた。

 

「漆黒の神装機竜...!?まさか、あなたは!?」

 

「安心して下さい。僕はセリス先輩を恨んでなんていませんから。必ず、あなたを守ります。あなたが尊敬していた、祖父の代わりに」

 

直後、陥没した地面を突き抜けて≪バハムート≫が飛び上がった。

 

「来たな!黒き英雄!お前までここで殺せるとは、手間が省けて助かるぞ!」

 

バハムートを纏ったルクスが現れた瞬間、サニアは凶暴な笑みを浮かべ、飛びかかる。

 

だが、

 

「すみません」

 

ルクスはまるで関心ない声でそう言うと、超高速の七連閃をサニアに見舞った。

 

「今は、あなたに構ってる暇はないんです」

 

「ッ...!」

 

サニアの≪Bーbloodワイバーン≫に無数の斬線が走りーーー崩壊する。

 

「くッ...!まだだッ!ーーー出番だ!メス犬!」

 

「なッ...!」

 

ルクスの目の前に現れたのは、鈍い銀色と新緑の神装機竜だ。

そしてその大剣を振り抜く。

だがルクスはそれを受け流し、抜き胴の要領で≪烙印剣≫を薙ぐ。

 

 

 

が、敵の機竜の装甲はまったく削れなかった。

その上ルクスの敵は一人ではない。

ずるりと、気色の悪い音に気付いたルクスが意識を下に向けると、そこにはポセイドンの触手が五本もあった。

 

「くッ...!」

 

ルクスは正面の機竜と相対してる。

そのため、下の触手の対処が出来ない。

その上セリスもまだ出てきてない。

未だに観客席から退避中だった女子達から見ても、絶体絶命だった。

 

ーーーはずだが、

 

 

 

ザシュッ!

 

 

 

一閃。

 

 

一瞬の後に五本の触手の全てが落ちた。

 

「何...?」

 

着地したサニアが不審げに声を出す。

更に触手を切って落とした流星は中空で大きく弧を描き、敵の神装機竜へ襲いかかる。

敵機と鍔迫り合いをする機竜は純白。

 

「悪い、遅くなった」

 

それは最弱とともに帝国を下した影であった。

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

「間に合ったみたいだな」

 

「アリシア...!」

 

現着したアリシアは、未だ詳細の不明な敵機と鍔迫り合いをしている。

 

「アレの相手は頼んだ。今の俺にはちょっとキツイ」

 

アレ、とは学園を蹂躙し続けている最強の幻神獣、≪ポセイドン≫。

 

既に戦闘を行っていたアリシアには終焉神獣を相手取る分の体力は残っていない。

 

それを理解したルクスは頷くと終焉神獣へと飛び立って行った。

 

 

「さて、もーちょっと相手してもらいますよ!」

 

右の剣で敵の大剣を払いのけ、左の剣で突くが何故か大剣に防がれた。

相手はそのまま大剣を押し込んでくる。

アリシアは上へ回り込み、回転しながら両の剣を同時に叩きつける。

必中のタイミングだった。

だが敵は左脚を振り抜いてきた。

咄嗟に左の剣でガードするが、敵はそのまま半回転。

そしてその勢いのまま上段にあった大剣を振り下ろす。

 

 

「≪逆鱗≫」

 

 

右の剣をガードに回し、更に『ゼル・エル』の障壁型の特殊武装を展開する。

≪逆鱗≫は大きさ、発生元、発現方法等によって強度が変化する。

今回だと直径は約四十cl、発生元は三番目に出力の高い≪双重刃≫、発現方法は二番目の相対固定。

それであれば、例えあのサイズの大剣でも悠々防げる

 

ーーーはずだった。

 

 

ピシッ!

 

 

敵の剣が振り抜かれた直ぐに装甲腕を見ると一線の傷が走っていた。

 

 

≪逆鱗≫が破られた!?

 

 

だが≪逆鱗≫も≪双重刃≫も破られてはいなかった。

それどころか傷一つない、無傷だ。

それを一瞬で確認し、敵を再認識する。

敵機は向こうの大剣の間合いよりも外で佇んでいた。

アリシアは油断なく敵を観察する。

 

 

 

 

ーーーしていたつもりだった。

 

 

ガキンッ!

 

 

アリシアが見たのは地面に突き刺さる≪双重刃≫。

 

そしてそれを持つ、『ゼル・エル』の装甲腕の一部だった。

 

いつの間にかアリシアの左側にあった大剣を、敵はアリシアに向けて振るう。

 

がアリシアは片手なくなったのが幸いし、バランスを崩し右に倒れていた。

そのお陰か大剣はアリシアの僅か上を通過した。

アリシアは大剣の間合いの倍以上の距離を開ける。

だが敵は詰めては来なかった。

そこまでの攻防でようやくアリシアは気がついた。

 

「形状変化...と言ったとこか」

 

敵の機竜の神装である。

 

「剣が≪逆鱗≫に触れる寸前に剣を変形、防御をすりぬけ腕を攻撃。剣を俺の目に向け、変形し伸ばすことで剣が近くなることに気付かせなかった。そういうことだろ?」

 

だが仮面の操縦者は返事をしない。

代わりにサニアの声が届いた。

 

「ふん...腕だけで済んだか。だがそれではもう戦えまい」

 

実際に今ので障壁も削れ、重心が少しズレたためロクに戦えそうもない。

 

 

 

そう、障壁が削れ、重心が少しズレたため。

 

「まさか、本当に使う時が来るとはなー...」

 

「何...?」

 

怪訝そうにサニアは目を細める。

 

「まぁ見てな、ーーー来たれ、不死なる象徴の竜。連鎖する大地の牙と化せ。≪エクス・ワイアーム≫」

 

アリシアの左側に召喚されたのは強化汎用機竜の≪エクス・ワイアーム≫だ。

そしてーーー、

 

「『超越装甲(オーバーユニット)』・開始!」

 

その≪ワイアーム≫は変形し始め、数秒の後に一本の腕となった。

そしてそれは『ゼル・エル』の左の肩口に嵌まり、途中まである左腕を覆い、落とされた部分もカバーする。

その腕からは六本の筒状の棒が出ており、その異様さを物語る。

そしてアリシアはその大型の腕を動かす。

 

「流石は姫さんだ。よくできてる」

 

それはいつしか、アリシアがリーズシャルテに頼み、作って貰ったもの。

実際は両腕をカバーし、出力を上げるものだが、アリシアの希望で幾つかの機能の追加を行った。

その一つがこれである。

 

未だに、元の腕の二倍ぐらいになった腕を物珍しそうに動かすアリシアに向かい、敵の神装機竜が飛びかかる。

 

対するアリシアはゆったりとも見える動作で右の剣を両手で持つ。

そして無造作に振り下ろす。

瞬間。

 

 

ドォォン!

 

 

凄まじい勢いで敵の機竜が地面に堕ちた。

それを行ったアリシアは尚も腕を眺めている。

 

「操縦が難しいな...」

 

そう言うアリシアに向かって剣が伸びてくる。

それを避けたアリシアが見たのは、背面の巨大な推進装置がなくなり、腕と脚が一回り大きくなった神装機竜だった。

 

 

やはり、陸戦型への形態変化!

 

 

だがアリシアは形の変わった敵機を警戒はするものの、そのまま突撃。

敵機は剣を元に戻し、迎撃の体勢を取る。

アリシアも右の剣を振り下ろす。

 

交錯。

 

鍔迫り合いの中、アリシアは左腕で殴り上げるように相手をボディーブロー。

そしてーーー、

 

「『衝撃(インパクト)』!」

 

六本の筒状の棒の内三本が腕の中へ押し込まれ、拳から衝撃が生まれる!

 

バキッ!

 

敵機は軽く吹き飛び、動かなくなる

装甲は随分削れ、骨も幾つか逝った音がした。

これならそうそう動けないだろう。

 

そう判断しルクスの方を確認すると、

 

 

 

ヴェ、アアアァァァアアアアァアァアアアアアアア!

 

 

 

断末魔の悲鳴とともに終焉神獣の巨体が黒煙を噴き、崩壊する。

丁度ポセイドンを討ち取ったとこのようだ。

 

パキン!

 

と、砕け散った終焉神獣の核から、人頭ほどの水晶体が姿を見せた。

 

「なッ...!」

 

アリシアはあり得ない、と言った風に目を見開き、声を上げる。

 

「サニア。出番だ」

 

ローブの声にサニアが反応し、その水晶を掴み、ローブをも回収する。

だが、ルクスは≪永久連環(エンドアクション)≫の負担で、アリシアも続いた連戦の影響で動けない。

 

「殺さなかった方がよかったかもなー。これでお前らは、完全に俺を怒らせちまったぜ?」

 

「お前は何者だ?その銀髪はーーー」

 

そう、銀髪。

それは旧帝国の王族に継がれている一つの特徴だ。

 

「フギル...。兄さん、なのか?」

 

ーーーが、

 

「ばぁーか」

 

がばっと、その顔を隠していたフードを、脱ぎ去った。

それは灰と蒼の左右非対称な瞳を持つ、見覚えのない少女であった。

 

「フギルだぁ?俺をあんな胡散くせーヤツと一緒にすんじゃねぇよ。俺の名はヘイズ。よーく覚えとけよ」

 

「行くぞ、メス犬」

 

その場で停止していた謎の神装機竜を連れ、ヘイズと名乗った少女とサニアは逃亡した。

だが今のルクスには、ましてやアリシアやセリスにも追う体力も気力もない。

それでも、

 

「俺は少し学園を見てくる。異常がなかったら戻って来るから、ここで安静にしてろ」

 

アリシアには国民を守る義務がある。

それを理解しているルクスは頷き、装甲を解除した。

それを端に見ていたアリシアは、学園の方へ飛び立つ。

 

そして学園中を見回したが、怪我人こそ確認できたものの、敵は全て撤退か拘束済み、特に異常はなかった。

 

すぐに壊れた演習場に戻ると、学園へ歩き出そうとする二人を見つけ、着地する。

 

「おかえり、アリシーーー」

 

パタン

 

だがルクスの台詞の途中でアリシアは倒れた。

直ぐに機竜も解除され、光の粒と化した。

 

「アリシア!」

 

「レイヴン卿!」

 

意識を手放していたアリシアに二人の声は届かなかった。

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

「いッ...!」

 

左腕に走る激痛で目を覚ましたアリシアは、既にオレンジに染まる空を見て、随分寝ていたことを痛感した。

次に部屋を見回すと、そこはもう慣れてしまった学園の保健室だった。

 

そして、肩に毛布を掛け、寝ている銀髪の少女。

ヘイズではない。首には大きめの黒い首輪。

親友であり戦友であるルクスの最愛の妹、アイリだ。

その頭を撫でていると、それに気付いた。

 

左腕が動かせない。

よくよく見ると、その左腕は包帯がぐるぐるに巻かれており、添え木までして固定されていた。

 

コンコン

 

少々過剰な措置に驚いていると、扉がノックされた。

返事を待たず入ってきたのはルクスだ。

その後ろにはセリスティア。

 

「あ、起きてたみたいだね。大丈夫?」

 

最初に入ってきたルクスは体を起こしているアリシアを見つけると声を掛けてきた。

 

「ルクスは以外と元気そうだな」

 

あんな戦闘の後なのにピンピンしているルクスを見て、アリシアは皮肉そうに言う。

対してルクスは微妙な顔になった。

 

「丸三日間、眠っていたのですよ。レイヴン卿ーーーいえ、アリシア」

 

そう言ったのはルクスの横に出てきたセリス先輩だ。

 

「へ...?三日も...?」

 

ついぞすっ頓狂な声を出してしまったが気にしてられない。

 

「まぁまぁ、まだ治ってないんだから安静にして」

 

宥めるルクスの声に浮かせていた腰を戻す。

そしてーーー、

 

「申し訳ありませんでした」

 

セリス先輩が頭を下げてきた。

 

「あなたの待遇は分かってつもりでいましたが、私が間違っていたことを認め、謝罪します」

 

そして、顔を上げる。

 

「その上であと一週間ちょっとですが、在学を許可します」

 

少し微笑んだセリス先輩は言った。

 

 

後にルクスから事情を聞いた。

セリス先輩との約束、ルクスの祖父ウェイド・ロードベルトの話、そして校外対抗戦の代表メンバーの話。

曰く、一応アリシアも学園の生徒であったため、補欠として登録された模様。

最後にセリスティアの爆弾発言。

ルクスから男性のことを色々教えてもらうそうだ。

 

それを聞き、ルクスを一通り笑ってやると、二人は退出した。

 

 

静かになった赤く染まる部屋。

今一度、アイリの頭を撫でようとして、気付いた。

アイリと目があった。

頭に手を乗せる寸前の状態でアリシアは停止する。

 

「私の心配も知らず、随分楽しそうにしてましたね」

 

少し目を細めて言われた。

 

「その左腕、筋肉は傷付き、骨も一部ヒビが入っていたそうですよ」

 

更に目を細めて言われた。

 

「私、いつしか言いましたよね?『無理してほしい訳じゃない』って」

 

これでもかと言う程睨まれる。

 

「反省してます...」

 

するとアイリは体を起こし、頬を膨らませ、そっぽを向いてしまう。

 

「学園に来て再会できたと思ったら、何かあるごとに傷付いて...これなら私の知らない所で安全に過ごしていて貰った方が良かったです」

 

するとこっちを見て真剣な表情になり、

 

「今度無理したら、一週間口聞かないので」

 

言われてしまった。

 

「約束する、もうしないって」

 

アイリの頭を撫でる。

 

 

 

 

そうする間も、事態は動きつつあった。

 




途中から何書いてるのかわからなくなってしまったので、その内大幅修正入るかもしれません。
その時はよろしくお願いします。

追記:『ーーーだった。』みたいなのちょっとしつこいですかね...?
気になったらお教え下さい。
頑張って修正します。
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