無敗の最弱とその影は   作:まぐなす

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最後少しグロ注意

それと27話を一部修正しました。


31.ユグドラシル

ーーーユグドラシルを撃破した。

 

 

フィルフィさんも取り戻し、『角笛』も破壊した。

 

怪我人こそ出ているものの、勝利条件は十分にみたしているでしょう。

 

これで、これで諦めてくれれば......!

 

 

 

 

ヘイズの連れてきた終焉神獣『ユグドラシル』はルクスがバハムートの『限界突破(オーバーリミット)』を使用し撃破した。

 

フィルフィを操っていたユグドラシルに命令を出していた『角笛』もルクスの作戦により破壊することができた。

 

残るはヘイズとラ・クルシェのみ。

 

満身創痍ではありながらもルクスもセリスも、その場の全員が警戒はしていたが勝利を確信していた。

だがーーー、

 

「まだだ!ラ・クルシェ!出せるだけ幻神獣をこっちに持ってこい!」

 

「なっ...」

 

その場の全員が凍りついた。

全員、これ以上の戦闘に耐え続けられないことは自分が一番わかっているのだろう。

だが更なる追い討ちがかかった。

 

ヘイズが手に持っていた小さな種をユグドラシルの死骸に埋め込んだ。

瞬間ーーー、

 

 

 

 

エエエエエェェエェエアオオオォオォォオオォォォォ!!

 

 

 

 

ユグドラシルが咆哮を上げた。

だが伸びる触手は一本。

あの程度なら...誰もがそう思ったその時、最深層への入り口から大量の幻神獣がユグドラシルへ、そこから伸びる一本の枝へ自ら喰われに行った。

 

 

「ハッハッハァ!テメーらは終焉神獣を甘く見すぎだァ!核が壊されたってある程度は活動ができるんだよこいつらは!完全に沈黙する前に『種子』で生命力を補充してやりゃ、捕食ぐらいはできるんだよォ!」

 

 

「諦めて...たまるかぁぁぁァ!」

 

ルクスが叫ぶ。

まだ、皆諦めてはいなかった。

だがここは完全に敵地。

 

 

「『創造主(ロード)』様、今しがた生産し終えたディアボロス3体をこちらに向かわせています」

 

 

絶望へのカウントダウンを告げるようにラ・クルシェが声を出す。

 

そして近づいてくる気配。

 

「これでテメェらも終わりだ!」

 

 

入り口からディアボロスが飛び出す。

 

だがその一瞬の後に、更にその後方から光弾が幻神獣を襲った。

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

エエエエエェェエェエアオオオォオォォオオォォォォ

 

 

 

 

聞いたことがない、だが似た音をつい最近聞いた叫び。

それはやはり終焉神獣。

そしてアリシアは悟る。

終焉神獣が健在なら先程の爆音はーーー...。

 

そのことを信じたくなく、前方を飛ぶディアボロスへ無理矢理意識を向ける。

と、その先に雰囲気の違う部屋が見えてくる。

そこが何処だかわかったアリシアは『双重刃』を揃え、砲撃のチャージを開始する。

 

そしてディアボロスがその部屋に入るのと同時に最大充填されたエネルギー弾を放つ。

 

 

最後方にいた1体に命中。

 

一撃で撃破し、その部屋ーーー、最深層へ飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

 

「なっ....!」

 

ディアボロスのうち1体が突如撃破され、ヘイズのみならず、ルクス達も驚き、固まる。

 

そして一番早く反応を示したのはなんと、ラ・クルシェだった。

 

「『創造主』様、『天敵(ガーディアン)』が現れました」

 

そして光弾の後を追うように入ってきたのは、

 

 

 

 

 

 

純白の神装機竜だった。

 

 

「アリシア!」

 

 

「っ...」

 

 

装甲の変形したバハムートを纏うルクスが声を上げる。

それを聞いたレリィはしかし顔を曇らせた。

 

「『天敵』...だとっ!?」

 

ラ・クルシェは無表情、ヘイズは驚くーーーいや、少し怯えた表情を見せた。

 

『天敵』...?何故怯える?

 

一瞬そんなことを考えたが、即座に止める。

そして

 

 

「新王国軍所属、アリシア・レイヴンだ」

 

ヘイズに剣を揃え、切っ先を向ける。

 

「一応警告しといてやる...持ってるものを全て地面に置いて両手を上げろ」

 

アリシアは答えが分かっている。

だからエネルギーの充填を開始した。

 

「クックックック....アーッハッハッハァ!」

 

ヘイズは先程の表情など嘘のように顔を歪め、アリシアを睨む。

 

「テメェ一人増えたところでユグドラシルは倒せねェよ!」

 

その言葉を合図にユグドラシルの枝が五本、向かってくる。

 

ユグドラシルーーー第五遺跡の終焉神獣だったはず。

能力は確か...再生と強化か。

だが枝が少ない...弱ってるのか?

 

だがアリシアは迎撃はせず、回避に徹する。

強化させないため...のつもりだったが、

 

 

「ちぃっ...」

 

枝の一本が後ろから迫ってくる。

更に上からも枝が伸びて来る。

 

 

回避も学習してるのか!?

 

 

こうなれば一撃で粉砕するしかない。

だが基本スペックの高い『ゼル・エル』とは相性が悪い。

仕方ない...

 

「クルルシファー!姫さん!セリス先輩!すみません時間稼ぎをお願いします!」

 

満身創痍ではあるが動けなくはないであろう三人に声をかける。

全員すぐに頷いてくれた。

そしてルクスとも目を合わせ、頷き合う。

 

そして『ゼル・エル』を解除する。

 

「来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜、我が剣に従い飛翔せよ、『ワイバーン』!」

 

『ワイバーン』を纏い、その手に『ゼル・エル』の機攻殻剣を持たせる。

そして調律を起動させ、腕と推進装置以外のエネルギーをカットする。

操作後、精神操作で突撃を、肉体操作で停止させる。

そしてーーー、

 

 

 

 

「『厄災(ディザスター)』!」

 

「『暴食(リロード・オン・ファイア)』!」

 

『ゼル・エル』の神装を『バハムート』の神装で圧縮強化する。

 

元より、『厄災』と他の操作技術を一緒に使わないのは、『厄災』の発動に機攻殻剣を抜いてる必要があり、その状態では基本的に操作技術は使えないからだ。

普通の的に対してはそこまで強化する必要もないし、機攻殻剣のサイズでは戦い難いからまったくこの方法を使おうとは思わなかった。

だが、ポセイドンとの戦いで、高火力の必要性と、巨体になら機攻殻剣が通用することがわかり、それ以来ルクスと検討してたものだ。

そしてやはり最初に使うことになったのは終焉神獣。

その中でもこの技に相性のよいユグドラシル。

 

五秒後。

 

 

 

「『強制超過』!」

 

 

 

ユグドラシルから伸びる五本の枝を吹き飛ばし本体に一瞬で迫る。

 

 

 

「戦陣・劫火!」

 

 

 

 

 

 

 

 

無造作にその腕を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォン!

 

 

 

 

 

 

世界が滅亡するんじゃないかと思われるような爆音が去り砂埃が晴れると、一部の枝を残し跡形もなく消し飛んだユグドラシルの死骸と、呆気にとられるヘイズ。

そして衝撃で吹き飛び、気絶してると思われるラ・クルシェが見えてきた。

 

攻撃の前、『騎士団』の面子には言っていたから各員無事だった。

 

そして最後に、機竜の腕と脚は無くなり、全身から血を流しているアリシアが浮かび上がった。

 

 

 

「っ...」

 

 

誰かの悲鳴にならない悲鳴が聞こえた。

だがアリシアは止まれない。

ぼろぼろになりながらも、すぐにほぼ全壊した『ワイバーン』を解除し、再度『ゼル・エル』を纏う。

 

「最終通告だ...。全てを置いて両手を上にあげろ...」

 

ヘイズは殺意を剥き出しにし、アリシアを睨む。

 

「...仕方ねぇ、来い!メス犬!」

 

同時に、いつしかの不気味な神装機竜が降りてきた。

 

「テメェだけは...確実に殺す!」

 

その神装機竜に連れられ、ヘイズは消えた。

 

アリシアは追わなかった。

さすがに神装機竜と相対できるほど体力もエネルギーも、そして血も足りてはなかった。

 

 

そして気が抜けたか、ルクスが意識を手放し、気絶し、『バハムート』が解除される。

リーシャとセリスがルクスに駆け寄る中、フィルフィを抱えるレリィへと、アリシアは歩を進める。

 

そして剣を向ける。

 

 

 

 

「レリィ・アイングラム...遺跡の無許可調査の容疑で出頭を命じる」

 

 

 

 

「えっ...」

 

リーシャとセリスがこちらを向く。

 

「なるほどね...」

 

クルルシファーとアイリは納得したようだ。

 

「期限は一週間だ。それまでに来なかったら指名手配になる」

 

アリシアは無慈悲に告げる。

 

「ちょっと待て、どういうことだ?無許可とは」

 

リーシャが声を出す。

アリシアはリーシャに礼をしているとクルルシファーが口を開けた。

 

「そのままの意味でしょう...、元々学園長は『方舟』がこの時期に浮上するのを知っていた。そしてフィルフィさんを王国に知られずに治す方法を探るため、許可を取らずに調査を開始した...そういうことよね?」

 

俯いていたレリィが顔を上げる。

 

「お願いアリシア君!私はどうなってもいい...だからフィーのことは報告しないで欲しいの!」

 

アリシアは暫し無言でいた。

十数秒後。

 

「私はあくまで、無許可の遺跡調査の容疑、と言いました。それ以上はあなたが証言することです。私に報告できるのは現状と対処だけです」

 

固唾を飲んで見ていた四人が息を吐く。

 

 

「ありがとう...ありがとう...」

 

 

レリィのすすり泣きを傍に、アリシアも意識を手放した。

 

 

 

 

 

††††††††††

 

 

 

 

 

白い空間にいた。

 

 

来たことのないはずだが、見覚えがある。

 

 

突然上から二つの大きな影が降ってきた。

 

 

終焉神獣ーーーポセイドンとユグドラシルだ。

 

 

その大量な触手と枝には、人が捕まっている。

 

 

見覚えのある人からない人まで。

 

 

だが次の瞬間、人が爆ぜた。

 

 

血が、肉が、内臓が、飛び散る。

 

 

終焉神獣が嘲笑うように哄笑する。

 

 

足元に首が飛んで来た。

 

 

長い茶髪で、アリシアを少し幼くしたような顔。

 

 

マナ・レイヴンーーーアリシアの妹だ。

 

 

今度は右に体が飛んで来た。

 

 

腕は千切れ、足は骨が出ており、内臓はバラけている。

 

 

その服装は銀と深緑の装衣。

 

 

アリシアの周囲の地面が割れた。

 

 

そこからは人、機竜、幻神獣、正常ではない大量の何かが、アリシアへと迫る。

 

 

アリシアは目を反らし続けた。

 

 

 

 

 

 

 

この業を一緒に背負ってくれる人が現れることを信じて........

 

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