頭回らないと誤字脱字が多くなりますのでご了承下さい。
「こいつが―――――例の幻神獣か?」
幻神獣より200mlほど離れた大地と上空から、アリシアを含めた騎士団のメンバー十数人は、目標を確認する。
崩れたゼリーのようなコイツは知性をほぼ持たないスライム型と呼ばれ、弱点である核は分厚い粘液に囲まれている。
(さて....どうするかな?)
アリシアはいつもの癖で作戦を考えていたが、
「いきなり撃つ気ですか!?」
背後にいた騎士団のひとりが、怯えたようにそう叫ぶ。
見ればリーシャが機竜息砲を構え、エネルギーを充填させていく。
「やってみなくちゃ始まらないだろ。行くぞ!」
ドン!と音をたて着弾したが、粘液飛び散っただけであった。
本当にお転婆姫だなー、アリシアはそう思った。
その後リーシャは数秒かけて考え込んでいたが、ひとつ頷き、
「よし。核めがけて、主砲での一斉射撃だ。全員、200mlの距離を取って、エネルギーを充填しろ。秒読みは私がする」
皆も頷き、機竜息砲を構える。
アリシアもその作戦に意義がないため、指示通りエネルギー充填を開始する。
「秒読みを開始する。ゼロで斉射だ。5、4、3、2――――――」
―――――ィイイィィイイイイ!
そのときどこからか、耳障りな笛の音が聞こえた。
すると、幻神獣の体に異変が起きた。
幻神獣の体が、膨れ上がり、そして爆発した。
「障壁を最大展開しろ!機竜咆哮も使え!」
リーシャの声が聞こえたときには、目の前が一瞬にして白く染まった。
△▽△▽△▽△▽△▽
「ほう、随分と王女ヅラが板についてきたではないか、リーズシャルテよ」
飛びかけていた意識がその声で呼び戻された。
ひとつ周りを見回してみたら、騎士団は半壊していた。
「だがな。お前はそんな器ではない。そのような誇りなどないのだよ」
「貴様。何を言って―――ッ⁉」
再び聞こえたその声にリーシャが反応する。
すると上空より飛来した砲弾がリーシャへと肉薄する。
かろうじて直撃を回避したリーシャは、だが機竜ごと地面を横転した。
「うっ......く!一体、何の真似だ......⁉お前は確か王都から配備された、警備部隊の隊長では―――――⁉」
「それは間違いでございます」
上空を睨むリーシャに、嘲るようにそう言った。
「私がやって来たのは帝都からでございます、リーズシャルテ王女殿下。アーカディア帝国近衛騎士団長、ベルベット・バルトが、私の名です」
アリシアにそして恐らくリーシャにも戦慄が走った。
帝都から来た。つまり......反乱軍だ。
「新王国を裏切ったのか.....?」
「裏切ったなどと、人聞きの悪いことを。正道に立ち返ったのだよ。力を得てな!」
それを聞き動いたのは、リーシャでもベルベットでもなかった。
「真面目なやつだと思っていたが......面白い冗談を言えるではないか、ベルベット近衛騎士団長よ」
先程まで意識を朦朧とさせていたアリシアだった。
「なっ......⁉どうしてお前が......ッ⁉」
「おいおい、大物ぶってた仮面が剥がれてるぞ」
あまりの動揺に言葉使いが荒くなっていたが、それだけアリシアがここにいるのは計算外なのだろう。
そしてベルベットが更に何か言う前に告げる。
「ああ.....お前の部下だったな。先日、少々問題を起こしたやつがいてな。そいつの尻拭いに来てるんだよ」
それまで固まっていたベルベットであったが、ようやく再起動し、
「そ、それはそれは、ご迷惑をお掛けしました、アリシア教官殿。ですが、男なあなたが私を邪魔するわけないですよね?」
表面を取り繕ってはいるが、内心恐る恐るなのが丸分かりだ。
「期待には添えないな.....。コイツらのお守りも頼まれてるもんでね」
「それはとても残念でなりません。あなたの様な優秀な方なら是非、帝国にとお思いしていましたのに」
あくまでも残念そうにベルベットは言った。
「おいおい、勝てると思ってるのか?」
「も、もちろんですとも。勝算あっての実行ですから」
そうすると、ベルベットは中空へと降りてきて先ほど暴ぜた幻神獣の前で、小さな黄金の笛を手に取った。
「さあ、孵れ。卵よ」
そして、またも不協和音が鳴り響く。
直後。
ドロドロになっていた幻神獣の中から、100体近い幻神獣―――ガーゴイル型が出てきた。
「目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍を為す神々の王竜よ。≪ティアマト≫!」
リーシャが素早く≪キメラティック・ワイバーン≫を解除し、初日に見た神装機竜―――――≪ティアマト≫を纏う。
そこへ―――――
「リーシャ様はベルベットの相手を。俺は幻神獣をやります」
アリシアは言う。リーシャはその真意を図ろうと―――もしくは本当に大丈夫なのか、考えている様子だった。
そして―――――
「よし、わかった。幻神獣の相手は任せた。」
リーシャは言った。
「そんな!流石のアリシア君でもそれは無理ですよ!」
騎士団の一人がそう叫ぶが、
「騎士団の皆さんには私の援護をお願いします」
アリシアはそうとだけ言って、飛んで行った。
「『厄災』」
次回はとうとう二人の英雄の正体がーーー
って言わずともわかりますよねー