星菜side……
私は自分自身の姿をしたヴールに連れてかれメランコリウムの奥へと進んでいた。
『ね、ねぇ………どこに連れていくの?』
ナハ「…………」
ヴ星「………」
『………あ、あの』
?「グルルル……」
『っ!!な、何?あれ………』
呻き声が聞こえ、それを見ると…………
巨大な球体の姿をしたヴールがいた。
『………これが……ラーフ?』
ラ「グルルル…………」
『どうしよう……私だけじゃ…………?あ、あれは…………ナハト!?』
見覚えある姿が見え、よく見てみるとラーフの体内にナハトが入っていた。
『………ナハト……同化………してるってこと?』
ナハ「そう…だ。歌姫であるお前は……消えるんだ………」
『みんなは他に方法があるって言ってくれた。だから、みんなを信じる………私は消えたくない!』
ナハ「ふん……死んでるくせに………」
『死ん……でる?…………私が?』
ナハ「おまえは…………死んでるんだよ」
『そんな……私は……生きてるよ!記憶だって』
「お前は……忘れている………忘れたことすら気づいてない…………今教えてやろう………………本当の記憶を」
『え…………っ!!?何……これ………!?』
ラーフから溢れた負のエネルギーが私を包んだ。その時、私の頭に映像が流れた。
…………学校から帰って、家に帰って…それから………私は…………
ナハ「僕なら………生き返らせる事が………できる………力を貸せば………」
『私………は………』
気づかぬ間に失っていた記憶がラーフに取り込まれたナハトによって戻り、私はそこから意識が薄れた。
星菜side……………………END
ナ「………ここはもうラーフを封じる結界の内側なんですの?特別なにも感じませんけど」
ジェ「結界はあくまでヴールやラーフに対するものですからね。私たちには影響ないんだと思いますよ」
ユ「実感涌きにくいけど、実際、ラーフが出て来れない以上は効き目あるってことなんだろうぜ」
ゼ「だからルフレス族であるナハトだけが出入りしていたってことだな」
ジェ「恐らく。ナハトもその力を得ていたとはいえ、本当の意味でのラーフの姿も力も見た者は、まだ誰もいません」
ロ「それだけ気を付けなきゃならない相手ってことだな。そいつがこの先にいる…………ってことか」
テル「………はい、いるです。近いです」
メランコリウムを進み、奥へと進むと球体の姿をしたヴールとナハトがいた
ナハ「…………」
ア「ラーフ………これがラーフなのか」
ヴ「なんて禍々しさだ…………人の負の感情が集まるとこんな化け物になるのか」
ソ「気持ち悪い……」
エス「見てください!星菜がいます!」
エステルの指す方向を見ると、ラーフの近くに星菜がいた。
ロ「星菜!無事か!?」
テ「待って、様子がおかしいわ」
『…………。』
コ「どしたの?星菜、だいじょぶ?」
『…………消えろ……』
ア「星菜?………っ!?」
アスベルが近寄ると星菜はどこから取り出したのか、剣でアスベルを攻撃した。
よく見ると、星菜の目は光が宿っていない………
ソ「ヒール!大丈夫?アスベル」
ア「あ、ああ…………どうしたんだ、いったい?」
ガ「操られてるのか?」
テル「あ、あの………操られてるんですが……半分は、星菜さんの意思です!」
ル「何だって!?」
リ「そんな!どうして!」
ナハ「………夢の………夢への闖入者ども、自分や仲間を斬り………斬り伏せるのはどんな気分…………だったかな」
ア「おまえ……!」
ジェ「はぁ、闖入者は貴方の方でしょう。ラーフ・ネクリア」
ナハ「………僕が………なんだって?いや、僕はナハト………だ。ラーフでは……ない」
ジェ「惑わされてはいけませんよ、みなさん。今しゃべっているのは、ナハトの口を借りたラーフです」
ガ「同化したことで、ナハトの自我がラーフの知性の代わりを果たすようになってしまっているのか……」
ナハ「………僕はナハトだ。僕はラーフを封じる………封じ………た。これから…………自由になる………自由に」
ゼ「おいおい、何をおっ始めるつもりだ!?」
ナハ「路がある……夢の路が。そこを通る………夢見る奴等の…………夢を………たどって………あらゆる………世界に………出……る!そのために……まずおまえ達を消す!」
ナハト=ラーフが言うとヴールを生み出すクリスタルが出現した。
ノ「見て!クリスタル出たよ!」
ルビ「クリスタルからなにか吸収してる………まさか他のヴールの領域から力を!?」
ジェ「いけません、あれで一気に力を増そうというつもりです。急いでクリスタルを破壊しなければ」
テル「ナハト!ナハト!ラーフに負けないで!ナハト!」
ア「危ない、1人で行くな、テルン!」
ラーフを守るようにヴールが現れ、
それぞれ戦闘に入った。
ロ「魔神剣!」
ガ「弧月閃!」
ナハ「がああああああああ!!」
ルー「駄目だ、まるで傷を負わせられねぇ!」
ロ「傷を受けた傍から治してしまうのか。クリスタルから先に破壊しよう!」
ジ「わかったわ」
ソ「シェルスロー!」
『…………』
リ「スプラッ…!駄目、出来ない!星菜に攻撃するなんて!」
エス「リタ…………!危ない!」
リ「………!」
リタが攻撃に戸惑っていた隙をついて星菜はリタに攻撃しようとした。
それをユーリが攻撃を防いでくれた。
『…………邪魔……』
ユ「悪ぃな、邪魔するぜ」
リ「……ユーリ…あんた…」
ナ「星菜を傷つけたくはない…その気持ちは皆同じですわ。私達とて星菜と戦いたくはありません。……ですが、今、私達が倒れてしまっては、誰が星菜を助けるのです!」
エス「ナタリアの言うとおりです。リタ、私たちが助けないと」
リ「ナタリア………エステル…………わかったわ」
ス「ライトニング!ミラ、そっち頼んだぜ」バキッ!
ミ「任された、フレアボム!」バキッ!
リタ達やり取りをしている間に
スパーダとミラがクリスタルを破壊した。
メ「ワイール!クリスタル、全部壊したよ!」
ア「よし、今のうちにラーフ本体に攻撃しよう!」
ナハ「僕の邪魔を、邪魔、邪魔だ、邪魔邪魔邪魔ぁあああああ!!!」
テル「ナハト、目を覚まして、ナハト!」
ナハ「がはあおおああああああ!!よく、よくよくもおああああ!!!」
ロ「苦しんでるぞ!どうだっ、ラーフ!」
ジェ「今です!例の3つの珠を!」
ヴ「テルン…………できるか!?」
テル「ナハト………!…………分かったです。やるです!!」
ヴ「すまない、頼む」
テル「…………。」
テルンは今まで手に入れた3つの珠に祈った
…………だが、珠は反応しない
テル「……………………!?駄目です、なんの応えもない!なんの応えもないです!!確かに力を感じるのに、なにも起きてくれない、どうして!?」
ルビ「そんな、ここまで来て!」
ア「なにかやり方が間違っているのか!?」
ナハ「くふ、く、くかかか…………愚か……その珠……所詮………ただの感情の塊。意志なきもの………を起動など出来……ない。夢守たち………レーヴァリアに満ちる喜びの感………情をかき集めて………まで、珠を作ったが………無駄だっ………た………」
フ「珠のあった場所が徹底的にヴールの領域化したのはそのせいか。珠が吸い尽くしてしまったんだな……」
ノ「そんだけやったのにダメだったってこと!?それってないよ!世知辛すぎ!」
テル「ナハト………」
ナハ「無用の珠……無用の目覚めの人……無用の継ぎの仔……無用の世界…………無用の夢!!」
ラーフをみんなで攻撃した傷が凄まじい速さで塞がっていく………
ノ「うげっ!また出たクリスタル!」
ルー「やべぇ、すげぇ勢いでラーフの傷が治っていく!」
ナハ「は、は、は、は、僕が……ただ僕だけがあれば……いい。他は……消えろ!!」バシュン!!
ア「うわあああっ!!」ドガッ!
プ「さっきよりずっと強力です……」
ナハ「消えろ、消えろ、消えろ、夢から落ちて無へと消えてしまえ」バシュン!!
『………全て……消えろ………』ザッ!
ユ「ぐっ!……これは、ちっとやべぇかな」
ロ「くそっ、こんな……」
テル「…………どうしよう、このままじゃみんなが………ナハト、やめて、やめてよ!」
ナハ「無だ、無。なにもかも無。怒りも悲しみもなにもない無。あかかかかははははははは」
『………滅びよ……』
テル「嫌………嫌です。ボクが、ボクがみんなを守らなきゃ。ボク、いつも守ってもらってたです。だから今度は守りたい…………守りたいのに!なんで!なんで珠は応えてくれないですか!みんなも、ナハトも、星菜さんも助けたいのに!!…………え………?」
すると、テルンの思いが届いたのか、
珠が共鳴し始めた。
ルビ「珠が?起動した!?どうして!?」
ジェ「間に合いましたか……」
テル「力が………響きあって………温かい………。…………!そうか、ボクは………」
ナハ「……テ………ルン?な……に……をした?」
ソ「クリスタルが消えた………」
フ「ああ、それにラーフも弱ってるみたいだ。3つの珠の力が効いているんだ」
ア「テルンが……テルンがやってくれたおかげだ」
ナハ「う、ううぐ、ぼ、僕を、こ、こん………なこ………んな……!」
テル「ナハト………もう街に帰るです」
ナハ「うう………ま………だ、こ、このま、ま、ま、まだあああああ!!」
ナハト=ラーフが苦しみだしたと同時に
辺りからヴールが溢れだした
メ「バイバ!またヴール出てきたよ!」
ノ「ま、まだやるつもりみたいよ、あいつ」
テル「ナハト……ボク……絶対に諦めないから!」
ア「危ないテルン、無茶するな!」
ジ「ラーフを倒せるのは今だけ。彼を信じましょ?」
ア「………分かった。みんな、行くぞ!」
「おごうおおあ………あ………あああ」
ルー「またあいつクリスタルを出して回復しようとしてやがる。往生際が悪いっての」
ジェ「また回復されては厄介です。このまま一気に攻めましょう」
ロ「待てよ、それじゃナハトが………」
ナハ「テ………ルン………僕の継ぎの……仔よく……やったね」
ロ「!?まさか………」
テル「ナハト!正気に戻ったの!?」
ナハ「ラーフの力が衰えたおかげで………支配が弱まったようだよ。…………彼女は………戻らないみたいだが…………今ならラーフにとどめを刺せる。さあ、ケリを………!」
『…………』
ラーフの力が衰えたことにより、ナハトは正気を取り戻しつつあるが、星菜はまだ剣をこちらに向けて今も攻撃をしてきている。
テル「待って、その前にナハトを助けるから」
ナハ「………駄目なんだよ、テルン。今の僕はラーフの力の要なんだ。でも僕が消えれば、ラーフは統合を保てなくなる。ただの弱いヴールたちに分解するだろう。だから…………」
ガ「………俺達にあんたを殺せって言うのか!?」
ナハ「ラーフの浄化は全てのルフレスの悲願だった。この身でそれが達成できるというのなら喜んでそうするよ」
テル「そんな、嫌だ!!絶対に嫌だ!!!」
ナハ「テルン、これは僕らの使命なんだ。ヴールと戦い、消えていく。それがルフレス族の宿命なんだ」
テル「嫌だ!!使命とか知らないです!」
ナハ「また回復するまで時間がない。テルン、聞き分けのない…………僕のことより……彼女を……助けてあげてくれ」
テル「嫌だ!ラーフが人々の心の暗さの現れなら、それを消すのに悲しむなんて間違ってる!みんなにそう教わったです!ボク、絶対に星菜さんもナハトも助けるです!」
ロ「………テルンよく言ったな!みんな、ナハト以外のラーフだけを破壊するんだ。動きの鈍い今ならできるはずだろ」
ア「ああ、やろう!みんな、ナハトを傷つけないよう、注意してくれ!星菜は何とかして気絶させるんだ!」
ノ「うう、難しそ~。………でも、やるしかないんだよね!」
ジェ「やれやれ、若い方は熱血ですねぇ。仕方ない、付き合いますか」
ユ「本当はそういうのまんざらじゃないって顔してるぜ、ジェイド」
ソ「たああああっ!」
ジュ「………ごめんね…はぁ!」
『っ!!』
ジュードは隙をついて星菜を気絶させ、倒れる寸前で受け止めた。
そして、みんなが協力しあったおかげでラーフを倒すことに成功した。
ナハ「……………………僕は……消えて………な………い………?」
テル「ナハト!よかった、ナハト!!」
ナハ「………みなさん、テルン、大変な迷惑をかけてしまった。僕は………僕はひどいことを…………」
ユ「ラーフの言わせたことだ、気にすんなよ」
ナハ「そうであっても、僕の中に付け込まれる隙があったという事です。ルフレスのヴールの天敵としての本質を過信しすぎたのか……テルン、本当によくやってくれた。育み手とし誇りに思うよ」
ア「俺たちも礼を言うよ。テルンが珠を起動してくれなかったら、ラーフを倒し、ナハトを助けることもできなかった」
ナ「私たちを守りたいという強い意志が3つの珠を起動させる鍵だったんですのね」
テル「あ、あのあの、みなさんのおかげです。というか………気持ちだけじゃなくて、本当に力をくれたです。訳を知ってびっくりでしたけど………」
ナハ「…………そうか、じぶんのほんしつ理解したんだね、テルン」
ア「どういうことだ?」
ナハ「我々ルフレスもヴールも、レーヴァリアの全てはみなさんの夢………つまりは心から応じているのは知ってますね。ところがテルンの場合、みなさんを含む全ての夢見る人の良心だけから生まれた仔らしいんです。多分、ラーフたちヴールの拡大に対する人々の心の反動なんでしょう。この仔とみなさんは直接繋がっているんですよ」
ロ「そうか………俺たちはみんな少しずつテルンの一部でもあったんだな」
ノ「な~んかテルぽんって、守ってあげなきゃなって感じだったんだけど自分の良心じゃあ、当然だよね~」
ソ「良心………きれいな心?」
フ「良心は、ともすると弱気で決めることが出来ない…………しかし信じることのためなら大きな力の源となる」
ルビ「なるほど、それでああいう性格なんだね、テルンは」
テル「え、ええと………」
ガ「……そういえば、前に夢紬であることは危ない綱渡りだって言ってたな。あれはどういう意味だったんだ?」
ナハ「それは……そのままの意味です。………テルン、戦うルフレスなんて聞いたことがあるかい?」
テル「戦うルフレス………夢守は………違うですか」
テルンはそう答えると、ナハトは難しい顔をしながら頷き、夢守と夢紬のデメリットを説明した。
ナハ「夢守も確かに戦う。でもそれは守るためだ。自分から能動的に攻撃することはない。それがルフレス族の本質だからだよ」
ジ「そのルフレスでありながら戦うことのできる夢紬とは矛盾した存在、そういうことかしら?」
ヴ「そうか、だからなれるルフレスは少ない……」
ナハ「夢紬として戦うということは、戦いの感情に身をさらすこと。それに呑まれる危険を冒すこと。呑まれれば、もはやルフレスではなくなる。新たなヴールの誕生です」
ガ「じゃあひょっとして、あんたも………」
ナハ「ええ。並のヴールならなんとかなりましたが、ラーフ相手では甘かった。さっき言ったとおり、思い上がったせいです」
ノ「テルぽん、ヴールにならなくてよかったね~」
テル「は、はい、危なかったです」
ナハ「テルンはみなさんと繋がっている。多分、みなさんがここにいる限りはその心配はないでしょう」
テル「ほ…」
テルンは安心したのか、一息ついた。
ゼロスはそういえばとジェイドに話しかけた。
ゼ「それにしてもジェイド、あんたこうなるって分かってたのか?」
ジェ「確信はありませんでしたがね。いろいろと考え合わせた結果、その可能性に賭けてみようと思ったまでです」
ルビ「だからって………教えておいてくれたら、もっと安心できたのに」
ロ「まぁいいじゃないか、難しい話は。俺たちとテルンは友達。それだけで理由は十分だろ?」
ラ「うるるる…………」
みんなが和んでいると何処からか呻き声が聞こえた。声のする方向を見ると、先程倒したラーフの欠片が奥へと移動していた。
ノ「あっ!?なにあれ!?」
ジェ「しまった!…………ラーフの欠片がまだ残っていたか!」
ノ「え~!早く追わなきゃ!」
ア「急いてはダメだ!俺たちは既にかなり消耗している。用心して行こう」