テイルズオブソムニウム   作:エステリーゼ

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6話 ヴールの力

 

ア「かなり荒れ果てた感じになってきたな」

 

テル「ヴールの力が増しているんです。前はもっと明るくて綺麗なとこだったですけど……こんなに広く荒れ果てたことは今までなかったっていうです。」

 

ガ「なぁ、もとはといえばヴールだって寝てるやつの夢なんだよな?それってつまり、夢を見ている側の心が荒んでいる、ってことなのか?」

 

テル「わからないです。ボクたち、目覚めの世界を覗くことは出来ないですから……」

 

ロ「しかし、本当にルフレス族の夢守たちは通り抜けたのか?」

 

テル「ボ、ボクも聞いただけなんで……その……すみません」

 

『テルン、大丈夫だよ。落ち着いて、誰も責めてないから、ね?』

 

テル「は、はいです…」

 

ア「なんだ!?」

 

フ「空気が……重い……これは?」

 

ルビ「な、なにこれ……体が……寒い……」

 

『ルビア!大丈夫?』

 

ナ「しっかりなさい!」

 

テル「こ、これはヴールです!ヴールの気!形がないままなのに、きゅ、急に強まって!」

 

ロ「う……た、立ってられない……」

 

テル「あ、あ、あ」

 

『みんな……そうだ!』

 

色は匂へど~いつか~ちりぬるを~♪

彷徨う~暇さえ~許せなかった~♪

 

ロ「……体が軽くなった…?」

 

ガ「星菜…凄いじゃないか、助かったよ」

 

リ「……やっぱり、あんたの歌…ただの歌なんかじゃないわ。歌から…想いを感じるもの」

 

『よかった。みんな無事で』

 

テル「レーヴァリアにあるものは全て見せかけにすぎない。確かなのは強い意思だけ。意志がくじければそれだけ弱くなる。何度もナハトに言われてたです。なのに……」

 

ル「……げ、元気出しなよ、テルン。誰もがなんでもうまくできる訳じゃないんだからさ……」

 

ロ「おい、あれ……」

 

ガ「宝箱……か?なんだってこんなところに」

 

ルビ「すごい!何が入ってるんだろ?」

 

テル「ま、待って!レーヴァリアにあるものは、みんな夢を見ている人の心から出てるです。ここはヴールの領域です。欲に繋がる物は危険だってナハトが……」

 

ルビ「そ、そうなの?あーん、こんなにあるのになぁ……」

 

ロ「それにしても、いっぱいあるなぁ……あそこにあるのなんて随分とまた立派な……って、おいあれ!」

 

ナ「……立派というよりけばけばしい宝箱と、女の人、ですわね」

 

フ「テルン、あれも夢の産物なのかい?」

 

テル「い、いえ、箱はそうでしょうけど、あの人は…」

 

?「やっと、やっとみつけた!」

 

『えーっと……なんか嬉しそうだけど』

 

ナ「え、ええ……しがみついてますわね」

 

ロ「俺達と同じ夢見る目覚めの人か。でもまてよ、ってことは……」

 

フ「君!それは危険な……」

 

?「なによ、あんたら!あたしのお宝を横取りしようっての!?渡さないから!」

 

テル「や、やっぱりあの人もヴールなに取り込まれてるです!!」

 

ロ「な、なんだ!?他の宝箱が魔物……じゃなかった、ヴールに変わったぞ!」

 

ガ「やるしかないみたいだな」

 

?「そこ!あたしに聞こえないように横取りの相談してんでしょ!ぜ~~~ったい、渡さないからね!」

 

『と、とりあえずテルン、隠れてて』

 

テル「は、はいです!」

 

リ「星菜、他の歌はないのもしあったらさ、歌ってくれる?」

 

『わかった。』

 

瞼~焼き付いた顔

理解者の証さえ~♪

 

刹那、退屈の隙間贖い 心燻り

不安を産み出した~♪

 

盲目消えた安らぎに出会って

芽生えた恋情 譲る気は無い~♪

 

月には叢雲 華には風と

此方より彼方へ永久 築けぬなら

雲突き抜け 風斬り裂いて

久遠の揺蕩いへ 誘う~♪

 

?「う、力が抜ける~」

 

ロ「すげぇ……力が溢れてくるぞ!」

 

リ「フムフム、この歌は相手の力をすいとる歌なのね……なるほど、テルンよろしく」

 

テル「は、はいです!」

 

?「はへ?ここは?」

 

『大丈夫?……えと、残念な報告があります。宝箱は初めから存在してなかったよ』

 

?「え~~~っ!?んじゃああたしってばありもしない宝箱に向かって1人騒いでたって訳~?」

 

フ「ま、まぁそうなるかな……」

 

?「ひどすぎだよっ!悲しすぎ!切なすぎ!なんであんたらもっと早くに止めてくんなかったのよ~~~!」

 

テル「あ、あのあの…その、ヴール取り込まれた人はその人の1番強い暗い思いで満たされてしまうのかもしれないです。」

 

ア「彼女の場合、宝への執着か」

 

?「誰が欲ボケよ、欲深よ、守銭奴よ、失礼ね」

 

『そ、そこまでは言ってないんだけど……ね』

 

?「あ~でもちょ~っぴり一理あるかも。あたし、な~んかすっごく欲しいお宝があったような気がするんだよね~」

 

ガ「でもそれって目覚めの世界での話だろ?レーヴァリアじゃ見つからないんじゃ」

 

?「だ~か~ら~!知らなかったんだからしょ~がないでしょ~!ま、いっか。せっかくだからあたし、あんたたちの仲間になったげる。というわけであたしはノーマ、テルぽん、星りん、よろしくぅ!」

 

「テ、テルぽん……ってボクのこと言ってる……ですか?」

 

『星りんって……私のこと?』

 

ノ「もっちろん!ベルベル、ロイどん、ガーさん、ナッちゃん、ビアっち、フレっち。みんなも、よろしく!」

 

ア「べ、ベルベル……」

 

ナ「ついていけませんわ」

 

ロ「なんか……取り込まれてた時とあんまり変わらないんじゃないか?」

 

リ「なるほど、星菜の歌といい、ヴールに取り込まれるとこうなる訳ね、興味深いわ」

 

フ「これからよろしく、ノーマ」

 

 

ノーマを加え、先へと進むとヴールの気配がないところについた

 

 

ガ「どこもかしこもヴールの領域になってないってのは救いだな」

 

ロ「うわっ!!」

 

『きゃっ!ロイどが消えた!?』

 

ルビ「ええーーっ!?どこ行っちゃったの?探さないと!」

 

ナ「みなさん、ここ、地面に穴が開いてますわ!」

 

ガ「うわっ、本当だ。危ないな……ロイドはここに落ちたのか?」

 

ア「ロイド!無事か!?」

 

ロ「ああ、……って、うわっ!?ちょ、お前なんだよ!わーっ!!」

 

?「待ちなさ~い♪」

 

テル「な、中にだ、誰か他にいるです……!」

 

ア「ロイドを放っておく訳にはいかない。行こう、みんな!」

 

 

私たちはロイドが落ちたであろう穴の中へと降り立った。

 

 

ア「ロイド!怪我はないか!?」

 

ロ「あ、ああ。なんとかな。………っていうか何だよあいつ!みんな、気を付けろ!」

 

?「……グフフ……」

 

『な、何?この地面からうなりあげてくる声は』

 

?「ん?私?ハロルドよ。ハロルド・ベルセリオス。で、こっちが………誰だっけ?」

 

?「リオンだ!リオン・マグナス!貴様、さっき僕たちに自己紹介させておいてもう忘れたのか!」

 

ハ「うんうん、そうだったわね。だって調べさせてくれないから興味ないんだもん。で、こっちが………誰だっけ?」

 

?「エ、エミルです…エミル・キャスタニエ」

 

ハ「だって。よろしくぅ♪」

 

『こちらこそ、よろしくねハロルドさん、リオン、エミル』

 

ハ「ねぇねぇ、この穴面白いのね~!魔物みたいな奴とか人がボロボロ降ってくるんだもの。ま、私も落ちてきた1人なんだけど。正直暇なのよね~穴から出られないし~この2人は調べようとすると抵抗するし」

 

リオ「抵抗するに決まっているだろう!」

 

エ「その調べる方法が怖いから抵抗したんです…!」

 

テル「え、えと……目覚めの人だと思うです。でも、ヴールに惑わされてはいないみたいです、けど……」

 

ハ「ねぇ、話終わった?じゃ、あんたたちちょっと調べさせてもらうから♪安心して?ちゃんときれいに開いて、閉じてあげるから」

 

ルビ「開く!?しゅ、手術するってこと!?絶対イヤよ!」

 

ハ「じゃ、行っくわよ~♪じゃ、あんたらもしっかり戦ってこの人たち捕まえなさいね?じゃないとあんたたちがその代わりになるんだから」

 

エ「い、嫌だ……!な、何とかしようよ、リオン」

 

『………ねぇ、ハロルドさんたち、本当にヴールの影響受けてないの?』

 

ハ「ヴール?ああ、この魔物、ヴールっていうの。なんか影響あるんだ。ふーん、今のところ異常はないと思うけど?」

 

ナ「落ち着いてますのね」

 

「うん。慌てるも何も、さっきここに来たばっかだし。ヴールって奴落ちてきたけど、倒して調べちゃったし」

 

テル「え、ええーーーー!?」

 

ハ「すっごく興味深かったわ♪だからあんたたちも調べさせてね!」

 

ルビ「ぜ~~~ったいにイヤよ!」

 

ハ「………ん?あら、追加のサンプルが来たっぽいわよ」

 

リオ「またか……」

 

ロ「へ?サンプルって何だ?」

 

『うわっ!』

 

テル「わわわわわ!ヴールです!」

 

ハ「また出たわね。んもう。あんたらにもう興味無いのよね~」

 

エ「ど、どうしよう……!」

 

ハ「決まってんでしょ。こうするのよ」

 

『へ?石?……まさか』

 

 

ハロルドさんは持っていた石をヴールへと投げ、素早くロイドの後ろへと隠れた。

 

 

ロ「うわっ!なんで俺の後ろに回るんだよ!!」

 

ハ「ほい、いっちょあがり。はーいヴールのみんなー。石を投げたのはこの人よ~」

 

ロ「え!?おい!」

 

『ちょっ、ちょっとヴール集まってない?』

 

ハ「……ってことで、ヴールはよ・ろ・し・く!じゃ、リオン、エミル!自分の身体を守りたかったらしっかりこいつらと戦って勝ってね♪」

 

リオ「鬼か!」

 

エ「うう、戦いたくないけど、負けられない。………ごめんね………!」

 

「ああんもう!何なのよこの人たち!!」

 

ア「来るぞ!」

 

『きゃっ!』

 

ロ「星菜っ!」

 

ハ「この子はあたしが預かっておくわ♪あんたたちが勝ったら返してあげるわよ♪」

 

ナ「まぁ!人質ですの!?」

 

ルビ「待ってて、すぐに助けてあげるから!」

 

フ「武器を収めてくれないか?僕たちには戦う理由はないはずだ!」

 

リオ「戦う理由だと!?あるに決まっているだろう!」

 

エ「ああ、そうだ!お前らに勝たないと俺達があの女に手術されんだよ!あのヴールって奴みたいにな!」

 

リオ「………え?」

 

ナ「なんですの、その粗暴な言葉遣いは!?」

 

ロ「いやそうじゃないだろ!」

 

ガ「……まるで別人だな」

 

エ「………うるせぇ!とっとと倒れちまえ!」

 

ナ「その言葉遣い、矯正した方がいいわよ」

 

ルビ「そうそう、そんなんじゃ好きな女の子に嫌われちゃうわよ!」

 

エ「………ぅ!!」

 

ルビ「あ、あれ?もしかして傷付いちゃった?」

 

ナ「何か記憶に引っ掛かるものがあったのでは?」

 

エ「……?俺の、記憶?……ちっ、そんなもの関係ねぇ!とにかくお前ら、とっとと倒れろっ!」

 

『ね、ねぇハロルドさん』

 

ハ「なぁに?」

 

『放してくれるとありがたいんですけど……』

 

ハ「だ~め~よ。あんたは他のやつらとちょっと違うっぽいから調べたいもの~♪」

 

『……もぅ、手術はダメだからね!』

 

リオ「はぁ……はぁ……ぐっ……!」

 

エ「うぅ……痛い……」

 

ハ「あらら、負けちゃった。せっかく異世界の人を調べられると思ったのに」

 

ロ「異世界の人?お前、記憶があるのか?」

 

ハ「記憶?……あら、そういえばないわね」

 

テル「あ、あのあの、この人たちも召喚された目覚めの人に間違いないです。多分、ここに来てそんなに時間が経ってなくて、それでヴールに取り込まれずに済んだんだと思うです」

 

ハ「へぇ、何ソレ。詳しく聞かせて?ついでにちょっと調べさせて?綺麗に閉じてあげるから♪」

 

テル「う、うわーーー!!」

 

リオ「……夢の世界、レーヴァリア?」

 

エ「僕たちは現実世界で眠っていて、この世界に来ると、元いた世界の記憶が、なくなる……」

 

リオ「そしてこの世界にヴールという存在がいて、そいつから影響を受けると、正気を失う……僕たちはたまたまソレを逃れた、という訳か」

 

ハ「ふーん。そうなの。だから覚えてないんだ。なら、私は今現実世界で寝てるってことなのよね?なんか引っ掛かるわね」

 

テル「ど、どうかしたですか?」

 

ハ「なんか、光っていうか……どかーん!みたいなのを見たような気がするのよ」

 

ルビ「どかーん?」

 

ガ「爆発ってことか?」

 

『じゃ、じゃあハロルドさんは気絶してるのかもしれないよね……寝てるんじゃなくて』

 

「……なら、僕たちは何だというんだ?」

 

テル「た、たぶん、ほぼ同時に召喚されたんだと思うんです。それでたまたま同じ穴に落ちて……」

 

リオ「なんだと、きさ」

 

エ「……てめぇ!ただでさえ意味が分からねぇのに、勝手に呼び出された挙句にこんな穴に落としやがって!もっとマシな場所があっただろうが!」

 

リオ「………。」

 

ナ「貴方、怒り損ねましたのね」

 

リオ「………うるさい」

 

『……。』ボカッ

 

エ「いてっ何しやがる!」

 

『テルン関係ないじゃない!この世界のヴールに困ってて私たちを呼んだんだよ!あんた少し考えればわかるじゃない!そりゃ、穴の中っていうのは嫌かもだけど!』

 

ノ「そーそー。とにかくこっから出ない?」

 

ルビ「ロープに石を括りつけて穴の上に投げるっていうのはどう?うまくいけば木とかに引っ掛かるかも!」

 

リオ「却下だ。現実性がない。第一、ロープなど誰も持ってないだろう」

 

ルビ「なによー!じゃあなたは何か他に良い案があるとでも言うの!?」

 

エ「あ、あの!僕、ロープ……持ってるみたいです」

 

『良かった!これで出られるね』

 

 

一度、街へと戻り、休息をしているとエミルが話しかけてきた

 

 

エ「あ、あの」

 

『どうしたの?エミル』

 

「僕、もあなたたちと一緒に行きたい……です」

 

ルビ「ちょっと、あなた、足震えてるわよ。無理しなくてもいいのよ?」

 

エ「僕、強くならなきゃいけないんです。僕には認めてもらいたい人が……」

 

ア「おまえ、記憶が……?」

 

エ「記憶はありません……そういう人がいたような気がするんです。」

 

『エミル……そうだね、一緒に頑張ろう!』

 

エ「……!うん、よろしく」

 

ロ「お、エミルも来るのか!ハロルドとリオンも一緒に行くことになったんだ!」

 

『そうなの?仲間が一気に倍になったね!』

 

 

リオン、エミル、ハロルドを加え、西の方角を目指した。

 

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