ア「かなり荒れ果てた感じになってきたな」
テル「ヴールの力が増しているんです。前はもっと明るくて綺麗なとこだったですけど……こんなに広く荒れ果てたことは今までなかったっていうです。」
ガ「なぁ、もとはといえばヴールだって寝てるやつの夢なんだよな?それってつまり、夢を見ている側の心が荒んでいる、ってことなのか?」
テル「わからないです。ボクたち、目覚めの世界を覗くことは出来ないですから……」
ロ「しかし、本当にルフレス族の夢守たちは通り抜けたのか?」
テル「ボ、ボクも聞いただけなんで……その……すみません」
『テルン、大丈夫だよ。落ち着いて、誰も責めてないから、ね?』
テル「は、はいです…」
ア「なんだ!?」
フ「空気が……重い……これは?」
ルビ「な、なにこれ……体が……寒い……」
『ルビア!大丈夫?』
ナ「しっかりなさい!」
テル「こ、これはヴールです!ヴールの気!形がないままなのに、きゅ、急に強まって!」
ロ「う……た、立ってられない……」
テル「あ、あ、あ」
『みんな……そうだ!』
色は匂へど~いつか~ちりぬるを~♪
彷徨う~暇さえ~許せなかった~♪
ロ「……体が軽くなった…?」
ガ「星菜…凄いじゃないか、助かったよ」
リ「……やっぱり、あんたの歌…ただの歌なんかじゃないわ。歌から…想いを感じるもの」
『よかった。みんな無事で』
テル「レーヴァリアにあるものは全て見せかけにすぎない。確かなのは強い意思だけ。意志がくじければそれだけ弱くなる。何度もナハトに言われてたです。なのに……」
ル「……げ、元気出しなよ、テルン。誰もがなんでもうまくできる訳じゃないんだからさ……」
ロ「おい、あれ……」
ガ「宝箱……か?なんだってこんなところに」
ルビ「すごい!何が入ってるんだろ?」
テル「ま、待って!レーヴァリアにあるものは、みんな夢を見ている人の心から出てるです。ここはヴールの領域です。欲に繋がる物は危険だってナハトが……」
ルビ「そ、そうなの?あーん、こんなにあるのになぁ……」
ロ「それにしても、いっぱいあるなぁ……あそこにあるのなんて随分とまた立派な……って、おいあれ!」
ナ「……立派というよりけばけばしい宝箱と、女の人、ですわね」
フ「テルン、あれも夢の産物なのかい?」
テル「い、いえ、箱はそうでしょうけど、あの人は…」
?「やっと、やっとみつけた!」
『えーっと……なんか嬉しそうだけど』
ナ「え、ええ……しがみついてますわね」
ロ「俺達と同じ夢見る目覚めの人か。でもまてよ、ってことは……」
フ「君!それは危険な……」
?「なによ、あんたら!あたしのお宝を横取りしようっての!?渡さないから!」
テル「や、やっぱりあの人もヴールなに取り込まれてるです!!」
ロ「な、なんだ!?他の宝箱が魔物……じゃなかった、ヴールに変わったぞ!」
ガ「やるしかないみたいだな」
?「そこ!あたしに聞こえないように横取りの相談してんでしょ!ぜ~~~ったい、渡さないからね!」
『と、とりあえずテルン、隠れてて』
テル「は、はいです!」
リ「星菜、他の歌はないのもしあったらさ、歌ってくれる?」
『わかった。』
瞼~焼き付いた顔
理解者の証さえ~♪
刹那、退屈の隙間贖い 心燻り
不安を産み出した~♪
盲目消えた安らぎに出会って
芽生えた恋情 譲る気は無い~♪
月には叢雲 華には風と
此方より彼方へ永久 築けぬなら
雲突き抜け 風斬り裂いて
久遠の揺蕩いへ 誘う~♪
?「う、力が抜ける~」
ロ「すげぇ……力が溢れてくるぞ!」
リ「フムフム、この歌は相手の力をすいとる歌なのね……なるほど、テルンよろしく」
テル「は、はいです!」
?「はへ?ここは?」
『大丈夫?……えと、残念な報告があります。宝箱は初めから存在してなかったよ』
?「え~~~っ!?んじゃああたしってばありもしない宝箱に向かって1人騒いでたって訳~?」
フ「ま、まぁそうなるかな……」
?「ひどすぎだよっ!悲しすぎ!切なすぎ!なんであんたらもっと早くに止めてくんなかったのよ~~~!」
テル「あ、あのあの…その、ヴール取り込まれた人はその人の1番強い暗い思いで満たされてしまうのかもしれないです。」
ア「彼女の場合、宝への執着か」
?「誰が欲ボケよ、欲深よ、守銭奴よ、失礼ね」
『そ、そこまでは言ってないんだけど……ね』
?「あ~でもちょ~っぴり一理あるかも。あたし、な~んかすっごく欲しいお宝があったような気がするんだよね~」
ガ「でもそれって目覚めの世界での話だろ?レーヴァリアじゃ見つからないんじゃ」
?「だ~か~ら~!知らなかったんだからしょ~がないでしょ~!ま、いっか。せっかくだからあたし、あんたたちの仲間になったげる。というわけであたしはノーマ、テルぽん、星りん、よろしくぅ!」
「テ、テルぽん……ってボクのこと言ってる……ですか?」
『星りんって……私のこと?』
ノ「もっちろん!ベルベル、ロイどん、ガーさん、ナッちゃん、ビアっち、フレっち。みんなも、よろしく!」
ア「べ、ベルベル……」
ナ「ついていけませんわ」
ロ「なんか……取り込まれてた時とあんまり変わらないんじゃないか?」
リ「なるほど、星菜の歌といい、ヴールに取り込まれるとこうなる訳ね、興味深いわ」
フ「これからよろしく、ノーマ」
ノーマを加え、先へと進むとヴールの気配がないところについた
ガ「どこもかしこもヴールの領域になってないってのは救いだな」
ロ「うわっ!!」
『きゃっ!ロイどが消えた!?』
ルビ「ええーーっ!?どこ行っちゃったの?探さないと!」
ナ「みなさん、ここ、地面に穴が開いてますわ!」
ガ「うわっ、本当だ。危ないな……ロイドはここに落ちたのか?」
ア「ロイド!無事か!?」
ロ「ああ、……って、うわっ!?ちょ、お前なんだよ!わーっ!!」
?「待ちなさ~い♪」
テル「な、中にだ、誰か他にいるです……!」
ア「ロイドを放っておく訳にはいかない。行こう、みんな!」
私たちはロイドが落ちたであろう穴の中へと降り立った。
ア「ロイド!怪我はないか!?」
ロ「あ、ああ。なんとかな。………っていうか何だよあいつ!みんな、気を付けろ!」
?「……グフフ……」
『な、何?この地面からうなりあげてくる声は』
?「ん?私?ハロルドよ。ハロルド・ベルセリオス。で、こっちが………誰だっけ?」
?「リオンだ!リオン・マグナス!貴様、さっき僕たちに自己紹介させておいてもう忘れたのか!」
ハ「うんうん、そうだったわね。だって調べさせてくれないから興味ないんだもん。で、こっちが………誰だっけ?」
?「エ、エミルです…エミル・キャスタニエ」
ハ「だって。よろしくぅ♪」
『こちらこそ、よろしくねハロルドさん、リオン、エミル』
ハ「ねぇねぇ、この穴面白いのね~!魔物みたいな奴とか人がボロボロ降ってくるんだもの。ま、私も落ちてきた1人なんだけど。正直暇なのよね~穴から出られないし~この2人は調べようとすると抵抗するし」
リオ「抵抗するに決まっているだろう!」
エ「その調べる方法が怖いから抵抗したんです…!」
テル「え、えと……目覚めの人だと思うです。でも、ヴールに惑わされてはいないみたいです、けど……」
ハ「ねぇ、話終わった?じゃ、あんたたちちょっと調べさせてもらうから♪安心して?ちゃんときれいに開いて、閉じてあげるから」
ルビ「開く!?しゅ、手術するってこと!?絶対イヤよ!」
ハ「じゃ、行っくわよ~♪じゃ、あんたらもしっかり戦ってこの人たち捕まえなさいね?じゃないとあんたたちがその代わりになるんだから」
エ「い、嫌だ……!な、何とかしようよ、リオン」
『………ねぇ、ハロルドさんたち、本当にヴールの影響受けてないの?』
ハ「ヴール?ああ、この魔物、ヴールっていうの。なんか影響あるんだ。ふーん、今のところ異常はないと思うけど?」
ナ「落ち着いてますのね」
「うん。慌てるも何も、さっきここに来たばっかだし。ヴールって奴落ちてきたけど、倒して調べちゃったし」
テル「え、ええーーーー!?」
ハ「すっごく興味深かったわ♪だからあんたたちも調べさせてね!」
ルビ「ぜ~~~ったいにイヤよ!」
ハ「………ん?あら、追加のサンプルが来たっぽいわよ」
リオ「またか……」
ロ「へ?サンプルって何だ?」
『うわっ!』
テル「わわわわわ!ヴールです!」
ハ「また出たわね。んもう。あんたらにもう興味無いのよね~」
エ「ど、どうしよう……!」
ハ「決まってんでしょ。こうするのよ」
『へ?石?……まさか』
ハロルドさんは持っていた石をヴールへと投げ、素早くロイドの後ろへと隠れた。
ロ「うわっ!なんで俺の後ろに回るんだよ!!」
ハ「ほい、いっちょあがり。はーいヴールのみんなー。石を投げたのはこの人よ~」
ロ「え!?おい!」
『ちょっ、ちょっとヴール集まってない?』
ハ「……ってことで、ヴールはよ・ろ・し・く!じゃ、リオン、エミル!自分の身体を守りたかったらしっかりこいつらと戦って勝ってね♪」
リオ「鬼か!」
エ「うう、戦いたくないけど、負けられない。………ごめんね………!」
「ああんもう!何なのよこの人たち!!」
ア「来るぞ!」
『きゃっ!』
ロ「星菜っ!」
ハ「この子はあたしが預かっておくわ♪あんたたちが勝ったら返してあげるわよ♪」
ナ「まぁ!人質ですの!?」
ルビ「待ってて、すぐに助けてあげるから!」
フ「武器を収めてくれないか?僕たちには戦う理由はないはずだ!」
リオ「戦う理由だと!?あるに決まっているだろう!」
エ「ああ、そうだ!お前らに勝たないと俺達があの女に手術されんだよ!あのヴールって奴みたいにな!」
リオ「………え?」
ナ「なんですの、その粗暴な言葉遣いは!?」
ロ「いやそうじゃないだろ!」
ガ「……まるで別人だな」
エ「………うるせぇ!とっとと倒れちまえ!」
ナ「その言葉遣い、矯正した方がいいわよ」
ルビ「そうそう、そんなんじゃ好きな女の子に嫌われちゃうわよ!」
エ「………ぅ!!」
ルビ「あ、あれ?もしかして傷付いちゃった?」
ナ「何か記憶に引っ掛かるものがあったのでは?」
エ「……?俺の、記憶?……ちっ、そんなもの関係ねぇ!とにかくお前ら、とっとと倒れろっ!」
『ね、ねぇハロルドさん』
ハ「なぁに?」
『放してくれるとありがたいんですけど……』
ハ「だ~め~よ。あんたは他のやつらとちょっと違うっぽいから調べたいもの~♪」
『……もぅ、手術はダメだからね!』
リオ「はぁ……はぁ……ぐっ……!」
エ「うぅ……痛い……」
ハ「あらら、負けちゃった。せっかく異世界の人を調べられると思ったのに」
ロ「異世界の人?お前、記憶があるのか?」
ハ「記憶?……あら、そういえばないわね」
テル「あ、あのあの、この人たちも召喚された目覚めの人に間違いないです。多分、ここに来てそんなに時間が経ってなくて、それでヴールに取り込まれずに済んだんだと思うです」
ハ「へぇ、何ソレ。詳しく聞かせて?ついでにちょっと調べさせて?綺麗に閉じてあげるから♪」
テル「う、うわーーー!!」
リオ「……夢の世界、レーヴァリア?」
エ「僕たちは現実世界で眠っていて、この世界に来ると、元いた世界の記憶が、なくなる……」
リオ「そしてこの世界にヴールという存在がいて、そいつから影響を受けると、正気を失う……僕たちはたまたまソレを逃れた、という訳か」
ハ「ふーん。そうなの。だから覚えてないんだ。なら、私は今現実世界で寝てるってことなのよね?なんか引っ掛かるわね」
テル「ど、どうかしたですか?」
ハ「なんか、光っていうか……どかーん!みたいなのを見たような気がするのよ」
ルビ「どかーん?」
ガ「爆発ってことか?」
『じゃ、じゃあハロルドさんは気絶してるのかもしれないよね……寝てるんじゃなくて』
「……なら、僕たちは何だというんだ?」
テル「た、たぶん、ほぼ同時に召喚されたんだと思うんです。それでたまたま同じ穴に落ちて……」
リオ「なんだと、きさ」
エ「……てめぇ!ただでさえ意味が分からねぇのに、勝手に呼び出された挙句にこんな穴に落としやがって!もっとマシな場所があっただろうが!」
リオ「………。」
ナ「貴方、怒り損ねましたのね」
リオ「………うるさい」
『……。』ボカッ
エ「いてっ何しやがる!」
『テルン関係ないじゃない!この世界のヴールに困ってて私たちを呼んだんだよ!あんた少し考えればわかるじゃない!そりゃ、穴の中っていうのは嫌かもだけど!』
ノ「そーそー。とにかくこっから出ない?」
ルビ「ロープに石を括りつけて穴の上に投げるっていうのはどう?うまくいけば木とかに引っ掛かるかも!」
リオ「却下だ。現実性がない。第一、ロープなど誰も持ってないだろう」
ルビ「なによー!じゃあなたは何か他に良い案があるとでも言うの!?」
エ「あ、あの!僕、ロープ……持ってるみたいです」
『良かった!これで出られるね』
一度、街へと戻り、休息をしているとエミルが話しかけてきた
エ「あ、あの」
『どうしたの?エミル』
「僕、もあなたたちと一緒に行きたい……です」
ルビ「ちょっと、あなた、足震えてるわよ。無理しなくてもいいのよ?」
エ「僕、強くならなきゃいけないんです。僕には認めてもらいたい人が……」
ア「おまえ、記憶が……?」
エ「記憶はありません……そういう人がいたような気がするんです。」
『エミル……そうだね、一緒に頑張ろう!』
エ「……!うん、よろしく」
ロ「お、エミルも来るのか!ハロルドとリオンも一緒に行くことになったんだ!」
『そうなの?仲間が一気に倍になったね!』
リオン、エミル、ハロルドを加え、西の方角を目指した。