elona 二次 仮作   作:,,

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注:仮作なので、いますぐ続きを書いたりはしません。

『このすば*Elona』が大変面白かったので、自分も拙くとも何かを書き、公開してみたくなりました。Elonaの二次創作がもりあがってくれたらなと思っています。


第1話

「エーテルの風だ!」

新天地を求め商船に積まれる木箱に乗り込んだあなたは、薄暗い小部屋で途方に暮れていた。船はポート・カプールに向かう途中で嵐に見舞われたのであった。木箱が大量に置かれた船底の小部屋の外からは、商人の悲鳴や船員たちの怒号が聞こえてくる。声から情報を統合すると、船は岸から数十キロの距離で難破寸前であるらしい。とにかく船底近くに留まっていたら溺死は必須だ。そう判断したあなたはそっと部屋から抜け出しバルコニーへと走った。

 

 ゆれる海原の上には薄緑の色をした不思議な風が吹き荒れている。一瞬幻想的な夜空に目を奪われたあなただったが、突如船から重く響く大きな音がして我に返る。あたりを見渡すと、あれだけ狂乱して動きまっていた船員たちが足を止め床をみつめている。大量の水がどこかへ流れ込む音がする。あちこちに揺れていた船がいまは左に傾き始めている。終わりがやってきたことを察知したあなたは近くにあった木材を手にして、月を横切るマストを見つめた。

 

 鼓膜が割れるほどの破裂音がしてあなたは船から放り出された。勢いのまま水中に飛び込んだあなたは必死に木材に抱きつく。吹き荒れる風が収まる気配はなく、波は荒れ狂い呼吸もままならない。凍える水温と暴力的な波に体力を奪われ、あなたの意識は徐々に薄れていった……

 

 

 

「…意識が…もう戻ったのか?驚いたな。君の回復を待つために、我々の急を要する旅がいつまで中断されるのか、気を揉んでいたのだが」

 誰何をしたが無視され、さらに声がかけられる。

「君は重症を負い川辺に倒れていた。宵闇が辺りを覆う前に、癒しの手の力を持つ我々に発見されたのは、全くよくできた偶然だ」

 

 目の前には鋭利な顔をした緑髪の人物がこちらを見下ろしている。顔の横に長い耳をみてとり一瞬目を見張る。エレアだ。異形の森に住むエレアは大陸中から迫害されている。人の前に姿を表すのは避けるのが常であったはずだ。こちらのわずかな逡巡をよみとったらしい彼の目には、厄介事に遭遇した不運を恨むさまがありありと見て取れた。体を起こして辺りを見渡すとどうやらここは洞窟のようである。目が慣れてくると焚き火のそばにもう一人女性が立っていることに気がついた。青髪のやさしげな横顔をみつめているとこちらを振り返り目があう。僅かに微笑み、椀に注いだご飯を差し出してくれる。ありがたく頂戴し、遅まきながら二人に深くお礼を言う。宝が眠るというネフィアの噂を聞きつけ船に乗ったが緑色の嵐に襲われ難破したのだと説明する。

「……君は本当に運がいい。無神論者でも今夜だけは幸運の女神に祈りを捧げる必要があるだろう。」

 

 聞くところによると自分が遭遇したのはエーテルの風とよばれるこのあたりの季節風で、準備なく遭遇した場合はまず助からないらしい。そんな危険は説明されていないぞとあなたは訝しんだが、不法に船に乗り込んでいたことを思い出した。あの嵐では、おそらく助かったのは自分だけだろう。名も知らぬ女神に思いを馳せつつ疲労が深く残るあなたは再び意識を失った。

 

「うみ?」

 

 朝日に横から照らされて、翌日目が覚めた。彼らは何か使命をかかえていて、あまり時間がないようだ。親切なことにいくつかの備品を分け与えてくれた上に、近隣の街への道を教えてくれた。今あなたは寂れた街道を進み、ヴェルニースなる街へと向かっている。すでに二人はいない。彼らは森の小道をたどり、真っ直ぐにどこかへと向かっていった。

 

 

 

 昼ごろに、低い塀に囲まれた街に辿り着いた。遠方に町の輪郭らしきものが見えるので、どうやら小さめの町らしい。道の先に門番らしきも人がいたがあっさりと通してもらえる。久々に石床の上を歩く感覚を感じながら周囲を見渡す。小さな町ではあるが道はよく整備されており、街道にそって大小さまざまな建物が並んでいる。門のそばにあったぼろい宿屋に入ってみることにした。

 

 宿は2階建ての長屋のような建物で、壁の中心あたりに傾いたドアがとりつけてあり、そばには黒い塗料で「Lodge piece of micare」とかかれている。中に入ると筋骨たくましい男がこちらを見上げた。

「一晩30G、朝飯と晩飯」

「2日で頼む」

なけなしのゴールドを渡し、2階端の部屋に案内してもらう。窓からはヴェルニースの平凡で扁平な街並みが伺える。船に乗りこんだ時点でゴールドは3桁をきっていた。見知らぬ土地で休暇を決め込む余裕はどうやらなさそうだった。しばらくここにとどまるによ、故郷への帰還を目指すにせよ、路銀を稼ぎ基盤を整える必要がある。荷を部屋に下し手始めに町の中心、ギルドに向かうことにした。

 

 よほどの辺境でない限り、町にはギルドと呼ばれる斡旋所があり、流れ者や傭兵、一攫千金を夢見る若者にろくでもない仕事を紹介している。依頼者は自身の稼業の手助けを一時的に望む市民や、希少な貴金属を望む商人、危険な土地への調査依頼をする道楽貴族などさまざまである。見ず知らずのものに頼まざるをえない仕事は危険なものが大半を占めており、「普通」の人が手を出すことはほとんどない。それでもこの種の斡旋を行うギルドが各地に根を下ろしているのは、イルヴァの地に危険が満ちており、また危険を顧みない不敵者も同じだけ跋扈しているからなのであった。

 

 

 

 両開きの鉄扉をしつらえた2階建ての母屋に入ると、受付が正面にみえた。右方の壁一面には依頼書が張り付けられており、数人が壁をにらみ立ち尽くしている。特に声がかかることもなかったので自身も依頼書を眺めてみる。数十の依頼書を右上から読み始める。

 

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依頼内容]: 迷宮「血の洞穴」探索

依頼者]: ヤシニス・ロー・ヴォルグス子爵

ヴェルニース北東10キロの土地に洞窟型の迷宮が出現した。冒険者を雇い探索をさせたところ、古代の法具と思われる物品を含む貴重品多数出没。数日前から報告が途絶えたため、強力なモンスターの仕業と考えている。武勇に優れる者を求む。パーティ単位での受注が望ましい。

報酬]:監視のものをつける。内部で得た情報を毎日提供してもらい、一日100G払う。それに加え、なにかめぼしいものを見つければ買い取る。先述の法具は2000Gで買い取った。

 

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依頼内容]: プチの討伐

依頼者]: 肉屋イルダス

プチの繁殖期が近づき、多数のプチの出没情報がある。例年通り、プチ肉を募集する。

報酬]: キロ当たり100Gで買い取る。

 

 『冒険』に分類される洞窟探索・調査が5つあり、『探索』に分類される危険で希少な素材や材料集めがの依頼が10ほど、その他雑用15とったところか。交通が盛んなのか、目立った産業でもあるのか、辺鄙な街にしてはなかなか依頼が多い。目立つ場所に掲げられてあるプチ肉の依頼は、雑用と探索の中間あたりだろう。

 

 ギルドの仕事には未知を調査・踏破する冒険、既知ではあるが危険な場所で素材採取や定点観測などを行う捜索、それ以外の雑用に大別されている。この地ティリス大陸といえども都市や村落の周辺地図の大まかな作成は進みつつあるため、『冒険』の仕事に分類される依頼では本当の意味での冒険者の役割が必要になる。つまり、難所を潜り抜け、場合によっては見たこともないモンスターと相対することになる。当然並外れた武をもつものか、狂いのない慎重な用意をもって幸運をつかもうとする強い意志が必要ににある。あるいは、並外れた考えのなさか。大馬鹿ものではないが平凡の域を出ない武力しかもたないあなたが小金稼ぎに選んだのは、プチの肉集めの仕事であった。

 

 プチは広く繁殖しているモンスターだ。全長数十センチ保護のまるい肉の塊に毛が生えたような生物で、子供でも頑丈な棒で遠くからたたき続ければ倒すことができる。体が成長してきた悪ガキが示威行為にプチを仕留めに行く光景は、どの村でも共通であるらしい。ただし、それは一対一の場合だ。集団のプチに敵と認識されると、やつらは一斉に敵対者の顔面にや急所にとびかかってくる。重さ10キロ前後の肉でも勢いよく顔にぶつかればよくても激痛、悪ければそのまま失神してしまう。集団のプチ相手に立ち回るには、なんらかの武術を収め隙を見せずに倒しきるか、頑丈な肉体をもって完封するかが求められる。一般の男性にこれは困難で、喧嘩自慢に毛が生えたチンピラや、金に困った武道者にお鉢がまわってくることになる。

 

 つまり、いまの自分だ。とはいえ武道の実力はせいぜい初段者である。故郷の村で高齢のご隠居がひらく道場に数年通っただけなので当たり前だ。その道場は何でもありの総合武闘派で、得意な武器を軸に、使えるものは何でも使う、お行儀は悪い流派であった。いろいろあってその村を飛び出し、それきりだ。対人相手の特に見世物試合での評判はすこぶる悪いが、モンスター相手にはこれまで多少役に立ったため感謝している。最後に師とやりあったときは五分でそのまま開きとなったことを覚えている。帰り際の師の言葉がずっと記憶に残り続けている。

 

 「君は筋がいいがいつも目の前のことへの情熱が欠けている。何を求め、何をなすべきかを君が確信したとき、君の技は昇華するであろう。」

 

 出奔するつもりでいたことを見抜かれたのではないかとその時は動転したきりその場を辞したが、今になって考えると、師はそのつもりで言葉をかけてくれたのではないかと思う。「ここではないどこか」への情念につき動かされ村を出て、アクシデントはあったが海を越え、新天地にやってきた。たいそうな追憶で時間をつぶしたが、まずは目の前に転がった路銀を集めることが先だ。依頼書を掲示板から外し、受付にもっていく。

 

 くすんだ金髪、暗がりに長い前髪でよく顔は見えないが、できるだけ丁寧に声をかける。

「昨日ここにやってきた。依頼を受けたい。」

「かしこまりました。しかしながら、依頼を受けるまえに身分証の提示を。なければギルド構成員としての身分証を発行できますが」

「あったが、なくしてしまった。新しくつくりたい。必要な金額は」

「10ゴールドになります。こちらの書類にご記入ください」

要求された情報は、氏名、年齢、クラス、出身地だけだ。すべて正直に記入する。クラスの欄は勝手に決めてよいらしいので剣士としておいた。しばらく奥に引っ込み、すぐに簡単なカードを渡してくれる。カードは金属の板に何らかの機械で記号を掘ったもののようだ。管理のためとおもわれる番号と、氏名、クラスが刻印されている。なんだこの技術は?驚きを隠せずカードを見つめていると受付の女性が教えてくれた。

 

「見たことないでしょう、その金属、アルミっていうらしいんですが。なんでもパルミアのアルケミー学園だかが最近開発したとかいう合金で、試験運用のためにギルドにも支給されているんですよ。かたい金属のはずなのに、よくわからない魔力の棒で板をなぞるとその箇所だけ膨れ上がって、文字を刻印できる。しかも学園がいうには1セット数ゴールドの材料で量産できるらしいんですって」

 

 なるほど、自分が海で溺れかけている間も世界は着実に前に進んでいたらしい。カードを受け取り、ギルドについてのお馴染みの説明をうける。どのギルドでも説明は同じで、新人にむけて何ども繰り返されるフレーズだから嫌でも覚える。数分でおわる新人教育を聞き流しプチ肉の依頼を無事受領する。肉は肉屋へということで、現物は直接とどければよいらしい。町はずれにあるという肉屋の所在を教えてもらいギルドを後にした。

 

 手始めに地理を確認する必要がある。自分が通ってきた西の門から外に出た。入る時は気が付かなかったが、道は3手に割れており、門を背後に右奥に続くのが自身がたどってきた道のようであった。正面に続くのはやや大きく、よく整備されている。門番に聞くとこの道は港町につながっているらしい。ついでに野生モンスターの出所をきいてみる。基本的にどこでもいるらしいが、門から左側、南西方面が初心者におすすめだそうだ。愛嬌あるひげをもった門番に礼をいい、のんびりと小道を歩いていく。

 

 

 

 一面草原の緑の只中に白い異物がひとつ。手には短めの直剣をもち、自分はこの丸い小動物と相対していた。




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