太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

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12話:不死鳥

 どうしてこうなったのか。

 一樹は部室に在る菓子を摘まみながら少し離れた場所で言い争いをしているふたりを見ていた。

 

「ライザー!何度も言うようだけど私はあなたと結婚する気はないわ!婿養子を迎えるにしてもその相手は自分で決める!」

 

「俺もな、リアス……フェニックス家の看板を背負ってここに来てるんだ。その看板に泥を被せるわけにはいかないんだよ」

 

 などと言い合っている2人を一樹はテレビドラマでも鑑賞しているように蚊帳の外を決め込み。白音は雑誌を読んで我関せず。ゼノヴィアは興味深そうにリアスとライザーと呼ばれた上級悪魔の修羅場を眺め、アーシアはどうすればいいのかわからずあたふたしており、祐斗と朱乃は困ったような表情で見ているが、ライザーの存在を快く思っていない雰囲気を出している。

 そして一誠は今にも爆発しそうな怒りの表情で唇を噛んでいる。

 

 先ほど部室に入る少し前の話だ。

 

「部長がなんか悩みがあるみたいなんだけど知らねぇか?」

 

「う~ん。僕のほうではちょっと覚えがないかな。でもあるとしたらグレモリーの実家関連だと思うけど」

 

「朱乃さんなら知ってるかな?」

 

「朱乃さんは部長の懐刀だからね。当然知ってると思うよ」

 

 などと話しながら部室に向かっていた。

 ここ最近、リアスが心此処に非ずな状態になることがあることはこの場にいる全員が知っていた。しかし相手が年齢その他の意味で上の相手であるため。訊くべきか大なり小なり悩んでいた。

 そもそもまだ新入り悪魔の一誠やアーシアにゼノヴィア。それに人間であり、こちら側に足を踏み入れた一樹に関しては悪魔社会について何も知らないに等しいのだ。

 一樹自身、リアスについて知っていることは悪魔社会でもかなり地位の高い家柄の後継ぎということくらいだし。仲が良いかと訊かれれば普通としか答えられない程度の関係だ。

 もちろん相談されれば自分に出来る限り力になるつもりだが。

 そうして部室の扉に手をかけた時に祐斗の動きが止まる。

 

「……僕がここまで来て初めて気配に気づくなんて」

 

「どした、祐斗?」

 

 質問に答えずに扉を開けるとそこには部員であるリアス、朱乃に白音がいる。しかしいつもと違うのは、リアスの横に見慣れない銀髪の女性がメイド姿で立っていることだ。

 

 見慣れないその人物に一樹は首を傾げる。

 一誠は「あ、あの時の!?」と声を出したが一樹は初対面だった。

 相手の女性と一樹が一瞬視線が重なると少しだけ険しい顔になったように思えたが、すぐに表情を消したため、気のせいだと思った。

 リアスは目を瞑り不機嫌な顔で重苦しい空気を振りまいていた。

 しかし一誠たちを確認すると険しい表情を少しだけ緩めてソファーから立ち上がった。

 

「揃ったわね。実は、部活を始める前に話があるの」

 

 リアスはまず銀髪の女性の紹介に入った。

 

「白音と一樹は初対面だったわよね?彼女はグレイフィア。グレモリー家のメイドなの」

 

「グレイフィアと申します。以後お見知りおきを」

 

 頭を下げて挨拶するグレイフィアに一樹と白音は互いに頭を下げて挨拶した。

 そんな最低限の挨拶をしながら一樹はメイドってホントに居るんだな、と場違いな感想を抱いていた。

 

 そしてここからが本題なのだろう。リアスが話す前にグレイフィアと紹介された女性が私が話しましょうか?と言っていたがリアスは手でそれを制した。

 

「実はね……」

 

 リアスが話を始めようとしたその時、部室の床中心に魔法陣が出現した。

 それは見たことのない魔法陣でここ最近見慣れたグレモリーのそれとは別物だった。

 

「フェニックス……ッ!?」

 

 祐斗が呟く。

 魔法陣から発せられる眩い光から炎が吐き出された。

 咄嗟に一樹は近くにいたアーシアを庇える位置に移動した。

 そして炎の中からひとりの人影が現れる。

 現れたのは20代前半程の赤いスーツを着崩して胸元を開いた格好の金髪の男性だった。

 男が腕を薙ぐと忽ちに炎が消える。

 

「ふ……人間界に来るのも久しぶりだな」

 

 男はリアスを視界に入れると笑みを作って近づく。

 

「やぁ、愛しのリアス。久しぶりだな」

 

 男の発言に一誠、一樹、アーシア、ゼノヴィアは目を丸くする。白音に至っては関わりたくありませんとばかりに冷凍庫に入っていたアイスを雑誌片手に頬張っている。

 リアスの方は馴れ馴れしく近づいてくる男を半眼で敵意の篭った半眼で見つめており、とても歓迎している態度には見えない。。

 しかし、相手は気づいていないのか、それとも分かっていてスルーしているのか構わず話を進めた。

 

「さてリアス。早速だが式の会場を見に行こう。日取りも決まってるんだ、早め早めがいい」

 

「放してちょうだい、ライザー」

 

 ライザーと呼ばれた男が腕を掴むがリアスはそれを振り払う。

 どうにも話が見えず、一樹は祐斗に小声で話しかけた。

 

「なぁ、誰よあのホストマン」

 

「えっと……あの人はフェニックス家の三男でライザー・フェニックス氏。上級悪魔だよ」

 

「それって部長と同じ?」

 

「うん。そして―――――」

 

 2人が小声で話す中、リアスに対する馴れ馴れしい態度に業を煮やしたの一誠が声を上げた。

 

「おい!アンタ部長に対して無礼だろーが!いきなりやって来てなんなんだよ!!」

 

 今にも嚙みつかんばかりの態度の一誠にライザーは道端に落ちているゴミでも見るかのような眼で見返す。

 それも心底不快そうに。

 

「あ?誰だよお前?」

 

「俺はリアス・グレモリーの眷属悪魔!【兵士】の兵藤一誠だ」

 

「へぇ~。あっそ」

 

 渾身の名乗りをどうでもよさそうに返されてバランスを崩す一誠。

 まあ、上級悪魔の彼からしたら下級、それも転生悪魔なんぞさして意識を向ける相手でもないのだろう。

 

「しかしリアス。もしかして君は俺のことを下僕たちに話してないのか?」

 

「言う必要がないだけよ……」

 

「これは手厳しいな」

 

 苦笑しているライザーに対してリアスは飽く迄も険の態度を崩さない。そんな中で今まで黙っていたグレイフィアが前に出た。

 

「兵藤一誠さま。あのお方はライザー・フェニックスさま。純血の上級悪魔でフェニックス家の三男。そして、リアスお嬢さまとご婚約されており、グレモリーの次期当主の婿でございます」

 

 グレイフィアの説明をたっぷり十秒掛けて租借し、頭の中に理解させる一誠。

 そしてその理解が及ぶと。

 

「む、婿?婚約者?え?えぇええええええええええええええええええええっ!?」

 

「やかましい!!」

 

 声を張り上げた一誠を一樹がハリセンでシバキ倒した。

 

 

 

 

 そして冒頭の口論に繋がるわけだが。

 話は一向に進まない。

 

 ライザーの言い分としては、両者の結婚は既に両家の当主が了承しており、式を挙げるなら早めの方が良い言い。

 それに悪魔社会で貴重になった純血の血を残すのは古い悪魔の義務だと。

 リアスは自身はこの結婚を承諾しておらず、そもそも大学卒業までこの話は進展しないはずだった、と。

 それに如何に純血の古い悪魔といえど生涯を添い遂げる相手を選ぶ権利くらいあるはずだとも。

 

「俺は別に結婚したかからといって君を束縛するつもりはないさ。大学に通うのも良し。眷属に関しても好きにすればいい。しかし君の御父上は先のコカビエルの件のように君がつまらない小競り合いに巻き込まれて家が断絶する可能性を怖れてる」

 

 話を聞きながら一樹はあぁ、コカビエルのことで今回の式が決定したのかと他人事のように聞いていた。

 一誠は険しい表情でライザーを睨んでいたかと思えば、突如だらしない表情をする。

 

「一誠さん、どうしたんですか?急に変な顔して」

 

「どうせ、あの男から自分が部長を寝取る姿でも想像してたんだろうが」

 

「最低ですね。ドン引きです……」

 

「違ぇよ!?つか君たち俺の扱いヒドくない!」

 

「今頃気付いたのか?」

 

「頻繁に女生徒の着替えを覗く性犯罪者と友好的な関係が成されているとでも?」

 

 白音の発言にクリティカルヒットで精神にダメージを負わされたのか四つん這いになって呻く。

 そんなやり取りをしていると、向こうのほうでリアスが声を上げた。

 その頑な態度にさすがにライザーも声をトーンを少し下げる。

 

「俺もな、リアス。フェニックス家の看板を背負ってここに来てるんだよ。それに泥を塗るわけにはいかないんだ。もしこれ以上、駄々を捏ねるようなら―――――」

 

 ライザーの手の平から炎が灯る。

 

「君の下僕を全て燃やし尽くしてでもこの場から連れ去るぞ?」

 

 その言葉にオカルト研究部のアーシア以外全員が意識を戦闘の時のそれに切り替える。臆することがないのはコカビエルの殺気を受けた経験からだろう。

 しかしその緊張は今まで一歩引いたところに居たグレイフィアによって遮られる。

 

「お嬢さま、ライザーさま、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら私も看過できません。私はサーゼクス様の名誉のためにも遠慮などしないつもりです」

 

 静かに、だが確かな存在感で威圧するグレイフィアにライザーは一歩下がる。

 

「最強の女王と称される貴女の相手は俺でも流石に怖いよ。化け物揃いのサーゼクス様の眷属とは絶対に敵対したくない」

 

 ライザーが炎を消したのを確認してグレイフィアが再び口を開く。

 

「こうなることは旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も重々承知でした。ですからこの場での話し合いで結論が出なかった場合、最終手段を提案させていただきます」

 

「最終手段?それは?」

 

「お嬢さま。ご自身の意志をお通しになるのでしたらライザー様と【レーティングゲーム】で決着をつけるのはいかがでしょう?」

 

 グレイフィアの意見にこの場にいた全員、というより【レーティングゲーム】を理解している者たちは驚きの表情を見せる。

 

「レーティングゲームは爵位持ちの悪魔が行う、下僕たちを戦わせて競うゲームのことだよ」

 

 分からずに首を傾げている新入り悪魔+協力者2人に祐斗が説明を加える。

 実力主義である悪魔社会はこのレーティングゲームを行い好成績を収めることで発言権を得たり、特権の取得などの高待遇を得られる。

 だが基本レーティングゲームは成人した悪魔にしか参加権は与えられていない。

 つまりまだ成人していないリアスにゲームへの参加権はないわけだが。

 

「ですが例外はあります。非公式のレーティングゲームなら半人前の悪魔でも参加できます。しかしこの場合の多くは――――」

 

「お家同士のいがみ合いね。お父様たちは私がこの件に反対することを見越してその提案を出した。まったく。どこまで私の生き方に干渉すれば気が済むのかしら……!」

 

「ならば、お嬢さまはこの提案を拒否なさいますか?」

 

「いいえ。むしろ丁度いいわ。その提案、受けましょう」

 

 リアスの回答をライザーは口元を吊り上げる。

 

「受けるのか?まぁ、俺は構わないぜ。知ってると思うが俺は既に成熟してるし、ゲームもそれなりに出場してる。今のところ勝ち星の方が多い。それでもやるのかリアス?」

 

「やるわ。貴方を吹き飛ばしてあげる、ライザー!」

 

「そうか。ならゲームに勝てば、君の好きにすると良い。だが負ければ即結婚。それで異論はないな?」

 

「ええ」

 

 決意を胸に強く発言するリアスに対して、ライザーの口調は軽かった。そこには自分が負けることはないという絶対の自信が見られる。

 

「では、両人の承諾の下で非公式のレーティングゲームをこのグレイフィアの指揮で執り行います。良いですね?」

 

 グレイフィアの言葉に2人が了承の意を表す。

 

「しかし君の眷属はそれで全員か?あぁいや。僧侶がひとり封印処置されているとは聞いているが……」

 

「いいえ。そこにいる一樹と白音は違うわ。2人は、私の協力者よ」

 

 一樹と白音を指して答えるとライザーは鼻で笑った。

 

「まさか、君が眷属以外で人間を『飼う』とはな」

 

『飼う』という単語にリアスと主だった部員は怒りを覚えた。

 

「ライザー!彼らは協力者よ!コカビエルの件も2人の協力があったから私たちはこうして生き延びることができた。私の可愛い眷属同様、一樹と白音への侮辱は許さないわ!」

 

「ハッ!冗談だろリアス?いくら子飼いのペットに愛着があるからって下手な持ち上げは感心しないぜ?」

 

 ペット、という言葉にリアスの怒りが最大値に達したが、それより先に声を上げたのは一誠だった。

 

「おいアンタ!さっきから聞いてりゃあ、言ってることが失礼過ぎるだろ!」

 

 言われた指摘にライザーは鬱陶しそうに舌打ちした。

 一誠は我慢の限界だった。

 一樹や白音は短いながらも一緒にオカルト研究部の部員として活動してきた仲間だった。悪魔の仕事を手伝ってもらい、一緒の時間を過ごした。

 それをいきなりやって来て、それもコカビエルの時に居もしなかった奴に馬鹿にされるのは我慢できなかった。

 

「……リアス。どうやら君は下僕の教育が不足しているようだな。それでは、御父上もさぞかし肩を落とすだろうよ」

 

「部長は関係ねぇだろ!!」

 

 噛み付かんばかりのイッセーにライザーは小さく息を吐く。

 

「威勢だけはいいな。だが、君の眷属の中で俺の眷属とまともにやり合えるのは雷の巫女である君の女王くらいのものだろう?」

 

 そうして、ライザーがパチンと指を鳴らすと彼の後ろに次々とフェニックス家の魔法陣が現れた。

 その魔法陣から姿を現したのは15名の女性だった。

 それを意味することは―――――。

 

「これが俺の可愛い下僕たちだ」

 

 彼は既に全ての駒を揃えているということだ。

 しかもその眷属たちはすべて見目麗しい女達だった。

 それを見たイッセーは、突如号泣し始める。

 

「お、おい。君の下僕くん、いきなりすごい勢いで泣き始めたんだが……」

 

「この子、ハーレムが夢なのよ。貴方の下僕を見て感動したんだと思うわ」

 

 号泣する一誠に引くライザーにリアスが説明を加えると彼はふぅんと笑みを浮かべる。

 そして眷属たちからはキモイだの言われたい放題である。

 

「そう言うな。上流階級の者を羨望の眼差しで見るのは下賤な者の常さ。こいつに俺たちの熱々なところを見せてやろう」

 

 そう言って眷属の1人を抱き寄せてキスを始めた。それも舌を絡ませながら。

 

「は、はうぅうううっ!?」

 

「……」

 

「しっ!見ちゃいけません!」

 

 恥ずかしそうにしているアーシアと軽蔑の眼差しを送っている白音の視線を一樹が手で塞いだ。

 ちなみに一樹本人も呆れ顔だ。

 ライザーと眷属の行為が終わって若干打ちひしがれている一誠に近づいてそっと肩に手を置いた。

 

「兵藤、あれが未来のお前の姿だぞ」

 

「違ぇよ!俺はハーレム築いてもあんな風になりません!!」

 

「お前のイメージするハーレムがわかんねぇなぁ……」

 

 どう見ても強がりだがそこは触れないでおいた。

 ライザーはそんな一誠を嘲笑して見下ろしていた。

 

「どうだ下僕悪魔くん。お前じゃ一生かかってもこんなことはできまい」

 

「うるせぇ!部長の目の前で他の女とイチャイチャしやがって!お前なんかじゃ部長と不釣り合いだぜ!!」

 

「はぁ?お前はその女ったらしに憧れてるんだろうが」

 

「う、うるせぇ!お前なんざゲームを始めるまでもねぇ!俺がこの場で叩き潰してやらぁ!赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!!」

 

 一誠は自分の神器を出現させて構えを取った。

 それを見てライザーが若干驚きで目を見開いた。

 

「神滅具?ハッ!また御大層なモノを持ってるなお前」

 

「今更後悔しても遅いぜ!この焼き鳥野郎!」

 

「焼き鳥ぃ!?この下級悪魔風情が!おいリアス!君の眷属の教育はどうなっている!!」

 

 流石に今の発言はリアスも思うところがあったのかそっと視線を逸らす。

 しかし一誠の勢いは止まらない。

 

「俺がお前ら全員ぶっ倒してやらぁ!」

 

「ふん!やれ、ミラ」

 

「はい、ライザー様」

 

 突っ込む一誠にライザーは隣に居た棍を持った童顔の少女が前に出た。

 女の子が相手ということで一瞬一誠がたじろいだが棍を押さえれば勝機はあると思い、そのまま動く。そんな一誠にミラと呼ばれた少女は手にした得物を振るった。

 

「どわっ!?」

 

 突き出された棍を左手の籠手でガードするも僅かに後ろに下げられ、膝をついた。

 冷静になった一誠が構えを取り直す。

 それを見ていたライザーはヘェと喉を鳴らす。

 

「やるじゃないか。ミラは俺の眷属の中で一番弱いがそれでも悪魔に成りたてのお前が相手になるとは思えなかったんだが。ハハッ!これは思った以上に楽しめそうだ。それに、そうだな」

 

 なにかを決めたようにライザーはリアスに提案した。

 

「ちょうどいい、リアス。今から君に10日ほど時間をやる。それまでに自分の眷属を鍛えてみろ。ついでにそこの協力者2人もゲームに参加させてな。コカビエルと戦ったというなら少しは使えるんだろ?」

 

「なっ!どういうつもり、ライザー!?」

 

「時間に関しては俺は既にゲームを経験している先輩として未経験者の後輩にハンデを与えるべきだと思ったからだ。助っ人に関しては、まだ眷属を揃えてない君に数で優っていたから勝てたなどと他の上級悪魔に思われれば俺が笑い者にされるからだよ。これは非公式のレーティングゲームだし、それくらいは構わないだろ?」

 

 ライザーは目線でグレイフィアに確認を取る。

 

「あまり褒められたことではありませんが、双方(キング)の合意とゲストの方にその意思があれば例外的に認められます」

 

 どうしますかと問われてリアスは後ろにいる一樹と白音に目線を向ける。

 

「私はかまいません」

 

「あ~俺も、ですね。その、レーティングゲーム?に出場します」

 

 それは、リアスが思っていたのと別の答えだった。

 特に白音は自分が出場することも、一樹に出場させるのも断ると思っていたからだ。

 その上でリアスは悩む。

 自分の問題に眷属でもない2人を巻き込んでいいのか、と。

 

「リアス。レーティングゲームの先輩として言っておくが、感情に振り回されて勝てるモノじゃないぜ。ましてや劣勢の君が手段を選り好み出来ると思っているのならそれはただの思い上がりだ」

 

 わかっている。本当に勝ちたいならここは納得すべきだと。白音の戦力は自分たちの中で頭ひとつ飛び抜けているし、リアスの考えが正しければ一樹はフェニックスに対して切り札になりえる。

 しかし、彼女のプライドが2人の手を借りることを拒否している。

 そんな葛藤の中でリアス・グレモリーが選んだ回答は。

 

「2人を、今回の非公式のゲームに参加させるわ。一樹、白音。力を貸してちょうだい……」

 

 そう言ってリアスは頭を下げた。

 

「それでは確認を。ゲストを交えた、リアスお嬢さまとライザー様の非公式レーティングゲームを10日後に行います。いいですね?」

 

 リアスとライザーはお互いに同意する。

 ライザーは去り際にリアスの肩に手を置いた。

 

「君なら10日もあればこいつらの力を引き出せるだろう。俺は君に期待している。そして赤龍帝。あまり無様な戦いをしてくれるなよ?お前の戦いがリアスの評価にも繋がるんだからな」

 

 何も言い返せずにいる一誠を一瞥してライザーは部室を去って行った。

 

 

 

 

 




本作品でリアスの結婚が早まったのはコカビエルの襲来で焦った両親が娘を実家に戻す口実で結婚を早めました。
もし次になにかあって娘に死なれたらどうしよう的な。
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