太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

5 / 124
5話:遭遇

 周りから奇異な視線を向けられて良い気分がしないのは万人共通だろう。

 日ノ宮一樹はそんな視線に晒されながら不機嫌そうに歩いている。

 実際には不機嫌などではなく困惑しているというのが正しいのだが。

 

「なぁ、白音。お願いだから離れて歩いてくれね?」

 

「?どうして……?」

 

「いや、ほら。周りの視線がさ……」

 

「私は気にしない……」

 

「俺が気にするんですけどっ!?」

 

 ここ数日、猫上白音は日ノ宮一樹にずっとべったりとついて回っていた。

 登校下校を一緒にするのは当たり前。昼休みの昼食などもわざわざ二年の教室まで来る始末だ。

 確かに数日前に怪我を思えばある程度過敏になるのは仕方ないかもしれないがそれが続けば少々面倒だと思うのが人間だ。

 しかも善意でやられてるだけ無下にすることもできない。

 それでも一樹に言わせれば過保護だ。まだ包帯こそ取れないが既に腕は吊るしていないし、痛みもない。

 ついでに言うと、黒歌は一樹が怪我をした次の日に出張で家にいない。その日の夜、白音は一樹と一緒の部屋で寝ようとした。流石にそれは断固拒否したが、あの時の納得していませんと言わんばかりの表情は記憶に新しい。

 

 周りから下世話な憶測を交えた視線に耐えながらどうにか学園に到着し、白音と別れて教室に向かう。

 そして一樹のもうひとつの悩みがあった。

 

「うっす、祐斗」

 

「おはよう、一樹くん」

 

 いつも通りの挨拶。しかし以前より距離が開いたように一樹には感じられた。

 

 数日前一樹が出した正体不明の炎が原因―――ではない。

 あのフリードとか言う似非神父に襲われて以来、どうも祐斗が苛立っているというか、殺気だっていた。

 あの炎については当然次の日に訊かれたが分からないと一樹は正直に答えた。その上で祐斗自身からあまりそれを使わないほうがいいと忠告を受けた。そもそもどうやって出したのかさえ解らないのだから使いようもないのだが。

 それから祐斗に近寄りがたい雰囲気を纏うようになり、話をすることが減ってしまったのだ。

 一樹としてもなんとかしたい気持ちもあるが、踏み込んでいい事柄か判断できず、踏み出せないでいた。

 1年程の付き合いになるが、あくまでもそれだけの関係だ。一樹にだって触れてほしくないモノはある。

 結果としてなにもしないという選択が継続しているのだ。

 

 

 

 

 そうして今日も授業を終える。

 帰宅部の一樹は当然これからすぐに下校だ。

 そして、今日も見覚えのある銀髪が教室の外から見えた。

 

「いっくん、帰ろ」

 

「おう。じゃ、またな祐斗」

 

「うん。一樹くんも気をつけて」

 

「ああ」

 

 この一連の流れがここ数日のお約束だった。そして外野から無責任な噂話が聞こえてくる。

 

「今日も来てるわよ猫上さん。やっぱりふたりは付き合ってるのかしら?」

 

「そんなわけないわ!だって日ノ宮くんは木場くんと―――」

 

「もしや!3人は日ノ宮くんを巡った三角関係なんじゃないかしら!」

 

「それだっ!!」

 

「クッ!学園の王子様的立場の木場くんとマスコット的立場にある猫上さんの2人を手玉に取るなんて!日ノ宮くん、恐ろしい子!」

 

(恐ろしいのはお前らの思考回路だ!むしろおぞましいわっ!あ~ぶん殴りてぇ……)

 

 周りの無責任な噂話を聞いて一樹の思ったのはこれだけだ。いつも通り無視して白音と帰る。

 

 特に話すこともなく、二人で黙って帰り道の坂を半分下ったところで二人の少女に話しかけられた。

 

「ちょっとあなたたち」

 

「あ?」

 

「?」

 

 話しかけてきたのは奇妙な二人組だったもうじき暑くなる季節だというのにフード付きの外套を着たおそらく一樹たちと同じ年頃の少女。

 

 一人は長い栗色の髪を左右に結わえた俗にいうツインテールをした日本、もしくは東洋人と判る顔立ちの少女に青い白音と同じくらいの髪に前髪の一部に緑のメッシュを入れた外国人らしき少女。

 

「ごめんなさい、引き止めて。あなたたち駒王学園の生徒よね?」

 

「あぁ。まあな……」

 

「じつは駒王学園に用事があるんだけと道がわからなくなっちゃって、それで……」

 

 それを聞いて一樹はなぜ話しかけられたのか納得した。

 駒王学園の制服は目立つ。男子もそうだが特に女子はその独特のデザインから一発だろう。もしかしたら転校生かもしれないと一樹は簡潔に説明を始める。

 

「この坂を登ったら俺らの他にも下校の生徒がいるから、それを辿っていけば着くぞ」

 

 坂の上を指差して一樹が説明する。

 

「そう、ありがとうね!ほらゼノヴィア!」

 

 お礼を言って相方の少女を手招きしながら移動を始める。そしてゼノヴィアと呼ばれた少女が横を通り過ぎた際に一樹にだけ聞こえるように耳元で囁く。

 

「そんな不浄の存在と関わらないほうがいい」

 

「あ?」

 

 流暢な日本語で言われた言葉に一樹は眉を動かす。

 どういうことか聞こうとするが、二人は早歩きで移動しており、わざわざ呼び止めるのも面倒な距離になっていた。

 

「どうしたの、いっくん?」

 

「いや、なんでもねぇ……」

 

 少しだけ嫌な気分になりながら頭を振って意識を切り換える。

 

(どうせもう会うこともねぇんだ。気にする必要ないな)

 

 仮に会うことがあってもそれだけだ。他人の言葉をいちいち気にする理由はない。

 そして帰路につきながら一樹はこのときの事を頭の中から追い出した。

 

 

 

 

 

「わぁい、とっても良い趣味~!」

 

 目の前の術式を解析しながら黒歌はヤケクソ気味にテンションを上げる。

 そうでもなければやっていられないとばかりに。

 今解読している術式はこの町を破壊するための術式だ。それこそ発動すればこの町は文字通り地図から消えるだろう。

 町の至る所で発見されたそれを黒歌はひとつづつ消し去っていく。いや、正確には書き換えだろうか。

 百近く刻まれた術式はひとつでも不用意に解除すれば他の術式がそれを察知し、この町を消し去るように仕組まれていた。

 無力化するにはすべての術式を同時に消し去るか、術を刻んだコカビエルを殺すかなのだが、すべての術式を消すとなるとそれなりの人数が必要になるし、コカビエルはまだ発見できていない。

 そこで黒歌が行ったのは術式にダミーにすり替えてここに術式が『ある』と他の術式に誤認させて無力化する術式だ。

 ここ数年、堕天使が使う術式を読み漁っていなければうっかり解除してこの町を消していただろう予想に寒気がする。

 

「絶対あの馬鹿を見つけたらミンチにする!むしろ微粒子も残さない!」

 

 イライラとしながら目の前の術式と格闘している黒歌に後ろから声がかかった。

 

「待て。それは俺の役目だ」

 

 話しかけたのは一樹と同い年くらいの少年だった。

 銀髪で整った顔立ちであり、着ている服の上からでは判断しずらいがしっかりと鍛えられ、引き締められた筋肉。

 彼がアザゼルの秘蔵っ子である少年だった。

 

「うるさい!そこでつっ立ってるだけなら手伝いなさい!」

 

「俺がやると術式が起動するから触るなと言ったのはお前なのだがな。それに俺は一応護衛だ。意識の大半を持っていかれる術式の解析をするわけにはいかないだろう?」

 

 嫌味でもなんでもなく事実を口にするように少年は最低限の対応をする。

 そんなことわかってるわよ!と術式解析に意識を再び傾ける。

 

「堕天使の幹部と戦える機会なんてそうそうないからな。このチャンスを逃す気はない」

 

「この戦闘狂……」

 

 楽しみにしていた旅行前日の子供の様な表情でこれからの戦いに思いを馳せる少年に黒歌は溜め息を吐いた。

 

「それに今回の事件には俺のライバルも関わっている。どれ程の器か見ておくのも悪くない。そして俺の眼鏡にかなわないのなら……」

 

 そこで言葉を切る。そんな少年を見て黒歌はただ勝手にしなさいと答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 それを見つけたとき、日ノ宮一樹は知らない振りをするか本気で検討した。

 その日は一樹と白音は授業を終えると適当な喫茶店で軽食を摂っていた

 まぁ、軽食と言うには白音は多くのケーキを食べているが。

 それらを食べ終えて他人には判らないくらい僅かに白音は満足そうな表情で店を出て近道である人通りの少ない道を進むとその一団に遭遇した。

 

 言ってしまえば神父だか牧師だかそういう人種が着る服を着た知人だ。

 

「なんでだよ……?」

 

 もう組み合わせがわけわからない。

 

 ひとりは友人の木場祐斗。もうひとりは変態3人組に数えられる兵藤一誠。最後に最近生徒会に入った匙元士郎と言ったなんの集まりだかわからない集団があり得ない格好で歩いている。

 それに対して一樹が出した結論は。

 

「見なかった事にしよう」

 

「賛成」

 

 関わるの面倒そうだし。

 丁度通り道に立っているが少し迂回すればいい。方向転換するとこちらに気づいた向こう側から声が上がった。

 

「あぁーっ!猫上白音ちゃんっ!」

 

 なんで気づくんだよ。てか、なんで白音をちゃん呼び?なんか接点あったか?

 そこまで考えて一樹がチラリと白音の方に目線を向けると僅かに眉間にシワがよっていた。まぁ、あるわけないよな。

 一樹は溜め息を吐いて三人に近づく。

 

「よぉ。珍しい集まりだな。何やってんだ?」

 

「ちょっとね。そっちはデートかい?」

 

「そんなところだ」

 

「デートだと!?」

 

 こちらの質問に対して話題をそらした祐斗に訊かれたくない事だったかと思い、返された質問に適当に答えた。

 なぜかその事に兵藤一誠がショックを受けている様子だが特に気にも止めなかった。

 

 ついでに言うと、一樹自身はデートという意識はないが端から見たらそう感じるかもしれないと無理に否定はしなかっただけである。

 

 あぁ、それにしても祐斗の気配が変わったなと感じた。

 いや、戻ったというほうが正しいか。

 以前のどこか刺々した雰囲気は感じない。

 

(なんかあったのか?)

 

 なんにせよきっと良い変化だろう。なにより学園で友人と呼べるのが祐斗と桐生しかいない一樹からすれば祐斗がいつもの調子に戻ったのは有り難かった。

 

 訳は分からないがどうにも三人の様子から見られたくなかったらしいことが伝わり、即座に切り上げて帰ろうと決める。

 じゃあなと手を振ろうとしたときに、体が僅かに硬直した。

 

「いっくんっ!?」

 

 白音が後ろから声を上げると同時に一樹の体を引っ張って跳んだ。

 その時一樹はおぉっ!?と声を上げて白音って案外力あんだなぁと場違いなことを考えていた。

 周りを見ると他の三人もさっきまで話していた場所から距離を取っていた。

 一樹たちが話していた場所に落ちて来たモノを見るとそれはこの場の白音と匙以外は見覚えのある人物だった。

 

「フリード・セルゼン!?」

 

「ゲッ!この間の変質者っ!?」

 

 落ちてきたのは以前一樹に傷を負わせた銀髪の神父—――フリード・セルゼンだった。

 

 膝をついていた体を立たせ、見るだけで不快感を与える笑顔で周りを見る。

 

「おんや~。誰かと思えば木場くんにイッセーくん。それにこの間ボクちんを蒸し焼きにしかけてくれたファイヤーボーイじゃありませんか~。俺様が会いたかった方々が一度に見つかってきっと俺様に首チョンパされたいに違いない!!」

 

 以前と変わらない意味不明な言葉を並べるフリードに一樹は心の底からげんなりした。

 それよりも、今は白音だと後ろにいる妹分を守るために前に立つ。

 もしここで白音が傷ついたら黒歌に顔向けできないと思いながら。

 

「見つけた……」

 

 ボソリと呟く祐斗。

 その顔には隠しきれない好戦的な笑みがあった。

 一樹は舌打ちして祐斗の肩を掴んだ。

 

「何でそんなヤル気満々なんだよ!相手は刃物持ってんだぞ!さっさと逃げ―――」

 

 しかし祐斗は一樹の手を振り払う。

 

「悪いけど一樹くんは下がっていてくれ。僕はあの聖剣を破壊しなくちゃいけないんだ」

 

 そう言った祐斗の手にはいつの間にか剣が握られていた。

 

「ここから先は僕たちのやることだ。一樹くんは早くここから離れて」

 

 突き放すような言葉を使いながら祐斗は剣を構えた。

 気がつけば兵藤一誠と匙元士郎も緊張感を漂わせながら手に形の違う手甲のようなものを装備していた。

 そんな中で白音が一樹に質問する。

 

「ねぇ、いっくん。もしかしてあの人が前にいっくんを怪我させた人?」

 

「あ?そうだけど、どうした?」

 

「へぇ……」

 

 その時、一樹は祐斗とフリードに視線を映していたため見えなかったが、その視線は氷のように冷たく鋭利なモノだった。

 

「いくぞフリード!!」

 

 その声を合図に祐斗が動く。

 祐斗の速度に一樹がはやっ⁉と驚いている間に2本の剣が激突する。

 しかし、数回お互いに剣を打ち付け合うと祐斗の剣がガラス細工のように砕け散った。

 

「っ!?まだだ!」

 

 直ぐに祐斗の手には先程とは意匠の違う新しい剣が握られていた。それを見たフリードが納得いったように嗤う。まるでそんなものは大したことはないとでも言うように。

 

「光喰剣だけじゃなく複数の魔剣所持?おたくもしかして魔剣創造の神器保持者?わぉ!レア神器とか罪な御方!!けど、俺様の聖剣もそんなハリボテに傷つけられるほど半端な品物じゃございませんよぉ‼」

 

「それでもっ!僕は聖剣を破壊しなければならないんだ‼」

 

 再び互いの剣がぶつかるがやはり祐斗の剣は直ぐに破壊されてしまう。

 

 馬鹿の一つ覚えのように壊されては新しい剣を振るうも直ぐに破壊されてしまう。

 

 最初は勢い良く猛攻していた祐斗も段々と追い詰められていく。

 

「ハッ!?ちょれぇんだよ!いくら騎士つっても天閃の聖剣を持つ俺様に速度で勝てるわきゃねぇだろうが!?」

 

 フリードが振るう剣の刃が祐斗に迫る。

 たが―――。

 

「だっしゃぁあああああっ‼」

 

 一樹が祐斗を突き飛ばした。

 即座に手を振るいながら念じる。

 

(アグニ)よ!!」

 

 放たれた炎がフリードを襲うが大きく後退して避ける。

 

(前よりも簡単に出たな。むしろ今は何で今まで使えないと思ってたのが不思議な―――)

 

 そこまで考えて思考を切り換える。今はそんなことはどうでもいいと感じたからだ。

 

「一樹くん、どうして!?」

 

「やかましい!!あんな危ない奴相手に放って置けるか!!そこの2人もなんかできるんだろ!!この異常者をさっさと簀巻きにして警察に突き出すぞ!?」

 

 なにやら二人が驚いた表情で「えっ!?日ノ宮も神器持ってんの!?」等と一樹に理解できない事を言っているがそれよりも目の前のことだ。

 

「おーおー。また俺様の邪魔してくれちゃってまぁ。やっぱりおたくもバッサリすんの決定だわ!」

 

 最初から見逃す気なんてないくせにと舌打ちしながら向かい合う。

 内心馬鹿なことしてるなという自覚はある。さっき祐斗が言ったように逃げ出せば良かったと思わないでもない。

 しかし、体が動いてしまったのだから仕方ないなと自分で頭を切り換える。

 突き飛ばした時に祐斗の手から落ちた剣を拾って構えにもなってない様で相対するが当のフリードはそんな一樹を心底おかしそうに嗤った。

 

「何ですかその素人丸出しな構え!俺様に首落とされたいっていうサイン?なら望み通りにしてやりますよぉ!!」

 

 そう叫び動くフリードと一樹たちの間に白い影が割って入った。

 

「やらせない……」

 

 割って入った白音は易々と近接に持ち込んで掌底を打ってその顎を打ち抜く。

 

「あごぅっ!?」

 

 次に体を独楽のように回転させて遠心力を乗せた一撃を鳩尾に蹴りつけてフリードの体を飛ばした。

 その鮮やかな動作を見ていた男性陣は唖然と面食らっている。

 

「白音、さん……?」

 

 顔を引きつらせた一樹が名前を呼ぶが白音は振り向くことをせずに軽く舌打ちをした。

 

「腐っても聖剣使い。これくらいじゃ……」

 

「おいおいおい!いきなり何してくれやがりますかぁ!?この幼女は!!」

 

「こっちの台詞。私の家族に手を出した以上、ただじゃ帰さない」

 

 白音の口調は淡々としたモノだったが、その中には確かな敵意と怒気が混じっていた。

 

「上等だ、このメスガキャ!今すぐ腹ぁ掻っ捌いてやりますよぉ!!」

 

 叫んで突っ込んでくるフリードに一樹が白音を庇おうと前に出ようとするが、それより早く本人が動いた。

 高速で振るわれる剣を白音はその小柄な体躯とスピードを生かして躱していく。それも刃先ギリギリの範囲で。

 その光景を見ながら祐斗は、2人の動きを観察していた。

 猫上白音の速度は祐斗やフリードとそう変わらない。

 しかし、現在白音はフリードを圧倒していた。

 それを可能にしているのは圧倒的な行動予測だ。

 フリードの動きを読んで常に最適解で行動し、躱しながら拳や蹴りの打撃を当てて行っている。ただ見た目通り力自体は強くないのか、一撃必殺とはいかないようだが。それでも聖剣を相手に臆することなく動く、その胆力と能力に祐斗は素直に感心した。

 焦ったフリードが大振りに聖剣を振り下ろすと白音はその力に抗うことなく一本背負いを極めて投げ飛ばした。

 

「こ、のっ!!」

 

 次第に余裕がなくなり、怒りで表情を歪ませるフリードを白音は冷たい視線で見下す。

 フリードが何かを言おうとすると別の場所から声が聞こえた。

 

「何をしているフリード」

 

 声は頭上から発せられていた。

 見上げるとそこには50代程で司祭の格好をした男性が空中に立っていた。

 

「バルパー・ガリレイィ――ッ!?」

 

 この場に祐斗の怨嗟にも似た声が吐き出された。

 

「聖剣の熟練のために好きにさせていたが、まだ未熟だな。この程度相手も下せないとは。因子を上手く使え」

 

「へいへい。そいつぁ、すいませんねぇ……」

 

 舌打ちし、こちらに向き直る。

 

「わりぃが、ここらでドロンとさせてもらうぜ!」

 

 逃亡を図ろうとするフリードに、この場にいなかった誰かが邪魔をする。

 

「逃がすか!」

 

 突如現れた誰かが剣を振るってフリードと火花を散らす。

 

「ゼノヴィア!」

 

「やっほー、イッセーくん!」

 

「イリナ!」

 

 一樹や白音は知らないことだが、この地に聖剣の奪還もしくは破壊の命を帯びた教会の騎士二人がこの場に現れた。

 2人はフリードに向かって行くと手に持つ自らの聖剣を振るう。

 

「フリード・セルゼン。バルパー・ガリレイ。反逆の徒め。神に代わり、この場で断罪してくれる!」

 

「はっ!!神に代わっておしおきよ!ってかぁ!調子に乗んなよこのビッチがぁ!!」

 

 鼻で笑いながらもその挙動には余裕がない。

 

「じいさん!撤退すっぞ!コカビエルの旦那に報告だ!」

 

「致し方あるまい」

 

 そのまま懐から何かを取り出し、地面に投げつけるとと、強力な光を発した。

 この場にいた全員が自分の目を守る。そして、光が消えた時には既に二人の姿は消えていた。

 即座に動いたのは教会の騎士二人だった。

 

「追うぞ、イリナ!」

「うん!」

 

 お互いに頷き合って二人はその場を後にする。それに続くように祐斗も動いた。

 

「おいっ!待てって」

 

「いっくんっ!?」

 

 祐斗を追おうとした一樹を止めようと白音が腕を伸ばす―――が。

 

(え?)

 

 一樹が並の人間以上の速度で走り出してしまったためタイミングが狂い、掴めなかった。

 そのことに白音は驚きを隠せずにいる。

 僅かに触れた指から一樹が自身の気を操って身体能力を上げている感覚が掴めたからだ。

 そうでなければ悪魔の速力に追いつけるわけはないのだが。

 内心の衝撃が大きすぎて、数秒硬直している間にまた別の声が聞こえた。

 

「力の流れ不規則になっていると思ったら……」

 

「あらあら」

 

「これは困ったものね」

 

 そこに立っていたのはオカルト研究部の部長であるリアス・グレモリーとその副部長の姫島朱乃に駒王学園、生徒会長の支取蒼那だった。

 現れた3人を見て白音は完全にこの場を離れるチャンスを失ったなとため息を吐いた。

 

 

 




オカルト研究部面々は小猫がいないことを除けばほぼ原作通りに進んでます。

白音は悪魔に転生してないので空は飛べません。戦車の特性も当然無し。
体術は速度と技重視。仙術も習得済みです。

本作品で猫姉妹の妖術=NARUTOの忍術に置き換えます。
仙術に関してはD×DとNARUTOの設定を擦り合わせて書くつもりです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。