太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

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この連続投稿中に話数と感想が50を超え、お気に入りも500を突破しました。この場で感謝を申し上げます。





52話:無限の龍神が見定めたモノ

 物言わぬ死体となったディオドラに意識は向けず、力を使い果たしたのか寝転がる一樹を神殿から出てきたオカルト研究部の面々が見ていた。

 

「ブラフマーストラ……神話に於いてインドの戦士たちが習得した弓の奥義ですわ。その威力は核にすら匹敵すると言われている」

 

 朱乃の説明に一誠が驚いたように声をある。

 

「弓って……今のどう見ても投げ槍だったじゃないですか!それに核って……」

 

「おそらく投擲だったのは応用だったのでしょう。それに今の一撃が核兵器程とは思えませんし、まだ未完成なのではないかと……」

 

 あれで未完成かよ!?と驚こうとしたとき声をかけられる。

 

「ホッホッ!リアス・グレモリーは面白い子供を協力者に加えておるのぉ」

 

 いつの間にか近くに来たのか、オーディーンが傍に来ていた。

 

「中々に面白いものを見させてもらったわい。いや、長生きはするもんじゃて」

 

 楽しそうに笑うオーディーンは空へと視線を動かす。

 

「お前さんも出てきたらどうじゃ?そんなところで高見の見物なんて柄でもないじゃろう、白龍皇?」

 

「え?」

 

 オーディーンが視線の先に皆が合わせるとそこには白龍皇の光翼を展開したヴァーリ・ルシファーが空中に佇んでいた。

 

「気付いていたか。気配は完璧に消していたつもりだったが……流石は北欧の主神」

 

「たまたま視線を上げたらお主が居ただけじゃて。あまり買いかぶるでない」

 

 喰えない笑みを浮かべるオーディーンにヴァーリは苦笑しつつ、美猴の傍に降り立つ。

 

「中々に面白いことになってるじゃないか、美猴」

 

「カッカッカ!だろ?まさかブラフマーストラとはなぁ!未完成とはいえ、あんなもんが見れるとは思わなかったぜぃ!?」

 

 興奮気味に語る美猴から視線を外し、一樹へと移す。

 

「やはり兵藤一誠とは別のベクトルで君の素養は素晴らしい。いずれ、俺とも戦ってほしいな」

 

「おいおい!あいつは俺っちのライバルだぜぃ?横からかっさらおうとするなよ」

 

「……誰がライバルだ。それで何の用だよ。まさかここで一戦始めようってか?」

 

 よろよろと立ち上がる一樹にヴァーリは首を横に振った。

 

「ここに来たのはただの偶然さ。俺はただ、自分の目標を見に来ただけなんだ」

 

「目標、ですって?」

 

「そうだ。滅多に見れるモノじゃない。君たちも見ておくといい」

 

 そう言ってヴァーリは天を指さした。

 すると、空間がバチバチと音が鳴り、それが姿を現した。

 

 それは巨大なドラゴンだった。タンニーンでさえ霞む程に巨大な真紅の龍。

 

「あれこそが俺の……そしてオーフィスが今回ここに現れた目的だ。【真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)】グレートレッド。自ら次元の狭間に住み、永遠にそこで泳ぎ続けている未だ誰も倒したことのない最強のドドラゴン。俺の最終目的でもある。あれを確認するためにこの近くの次元を移動していただけだ。そしてオーフィスがここに現れたのも同様だろう。旧魔王派の作戦は、俺たちにはどうでも良かった」

 

 オーフィス?誰かが呟くとヴァーリは違う方向を指さす。

 そこにはサーゼクスやアザゼル。黒歌にタンニーンと見知らぬ男女が立っていた。

 

「あの黒髪の少女。アレが禍の団(俺たち)のトップに立つ無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィスだ」

 

「オーフィス!?アレが!?」

 

 一誠としてはタンニーンのような大柄なドラゴンを想像していただけにあの幼い少女がオーフィスだとは驚き以外の何物でもなかった。

 

『見た目に惑わされるな相棒。奴は自分の姿を自由自在に変えられる。奴にとってどんな姿であろうとなんの意味もない』

 

 皆の視線がオーフィスに向く中、本人はそれを気にする様子もなく、指で銃の形を作り、バンと撃ち出す動作をする。

 

「我は、グレートレッドを倒し、真の静寂を手にする。必ず。その為に必要なモノは―――――」

 

 そしてグレートレッドに背を向けて別のモノに視線を移した。

 

「夢幻を封じ得る、太陽の力。我は、それを手にする」

 

 微笑を浮かべながら、オーフィスはその場を去って行った。

 それを見ていたアザゼルはチッと舌打ちする。

 

「相変わらず読めない奴だぜ。それでお前らはここで戦闘続行か?」

 

 クルゼレイとルイーナにアザゼルは問う。

 

「いや、俺たちも撤退させてもらおう」

 

「ここまで事を起こして逃げられると思うか?」

 

「既に目的は達した。偽りの魔王を討ち取るにはまだまだ準備不足なようなのでな。俺たちは、次に備える」

 

「本当に、これ以外に道はないのか、クルゼレイ……」

 

「くどい!もし争いを止めたければ、その魔王の椅子を我らに明け渡すのだ。でなければ、互いにどちらかが滅びるまで戦うのみ!」

 

 それだけ言うと転移魔法を展開して2人の旧魔王派のトップはその場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はグレートレッドを倒し、真なる白龍神皇になる。それが俺の夢だ。白だけが最上位に立っていないのは格好悪いからな」

 

 だが、と言葉を続ける。

 

「そのためにはまだまだ打倒しなければならない相手が多すぎる。兵藤一誠、君は俺を倒したいか?」

 

「あったりめぇだ!お前に部長たちのおっぱいを半分にされたら堪らねぇからな!でも俺にもまだまだ超えねぇといけない相手がわんさかいんだよ」

 

 それは同じ眷属の祐斗だったり。ソーナの兵士である匙だったり。ディオドラを倒した一樹だったり。それらより強いヴァーリはまだまだ雲の上の存在だった。だけど。

 

「俺はいつかお前に勝つぜ。そして俺の仲間に手が出せないようにしてやる!」

 

「ふふ。それは楽しみだな。君や日ノ宮一樹だけじゃない。リアス・グレモリーの眷属は誰もが一級の素質を秘めている。だから、もっと強くなってくれ。そしていつか最高の戦いをしよう」

 

 それだけを告げてヴァーリは美猴と共にその場を去って行った。

 美猴は去り際にまた戦おうな!などと言っていたが、一樹はそれに嫌そうな表情だけ返した。

 

「おーい!お前らぁ!」

 

 タンニーンの背に乗って現れたのはアザゼルと黒歌だった。

 近くまで行くと黒歌はタンニーンから飛び降りる。

 

「白音!一樹!怪我は!!」

 

「あ~。俺は大丈夫。ちょっと疲れただけ」

 

「……同じく」

 

 そう答える2人に黒歌は抱きついて良かったと呟く。

 

「アザゼル。お兄さまは?」

 

「責任者として色々とやることがあるからって離れたぜ。今回の一件で敵の幹部は結局仕留められなかった。各関係者への説明とか、グレードレッドが壊した結界の修復とかな」

 

「そう」

 

 考え込むリアス。

 これだけ大規模な協力を要請して幹部を討ち取るなり拘束するなりを出来なかった。

 きっと各勢力からそれなりの非難を浴びるだろうとリアスは兄を心配する。

 

 一樹は黒歌から体を離してディオドラの死体へと移動した。

 投げた槍を回収するためだ。

 

 焼け焦げた死体から槍を探すのは気持ち悪かったがこればかりは仕方がない。

 

「お。あったぁっ!?」

 

 見慣れた赤い槍を引っこ抜くと柄の3分の1から下が存在しなかった。

 

「へ!?な、なんでっ!?」

 

「……あれだけの火力ですもの。おそらく、槍が耐えられなかったのね。ここまで壊れたら、さすがに直せないわ」

 

 リアスの断言に一樹はプルプルと体を震わせる。

 

「頑張ってデカブツを屠ったらこれだ……!チクショォオオオオオオオオオオオッ!!」

 

 そして短い付き合いの相棒を失って一樹の慟哭が響いた。

 

 

 

 

 

 

 ヴァーリと美猴が戻ったのは彼らが根城に使っている屋敷だった。

 2人の姿を確認して真っ先に飛び出したのは紫の装束に身を包んだ女性、メディアだった。

 

「ヴァーリさま、ご無事ですか!?」

 

「あぁ、問題ない。今戻った」

 

「お~い。俺っちもいるんだぜぃ……」

 

「あーはいはい。おかえり」

 

「この扱いの落差は……」

 

 大きく息を吐く美猴に金髪の小柄な少女が話しかける。

 

「えっと……美猴さま、おかえりなさい。お怪我はありませんか?」

 

「あぁ、問題ないぜぃルフェイ!やっぱ心配してくれる女の子がいると疲れが取れるねぃ」

 

「わっ!?」

 

 いきなりルフェイと呼んだ少女に高い高いをする美猴。

 

「なにをやっているんですか?」

 

 そこで呆れたように眼鏡をかけた青年が話しかけるそれを美猴はちょっとじゃれついてるだけさとルフェイを下ろす。

 

「それで、ヴァーリ。グレートレッドはどうでしたか?」

 

「素晴らしいの一言に尽きる。今の俺ではどうあっても歯が立たない相手だが、頂きが見えない程の力の差。あれこそ最終目標に相応しい」

 

 嬉しそうに語るヴァーリにメディアは不安そうな視線を向けるが本人は気付いていない。

 メディアがヴァーリに異性として好意を抱いているのは誰の目にも明らかなのだが当の本人があまりにも戦闘脳な上に性欲やら恋愛感情やらを置き去りにしているような人物であるため、まったく気付いていない空回り状態だ。

 

「そうですか。ついでにライバルである赤龍帝にも会いに行ったのでしょう?そちらはどうですか?」

 

「あぁ。禁手を会得し、着実に力を付けてきている。現在の強者を相手にするのもいいが下から追い上げてくるものを待つのも悪くないな。兵藤一誠だけでなく、彼の仲間も粒ぞろいだ。もっと熟れさせればきっと楽しい戦いが出来るだろう。もちろん例の聖魔剣使いや聖剣使いの2人も含めて」

 

「そうですか。それは楽しみですね」

 

 禍の団のヴァーリチームで男性は基本戦闘狂。女性はそのサポートで動いている。

 楽しそうにいつか来るであろう戦いに胸を躍らせる男性陣をメディアとルフェイは心配そうな。そして何かを諦めるかのような溜息を吐いた。

 

 

 

 

「どうゆうつもりだ!」

 

「どうゆうとは?」

 

「誤魔化すな!今回の襲撃は新しい蛇の実験と冥界の現政権に対する宣戦布告が目的だったはず。なぜ、全戦力の8割以上を費やした!しかもそのほとんどを失うなど。これでは我々はもう―――――」

 

 怒鳴り込むクルゼレイにシャルバは煩わし気に息を吐く。

 

「問題ない。全ては計画通りだ」

 

「計画だと!このような過剰に戦力を消費し、得るものの殆どない計画があるか!!」

 

「少々、落ち着いてくだされ、クルゼレイさま」

 

 恭しく頭を垂れたのはクルゼレイがシャルバの依頼により旧魔王派に引き込んだ男。ギニア・ノウマンだった。

 

「既に私の研究は完成しつつあります。そうなれば敵味方。双方に死者が出れば出るほどに我らはその力を増していくことになるでしょう」

 

「なにを馬鹿なことを……貴様、俺をからかっているのか!?」

 

「もしそうならば、その時は私の首をお刎ねください。このギニア・ノウマン。必ずや真なる魔王である貴方がたを勝利へと導きましょう」

 

「ということだ。今は下がれ。クルゼレイ。私たちはまた、やらねばならないことがあるのでな。ここで失礼する」

 

「待てシャルバ!?」

 

 引き止めようとするクルゼレイを無視してシャルバはギニア諸共その場から消えてしまった。

 

「クソッ!?」

 

 あのギニア・ノウマンという男。シャルバの依頼によりこちら側に引き込んだが本当に良かったのかという思いが強くなる。

 奴の頭脳は認めている。現にディオドラ・アスタロトに渡した新種の蛇も奴が改良した代物だ。だが、その性格はあまりに信用できない。

 シャルバもだ。内乱時から同じ目的で行動しているが、どうにも意見が合わない。

 真なる魔王の血族ならば全て等価に接するクルゼレイとベルゼブブの血こそ至高と信じるシャルバではそもそも価値観が異なっている。

 クルゼレイは人の血を半分宿しているヴァーリ・ルシファーやルイーナ・レヴィアタンも魔王の後継としてその存在を認めている。ヴァーリ・ルシファーとは袂を別ってしまったが。

 シャルバは元からクルゼレイのことを見下している節はあったが、半分人の血を引くルイーナを庇護するようになってからますますその傾向が強くなった。

 ギニア・ノウマンと2人。まるで身の中に怪物を育てているような恐怖。本当に二人を放置しておいていいのか。

 答えの出ないまま、クルゼレイは苛立ちのままに壁に自分の拳を叩きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アーシアは久方ぶりに故郷であるイタリアの地を踏んだ。

 随伴として、イッセー、ゼノヴィア、イリナの3人もいる。

 彼女が再びこの国に訪れたのはかつて世話になった孤児院の院長のお墓に花を添える為だ。

 自分が原因で悪魔に操られ、命を落とした人。その墓前に花を添え、どうしても謝りたかった。

 

 ディオドラの眷属たちは皆、彼を心酔するように暗示をかけられていたことが発覚した。

 長期的に心を弄られた彼女たちは事情聴取と療養の為の入院が決定した。

 人によっては薬物なども使われていた形跡があり、正常な状態に戻すには時間がかかるとのこと。

 時間をかけて薬を抜き、カウンセリングなどを続けて彼女たちの今後を決めることになるだろう。

 

 アスタロト家はディオドラがテロリストに与していたことを受けて多額の賠償と次期魔王選出の権利を消失。ついでに社会的信用の失墜などから事実上、没落である。

 

 アーシアは花を院長のお墓に花を添え、祈りを捧げる。ゼノヴィアとイリナもそれに続き、一誠も倣うように同じ動作を取る。

 

 今回の件で杜撰な調査と裁判でアーシアを追い込んだことをミカエルから謝罪された。同様にサーゼクスにも。

 その時、アーシアは再びこの地に足を運ぶことをミカエルに頼み、急遽イタリアに飛んだ。アーシアの故郷である一帯は裏とはほぼ縁遠い地域であるものの。万が一に好戦的なエクソシストなどにはぐれと勘違いされて襲われることを危惧して許可証などを与えられた。

 イリナが同行したのもそう言ったトラブルを避けるためだ。

 

 祈りを捧げながらアーシアはかつての院長との思い出を振り返る。

 幼い頃に字の読み書きを教わったこと。

 皺だらけの手で頭を撫でてくれたこと。

 そして、最後に見た、人を変えられて自分を魔女と蔑む姿。

 それらの想い出に瞼を閉じていたアーシアから涙が零れる。

 

「アーシア……」

 

「ごめんなさい。泣かないって決めてたんですけどここに立ったらどうしても……」

 

 唇を噛んで涙を堪えようとするアーシアをイッセーは抱き寄せた。

 

「イッセーさん……?」

 

「俺、その院長さんって人がどんな人か判らないけどさ。アーシアにとって大事な人だったんだろ。その人のお墓の前にいるんだ。泣きたくなるのは当然だよ。だから、アーシアは泣いていいんだ」

 

「――――――!?」

 

 アーシアはイッセーの胸に縋りついて涙を流す。その口からは小さくごめんなさいと繰り返して呟く小さな女の子がいた。

 その姿をゼノヴィアとイリナも傷ましい気持ちで見守っている。

 

 そんな時である。

 

「アーシア?」

 

 名を呼ばれて顔を上げるとそこには見知った女性が立っていた。

 

「姉さん……?それにみんな……」

 

 そこに立っていたのはかつてアーシアが孤児院で生活していた時に最年長だった姉代わりの女生と6人の子供たちだった。

 

「おっ!アーシア姉だぁ!久しぶりじゃん!」

 

 短い髪の男の子が元気よく手を振っている。その子も見覚えがあった。いつも元気でやんちゃで上の子たちを困らせていた子だ。

 

 その他の子も覚えている。みんな、アーシアと一緒の孤児で過ごした人たちだ。

 アーシアの記憶よりも体が大きくなっている彼、彼女たちが駆け寄ってきた。

 

「教会の仕事で各地を転々としてるって聞いてたけど、院長のお墓参り?」

 

「あ、はい……お亡くなりになったと聞いて……」

 

 自分が原因だと言えず、顔を伏して口にするアーシアに女性はそう、と微笑む。

 

「院長もあなたのことをだいぶ心配していたから、きっと喜んでくれるわ」

 

「え?」

 

「だってあなたは人一倍信心深くていい子だったでしょ?だから悪い人に騙されたり、酷いことをされてるんじゃないかとか」

 

 それを聞いてアーシアは視線を逸らす。

 結果的にアーシアはディオドラの策略に嵌り、人を捨てて悪魔の身になってしまった。あながちその心配は外れていない。

 

 女性も花を添えて子供たちと祈りを捧げ終わると様々な話をした。

 現在、孤児院は院長の子供のひとりが引き継いで経営しているが、名ばかりの責任者で実質目の前の女性が取り仕切っていること。

 慣れないながらもようやく板についてきたと笑う。

 

 アーシアも悪魔になったことは告げられなかったが、今は日本に居て、隣に居る一誠の家に世話になっていることを話した。

 その際に女性が恋人?と訊いてくると2人は顔を赤くしたが一誠が手を振って友達です!と告げると頬を膨らませて彼の頬を抓ったりした。

 アーシアが女性と話している間にやたら一人の男の子が一誠に突っかかってきた。その子供はアーシアに好意を寄せていることが丸分かりで生意気なガキだったが、それを理解すると微笑ましい気持ちになった。

 

 ゼノヴィアやイリナも子供たちの相手をしている間に時間が過ぎ、日帰りで日本に帰らなければならないアーシアたちはお暇することになった。

 最後に女性から、手紙くらい送ってきなさいねと言われた時に涙を堪えて頷く。

 

 

 

 

「イッセーさん……」

 

「なんだ、アーシア?」

 

「私、お墓参りできてよかったです。聖女になってからこれまで色々と環境が変わってあの子たちともどこか縁が切れてしまったように感じていました。でも、変わらないモノもあったんですね……」

 

 昔と同じように慕ってくれる弟と妹たち。気にかけてくれていた女性。院長を死なせる原因となった自分がこんなことを思ってはいけないのかもしれないが、胸が温かくなるのを止めることはできなかった。

 

「またそのうちに、ここに来よう。今度はちゃんとアーシアの昔の家族を紹介してくれ。さ、帰ろう、アーシア。俺たちの家に」

 

「はい!」

 

 差し出された一誠の手を握るアーシア。

 院長の件はきっと長い間しこりとなってアーシアの胸に残るだろう。

 それでも、彼女が泣きたくなった時は、傍に居てやりたいと一誠は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一誠たちが日本に帰国する際に、仕事で偶々近くに来ていたゼノヴィアのかつての姉代わりを務め、正式に聖剣使いとして教会に席を置いた際に自分と同じ姓を贈ってくれたグリゼルダ・クァルタというシスターと再会することになり、多大な説教を受けるのだがそれはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は以前活動報告に上げた番外編とライザー復活回などを書き上げたら投稿します。

追記。
活動報告にも書きましたが、番外編は書くのをやめることにしました。ライザー復活回と幕間を少し書いて投稿します。
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