太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

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他の作品に現を抜かしてたらこっちが思った以上に進まなかった。

修学旅行編でようやくダグのオーフィスアンチが出せる。もっとも触り程度な上にそこまで話が進んでないですけど。

前話に書いたように2分割の連続投稿になりそうです。


幕間4:終わりの前に

「日ノ宮は進路どうするの?」

 

「進路ってまだ3年に上がったばかりじゃねぇか」

 

 屋上を高い塀を背にして藍華の質問にどうでもよさそうに答える。

 

「進路なんて早く決めておくに越したことないでしょ?2年の終わりに担任からなんか言われなかった?」

 

「やんわりと就職を薦められたな。俺みたいな乱暴な奴を受け入れる高校なんて底辺しかねぇよみたいな」

 

「あ~」

 

 1年の末期にやらかした事件で日ノ宮一樹は教師からもほとんどの生徒からも腫れもの扱い。成績向上と共にある程度緩和されたがそれでも一度ついたイメージは中々に払拭できないらしい。

 

「じゃあ、日ノ宮は就職?」

 

「いや、進学するつもり。高校くらいは出たいし。とにかく近くて安くて少し勉強すれば合格出来そうな高校とか」

 

 なんとかなんだろと楽観的に答える一樹。隣にいる褐色肌の少女に話しかける。

 

「アムリタは、どうすんだ。こっちで進学するんだろ?」

 

「私ハ、中学を卒業したら故郷(くに)に帰るつもりデス。家業を継ぎマスノデ」

 

「え?そうなのか!」

 

「私も初耳だわ」

 

「元々、こっちに居られるのは中学マデと決まってマシタカラ」

 

 柔らかい笑みと共にドコカ寂しげに答えるアムリタに一樹はガシガシと頭を掻く。

 

「そっか……ちょいと寂しいが、仕方ねぇな。」

 

「はい……」

 

「ま、でも一生会えないわけでなし。外国だって会おうと思えばいつか会えるだろ。宇宙に行くわけじゃないんだから」

 

 一樹の言葉にアムリタはキョトンと目を丸くする。

 

「会いに、来てくれるンデスカ?」

 

「そうな。どうせ俺、高校でも友達なんて出来ないだろうし、これ以上仲の良い奴が減るのは困るからな」

 

「試験も受けてないのにもう諦めたわね」

 

「うっさいよ。とにかく、もしそっちに行ったらお前の故郷、案内よろしくな!」

 

 それは子供の約束だった。

 未来に希望を持つ子供の。

 

 それでも、彼、彼女らは本気でその約束を信じたのだ。

 

「ハイ、必ず!アイカも」

 

「外国か~。うん良いわね、楽しそう!」

 

 それが、なにも知らない子供の戯言だったとしても。その綺麗さはきっと尊いモノだった。

 

 そんな、懐かしい夢を視た。

 

 

 

 

 

「捕えた神器使い全員が死亡した」

 

 冥界からの報告書を読みながらアザゼルは苛ついた様子で話す。

 

「どうやら、神器にオーフィスの蛇を絡みつかせて禁手を刺激すると同時に一定期間戻ってこなかった場合、神器使いを殺すように術式を仕込んでいたらしい。無理矢理蛇をひっぺかしても同じだ」

 

「うわぁ。やることが徹底してるわね。ドン引きだわ」

 

 脳を弄られて無理矢理情報を引き出されるのを恐れたか、もしくは、捕らえられた駒を懐柔されるのを嫌がったか。とにかく英雄派の徹底っぷりに黒歌は顔を引きつらせる。

 

「今、遺体を解剖したりして他になんか仕込まれてないか確認中だそうだ。まったくやってくれるぜ!」

 

「解剖と言えば、確か子フェンリルを1匹引き取ってたわよね?例の件解った?」

 

「あぁ。例の赤い螺旋丸を喰らったフェンリルだろ?解剖して解ったが、急激な体温上昇が確認された」

 

「体温上昇?」

 

「あぁ、おそらく一樹の気を用いた結果だと思うが、それで白音の螺旋丸に変化を与えたんじゃねぇか。ま、なんにせよ螺旋丸にはまだ可能性があるってことだ。後で白音に教えてやれよ」

 

「そうね」

 

 妹の無表情を貫こうとして内心で嬉しさを隠しきれない様子を想像して口元を緩める。

 

「そういえば一樹たちの修学旅行、京妖怪との会見をレヴィアタンが行うって聞いたけど、それって大丈夫なの?なんか嫌な予感がするんだけど」

 

 

「不安になること言うなよ……さすがに俺も旅行中のあいつらを戦わせようなんて思ってねぇ。一応、それなりの数が向かう筈だし、セラフォルーに任せるさ」

 

「ホント?お願いね」

 

 先日のロキの1件で妹と弟を2度も失いかけたのだ。少し過敏になるのは仕方ない。

 

「あぁ、本当に何事もなく終わってほしいもんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、お前も物好きだな。修学旅行で変態三人組(バカども)のお守りとか」

 

「そう?あいつらと居るの、結構楽しいわよ?」

 

「退屈しないのは認めるけどな」

 

 紙パックのジュースを飲みながら一樹は藍華と話していた。

 

「それにアーシアが兵藤と一緒に組めなかったらかわいそうでしょ?」

 

「ま、そうだけどな」

 

 アーシアが一誠に好意を抱いているのはもはや学校内でも有名である。

 しかし、それでもアーシアの押しの弱さにつけこんで同じ班になろうとする男子も多いらしい。

 ゼノヴィアも同様に。

 

「それにしても、中学の時は高校に上がっても友達なんてどうせ出来ない~とか言ってたのに、今じゃそれなりじゃない?同じ部活で」

 

「俺、やればできる子だから」

 

「自分で言う?それ」

 

 

 2人でそんな会話をしていると女子の怒声が響き渡る。

 

 

「こら待てぇええええっ!!」

 

「今日こそ許さないんだから!!」

 

 見ると、毎度お馴染みの3人が竹刀を持っていることから剣道部らしき女子たちに追いかけ回されている。

 

「あいつら……最近大人しいと思ったら……!」

 

 紙パックをゴミ箱に捨てて騒ぎの方に向かう。

 

「あれ?行くの?」

 

「松田と元浜はともかく、兵藤は手に余るだろうからな」

 

「あ~確かに最近兵藤って運動神経良いわよね。オカルト研究部ってそんなに体力使うの?」

 

「おう。中々に重労働だよ」

 

 適当に返事を返しながら一樹はイライラとした表情で一誠たちの進路の先へと向かう。

 

 その後、一誠の顔に全力のドロップキックを叩き込んで、松田と元浜を関節極めて拘束し、剣道部女子に引き渡した。

 

 

 

 

 

 

 

「お、まえ……最近俺に対して容赦無さすぎだろ!」

 

 突如顔面にドロップキックを叩き込まれた一誠が抗議の声を上げる。

 

「やかましいわ!これくらいやんねぇと止まんねぇだろがお前っ!」

 

「そのせいで俺たちも女子にボコられたけどな!」

 

「その上日ノ宮の女子の人気アップ。俺たちタダの踏み台じゃねぇか」

 

「そう思うんだったらちょっとは抑えようよ」

 

 今この場で一樹、一誠、祐斗、藍華、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、松田、元浜が集まっていた。

 変態三人組の制裁を終えた後に自然と騒ぎを聞きつけた2年の主だったメンバーが集まったのだ。

 そこでアーシアが話題を変える

 

「そう言えば、イリナさんたちは誰と修学旅行の班になったんですか」

 

「主に生徒会の人たちね。同じクラスの花戒さんと草下さん。それと――――」

 

「匙の奴だな。」

 

「あ、同じクラスだったんですね」

 

「クラスだとあんまり話さないけどね」

 

 シトリー眷属の僧侶と兵士。これはいざという時に集まって行動した方が良いという判断からだ。

 それにやはり、裏側を知っている人と行動を共にした方が色々と気が楽という理由もある。

 

「つっても、生徒会のメンバーは色々と教員の手伝いがあるらしくて、俺らと行動できるのは2日目の自由行動からかもって言ってたけどな」

 

「むぅ。生徒会というのは大変なのだな」

 

「生徒の人数に対して引率する教員の数が足りないってのもあるらしいからな」

 

「それなら現地で合流しないか?3人増えるくらいなら問題ないしさ」

 

「あ、いいですね!私もイリナさんとも一緒に京都を周りたいです!」

 

「えっと、じゃあお邪魔しようかしら?」

 

 チラッと一樹の方を見ると、首を縦に振る。

 

「いいんじゃねぇか」

 

「そうだね。僕もその方が楽しそうかな」

 

 特に反対意見も出ずに纏まるとアーシアがイリナの手を上下する。

 ゼノヴィアも嬉しそうだった。

 

 

 

 

 この時、誰もが近々行ける旅行を楽しみにしていた。

 誰もが楽しい旅行に胸を高鳴らせ、大切な思い出を刻む時間になる筈だった。

 

 

 

 この旅行が、この場にいる全員の運命を大きく歪めさせることに、この時は誰も気づいていなかった。

 

 

 

 




今のところ後5話分ストックがあるので金曜までに1話書き上げて丁度一週間投稿したい。
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