太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

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73話:友達

「頼む!母上を救うために私も連れて行ってくれ!」

 

 九尾奪還に動こうとホテルを出た矢先に九重がそう訴えてきた。

 それに真っ先に反応したのは一誠だ。

 

「いや待てよ!危ないから妖怪たちの本拠地で待ってろってアザゼル先生たちに言われてただろ!」

 

「言われた!しかし、母上が彼奴らにヒドイ目に遭わされているのを黙っていることなどできん!」

 

 強い決意でこちらを見上げる少女に一誠はどう説得するか考える。

 しかしそこでアーシアが会話に入ってきた。

 

「危険な場所ですよ。それでもですか?」

 

「覚悟の上だ!絶対に邪魔はせん!だから、頼む!」

 

 そう言って頭を下げる九重。

 それを見て一誠の中で一樹の言葉が甦る。

 

『今日の妖怪連中が本気で九尾の御大将を奪還しようとしてるとは思えねぇよ』

 

 あの時は反発したが今になって疑問に思う。

 しかしすぐに頭を振ってその疑念を振り払った。

 

 向こうは自分たちの力を信じて任せてくれたのだ。だから、自分たちはそれを全力で応えなければならない。

 そして目の前の少女の気持ちも理解できた。

 母親が危ない目に遭っているかもしれないのに心穏やかにしていられる子供なんているわけないのだ。

 

「分かった。但し、絶対に俺たちから離れるなよ。そうすれば絶対に九重には指1本触れさせねぇからよ!」

 

「うむ!ありがとう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(行ったか。なら俺も行こうかね)

 

 一誠たちが行ったのを確認して一樹もホテルを出る。

 頭はどうでもいいことを考えていた。

 

(それにしても、どうせなら和洋中ごっちゃじゃなくて京料理をメインに出て欲しかったな)

 

 別に不味かったわけではないし、不満と言うほどではないが、旅行に来たならその土地の料理を味わいたいと思っただけだ。

 学生の金では食べられるものの質も時間も限られてるわけだし。

 そんなことを考えながら渡された紙で目的地を確認してホテルを出る。

 それを誰かが見ていると気付かないまま。

 

「一樹?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一誠たちが二条城を向かう中、それとは正反対の方角を歩いていた。

 

「ここか」

 

 特に移動中に襲撃を受けることもなく、辿り着いたそこには大きな力を感じた。

 

「結界って奴か。入ろうとしたら弾かれたり閉じ込められたりしてな。もしくは入った場所に戻ってきたり」

 

 漫画などで読んだ展開を想像しながら歩を進める。

 すると以前と同じに結界に入った感触がした。

 そして世界が移り変わる。

 

「レーティングゲームで使ってた結界みたいなもんか。昼も使ってたしな。ホントに表側の京都には危害を加える気はねぇんだな」

 

 だからこそ気兼ねなく自分の用事に集中できる。

 入った場所は広い公園で暴れるにはうってつけの場所だった。

 

「おい!来てやったぞ!どうせ感付いてんだろ!さっさと姿見せろ!」

 

 声を張り上げる一樹。

 しかし現れたのはアムリタではなかった。

 

「アルジュナさまの敵、覚悟!」

 

 現れたのは3人。曹操との戦闘に意識を割いていた一樹は知らないが彼女たちは一誠によって洋服破壊を喰らった英雄派の構成員だった。

 上空からの襲撃に一樹は横に飛んで躱す。

 

「なんだよ。サシで会うんじゃねぇのかよ」

 

「アルジュナさまには近づけさせん!」

 

「気を付けろ!この男も赤龍帝と同じように破廉恥な技を用いるかもしれんぞ!」

 

「アレと一緒にすんじゃねぇ!!訴えるぞ!」

 

 一誠と同類扱いされて青筋を浮かべて反発する。

 

 

「行くぞ!」

 

 3人の少女が一斉に攻撃を仕掛けてくる。

 

 大剣を持った女と細長の双剣̪士に槍使い。

 

 最初に攻めてきたのは双剣士の女だった。

 素早い斬撃が連続で振るわれる。

 それを紙一重で躱していると大剣使いが横から接近してくる。

 一樹は双剣士の左手首を捻り上げて細剣を奪い取った。

 間を置かずに上段で下ろされる大剣に刺突を当てて弾いた。

 

「なっ!?」

 

 僅かな驚きを突いて鳩尾を目がけて蹴りを叩き込んだ。

 しかし相手もその隙を見逃さずに最後の槍使いが後ろから突きを繰り出してくる。

 一樹はその速度に合わせて踵を蹴り上げ槍の柄を弾き飛ばす。

 そのまま振り向いて脇腹に拳を当てた。骨が折れる感触が手に伝わる。

 残された細剣使いは残った片方の剣を振るってきたがそれより先に懐に潜り込んでクロスカウンターの要領で顔を殴りつけて地面に叩きつけた。

 

「いっちょ上がりっと」

 

 パンパンと手を払いながら一樹は周りの索敵を再開しようとする。

 既に倒した相手に意識を向けていなかった。

 

「ま、待て……!」

 

 しかし大剣を使っていた女が自分の獲物を支えによろよろと立ち上がる。

 

「もう動けるのか?思ったよりタフなんだな。結構力入れて蹴ったつもりだったのに」

 

 相手の頑丈さに軽く驚きながら一樹は頭を掻く。

 

「ま、いいや。ここにアムリタ―――――お前らからしたらアルジュナか?ここに居んだろ?さっさと連れて来てくれよ」

 

「誰が、貴様などに……っ!」

 

 睨みつけてくる相手に一樹は面倒そうに眉を寄せる。

 

「別にいいけどな。案内する気ないんなら自分で探すだけだし」

 

 そう言って去ろうとする一樹に大剣使いの女が吐き出すように言葉を出す。

 

「我らは、アルジュナさまに武を習った」

 

「……」

 

「神器もなく、禍の団どころか英雄派の中でも末端でしかない我らにあの方は武芸という力を授けてくれた。人ならざる者との戦い方を教えてくれた」

 

 唇を噛み、ポロポロと涙を流す。

 

「あの方の、力になりたかった……なのにあの方は、我々を必要とはして下さらなかった……」

 

 神器もなく、己が身だけで戦わなければ戦う。その術を与えてくれた少女。

 報いたかった。

 必要とされたかった。

 しかし、どう求めてもアルジュナという少女にとって自分たちは居ても居なくても構わない存在だった。

 

「なのに……!あの方は何故お前を求める!ただ、対となる英雄の力を宿すだけのお前を……!!」

 

 吐き出される感情に一樹も無視するのが鬱陶しくなって相手に振り向いた。

 

「あのなぁ、俺は――――」

 

 そこで何かが飛来してくるのを感じた。

 反射のままに腕を動かし、腕輪で弾いた。

 

「来たか!ってかアブネッ!?」

 

 弾いたそれは1本の矢だった。見覚えのある少し形が独特の矢。

 腕輪を槍に変えてその場を動く。

 

 次に現れたのは、7本の矢が連続してこちらに向かってきた。

 

「相も変わらず連射速度がおかしいだろっ!?」

 

 炎を纏わせた槍を振るい、直撃を避ける。

 それが終わると上空から雨のように矢が降り注ぐ。

 

(アグニ)よ!」

 

 極大の炎の球を作り、降ってくる矢に向けて放ち、当たる直前で爆発させる。

 爆発で矢を凌いだ一樹は槍の柄で迫ってきた刃を防いだ。

 

「人を呼び出しておいてずいぶんな挨拶じゃねぇか、アムリタ」

 

「貴方ならコレクライ見切ってくれると思ってマシタノデ」

 

 槍を動かし一度、アムリタの持つ剣を弾く。

 

「まぁいいけどな。お前には訊きたいことがあるんだ」

 

「……」

 

「おじさんが亡くなってたことや、禍の団に就いてる理由とか俺を殺そうとする訳とか。全部まとめて聞き出すからな!」

 

 槍を構える一樹にアムリタはクスリと笑う。

 

「貴方に、ソレがデキマスカ?」

 

「出来るとか出来ないとかじゃねぇよ。やるんだよ!可能性ばっか考えて行動しねぇなんてのは結局出来ないことを自分で肯定してるだけなんだからな!」

 

 アムリタは弓に矢を番える。

 

「なら、やって見せてクダサイ。その刃が私に届くノナラ」

 

 こうして再び火蓋は切って落とされる。

 

 走りながら左足と右腕の鎧を出現させた一樹は一気に詰め寄る。

 しかしアムリタの方も後方に跳躍しながら次々と矢を射ってきた。

 

 それを叩き落としながら近づくも僅かにアムリタから意識が逸れると後方に回られていた。

 

「遅いデスヨ」

 

 後ろから射終わると次は右、左と高速で移動し、全方位から矢を繰り出す。

 矢を弾くの精一杯で防戦一方になる一樹。

 アムリタは一瞬で一樹から距離を取る。

 

 向けられた矢に合わせるように一樹も地面に槍を突き立てる。

 

(アグニ)よ……!」

 

 矛先から炎が上がり、振り上げた。巻き上げられた炎が波となってアムリタを襲う。

 横に躱すと一樹も同じ場所に移動し、炎を纏った槍を振るう。

 数度互いの刃が交わった。

 

「冥界の時とは動きのキレが違いマスネ」

 

「当ったり前だろうが!」

 

 そのまま力づくでアムリタを弾き飛ばした。

 

「冥界で戦り合ったときは状況が飲み込めなくて頭こんがらがった状態で戦ってたんだからな。あの時とは少しはちげぇだろ!」

 

 迷いながら動きとそれを抑え込んで戦うのとでは集中力が違う。

 それが一樹の動きに反映されるのは当然だった。

 しかしアムリタは静かに首を振る。

 

「それを踏まえた上で、デス。やはり、貴方は自分の変化に気付いてイナイノデスネ」

 

 言いながら弓を構えた。

 

「その力を、もっと私に示してクダサイ」

 

 ゾッと背筋が寒くなるのを感じて、防御の姿勢に入った。

 

 アムリタの手から矢が離れると同時にその存在は一樹の知覚から消えた。

 

「ガッ!?」

 

 右腕の手甲を無視し、左肩に矢が貫通する。

 弓を下ろしたアムリタは冷めた眼で一樹を見据えた。

 

「無駄デスヨ。私の矢は、貴方には見切れナイ」

 

「言ってくれんじゃねぇか……」

 

 左肩を押さえ、痛みに顔を顰めながら立ち上がる。

 しかし、痛みで汗を流しながら笑みを浮かべた。

 

「でもな、その速い矢のカラクリは見当はついたぞ。電磁加速砲(レールガン)だったか?」

 

 一樹の発言にアムリタの眉が僅かに動く。

 

「お前が矢を射る瞬間に手から青白い光が見えた。理屈は詳しく知らねぇが、電磁の力で加速力と貫通力を底上げしてる。その弓の能力はそんなところじゃねぇのか?」

 

 一樹の推理にアムリタはクスリと笑う。

 

「半分正解、と言ったところデス」

 

「あ?」

 

「確かに貴方の言った通り、電磁力で矢の速度を上げてマシタ。デスガ、それは弓の力ではありマセン。この弓の力は、貴方も一度見た筈……」

 

 そう言ってアムリタは一樹にではなく、上空に弓を構えた。

 しかし、一樹は直感からマズイと肌で感じている。

 

「雷は私の血に宿る力……この弓の力はマタ別……」

 

 矢に力が収束する。

 その大きさは一樹のブラフマーストラに匹敵するほどの――――。

 

「行きマス。アグニの咆哮を……!」

 

 上空に放たれた矢は爆散し、青い炎となって降り注いだ。

 爆散する前に一樹はその場を疾走する。

 

 自分に降り注ぐ青い炎を槍の矛先に宿した自身の炎で相殺していく。

 しかし、青い炎に触れた瞬間にそれらは火柱となって移動個所を封じていく。

 

「クソッ!?」

 

 それでも何とか直撃を避けていく。

 だがアムリタが放った一矢が一樹の腹に中り、大きく飛ばす吹き飛ばす。

 地面を無様に転がり落ちた。

 

「この程度デスカ?」

 

「……っ!」

 

 どこか失望したような表情に一樹は歯を鳴らす。

 この僅かな対峙で理解する。

 

 大きな力の開きを。

 だがそれであっさりと諦められるほど日ノ宮一樹は聞き分けの良い少年ではなかった。

 

 槍を支えに立ち上がろうとすると大きな地響きが起こる。

 

「なんだっ!?」

 

「始まりマシタカ……曹操の実験が……」

 

 アムリタは遥か向こうに視線を送る。

 

「なにを、するつもりだ!?」

 

「禍の団のトップ。オーフィスはグレートレッドを次元の狭間から追放スルことを目的にしてイマス。私たちはその手伝いをスルダケデス」

 

「グレート……レッド……?」

 

 一樹の呟きにアムリタは頷く。

 

「この地を治める九尾。そして京都という霊地そのものを生贄にしてアレを呼び寄せマス」

 

 一樹にはアムリタがなにを言っているのか理解できなかった。

 九尾や京都の霊地を生贄。それがどういう事態を招くのか一樹の知識では予測が出来ない。しかし解っていることもある。

 

「あんなバカでかいドラゴンを京都になんて引き寄せたら、それだけで京都が壊滅するだろうが!」

 

 以前見たあの巨体。あんなものがこの京都に出現し、少し暴れるだけで京都は更地に変わる。いや、もっと被害が大きくなる可能性の方が高い。

 

「曹操は、どうやらグレートレッドを捕らえる気のようデス。そのために準備をしてキマシタ」

 

「ざけんな!あんなのがそう易々と捕まえられるわけねぇだろ!お前、本当にそんな計画に手を貸してんのかっ!!」

 

「ハイ。私自身、多少の自由は許されてイマスが、曹操たちの方針に反対する気はアリマセン」

 

 涼しい顔で言い放つアムリタに苛立ちながら一樹は叫ぶ。

 

「ここには、桐生藍華だって居んだぞ!なのにこの京都でそんなことを許すってのか!」

 

「エェ。ソレがいま関係アリマスカ?」

 

 表情1つ変えずに突き放すアムリタに一樹は二条城に体を向ける。しかし――――。

 

「行かせマセンヨ」

 

 アムリタから矢が射られる。

 

「この段階になればもう間に合いマセンシ、なにより私が行かせマセン」

 

 近づいて来たアムリタが剣で一樹に仕掛ける。それを槍で防いだ。

 しかし意識はこの戦いではなく二条城に向けられている

 

「それでは、死にマスヨ」

 

 アムリタの剣が一樹の腹を貫いた。

 一樹の手から槍が落ちる。

 

「ガァッ!?」

 

 吐血し、膝をつく。

 アムリタが剣を引き抜くと同時に額が地面に当たった。

 表情の変わらないアムリタがヤケに腹立たしかった。

 

(ちくしょう……っ!)

 

 なんて中途半端。

 京都が崩壊するかもしれないのに自分からそれを拒否し、友達ひとり説得できない。

 なんて惨めで無様。

 

 指が僅かに地面を抉った。

 

 なにより、こんなことに手を貸している友達を止めることすらできない非力さが無性に頭にくる。

 

(ふざ……けんじゃ、ねぇよ……!)

 

 アムリタから振り下ろされる刃。それを右手の手甲で防いだ。

 

「まだ、足掻きマスカ……」

 

 一樹は答えずに剣を力ずくで弾くとアムリタに拳を突き出した。それは後ろに跳んで躱される。

 

「やらせねぇ」

 

「…………」

 

「京都を壊滅させる片棒なんて、お前にこれ以上担がせるかよ!俺は、ここでお前を止めるぞ……!」

 

 槍を拾い、構えを取る。

 

「威勢だけは認めマスガ――――」

 

 そこでアムリタは一樹の変化に気付き目を見開いた。

 左腕と右足に炎が走り、今まで不揃いだった左右の鎧が追加される。

 そして肩の部分に浮遊する車輪の盾が出現しするとそこから赤い毛皮に似た外套が噴き出した。

 

「イツキ、貴方は……」

 

 どこに、そんな力を、と問おうとした。

 しかし返ってきた答えは全くの予想外だった。

 

「友達だ……っ!」

 

 唸るようなその答えは一樹にとって唯一の真実だった。

 先祖の因縁だとか。今の互いの立ち位置とか。そんなものは一樹にとってどうでも良く。

 ただこれだけは譲れない気持ちだった。

 

 一樹の姿が揺れる。

 

「なっ!?」

 

 アムリタですら一瞬見失うほどの速力で背後に回り、後頭部に蹴りを繰り出す。

 それを弓で防ぐがそのまま力づくで蹴り飛ばされた。

 

(膂力が、上がって――――っ!?)

 

 予想を大きく上回る強化に飛ばされた体勢を整えると空中に跳んだ一樹が槍の矛先に炎を集めていた。

 

「飛べ、(アグニ)よ!」

 

 炎の斬撃。しかしその速度は今までの比ではない。

 

「クッ!?」

 

 身体をずらして躱すが、跳んだ一樹が目の前に現れる。

 そのまま勢いを乗せた拳でアムリタの頬を殴りつけた。

 

 再び飛ばされながらアムリタは弓を構える。

 そして最大の力を持って一矢を放つ。

 それを感じ取り、一樹も槍を投擲する構えを取った。

 

炎神の(アグニ・)――――」

 

梵天よ、(ブラフマーストラ・)――――」

 

 互いに現段階の最大火力。

 それを容赦なく向け合う。

 

咆哮(ガーンディーヴァ)!」

 

我を呪え(クンダーラ)!」

 

 青い炎と赤い炎。

 2つの炎が衝突し、その力が結界を揺るがす程の衝撃を生み出す。

 爆発とともに生み出された奔流は急速に広がり、2人を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一樹とアムリタの戦いをひとりの少女が観ていた。

 少女は両の手を伸ばす。

 

「そう……太陽。もっともっとその輝きを増す。その力、我のために使う。グレートレッド。もう少しで、我はお前を次元の狭間から追い出す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 2つの力は収束を向かえ、一樹は地面に転がった。

 

「くそっ!押し負けた!!」

 

 一樹の槍とアムリタの矢。押し込まれたのは一樹の方だった。

 制服は破け、身体の至る所に火傷ができていた。

 帰還機能で手元に戻した槍は一樹が手にすると柄の3分の1のところで折れた。

 2つの力の衝突に槍が耐え切れなかったのだ。

 

「やってくれマスネ。感情の高ぶりでここまで……」

 

 対してアムリタも右の袖が消し飛び、大きく火傷を負っている。

 

「イエ、違いマスカ。その段階に達してイナガラ無意識の内に扱い切れナイ力を押さえ込んでイタノデスネ。感情の高ぶりはきっかけに過ぎナイ」

 

 推測を立てながらもその顔に笑みがこぼれる。

 

 油断はあった。しかし僅か数カ月でここまで急激に力を付けると誰が予測できるだろう。

 湧き上がる感情は歓喜。

 

 まだ収穫の時ではない。

 だがもう少しだけという感情も抑えきれそうになかった。

 

 一樹の方もまたこの場でアムリタを逃がす気はなかった。

 

 一樹は素手で。

 アムリタは弓を構える。

 

 しかし、そこで2人は動きを止めた。

 この場に、とてつもなく強大な力と存在感を感じて。

 

 

 ―――――そしてひとりの小さな黒が舞い降りた。

 

 この場の都合は関係なく。

 2人の都合など取るに足らないと言うように。

 その幼さ。愛らしさは子供の残虐性を連想させ。

 発せられる威圧感は大津波のように巨大だった。

 

 

「さぁ、太陽。我とともに来る。そしてグレートレッド、封印する」

 

 その黒はそうしてその小さな手を差し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




※この作品では(主人公たちに都合よく動く)優しくて良い子なオーフィスは存在しません。作者により悪意ある改竄を受けています。予めご了承ください。

序盤から最強認定されてる敵キャラは主人公たちに倒されるために存在してるものだと思う。
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