幻想郷でまったり過ごす話。   作:夢見 双月

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お、お気に入りが……!あるッ!?
ありがとうございます!

書き溜めがないので時間はかかりますが、ちゃんと頑張っていきますので!(*´Д`*)


霊夢とデートの話。

「霊夢ー。おはよう」

 

「んー?」

 

「いきなりですまないが今日暇かー?」

 

「んー」

 

「遊びに行きたいんだが、いいか?」

 

「んー」

 

「じゃあデートだな」

 

「んー。……ん?」

 

 今日の朝。目覚めたばかりではあるが二人は予定を決めていた。ちなみに霊夢は目覚めきっておらずにまだ寝ぼけているので、話に流され続けているだけだが。

 

「でぇと?誰と?」

 

「俺と。お前」

 

「ん。わかったー」

 

「じゃあ準備しろよー」

 

「んー。……ん?」

 

 霊夢が完全に覚醒する。さっきの会話を頭の中で反芻。現状把握、完了。

 

 

 

 

 「って、えええええええええ!?!?」

 

 

 

 

 博麗神社は今日も変わらず、騒がしい朝になった。

 

 

 

 

「霊夢、落ち着け?」

 

「ああどうしよう、デートなんてやった事ないからどうすればいいか分からないし、化粧?をすればいいのかしら、でも化粧なんて今までした事なかったし、服なんていつも巫女服だからどの服がいいのか分かるはずないでしょあーもうどうすれば……」

 

「目覚めよ理性」

 

「きゃあああ!?」

 

 霊夢の首辺りに牛乳を入れたコップを当てる。唐突な冷たさに、霊夢は案の定ショックから抜け出した様だ。少し反感を買ったが。

 

 霊夢は首を抑えてジト目でコッチを見てくる。かわいい。

 

「元はといえば、あんたがデートなんて言うからこんな事には……」

 

「寝ぼけながら了承したヤツは言う事が違いますねぇ。自分の不覚を棚上げして八つ当たりをするなんてな」

 

「ぐぬぬ」

 

 ニヤニヤし続けていると割と本気で殴られそうなので、からかうのはこの辺りにしておく。

 

「じゃあ、朝ご飯持ってくるからもう少し待ってろ」

 

「……」

 

 ジト目再び。かわいいだけだから、あまり意味はなさそうなんだけどなぁ。言った方がいいかな?

 

 食事は霊魔が作る事になっている。はじめて作ったものを霊夢に食べさせた時に、何故か霊夢が泣きながら食べ(本人曰く美味すぎたらしい)、その後に綺麗な土下座をしている素敵な巫女さんを見てから俺の仕事になった。今日は洋食という事で、トーストとベーコンエッグ、そして牛乳である。

 

 ナイフとフォークを未だに慣れない手つきで使っている霊夢が聞いてくる。

 

「結局、私はなにをどうすればいいか全然分からないんだけど?」

 

 ベーコンエッグをそのままトーストに乗せながら霊魔は答える。

 

「まず化粧だが、お前ならしなくていい。正直、霊夢は化粧しなくても十分かわいいし、綺麗だ。化粧をすればもっと良くなるだろうが、今回はそのままで行こう。『ナチュラルなんとか』ってやつだ。流石に俺もやった事ないのは教えられないしな。今度、アリスにでも教えてもらえ。服に関してはもう考えてある。心配するな」

 

 霊夢は「かわいい」「綺麗」の辺りで噴き出しそうになった。急にこんな事を言ってくるのだからずるい。

 

 とにかく、霊夢は霊魔に任せる事にし、食べ進める事にした。

 

 

 

 

「じゃあ、この中のものを着てくれ」

 

「なにこれ?」

 

 食後に、霊魔が部屋から中に色々詰まった袋を持って来た。

 

「今回のデートでお前用に選んだ服だ。いつもの巫女服だと変に思われる可能性があるからな。こっちに着替えてくれ」

 

「あ、そうなの……」

 

 そう言って、霊夢に袋を渡す。あらかじめ今日のために買っておいたのだ。霊夢は寝室に入っていった。しばらくして、霊夢が襖越しに話しかけて来た。

 

「これって何?」

 

 襖が少し開いて、それが見える。

 

「ブラジャーだ。お前いつもサラシだったろ。たまにはそんなのもいいと思ってな」

 

 そう答えると、霊夢の顔がひょこっと出て来た。

 

「いや、流石に分かるわよ。……言い方が悪かったわね。あんたが用意したのよね?」

 

「そうだが」

 

「なんであるの?」

 

「買ったからだが?」

 

「女物を?」

 

「……?ああ、そういや買った時、じろじろ見られていた……か?」

 

「……女物を男が買うな、変態」

 

「あっ」

 

 やっと気付く。しまったと項垂れながら霊魔は着替えるのを待った。喜んで貰いたい一心で女性物の店に行ったのが裏目だったようだ。好感度がかなりヤバそうだし、今度からは気をつけよう。

 

「ねぇ、なんでピッタリなの?」

 

「ん?ピッタリ?……あ」

 

「変態」

 

「……」

 

 デートに行く前なのに、もうダメな気がした。

 

 

 

 

 待つ事数十分。霊夢が部屋から出て来た。

 

「これでいいの?」

 

「ああ、それ……で……い……」

 

 霊夢が着ているのはベージュのワンピースに、淡いピンクの薄手のものを羽織っている。そして胸元にワンポイントとして小さめな花が付いていた。髪も結ばずに下ろして貰っているからか、やや大人っぽく見える。かわいいよりも綺麗な印象が強く思え、俺はつい見惚れてしまっていた気がする。似合うとは思っていたが、これほどとは。

 

「霊魔?どうしたの?」

 

「……予想以上だった。似合ってるよ霊夢」

 

「ああ、そう……」

 

 霊夢も素っ気ない返事になっているが、顔が真っ赤に染まっていて誤魔化しきれていない。

 

「あなたも着替えたのね」

 

「ああ。似合ってるか?」

 

 にへらっ、と笑顔を浮かべる。霊魔が着ているのは黒いズボンに、白い無地のシャツ、黒いジャケットを羽織っていた。

 

 いつもは霊魔も巫女服の様なものを着ている。彼によると、ちゃんと男用に改造したものではあるらしいが。しかし、今までのそれと比べると雰囲気がまるで違う。つまり、いつもよりもかっこよく見えたのだ。

 

「ええ、かっこいいんじゃ……ないの?」

 

 あまりの霊魔の変貌ぶりに、口が回らなくなる。何故か疑問符がついてしまった。

 

「自信なさげか?率直に言ってもらってもいいぞ?似合わないってさ」

 

 それを変に思ったのか、勘違いし始める霊魔。

 

「それはない、から。似合ってるわよ、霊魔」

 

 取り敢えず、第一印象だけは伝えておく。そんな勘違いはして欲しくない。

 

「そうか、ありがとう」

 

 笑顔で返す霊魔。自分がまだ紅潮しているのが分かる。恥ずかしいが、収まる気配が無いので、もういっそ開き直ってデートを楽しもう。そうしよう。

 

「それで?どこ行くの?」

 

 そういえばと、聞いていなかった事を伝える。いつもの巫女服ではいけない場所というのがイマイチ想像出来なかった。

 

「外へ行こう」

 

 幻想郷じゃないとは思わなかった霊夢にとって、それは予想外であった。

 

「外?」

 

 

 

 

「ああ、俺が以前訪れた所。外の世界に行くんだ」

 

 霊魔は微笑みながらそう言った。

 

 

 

 

 

「幻想郷にはいくつもの境界や歪みがある。大きいものから小さいものもあれば、形や原因なんて多種多様だ。でも、そのほとんどは結界の綻びか、『境界を操る程度の能力』の八雲さんが生み出したものだ」

 

「ねぇ、なんで私はお姫様抱っこをされてるの?」

 

「実はその八雲さんが行動する時の境界と、『幻想入り』するための境界は性質が異なる。『幻想入り』の境界はあれだ。『幻想郷は全てを受け入れる』ってあるだろ。この言葉の通り、実はあらかじめ、幻想入りした人が幻想郷に出る道が用意されているんだ。毎回、何かを幻想入りさせるのに道を一から作るのは面倒だろう?」

 

「だが逆に、そこから辿る事が出来れば、外の世界に行くことが出来る。そういう事だ」

 

「ねぇなんでお姫様抱っこされてるの!?」

 

「外に出るための裏技には『速さ』がいるんだよ。お前にはヒールがあるものを履かせちまったからな。速度の条件もシビアな以上、俺が抱えた方がいいのさ」

 

 それとも、嫌か?と、聞く。そしたら、「嫌ではないけど……もにょもにょ」と言われた。よく分からないが、大丈夫らしい。

 

「じゃあ行くぞ」

 

 早歩きしながら神社の正面入り口に向かう。

 

 大きな鳥居をくぐった瞬間。

 

 

 

 

 世界が変わった。

 

 

 

 

「え?」

 

「この鳥居の前が、《《俺の唯一知ってる出入り口だ》》。外の世界に行くときもいつもここから出てくる。俺としては正確には『久しぶり』って感じなんだが、霊夢はどうだ?」

 

「え、ええ……」

 

 霊夢は驚くことしか出来なかった。今まで考えたこともなかった。外来人が来ることがあり、元の世界に戻すことはあったから出入り口の存在は知っている。しかし、それを利用する事は考えたことすらない。

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 後ろを見る。空間が波紋の様に少し揺れていた。その先には古びた神社があった。鳥居から外の世界の鳥居へ繋がっているらしい。

 

「ねぇ、此処はどこなの?」

 

「ここは……って地名言っても伝わらないな。日本のどこかっていうのだけ分かっていればいい」

 

「あの神社は?」

 

「博麗神社に似ているが全然違う。『御九字社〈みくじやしろ〉』と言う宮司や巫女すらいない無人の神社だそうだ。誰もいないから、人目を気にせず気楽に帰れるよ」

 

「……そうなのね」

 

 御九字社を霊夢はしばらく眺め続ける。

 

 霊魔は霊夢が悲しい雰囲気になったのを悟った。霊夢は幻視したのだろう。博麗神社が、自分たちの世界が、いつか古くなり忘れ去られ寂れてしまうのを。この場所は心の何処かにあった霊夢の不安を掘り起こすに至ったのだ。その霊夢の不安は最もではある。だが、

 

「今は辛気臭いのは無しだ。幻想郷が好きな奴らはたくさんいる。そいつらに協力してもらえば一瞬で解決する事だろう?」

 

 それは今じゃなくてもいい。いずれ起こるかもしれない。でも、みんなで一丸となれば、きっと大丈夫。そう自分にも言い聞かせた。

 

「うん、そうね」

 

 霊夢は静かに微笑んだ。どうやらもう大丈夫のようだ。微笑んだ先にあったのは未来の幻想郷だった気もするが、何故、俺を見て言ったのには別の理由も感じた。

 

 

 

 

 神社を降りて歩く事五分、駅前に着いた。朝だからか、忙しなく歩いて行く会社員や学生が多い。霊夢は自分の服装を見つめ、周りと見比べる。なるほど、確かにこの服なら巫女服よりは溶け込んでいる。変に見られることはないだろうと思った。

 

 すると霊魔が、

 

「先に寄るところがあるから、そっちに行かせてくれ」

 

 と言ったので、霊夢は頷き、霊魔について行った。

 

 自動ドアに霊夢は驚きながらも店内に入ると、仕切りごとに置かれた7つの機械があった。

 

「何?これ」

 

「ATMだ。お金を出し入れするのに使う。まぁ見てて」

 

 そう言って霊魔は一つの機械の前に行く。霊夢は隣に立ち、その様子を見た。

 

「引き出しを選んで、通帳を入れて暗証番号。これで金を出すことが出来る。まぁ、10万ぐらいあれば不足はないだろ」

 

「通帳って?」

 

「自分がどれだけお金を持っているかが書いてあるものだ。こういう単純な機械で行えるのは、自分のお金の分だけしか渡さんっていう条件があるからだよ」

 

「へぇ、そんなのがあるのね。……幻想郷でやってみようかしら」

 

「預ける金がないのにか」

 

「……それもそうね」

 

 引き出したお金を財布に入れている間、霊夢は通帳をまじまじと見つめていた。すると、おかしな文字を見つけた。

 

「ん?」

 

『◯◯銀行 普通預金 ヤクモ ユカリ様』

 

「ねぇ霊魔」

 

「どないした?」

 

 二人で銀行を出たあとに霊夢が尋ねる。少し顔が引きつっていた。

 

「なんで紫の名前があるのよ?」

 

「あぁー、それか」

 

 霊魔が頰を掻く。しばらくして理由を話し始めた。

 

「実はそれには少し深い訳があってな……

 

 

 

 

 

 霊夢が用事があっていなかった昼頃、事件が起きた。

 

「事件?何よそれ」

 

 まぁ聞いとけ。その時、俺は美味しいマタタビが手に入ったので、猫の式神である橙を呼んで遊んでいたのさ。

 

『橙〜、美味しいか?』

 

『とっても美味しいです!ありがとうございます!』

 

『お礼と言っちゃなんだが、膝に来い。頭を撫でさせてくれ』

 

『わかりましたー♪』

 

 そんで、橙を手元に置きながらある人に電話をかける。

 

「誰によ?」

 

 八雲紫の式神、八雲藍さんだ。

 

「何やってんの!?」

 

 いやさ、藍さんは自分の式神である橙が大好きであることを知っていたから、少し話をしてみたかったんだよ。別にやましい心はないさ。ホントホント。

 

『もしもし、どなたですか?』

 

『お前の娘は預かった(ゲス顔)』

 

『……!?!?!?』←目の前が真っ白になった。

 

「本当に何やってんのアンタ!?」

 

『クックック……。(何もする気はないけど)無事に返して欲しければ、次の条件を飲むんだな』

 

『貴様ァァアアッ!!!』

 

『飲まなければ、どうなるか分かるかな?』←橙をくすぐり始める。

 

『きゃー☆』←事前にふざけているだけだと聞かされている。

 

『橙ッ!?!?分かった!何でも聞く!だから頼む!!何もしないでくれ!!』

 

「藍……うちの馬鹿がホントにごめん……」

 

『まずは、博麗霊夢が1日外出する事を容認しろ。紫にも話を通しておくことだな』

 

『ああ、分かった(ついでに犯人もな)』

 

『次に、八雲紫が外の世界で使うためのお金があるはずだ。それを少し貰いたい。なぁに、簡単だ。三時までに博麗神社に通帳を持って来てくれさえすれば良い』

 

「ここで通帳が出てきたのね」

 

『通帳、か。いいだろう。だが、覚えておけよ貴様』

 

 

 

 

 

 ……という事があってな。多分盗んだんだろうコレを渡してくれたんだ。だけどこの後、シラを切ったのにボコボコにされた」

 

「……自業自得は貴方のための言葉ね。事件でもなんでもないし」

 

「しっかし、なんで俺だって分かったんだろうな?」

 

「んー、……さぁ?」

 

 そこだけは二人は揃って首を傾げた。

 

 

 

 

「ここは?」

 

「まずはゲーセンってとこだな。ここはゲームセンターって言って、色んな娯楽があるところだ」

 

「音が騒がしいわね」

 

「本当に沢山あるからな。よし、気になるものから全部やって行こうぜ」

 

 こうして、二人のゲーセン珍道中が始まった。

 

 

 

 

「何これ、パンチングマシン?」

 

「いわゆる力試しのゲームだ。グローブをはめて殴るゲームだよ」

 

「へぇ、やってみようかしら」

 

「おい、好戦的な目をするな。って!?そのステージは一番難しいヤツだぞ……」

 

『CLEAR!!』

 

「やったわ」

 

「ひぃ!?何だあのねぇちゃん!?!?」

「ドガンと音がしたぞ!?!?」

「ばけものがいる」

 

「ハイスコアまで出しやがったこいつ。おい、ドヤ顔やめろ」

 

 

 

 

「このUFOキャッチャーっての、壊れてるんじゃないの!?全然取れないんだけど!!」

 

「狙う場所とタイミングが重要なんだよ。慣れればいけるさ」

 

「あのにいちゃん、三つ同時に取ったぞ……!」

「さっきのミスは、これへの布石だったのか……!?」

「ばけものがいる」

 

「あんた凄すぎない!?」

 

「おいそこにいる子供。お前だ。この菓子やるよ」

 

「ありがとー(もっきゅもっきゅ)」

 

 

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

「これは?」

 

 霊夢がそれに駆け寄る。またも違う形の機械で、もちろん幻想郷には無いものだ。霊魔がすかさず説明をし始める。

 

「ホッケーマシンだな。四隅にあるマレットというものを使って、円形のパックをここのスキマに入れられれば得点だ。対戦型だから、俺とやってみるか?」

 

「面白そうね、早速やりましょう!」

 

 霊魔は百円を入れ、ゲームをスタートさせた。

 

『Ready GOッ!!』

 

「さぁて、行くわよ!」

 

「ん、パックがこっちから出てきた。先攻は渡してやるよ。ほら」

 

「あら、舐めてんのかしら?」

 

「いや、ちょっとしたハンデだよ。俺がやった事あるから、その経験の分を埋めるって感じで」

 

「そう、なら遠慮なく……」

 

 

「えい」

 

 パァン、と鳴り響いた。

 

 

『GOAL!!』

 

「なっ……、ま、マレットが、弾かれた……だと……!?」

 

「あら?手加減でもしてたのかしら。ありがとうねぇ?」

 

 なかなか黒い笑顔でこちらをあざ笑う霊夢。これに霊魔の何かがぷちっと切れた。

 

「……ほう、いいだろう……!たかが遊びだろうと侮っていたがッ!!これは真剣勝負ッ!!全力でやってやろうじゃねぇか!!慢心ダメ、絶対ッ!!」

 

「いいじゃない、熱くなってきたわね」

 

「もうお前を女とは思わん!ぶっ倒してやる!!」

 

 息を吸うように放たれる衝撃発言である。直後、マレットが顔面にヒットした。

 

「言い過ぎよバカ!!」

 

 流石にこれには霊夢も傷ついたようだ。

 

 

「おい!あのカップル、今ホッケーやってるんだがすごいぜ!」

「すげぇ、パックが見えねぇぞ……」

「こんな攻防今まで見た事がねぇ……!」

「ねぇちゃーん!頑張れー!」

「にぃちゃん男だろうが!踏ん張れやー!」

「ばけものがふたりいる(パクパク)」

 

 いつの間にかギャラリーが集まっているが、しかし当の本人たちは目の前の相手にしか集中していないため、気づかない。そこに霊魔がストレートを放つ。パックは霊夢のマレットに触れることなく、スキマに吸い込まれていった。

 

「あっ!」

 

『GOAL!!』

 

「いよっし!やっと同点!!」

 

「ああああ!悔しい!」

 

 ワァアアと歓声が上がる。霊魔はガッツポーズをし、霊夢は体が崩れた。

 

「くっ、生意気ね!」

 

「こっちだってなりふり構ってられんのよ。よし、次行こうぜ!」

 

 しかし、まるでタイミングを合わせたかのように。

 

『TIME UP!!』

 

 ゲームが終了した。

 

「あれ?」

 

「ああ、時間切れだな。終わったらしい」

 

『Draw!!』

 

「ああ〜、結局最初のアレしか入らなかったじゃない!」

 

「どんだけ拮抗してたんだろうな俺たち……」

 

「すごいぞにぃちゃん!」

「おねーちゃんもすごかったぞー!」

「もう一回やらんのかー!?」

 

「「え?」」

 

 ようやく、周りに気づく二人。野次馬の規模は人が人を呼び、かなり大きなものとなっていた。

 

「い、いつの間に……」

 

「……こうなったんだろうな。……あ、そうだ霊夢。パックまだ持ってるだろ?せめてそれを入れてから次の場所に行こうぜ」

 

「そうね。()()

 

 瞬間、目が変わる。

 

 霊夢によって弾かれた音速を超えるパックは、霊魔によって上からマレットで叩き伏せられる。

 

 既に先程まであったお互いの朗らかな笑顔はなく。

 目の前にいるは我が宿敵。

 ここにて至るべきは栄光ある勝利のみ。

 故に。

 

 

 

 延長戦開始。

 

「行くぞ霊夢!!しゃあ!」

 

「えい」

 

「オラァ!」

 

「えい」

 

「でりゃ!」

 

「えい」

 

「そぉら!」

 

「えい」

 

「いやその『えい』やめろ!?なんか怖いんだけど!?」

 

「また始まったぞ!?」

「嘘だろ!?さっきよりも速いぞ!?!?」

「ここからがほんぺんだったのか(ペロペロ)」

 

 

 この闘いは長きに渡った。

 

 

 が、霊夢の夢想☆シュート(命名、霊魔)によって12分経過後、二人の戦いは鳴り響くような歓声とともに終結した。

 気恥ずかしさのあまり、二人揃ってコソコソ移動する事になったのは言うまでもない。

 

 

 

 その後ショッピングモールに向かい、買い物の前に何か食べようと霊魔が提案。そこでフードコートに行く事になった。時間を確認したら、1時半を過ぎていた。お腹も空腹を訴えていたのにも気が付いて、どこまでゲームに熱中していたのだと、少し呆れ気味になった霊魔だった。

 

 そのフードコートにて。

 

「何これ!?」

 

「ふーむ、たこ焼きにスパゲティ、ピザ、ローストビーフ丼にラーメン、まあこんなところだな。好きな物から食ってけ。俺も食べるけど」

 

「はぁぁ……!」

 

 霊夢は目を輝かせながらどれから食べようか吟味し始めた。ちょっとしてたこ焼きに目を付け、一個を頬張る。「あっふ!?」とハフハフさせながら食べるが、大分熱いらしい。水を渡すとすぐに水を口にした。

 

 その一連の動きが可笑しく思えて、笑ってしまう。博麗の巫女というのは、代々食い意地が張っていたのかもしれないと心の中で独りごちた。

 

「焦らなくてもいいよ。ゆっくり食え」

 

「……!」(目を輝かせながらパクパク食べる霊夢)

 

「デザートも後で買ってやるからな」

 

「……!?」(信じられないというような顔)

 

 近くのスパゲティを自分に寄せて食べながら、霊夢を観察する。とろけるかなようにニンマリとした笑顔をしているのを見ると、誘った甲斐があったと言えるだろう。この笑顔にはそのぐらいの価値はある。

 

(太るぞ、なんて言ったら絶対怒るな)

 

 しかし、余計なことも考えてしまう霊魔である。台無しであった。

 

 

 

 

 この後、クレープを新たに買って来たら、霊夢は大層気に入って食べていた。

 

 三つとも丁寧に食べ尽くしていた。霊魔の分などもちろんない。

 

 

 

 本当に太らないかひそかに危惧し始める霊魔だった。

 

 

 

 

 よし、ショッピングをしよう。そう言ってショッピングモールの中を歩く。やはり幻想郷にはないものが多く、霊夢は色んなものに目移りをしていた。

 

「これは何!?よく分からないけどかっこいい!」

 

「仮面ドライバーシリーズの変身ベルトだな。なりきりセットのオモチャだが、クオリティは結構高いぞ」

 

「これは?」

 

「遊戯神のデュエルディスクか。カード遊びのやつだよ。今度買おっかな」

 

「これは?」

 

「ハイパーマン変身グッズだ。最近は二人のハイパーマンが合体するらしいぞ。というか男の子が好きそうなやつしか見てないなお前。ほれ、次のところに行くぞ」

 

 

「スッゴイこれ!ふっかふか!気持ちいい!」

 

「霊夢のとこに布団はあるがベッドはないから、余計新鮮かもな。霊夢、そんな寝転ぶな。そんなことしてると……」

 

「zzz……」

 

「……早過ぎるだろ寝るの。あぁもう、言わんこっちゃない」

 

 

「霊魔!これどう!?」

 

「イートオモウヨ」

 

「ちょっと待って、これも着てみるから!」

 

「ワカッタ」

 

「たまにはこんなのもいいわね!ファッションに興味が出て来たわ!」

 

(もう2時間はやってるぞ。店員さんもニヤニヤするだけだし。誰か助けてくれ)

 

「よし、次の店行くわよ!」

 

「もう勘弁してくれ!!」

 

 

「ん、もう時間か。案外早いな」

 

 霊魔は店内の時計のを確認しながらそう言った。

 

「時間って?」

 

「そろそろ遅くなる。タイミングもいいしそろそろ帰ろうか」

 

「え、ええ……」

 

 霊夢は少しだけ悲しくなった。楽しい時間は終わりに近づいている。もう少しだけ彼と遊んでいたい。そう思った。

 

「よかった」

 

 霊夢が振り向く。確かに彼がそう言った気がした。しかし声は小さく、聞き取る事は出来なかった。

 

 その中、霊魔は言葉を重ねる。

 

「最後に寄りたいところがある」

 

 そこへ行ってもいいか、と。

 

 彼女は何も言わず、けれど、いいえと答えることはなかった。

 

 

 

 




本体名 博麗 霊夢

パワー A+
スピード B
テクニック B(A+)
博麗の巫女のためか、戦闘面においての技術は異様に高い。
射程距離 30m

能力『空を飛ぶ程度の能力』

みんなお馴染みの「楽園の素敵な巫女」。霊魔の名付け親にして、居候先の博麗神社の住む少女。人との関わりは基本淡白な性格なのだが、それが却って霊魔と絶妙な関係を築いている。しかし、彼の事情が事情なので、時折、心配する事がある。

ツンデレですね分かり(ry

霊魔にとっては姉のような存在であり、同時に親しい女性であると認識している。
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