月一ギリギリです。
忙しかったんです。
嘘です、遊んでました。
もうちょい頑張りたいなぁ……(吐血)
「れ、霊夢が倒れてる!?!?」
「どうした!?」
「うわぁ!?」
「早ッ!?霊魔なんでいるの!?前話から一分も経ってないんだけど!」
「霊夢が倒れたと聞いて」
「あんたは実は妖怪じゃないの?」
「そんなことより大丈夫か霊夢!?」
「おお霊夢さんよ。死んでしまうとは情けない」
「お前まだ帰ってなかったのかナナシ!ふざけてる暇あったらさっさと手伝え!!」
「う…うん……」
「大丈夫か?」
霊夢が目覚めた時、目に移ったのは霊魔の顔。と、後ろで騒いでいるルーミアと女の子であった。
「そら、水だ。とりあえず飲んどけ」
「ありがとう、霊魔」
「一体、何があったんだ?」
「……実はあんまり覚えてないのよ」
「そうなのか」
「急にクラッとして、転んで壁の角に頭ぶつけてからの記憶がないの」
「全部覚えてんじゃねぇかそれ。十中八九それで気絶してんじゃねぇか」
「気絶はしてないわ。気を失っていただけよ」
「だれか永琳連れてこい。こいつは重症だ」
「……ところで、その娘は誰?」
「私?私はルーミ「お前じゃない」
「私ですか?」
「お前だろうよ。自己紹介してやれ」
「ナナシと言います。そうですね、霊魔さんの……妹です(キリッ」
「よし、今から外の世界に帰してやる。有り難く思え」
「待って!?待って、冗談ですぅ!?元の世界に戻すのは霊夢さんしか出来ないんじゃないんですか!?」
「出来ないとは言ってない。ただ信頼性が霊夢の方がいいと言うだけだ」
「……失敗したことあるんですか……?」
「バラバラになった事があるぞ(大幣が)」
「いやぁぁぁあ死にたくないぃぃぃい!!!」
「離してあげなさいよ。そのまま帰したらトラウマものよ?」
「さっすがレイム=サン!!助かりましたー!!」
「全く。……私が帰せばいいのね?」
「具合悪いなら無理すんな。一晩ぐらいならこいつらは俺が世話してやる。お前は治すことに専念しとけ」
「ん、了解。頼むわね」
「看病なら任せとけ。おいルーミア寝んな、ナナシ来い、会議すっぞ」
「んみゅ?」
「はーい」
「……いいか。霊夢が倒れた。俺だけでは知識面では心許ない。協力してくれ」
「わかりました!」
「えー」
「ルーミア、霊夢が満足したらスゴイ肉料理を食わせてやる」
「やる!」
「私は!?私にはないんですか!?」
「ナナシには……そうだな。もちろん、霊夢が満足してたら今日のお前への食事は豪華になるだろう」
「ほうほう」
「まぁ、ダメだったら俺が外の世界まで案内してやる」
「絶ッ対にぃ!!成功させっぞぉぉおお!!!」
「お、おおお!?!?」
「お前面白いな。どんだけ嫌なんだよ」
作戦会議。卓袱台の囲み、腕を某司令官のように組む二人と『そーなのかー』ポーズで待機する幼女。これでも真剣である。
「まず、どうするべきか?」
「このまま寝かせておく選択肢はないんですか?」
「霊夢にしかできない不測の事態が出てくると困る。だから早めに治してもらいたいし、それは霊夢も分かっている筈だ。なんにせよ、悪化だけは避けねぇとな」
「何か飲み物を飲ませればいいんじゃないかー?」
「「それだ!!」」
「さっきも渡したが、水を置いておけば良いのか?」
「確か、病人にいい飲み物があった筈ですよ!」
「そうなのか!?どんなのだ!?」
「……すいません、名前しか分からなくて、こんな漢字だった筈ですけど……」
「……ん、これならわかるぞ。ちょっと待ってろ、作ってくる」
「霊夢大丈夫か?飲み物を持ってきた。飲みたくなったらこっちも飲んでおけ」
「助かるわ、ありがとう。これは」
「白湯だ」
「白湯?」
「
「脂じゃない!?
「失敗のようだ」
「綺麗なタンコブだなー」
「ちゃんと
紙に書いた文字を見せながらナナシが言う。
「ああ、ちゃんと
「私でも違うと分かるわバカ」
「ルーミアちゃんが素になった!?」
「黙ってれば訳わかんないこと言って。天才かあんたら。そもそもよ?私妖怪よ?妖怪の私が人間の常識なんか分かるわけないのになんで人間のあんたらはポンコツなの?」
「はい……」←知らない
「返す言葉がないです……」←うろ覚え
「二人ともなんで分からないの?バカなの?」
「「風邪って一日で治るから」」
「分かったわ。あんたらはバカよ」
「うー、弟に看病任せないで私もやっておけばよかったぁ!」
「知らないは免罪符にはならんか。……さて次はどうするか?」
「取り敢えず、霊魔さんは白湯を持って行ってあげて下さいよ」
「
「
「持っていったぞ。.どうする?」
「どうしましょう?」
「二人とも、本当に何も出ないの?」
「ああ」
「はい」
「ほんっとーに?」
「そうだが?」
「ですね……」
「……そーなのかー、って現実逃避もしたくなるよ、まったく。次は消化に良いものを作って食べさせなさいよ」
「消化に良いものですか……そんなのあったかな?」
「流石に私も人間にとっての良いものは分からないわよ?」
「大体、大好物なものなら消化もいいんじゃないか?」
「きっとそうですね」
「それなら……」
「そりゃな、……」
「確実に……」
「「「肉」」」
「だよね!」
「だな」
「でしょ!」
「霊夢、消化に良いものを持って来たぞ」
「ありがとう。でも、今は食欲がないの……」
「後でもいいから、しっかりと食べてくれ。食べれるぐらい元気な方が早く治るぞ」
「……一つ、聞いていい?」
「なんだ?」
「その鉄板は何?」
「ステーキだが?」
「消化の良いものはどこよ?」
「えっ?」
「えっ?」
「「……」」
「霊魔」
「……はい」
「ルーミアとナナシも呼んできなさい」
「何がダメだったんだろうか」
「まったくもって分からないですね。迷宮入りです」
「だーかーら!!なんであんたらは知らないの!?」
「お前だって肉だって言ったろ!?」
「私の大好物を言っただけよ!!たまたま一緒だったから安心しちゃったけど!!そっちこそ、なんで肉だって答えたの!?」
「私だって自分の大好物なものを答えたよ!?」
「俺はちゃんと霊夢を好きなのを言ったぞ!?以前に『ニクちょーうめー」って本人が言ってたからな!!」
「そんな言い方は博麗の巫女はしないよ!!勝手に捏造すんな!!」
「どう考えても思春期男子の台詞ですよ霊魔さん!?あんな綺麗な人が言うわけないじゃないですか!!」
息が切れる三人。とりあえず霊魔は、持って帰ったステーキに手を伸ばす二人にフォークを投げた。
魔理沙は何の気なしに寄っただけである。もし愉快な状況だったら賽銭でも入れてやろうかと、そのぐらいの軽い気持ちで博麗神社に来ていた。
喧騒が聞こえるにつれて「ありゃ、本当に賽銭を入れることになりそうかも」と、そう思っていた程度だった。
「おーい、てめぇら遊びに来てやったぞー!」
「「ギャァァアアア!!」」
「これは霊夢のステーキだろうがぁ!!気安く触んなこの役立たずどもがぁあ!!」
「ええええええ!?霊魔さんキャラ変わってません!?」
「うるさい!!お前らがポンコツなのが悪いんだろ!?これは正当な報酬だ!!」
「うるせぇ、霊夢を満足させたら、つっただろうが!!」
「食わせろ!!」
「食べたい!!」
「 対 価 を 払 え ッ !!」
魔理沙は人目もはばからず噴き出した。
「なぁ、三人集まったらよ。流石に正解の一つや二つは出るぜ?ぷっふふ、なんで、肉とか、渡そうと思うんだよぉ!!そこはお粥とかじゃねぇの!?あっはっは!!やっべ腹痛い!!アヒャヒャヒャ!!」
「魔理沙に久しぶりに殺意が湧いた」
「同じく」
「初めましてですけど、私も」
「まぁいいや!アリス呼んでくるよ。私よか看病は得意そうだしな。悪かったと思ってるし、ちゃんと助けてやるよ。ありがたく思え」
「「「断る」」」
「……いい性格してんなお前ら。霊夢に熱があるならちゃんと冷やせよ?じゃあまた来るわ」
「「「二度と来んな」」」
「あいつ、助けてやるとかほざいてたが、結局は他人任せじゃねぇか?」
「他人任せでも、あいつの手は借りたくない」
「いっそ、来る前に治しちゃいましょう」
「「「……」」」
「「さて、どうしよう?」」
「頭を働かせろポンコツども!!」
「しょうがないか。非常に業腹だが、魔理沙がさっき言っていたお粥?なるものを作ってみよう」
「オカユ?」
「あ、それがありましたね!!」
「「知っているのかナナシ!?」」
「任せてください!まず、コメと水を用意します」
「おお……!」
「これならいけるんじゃない!?」
「そして、調理します!」
「「ん?」」
「出来ます」
「「ちょっと待て」」
「どうかしました?」
「どうもこうもないよ!?」
「材料以外、具体的な事がわかってないんだが!?」
「当たり前でしょう!私に頼るのがダメなんです!」
「さも当然の事のように言うな!」
「あーもう!これしか分からないってなら仕方ない。試行錯誤して作るしかないか」
「出来るの霊魔?」
「やってみる。なんとか形にしてこよう」
「霊夢、さっきはすまなかった」
「……あんたも私も風邪なんかほとんどかからないから仕方ないかもしれないけど、あれはね……」
「とりあえず、オカユを作ってみたんだが……」
「あれ?霊魔ってお粥作ったことあった?」
「ない。だから、それらしくなるように作ってみたのだが……」
「」←大量の餅
「どうやっても餅になってしまった。すまない」
「あんた、はじめて作る料理だけはダメダメなんだから。……今から作り方教えるからその通りに作りなさい。いい?まずは……」
「作れたぞ」
「流石霊魔さん!私は出来るって信じてました!!」
「信じてるならもう少し教えてくれてもよかったんじゃない?」
「お礼と言ってはなんだが、プレゼントがある」
「えっ、なに?」
「なんですか?」
「これ」←大量の餅
「「……」」
「……」
「「……えっ」」
「じゃあ、俺はステーキを……」
「「させるかぁぁああ!!」」
「グワァァァアアア!!目がぁぁ!?」
「何勝手にステーキにありつこうとしてるんですか!?それに餅て!?せめてご飯にしてくださいよ!!」
「うるせぇ!!テメェらホント使えなかったじゃねぇか!!そんな奴らに食事を与えるだけありがたいと思え!!」
「どうせオカユの失敗作を押し付けてるだけでしょ!?自分の失敗は自分でなんとかしてよ!!」
「なんだクソガキ」
「やんのかポンコツ」
「あ?」
「はん?」
「なんで喧嘩腰なんですか!?やめましょうよ!?」
「我、奴を滅さんと欲す」
「凄惨の時の来たれり、我は汝を殺す者」
「何言ってんですか!?変な風に言っても、両方共『お前を殺す』としか言ってないじゃないですか!?こういうのはゲームかなんかで決めましょうよ!!」
「ゲーム?」
「……そうですね、ジャンケンで決めましょう。それなら公平ですし」
「……まぁ文句はない」
「同じく」
「なら、細かいルールを。勝ったらではなく、負けたら脱落で、さっさと餅を食べててください。しかし、二回で。二回負けて脱落です。また、グー、チョキ、パー以外の手は認めない。これでどうですか?」
「「異議なし」」
「決着はこれで決めてやる。引導を渡してやろう、ルーミア」
「私に勝てると思ってるの?返り討ちよ」
「熱い戦いですねぇ。私はグー出してますんで好きにやっててください」
「「「最初はグー!」」」
「「「ジャンケンポン!」」」
霊魔、ルーミア パー
ナナシ チョキ
「二人とも、あと一回ですね」
「「何ぃぃぃい!?」」
「貴様!?さっきグーを出すと……」
「嘘ですよ?ふつーに」
「嘘なんて卑怯よ!」
「ルールに抵触していなければいいんですよ。ちゃんと確認しましたよね?私を気にも留めずに見落としたあなた方の落ち度ですよ」
「ぐぬっ……!」
「戦いは始まっていた……か!やってくれる!」
「ステーキは私のものです。なんで脱落という形を取ったのかも教えましょう。二人勝ちでステーキを半分にさせないためですよ……!」
「ちぃ……!ちっぽけな温情すらないのか!」
「完全に私たちに餅を押し付けようとしている!?何この子怖いっ!」
「ふっふっふ、今のうちにきな粉と醤油と海苔の準備をしておくことです……!あ、後で少し餅貰ってもいいですか?食べたくなってきた」
「黙れ!あんこと大根おろしを忘れるな!」
「違う、怒るところはそこじゃないよ霊魔」
「じゃあ、次はパーを出しましょうかね」
「だが、魂胆さえ分かれば恐るるに足らず!負けの二文字を叩き込んでやる!」
「「「最初はグー!!」」」
「「「ジャァンケンポォン!!」」」
霊魔 グー
ナナシ パー
「なんだってェー!?」
「正直に言ったのに、なんで信じてくれないんでしょうか……?ぷふっ、悲しいです」
「思いっきり笑ってんじゃねぇか!」
「喜ぶのは私の手を見てから言ってよ」
「えっ……?なんですかそれ!?」
ルーミア 闇の能力により視認不可
「お前……!」
「ふっふっふ」
「この作品で初めて使った能力がこんなくだらない事でいいのか!」
「ほっとけ!」
「そんな……!ほぼ後出しじゃないですか!卑怯ですよ!」
「今、盛大なブーメランが飛んで行ったな」
「お前が言うなッ!!」
「グヘァ!?」
「あ、刺さった」
「ちゃんと私は手を出してるよ?みんなから見えないだけで、ね?ねぇ霊魔、なんの手がいい?」
「え?……!?そうか、これでチョキを出せばあいこになるッ!如何にお前を説得出来るかがカギになるのか……!」
「そういうことよ。さぁ、どうする?」
「……は、」
「は?」
「博麗神社の特製缶バッジをやるよ」
ルーミア パー
「餅でも食ってろ」
「何故だぁぁああ!?」
「いやいらないでしょ」
「無料でも少し悩みますよ」
「後はあんただけだよ、ナナシ」
「ぐっ……、圧倒的不利に……!一回まで負けられるけどそれまでに勝てるかどうか……!」
「さぁやるか」
「霊魔、あんたは脱落したろ」
「ふっ、俺をよく見ろ!」
「なんで上の服脱いでいるんですか!?」
「露出狂の変態だったのかー」
「違う!外の世界には服を生贄にすることでジャンケンを再開させることができるという……。その名もヤキューケン!俺のライフは服の枚数だ!」
「……そんなのあるの?」
「ありますね。本来の目的が服を脱ぐ過程であるはずのゲームですが」
「霊魔だからこそやれるってことだね?」
「そうですね、霊魔さんみたいな露出になんの羞恥も持たない変人にしか出来ない芸当です」
「喧嘩なら買うぞ?」
「さぁ、行くよ……」
「今度こそ!」
「絶対に勝つ!」
「「「最初はグー!!!」」」
「「「ズァンケェン……!!!」」」
「ねぇ、うるさいんだけど」
「「「……」」」
「ねぇ」
「でも、本当に珍しいわね。霊夢が風邪なんて」
「だろ?しかも霊魔が面白おかしく看病してるから笑えてきてよ。でも霊夢にもしものことがあったら怖いからさ、頼むよ」
「別に構わないけど……。もう少し色々持ってきた方が良かったかしら」
「お前の家にいた時はそれの二倍は持ってこようとしたろ。それぐらいで十分だっての」
「そう?」
「そうだよ。……おーい、アリス連れてきたぞ……」
「「「」」」
「あら、魔理沙にアリスじゃない」
「……どゆ状況?」
「やかましかったから、殴って止めた」
「目覚まし時計なのかこいつらは」
「霊夢、後は私が看病するから寝てなさい」
「ええ、頼むわ」
「あーあ、畳に三つの穴が出来ちまってるぜ」
「まったくだ」
「霊魔、起きたか」
「やれやれ、看病は苦手なようだ。後は任せていいか?」
「あぁ、いいけど。どこか行くのか?」
「外の世界に。こいつが外の住人だからそろそろ帰しに行ってくる」
「そうか、いってらー」
「ナナシ起きろ。ま、いいか。ついでにルーミアも連れて行こう。よいしょっと」
二人を担ぎ、博麗神社前の鳥居を走ってくぐる。世界に波紋が起き、景観が瞬時に切り替わる。
「ん。ここは……」
「帰って来たぞ。お前の世界だ」
「あれ、でも……」
「お前は少しでも早く戻れ」
霊魔の眼の奥が透き通るほど綺麗だとナナシは思った。自身を心配している言葉だとしても、少し違和感があった。
「なんでですか?あの空間の中に私はいちゃダメなんですか?」
思ったよりも言葉に棘があったことにナナシは驚き、心の中で自嘲する。霊魔は少し考えるように俯いたあと、ナナシに目を向けて言う。
「ああ、俺にとって不都合だ」
突きつけられたのは明確な拒絶。ナナシは彼の言ってることに間違いはないと感じた。同時に、本当は私に優しさをかけた上での言葉というのも理解できた。
俺にとって。それはつまり、霊魔のみが拒否しているということであり、向こうの世界の人たちの総意ではない。
「理由を聞いて、いいですか」
まだだ。泣くのはまだ早い。
「近いうち、あそこには俺を中心とした異変が起こるだろう。その時、お前がいればお前自身が死んでしまうこともある。代わりに誰かの命が消えるかもしれない。そんなところへ、生きるだけの能力を持った人間がいるだけでも自殺行為に等しい」
「えっ?生きる……?」
「自覚はなかったか。思えば当然か。以前にムカデの化け物がいただろう。あれはお前が喚び出したものだ。お前の生きたい、という意思でだ。もっとも、あの程度ではまともに勝つことすら出来ないがな」
「はい……」
ナナシは力無くうなづく。
「あなたはこれからのことで、危険があることを知ってるんですね」
「……ああ、そうだ」
「最後にひとつだけ」
「あなたは私が戻ってくるときまで、生きてますか?」
「……分からない。明日死ぬかも俺には分からん」
「誤魔化さないで下さい……!」
「……」
今のナナシには溢れ出る涙を止めることは出来なかった。止める気も起きなかった。泣きながらも前を見据えて言葉を重ねる。
「たった一日やそこらしかいなくても、あなたがたが優しい人というのは、いい人だというのは分かります!霊夢さんも!ルーミアさんも!みんな楽しく生きている事も!だって私の恩人だからッ!!」
「……」
「そんな人達に『しばらくしたら死ぬかもしれない』と言われて、黙っていられると思いますか?」
「思わないだろう」
「……ッ!」
「だから連れてきた。お前の意思が介在する前にな。……以前、俺はお前のようなやつを知っていた」
「どういう事ですか?」
「終始ふざけながら笑ってる奴だった。調子に乗って、ほかのやつらを怒らせて、それでも笑いながら怒られていた」
「……その人、どうなったんですか?」
聞かずにはいられなかった。まるでナナシが辿る未来の一つのようで。きっと今、彼はまだ誰にも話していない事を話してくれている。本来なら、私たちが決して聞いてはいけない事を。
「死んだ。俺のせいでな。俺に巻き込まれて、あっけなく死んだ。あの時は呆然としてただ見ることしか出来なかった」
「弟がいるんだろう?今はその場所に帰ってやれ。『今、俺たちの世界に留まらない』それはお前が出した結論のはずだ」
御九字社と呼ばれた神社。その鳥居が博麗神社に通じる神隠しの門であり、博麗神社と違って寂れてしまった場所。宮司はおらず、時々不良がここへ来る。
そこで霊魔は、御九字社の倉庫に隠しておいた日本酒を持って石階段に座った。お猪口は二つ用意している。
「起きていたか」
「結構前からね。あれが正解なの?」
「正解かどうかまでは知らん。だが、俺が決断した事だ。お前が気にする必要はない」
「そう。……彼女、弟いたのね?」
「看病のときに口にしていただろう」
「それだけ?弟が死んでるとは思わなかったの?それとも、直感ってやつかしら」
からからと笑う金髪の女性は、実に楽しげだった。楽しげに赤いリボンを取る。
「まぁ、あなたが答えにくい事は分かってるし、そんな事はどうでもいいわ」
女性は立ち上がり、振り返る。どこまでも深い赤の瞳は真っ直ぐと霊魔を写していた。
「あなたは食べてもいい人間?それとも……殺していい人間?」
「せっかくの酒がお楽しみになったな」
「いやよ、酒なんて。ありのままのあなたを殺したいのに」
「こっちもナナシのムカデで体が鈍ってたことに気づいたんでな。手加減は無しでいけるぞ、ルーミア」
大人の姿になったルーミアは楽しそうに笑う。狂気さえも見せず、ただ純粋に。瞬間、周りは闇夜に覆われた。
「途中から幼い言葉を使うことすらやめやがって。絶対的秘密だと念を押してた筈だが」
「そうだったかしら?これから死ぬ人には意味はないでしょう?最期に聞くわ。そろそろ教えてくれないかしら。私の封印を解いて、何がしたいのかしら?」
「最期、か。ならば答えなくていいな。先程、泣きながら『死ぬな』と言われたばかりなのでな。精々、生き抜くとしようか!」
二人は交差した。
翌朝、タンコブを頭に生やしたルーミアと共にいなくなったことを霊夢に怒られる霊魔の姿があった。
次回、シリアス回。
霊魔の過去に少し触れましょう。