ギター好きは死んでもまたギターが弾きたい。(仮題)   作:Ruminq

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至らぬ点や変な描写があればご指摘お願いしますー。


第一話 探索

 

 

 

 

 

寂しさが、冷たさが、孤独感が僕を襲う。

どんどん深い泥のようなモノに沈む感覚がする。

あぁ――、来世はギターがまた弾けますように。

 

僕は沈む感覚に身を委ねる。深く、深く沈んでいく。

その刹那――。突然何かに引き上げられる感覚だけがやってくる。

まるで暗い水の底から明るい浅瀬に引き上げられていくようだ。

四肢が完全に感覚と機能を停止しているのも関わらず、陽だまりにいるような心地よさが体の内から徐々に湧き上がってくる。それと比例して自分の意識のようなモノが遠のいていく――。

 

よくわからないけど…なんか、心地いい…。

 

それを最後に僕の意識は完全に途絶えた。

 

―――――――――――――――――

 

僕の意識が戻ったとき、まず初めに襲ってきたのはまるで肉体の中に無理矢理風船のようなモノを押し込められたようなナニカが内側から外側に向けて広がるような感覚だった。

 

――圧迫感に似たような感じだろうか?

 

そして次に先程まで感じなかった視覚以外の五感が蘇ってきた。

ただ、なぜか触覚はしっかり機能していなくて違和感を感じるし、聴覚もまるで耳の中に水が入ったようにごわごわしてよく聞こえない。どうなっているのか困惑する。

今の自分の状況を確認しようにも眼はなぜか開かないから見えないし、耳はあまり聞こえないから耳で周りの状況を判断することもできない。

そんな状況に困惑していると耳の中に水が入ってごわごわしたような感覚のせいで聞こえにくい耳が誰かの声を捉えた。よくわからないが、女性の声だろうか?

 

『――れてき…れて、あ……とう。―――――!』

 

何を言っているのだろうか?よく聞こえない。最後のところは名前だろうか。いや全く聞こえなかったが。

 

――あ、なんか、眠気が……意識が、遠のく…。

 

その眠気に逆らう事ができず僕は意識が呑まれた。

 

――――――――――

――――――

――――

 

 

意識が遠のいてからどれくらい経ったのかわからないけど、かなりの時間が経ったらしい。

自分はそこまで時間か経っていないように感じるので先ほどという表現を使うが、先ほど違和感を感じていた聴覚と“視覚”と触覚はしっかりと機能するようになった。

 

――そう、視覚も機能するようになったのだ。つまり――!!

 

「どうしてこうなった…っ!」

 

三歳児ほどに身長が縮んで、さらに!…自分の顔が知らない人物の顔になっているという非現実的な現実を叩きつけられているのである!!

 

「えぇ…(困惑)」

 

三歳児ほどに縮んでしまったのはまぁ、まだ良いのだ。いや全然良くないけどね。

それより問題は顔の方である。

 

――なんだこのイケメン。

 

いや、銀髪と翡翠色の瞳だけですでにお腹一杯なのに、三歳児とは思えない程顔が整っているのだ。しかも貴族っぽい服きてるし。なにこれシルク?

 

なんだこれ。――いやほんとなんだこれ!?

友達が言ってた転生…とかいうやつなのかな。まぁ、いいやとりあえず今日は自分の容姿を確認できたので寝よう。うん、寝れば病院のベッドで万が一…いや億が一の確立で目が覚めるかもしれないし。

 

――お休みなさい。

 

誰に言うわけでもなく、心の中で就寝のあいさつをしてベッドに入った。

そうして僕は三歳児ですでにキングサイズのベッドを与えられているという事実をスル―しながらそのまま不貞寝するのであった。

 

 

――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

――――――――――――

 

 

 

転生(仮)生活2日目――。

 

転生(仮)生活1日目は自分の容姿を確認して就寝したが、今日こそは自身が今置かれているの状況の調査とかをしなければならない。ここがどこなのかとか。ありえないけど奴隷商人の家とかだったりしたら割と洒落にならない。

転生(仮)生活2日目で人生の最終回とかマジで…本当に洒落にならん。

昏睡時の夢みたいなことも否定できない以上そこまで気にする必要はないかもしれんし。

 

なんて思って自分が今いる恐らく寝室であろう部屋を見渡してみる。

すると、ベッドのすぐ右隣に2段程度の本棚を見つけた。なにか情報がわかるかもしれないしとりあえず読んでみよう。記憶はしっかりしてるから多少三歳児程のこの体でも十分に情報収集できるだろう。

 

まずは1段目の本を調べる。えっと……おっ!

この分厚い本は歴史の本っぽいな。雰囲気的に…そうでしょ?

とりあえず分厚い本と言えばハリポタと広辞苑と歴史の本くらいでしょ?そう…だよね?(汗)

とりあえず数ページ開いてパラパラめくってみる。

 

――うん…読めない!わかってた! 明らかに日本じゃないもん部屋が!

 

ドイツ語とかロシア語みたいなそんな感じではなくもう言語化不可能な字が並んでいるのだ。別に決して僕がバカだからではない。今いる世界(?)の情報収集は無理そうだ。

次はこの家の主を探さなければ。奴隷商人かそれともこの世界の両親か。どちらかはわからないがなぜか三歳まで育ってきているのにそれまでの記憶がないという実に奇妙な状況だからこの世界の両親の顔も覚えていないため本当の両親が出てきても咄嗟に両親と判断できないのだが。

 

とりあえず、まずはこの部屋から出ないと。

心の中でそう呟きながら本を元あった場所に戻して寝室の出口のドアを目指す…がここで僕は大変な事実に気付いてしまった。

 

「………」

 

――届かない…っ!!!!

 

そう、今の僕は前世の様に17歳の僕ではなく今は三歳児の体なのだ。

つまり僕と開くためのドアノブは圧倒的なまでに高さがあるのだ。

 

――ジャンプすれば届くかな…

 

そう口の中で呟いて思いっきり足の力を込めて腕を振り子の様に降ってその遠心力をジャンプに利用して跳ぶ。

 

本気で跳んでやっとドアノブに手がかかる程度だったが幸いにも捻るのではなく下に引っ張るタイプのドアノブだったのでなんとか開けられた。

 

……なんでドア一つ開けるのにこんなに苦労しなきゃいけないんだ…。

 

内心毒づきながらドアを潜るとそこそこ長い廊下に出た。

廊下にはパッと見片方の壁にドアが三つ程度着いているようで、もう片面も同じようになっている。これを見る限り、この家が奴隷商人ではなく、恐らく貴族である両親の家である可能性が高くなってきた。少しほっとした。

 

廊下に所々飾られている絵やいかにも高そうな花瓶を見渡しながら歩き回ってみたが、2階は特にこれと言って気になるものはなかった。正確に言えば恐らく父親の私室だと推測できる書斎があったのだが文字が読めないのでノーカンである。

 

と、いうかドアを開けようとするたびに3歳児の体で全力ジャンプをして開けなきゃいけないため既にかなり疲労が溜まっている。まぁ、全力ジャンプを7回もすれば三歳児だから代謝が良いせいかすっかり汗だくである。うえぇ、服が汗で張り付いて気持ち悪い。

もしも、誰か居ればお風呂に入れさせてもらおう。

 

2階は全ての部屋を探索し終えたので、先ほど見つけた1階への階段を下りた。

階段を下りれば短い廊下があって降りた僕の目の前に、リビングらしき部屋につながるドアを開けるために実に8度目の全力ジャンプを敢行する。

 

…脚の全ての筋肉が悲鳴を発しているがどちらにせよ寝室を出た時にドアを閉めてきたしまったためあと一度全力ジャンプをするはめになるので痛みに手をドアノブに手を伸ばす。

正直これで誰もいなければもう今日は家に誰も居ないということにして寝室に戻ってFUTENEをしようと考えている。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

ただその考えも目の前の光景を見て無くなったが。

そこにいたのは――――。

 

「あら、ヴァー君起きたの? 昨日は疲れてたみたいだからご飯食べなかったからお腹空いてるでしょって……ヴァー君! 汗びっしょりじゃない! ご飯の前にお風呂ね!」

 

「おぉ、ホントだ! おはようヴァイス! まだお前の身長ではドア開けられないのによくドアを開けられたな! だから汗を掻いてるのか」

 

居たのはどうやら僕の母親と父親のようだ。見る限り優しそうな両親だろうから良かった。

 

しかもお母さん若い! 

 

前世では父親は蒸発してしまっていたので、居なかったけど母親は優しかったのをよく覚えている。いやここまで若くはなかったが。いつこの人たちは結婚したのだろうか。

 

「ね、かあさん。おふろのまえにゴハンがタベたい」

 

――すごいしゃべりにくいんですけど…。三歳児の舌ではこれが限界か…。

自身の滑舌の悪さに驚愕した僕だがそれよりも先に母さんに昨日ご飯を食べていないこと

を指摘されてから、急激に空腹感が襲ってきたため先にご飯を優先しよう。

 

腹が減っては戦は出来ぬ。

 

と、いうことで――。

 

「わかったわ! すぐにシェフに用意させるわね」

 

―――――――――――――――

――――――――――――

―――――――――

 

 

ご飯を食べ終わって満腹になり、頭にブドウ糖が回り活性化した脳が僕にキュピーン!!と唐突なインスピレーションを与えてきた!

 

言葉は伝わるんだから両親に読み書きを教えてもらえばいいじゃないか…と。

うん、完璧だ。我ながら天才ではないだろうか。

将来は軍師だな。…嘘。軍の犬とか成りたくない。

そういえば前世で居た友達に見せられた動画の中に、

 

【軍の狗】

 

という動画があり、軍の一番下っ端である主人公とその連れである二人組の乗った軍用車を走らせ余所見をしていたら、道路の前に赤信号で停車していた貴族の乗った黒塗りの高級車に追突してしまって

 

「オイゴルァ!」

 

から始まり屋敷に連れて行かれ

 

「なんか足んねぇよなぁ?」

とか言われて首輪とか尻尾つけられたり

 

「四つん這いになんだよ!」

とか

 

「馬鹿じゃねぇの(嘲笑)」とかイロイロされる、という動画があったな。

 

閑話休題――。

 

先のインスピレーションを無駄にしないために早速両親に打診してみる。

 

「かあさん、とうさん。ぼくによみかきおしえて!」

 

僕のお願いを聞いた両親の最初の反応は“困惑”だった。

まぁ、無理もないだろう。なんとなく予想もしていた。

恐らく三歳児の僕――ヴァイスという名前らしい――が突然文字の読み書きを教えろ、なんて僕も親の立場であれば困惑するだろう。

 

困惑から母さんより早く立ち直った父さんが苦笑を顔に浮かべながら

 

「読み書きかぁ…ヴァイスにはまだ早いんじゃないか?」

 

と一蹴しようとする。…だがしかし、ここで諦めるわけにはいかない!

 

「よみたいホンがあるんだ!」

 

読みたいモノがあるという明確な理由を作って一刀両断に否定できなくさせる。

 

「お父さん、いいんじゃないかしら? 別に文字が読めるのは早くて困ることはないんだし」

 

「母さんがそう言うなら…よし、ヴァイス! 読み書き今日からみっちり教えてやるからなぁ!」

 

ファッ!? 脚の筋肉痛と疲労で疲れがマッハの速度で増幅中なのにそんな状態で勉強したら――

 

死ぬ!!! 断固阻止しなければ…っ!

 

「え…? や、やっぱりあしたにしない?」

 

若干上ずった声が出てしまった。頼む、明日にしてくれぇ…っ!今からなんて死ぬからぁ…っ!

 

「何を言うんだヴァイス、お前が言い出したんじゃないか!…ヴァイス、私が本で読んだ格言を教えてやろう。…“明日って今さ”!」

 

無駄に良い顔で無駄なセリフ吐きやがって…ちょ、抱えるな! 運ぶな!

――うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

「ていうかさきにオフロはいらせてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

勉強の前にこのベトベトになった体を洗わせてくださぁぁぁぁぁい!!!

 

こんな感じで僕の転生(微断定)二日目は幕を閉じたのであった。

 

 

 

…ちなみにこのあと暴走した父を止めるために母さんが笑顔でお父さんを絞め落としたのは驚きを隠せなかった。

 





「ギブギブギブギブ…………ガハッ……」

「と、父さん…っ!?」

「あらー、お父さん寝ちゃったみたいだからベッドに寝かしてくるわねー」

「は、はい」

感想評価待ってます!次は少し期間が空くかもです!
ストックが減ってきたので補充執筆するので…。
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