ギター好きは死んでもまたギターが弾きたい。(仮題)   作:Ruminq

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お 待 た せ

なにかおかしな点があればご指摘お願いします。


第二話 第二の家族は。

父さんから読み書きを習い始めてから5年が経過した。

 

僕は8歳になった。身長も結構伸びたし、身のまわりの環境も変化したし、色々わかったことも多い。

 

父さんが途中から調子に乗り始めて読み書き以外にも社会情勢や歴史や数学など一通りの勉学も叩き込まれた。いくら僕が転生して前世の記憶を引き継いでいるから勉強の飲み込みが早いからって

 

「ようし、読み書きも概ねできてきたな! ついでに他の勉学も手を出してみるか!」

 

なんて言い出した時は頭が真っ白になった。

それからしばらくしてから驚いたことがあった。父さん――レナード=フィーベルは実は魔導省の高級官僚らしく、こんな性格で実はすごかったという驚愕の事実が発覚した。

そして次に家がガチで貴族だった。フィーベル家というかなり名の通った誇り高い名家でした。

 

つまり僕の名前はヴァイス=フィーベルということになるようだ。

次に母さん――フィリアナ=フィーベルも同じく魔導省の秘書官らしい。

他にも分かったことは父さんはアルザーノ帝国魔術学院の講師をしていたことがあるらしく、母さんはその時の教え子だそうだ。道理で父さんは教えるのが上手いわけである。

 

父さんが講師を最初は不真面目授業をやっていたらしいが徐々に改心して真面目に取り組み生徒想いの講師なっていったらしく、そこに母さんが惚れて最終的に無理矢理押し通して結婚したらしい。通りで母さんが若いわけである。

 

――閑話休題。

 

今は講師ではなく先ほど言った通り講師ではなく二人とも魔導省に勤務しているため最近は滅多に帰ってこなくて代わりに爺さん――レドルフ=フィーベルに面倒を見てもらっていた。

 

僕はよく知らないのだが確かフェジテという学究都市の西側に位置する上空に位置するメルガリウスの城というものの謎を探求する狂信的な人――その人達を総じてメルガリアンと呼ぶらしい。――というものに爺さんは入るらしい。

まぁ、僕はそこまで興味は湧かなかったから代わりに魔術と魔術理論など魔術関係を教えてもらっていた。

 

ちなみに僕の一歳年下の妹――7歳のシスティーナは爺さんのメルガリウスの城の話を大層お気に召したらしく、僕の勉強中でも構わず押しかけてきて話をせがむほどだ。そのたびに毎回僕たちはシスティーナのことを苦笑しながら授業を中断して爺さんはメルガリウスの城の話を語りだし、僕はその話に耳を傾けながら授業の内容を復習しながらまとめるのだった。

 

これが3歳から8歳になるまでの5年間の軌跡である。

まぁ、全部説明したわけじゃないんだけどね。

 

でもとりあえずはこんな感じかな。

前世の僕だったらきっと死ぬような勉強をしても辛くもなんともなく、むしろ楽しく思えたのは前世の世界にはなかった魔術という存在のおかげか、それともこのフィーベル家の人たちが温かいからだろうか?それとも血筋?

…いや、気にするだけ野暮か。もうここで8年も生きてるんだ。

今更前世の世界のことを思い出したってなにかが戻ってくるわけではないんだし。

 

さて、勉強、勉強。

 

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今僕はフェジテ学究都市から離れて帝都にいる。

父さんと母さんに着いてきているためだ。ちなみにシスティは爺さんと一緒に家にいる。僕がいない間に少しでも例の城の話を聞こうとしているらしい。

…今両親は二人とも魔導省の仕事で手が離せないらしいので帝都の商店街的な通りに冷やかしに来ているのだ・・・・。

 

その商店街の一角に色々の国から様々な楽器を集めて置いている店を見つけた。

前世でギターを弾いていたこともあってか惹かれるように僕はその店に入った。

 

10分程物色して弦楽器コーナーらしき場所に踏み入れた時、それを見つけた。

僕はそれを見た時、驚愕半分、嬉しさ半分という複雑な感情になった。

 

「こ、これは…!?」

 

見つけたのは形は違うがそれは間違いなくギターと呼べる代物だった。

 

「ギター…!? まさかこんなとこにあるなんて、もはやこの世界にはそんなものはないと思ってたけど…いやでも形がちょっと違うな…ウクレレ?」

 

僕が余りの衝撃にブツブツ独り言を呟いていると、それを聞きつけたのか、それとも8歳の子供がこのような楽器の店を訪れているのが珍しいのかは知らないが店主らしき人がやってきてしゃがんで僕に目線を合わせて声を掛けてきた。

 

「お、坊主見る目がいいな!それはリュートって言ってな、その片方の手で下の辺りで弦を弾きながらもう片方の手で上の辺りの弦を押さえて音程を調節して弾くんだぜ! 東南の国の方から入手したんだけどよ、俺ぁこの楽器には詳しくなくてなぁ、弾き方はしらねぇんだ。すまねぇなぁ」

 

そうか、これはリュートというのか。道理でギターの割には真ん中の穴が小さいと思った。

僕が使ってたのはアコギだからもっと大きいし、図体もでかい。

こんなウクレレみたいに小さくないしね。

でもリュートがあるなら希望が見えてきた。

 

「い、いえ!…それにしてもよく仕入れましたね、これ。この辺りじゃ見ない楽器でしょう?」

 

「へっへ、そうだろ? 昔の友人に東南の国出身の奴がいてよ。そいつに地元で有名な楽器持ってるって言ってたからそれを郵政機関で送ってもらったわけだ」

 

ほう、友人にギターに似たリュートがある国住んでいる友人かぁ…。そうだ!

 

「すみません、店主! このリュートを持ってきた人ってどんな仕事についてるんですか?」

 

「ん? そうさなぁ…実はそいつ兄弟でよ、俺が頼んだのは兄貴の方なんだがそいつは確か木を彫って磨いたりして彫刻を造っとったかなぁ…んで弟の方は鍛冶師でよ、ちょうどお前さんが持ってるリュートの弦を造ったりしてるって兄貴から聞いたような…」

 

「そ、それホントですか!?」

 

僕はつい鼻息を荒げながら目を輝かせて店主のおっちゃんにリュートを持ったまま詰め寄る。それを見た店主は僕の雰囲気に気圧されたのか、少したじろぎながら肯定する。

 

「あぁ、確か間違いなかったと思うが」

 

店主から肯定の意を受け取った僕はテンションが上がる。

諦めかけていたギターの道に希望の光が差し込んできた。

もはや、僕の為に舞い込んできた出来事と言わんばかりのイベントである。

 

「でしたら、その二人に製作…オーダーメイドを依頼したいのですが!!!」

 

「オーダーメイド? まぁ、そりゃあ目の良い坊主のためにひと肌脱いで用意するのも吝かじゃぁねぇんだけどよ…お前さん、金あるのか?」

 

「…あ」

 

しまった失念していた。ついついはしゃいでしまったが、店主のおじさんから見れば僕はただの8歳の子供なのだ。お金なんて、持ってるわけがない。

元々この世界にない弦楽器のオーダーメイドを依頼するのだから当然大金が必要になるだろう。

 

 

「坊主には悪いが一応これでも俺ぁ商人なんだよ。こう見えてもな。金が必要なのはそれだけ目端の効く坊主ならわかるだろう?」

 

「すいません…気が舞い上がって…気付きませんでした……」

 

店主の目から見ても分かるくらいにしょげてしまう僕。店主はそんな僕をどう慰めようか迷っているようだ。その時だった。

 

「あぁ、ここにいたのか!」

 

聞き覚えがある声がしてそちらを振り向けばいたのはどうやら父さんの様だ。

 

「父さん…仕事は?」

 

「なに、今日は早く仕事を終わらせてヴァイスと遊ぼうと思ってな。帝都に来てまで勉強することもないだろう。 ところで、なんで楽器店にいるのだ? てっきり私は図書館にいるのかと思ってここから全く逆方向の帝都図書館に行ってしまったわ。はっはっは」

 

笑いながら僕になぜここにいるのかを尋ねる父さん。そんな父さんに僕は先ほどまでの話していた内容と僕がしようとしていたことを包み隠さず話したのだった。

 

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―――――――

 

 

 

「成程、リュートのオーダーメイドを頼みたい…か」

 

父さんは何かを悩むように手を顎に当てながら首をひねっている。

 

「うん、と言ってもリュートの面影はほとんどなくなるんだけど…」

 

「ん? つまりはなんだ、ヴァイスは元々リュートのオーダーメイドが欲しいと前から考えてたってことか?」

 

「…まぁ、そういうことになるかな」

 

何かに気付いたのかハッとした父さんは僕に今ではなく前からリュートが欲しかった旨を聞いてきたので、とりあえず肯定する。

…まぁ、リュートが欲しいわけではなくギターが欲しかったのだが店主と父さんと話してみる限り、ギターという楽器名は存在しないか、相当マイナーなモノであると予想できたので、リュートということにしておこう。

 

「なら私がお金を出そう」

 

「え?……いいの!? きっとすごい大金になるよ!?」

 

父さんは手を腰に当てて思いっきり胸を張って自分が金を出すと答えた。

その発言に動揺を隠せない僕は父さんに大金になると警告する。

前世のような近代ならまだしもこの世界はまだ蒸気機関車が普及し始めたばかりなので

技術はまだまだであろう。つまりそれに比例してオーダーメイドの値段も跳ね上がると推測されるのである。その僕の気持ちを理解してかせずか父さんは胸を張ったまま

 

「ヴァイスは三歳の読み書きを教えてということ以外でなにかモノをねだるということがなかったからな。5年間分貯めた分をここで清算してやるのも良いだろう!」

 

「……母さんには許可を取らないの?」

 

「……いや、母さんにはあとで報告する! それにまだ8歳のお前が気にするようなことではない!…さて店主」

 

おい今間があったぞ。

 

「店主、金は出す。出すからこの子の言うとおりのモノを作ってあげてほしい」

 

「はい、毎度ありがとうごぜぇます! …よかったな坊主」

 

「はい…!」

 

うぅ…不覚にも父さんの愛に感動してしまいそうだったよ。さっきの間がなければ完璧だったね。うん。でもホントに良いお父さんに恵まれたよ。家族ってこういうことを言うんだろうか。

 

「よし、坊主。こっちに来い。いまからあいつらに送る設計図を描くからお前さんの作ってほしいモノの特徴をできるだけ細かく教えろ」

 

「はい!」

 

店主にこっちにくるように促され、父さんにありがとう!とできるだけの笑みでお礼を言ってから店主にギターの特徴をできるだけ詳しく伝えた。

ほとんど太陽が沈んで日が暮れるまでそれは続いたが、その甲斐あってか、店主からは

 

「これだけ詳しく書けばお前さんのイメージ通りのものが作れるだろうさ! 待ってろ、今すぐ手紙書いて郵政機関の速達で東南の国の兄弟のとこに送ってやるからな!」

 

だ、そうだ。できでから僕の家に届くまで多少の時間がかかるらしいがなるべく早く届けてもらえるそうだ。

 

僕は家で

 

…楽しみだなぁ!

 

と踊りながら鼻歌を歌う僕の隣で何故僕の機嫌が良いのか知らない一つ年下のシスティーナも僕に釣られて踊って鼻歌を歌っていた。

 

そんな二人を見ながら微笑んでいる母さんが居て―。

微笑んだままの母さんが父さんに渾身の力でチョークスリーパーを決められて

 

「待って、許して、ギブギブギブ……ガハッ」

 

勝手に大金を使ったことを咎められそのまま昇天した父さんが居て―。

 

混沌極まりない家庭だけど温かくて優しい家庭がそこにはあったのだった。

これからもこの幸せな生活が終わらないことを願う。

 

たがしかし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せがそう長く続かないことはこれからの事を考えれば自明の理であっただろう。

それに気づかない愚かな僕はただ今だけの幸せを噛締めるだけであった。

 




あと数話すればギターの要素が減って原作キャラがどんどん増えていくと思います。

ま、タイトルは仮題ですし? あとからちょいちょいと変えてしまえばいいからね。
多少はね? どうしてもやりたいシーンがあるのでそれをやるがために結構捻じ曲げてしまうと思いますがこれからもこの当作品をよろしくお願いします。
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