俺のテンプレ異世界転生〜必中×千里眼=チート無双!? 作:文隆 貴嶺
今回は本編と設定資料の2つセットです。
「さて、おい!見てるんだろ!?新魔王さんよ!一体どういう経緯でセフィーの事を知ったのか知らねえがな!あいつをテメェら魔族にやるつもりはねえ!それに、それだけで戦争起こす気満々なの丸わかりじゃねえか!」
レムロさんがどこに言う訳でもなく空に向かって叫ぶと、声が帰ってきた。辺りに拡散されて、響き渡るような声だ。
【ふむ、やはり気づくか。しかし、これではもはや交渉すら見込めんようだな。残念だ】
「交渉だぁ!?交渉材料を勝手に奪い取ろうとしてきやがったのはテメェの方だろうが!」
【確かにその通りだな。では、次は正攻法でいただくとしようか】
立ち込めてくる黒い霧状のもの。この世界のことを何も知らない、そんな俺にだって理解できる確かな実力。
間違いなく怪物だ。先ほどのオークなんかとは比にならないほどの。
「来やがったか…………!」
「やあ、初めましてだな。戦神レムロ。傭兵で培った戦場での経験を生かして、『表側』の首都である『エルセンド』だったかな?その騎士団団長を務め、先代までの魔王が率いた魔王軍を撃退し続けた化け物」
先ほどとは違い、拡散せずにまとまった声で言葉を発する。霧が集まり、その中から声の主が現れる。黒いフルフェイスの兜に鎧、そして黒いマントを羽織っている。
その周囲からは、隠しきれないほどの殺気が溢れ出ている。変に気を緩めれば、その殺気だけで気を失ってしまいそうだ。
「テメェに言われたくねえな。なんだその気配は?魔王は代々、代替わりのときに魔神の加護を引き継ぐと聞いたがテメェのはそれだけじゃねえ。別の神の加護も持ってやがるな?」
神の加護、レムロさんは確かにそう言った。つまりは、俺以外にも神に何か特別な施しを貰った奴らがいるってことか?
「さて?戦ってみればわかるのではないかな?」
「言われずともそのつもりだ!」
レムロさんは、クロードに斬り込んでいく。が、クロードは瞬間的に黒塗りの大剣を展開してレムロさんの攻撃を弾く。
「そちらから来るか。受け身の剣術が泣くな」
「やかましい!こっちも攻めざるを得ねえんだよ!」
そうだ。レムロさんやラムロの使う剣術はあまり自分たちから仕掛けるような剣術じゃない。あくまでも、来た敵にカウンターを返す技術だ。
「親父!何やってんだよ!そんなに勝ち急ぐなんて親父らしくねえぞ!」
やはりラムロもわかっている。いや、むしろ同じ流派の剣技を使うラムロの方が俺なんかよりもこの状態でのレムロさんの心境を理解しているはずだ。
「うるせえ!ちょっと黙ってろ!」
警告や忠告は意味をなさないだろう。恐らく、あの男の実力はレムロさんを凌駕している。
であれば、必然的に焦りが生まれる。
焦りは余裕を奪い、余裕が無くなったものは視野が狭まる。視野が狭まれば必ず足元を掬われるものだ。
その先に待つのは死。
抜け出そうともがけばもがくほど、どんどんと沈んでいく底なし沼のような連鎖。
最早、そうなればレムロさんに勝ちの道はないだろう。それだけではなく、俺たちまで死ぬことになる。
「死ぬ……………のか?」
そんな言葉がぽろりと口から零れ落ちる。
死ぬ…………?また俺は死ぬのか?前回は助けられた命があった。だが、今回は?
何もない。救われる命も、この世界の平和も。何も無くなる。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
何もせずに終われるか。何も出来ずに終われるか。
恐怖に竦んでる場合か?
理不尽に打ちのめされるだけか?
何かを成すことなく虚無に堕ちるか?
それだけは嫌だ。『虚無』がどれほど寂しいかを知っている。100にも1000にもなれる可能性を断ち切られる恐ろしさを知っている。
それは『死』。明確な生命の最終地点。その怖さを知っている。
なら立て。立ち上がれ。今動かずにいつ動く?
この状況で唯一の希望が、泥沼に嵌ったなら引き摺り出せ。希望が潰えてはいけないのだから!
「ふっ、やはり戦神もただの人。この程度ならば、もはや打ち合う意味もない。消えよ」
「万事休すか…………!?」
黒の大剣が振り下ろされる。その速度は目に捉えるのがやっとのところ。レムロさんはその対応には間に合いそうにもない。
しかし、その剣がレムロさんに届くことはなかった。
ズガンッ!
派手な金属音と共に穴が穿たれ、そこから赤黒い液体が流れ出てくる。
「………………………馬鹿な。そんなはずが………」
「やらせねえ………!その人は、俺たちの守り神だ。村の奴らはみんな世話になってんだ………!自分の命を賭して、村を守り続けてくれていた。そんな人をお前なんぞにやらせねえ!」
俺の投げた岩がクロードの兜の一部を砕き、その頭部に命中したのだ。
「私を死に至らしめるだと…………?あの少年は一体………」
「………………そうか、死神………だな?ロメイルにおいて死を司ると言われる神、『アンクラ』か!?お前のもう一つの神は!」
レムロさんの問いにクロードは答える。
「いかにも。私にもう一つの加護をもたらしている神はアンクラ。それによって、私は不死の存在となっている」
そのせいでさっきの攻撃で死んでいないのか?だとすればどうすればいい?
こちらには濃厚な死の気配がへばりつく。
それに対し、あちらは死を知らない。
そんな怪物にどう勝てばいい?
そう思った矢先、クロードの体が現れた時と同じく黒い霧になって消えていく。
「が、正規の加護持ちがいるのならば話は別だ。不死とはいえ、死に続けるのは堪えるからな。此度は引かせてもらおう」
「待て!セフィーのことをどうやって知った?世界でも彼女のことを知っているのはごく僅かなはずだ。それを、裏側の貴様がなぜ?」
「なに、いずれ理解できる。今はわからなくとも、いずれ………な」
「ッ!待て!」
黒い霧は完全に消え去った。後には俺たち3人だけが残されていた。
辺りには焼け焦げた草木の匂いが充満し、パチパチと火花が飛び散る音が離れたところから聞こえてくる。
「………………タオヤ。怒っているわけじゃない。だから正直に答えて欲しい」
ふと、レムロさんから声をかけられる。やはり、加護の事について尋ねられるのだろう。
「何について聞くのか、お前自身が一番よくわかっているだろう。説明してくれ。お前が何故、神の加護を授かったのかを」
「多分、ですけど…………信じて貰えないかも知れないけど。それでもいいなら話します」
「構わない。どんなぶっ飛んだ話でも受け入れる」
俺は、レムロさんとラムロに俺の前世のことから話し始めた。
「と、いうわけなんです。流石に信じてもらえないと思いますけど………」
恐る恐るレムロさんの顔を見ると、そこに怒りの表情はなかった。いたって真剣な、こちらの話をしっかりと受け止めたような
「なるほど、ではお前はもとはこの世界の住人ではなかったというわけか?」
「そう……だったのか?」
2人は俺に尋ねる。だが、この世界の住人ではないと言えばそれは嘘だろう。
「さっきも言った通り、俺はアヌカを庇って死にました。そして俺は
俺がそう言うと、ラムロはホッとしたように胸を撫で下ろす。
きっと、今まで親友だと思ってた奴がどこか遠くの人間だったらどうしようという気持ちなんだろう。それは、距離の問題ではなく存在のあり方の問題だ。
存在が遠く離れているように感じることの寂しさは、もう経験した。わずかなすれ違いで離れてしまったあの時の繰り返しはしない。
「ラムロ。例え俺がどんな過去を持ってたとしても、俺たちは親友だ。双子の兄弟のように育ってきたんだ。その関係がそう簡単に無くなるはずがない。そうだろう?」
ラムロだけではなく自分にも言い聞かせるように言う。自分でもわかっているが、それでも話してしまえば今までのことが泡沫のように消えてしまうような気がしたから。
「そ、そうだよな!俺たちは親友だ!」
「話を戻そう。それで、今回村が襲撃されたことについてなんだが………」
「そうだ!村の
そう言った直後、村の中心部の方から戦士団の団員がやってくる。
「団長。
「おう、ご苦労だったな。もう家らしい建物も残ってないが、一休みしていいと他のメンバーにも伝えてくれ。あと、セフィーと一応だがルフーナもここに呼んでくれ」
「了解しました。失礼します」
その団員が去って数分後に、俺とラムロのもう1人の幼馴染であるエルフのルフーナと、その母親であるセフィーさんがやってきた。
ルフーナは俺とタオヤを見るなり、駆けてきてその両腕で俺たちを抱えるように抱きしめてくる。
「お、おい!何すんだよ!」
「ル、ルフーナ?大丈夫だぞ?俺もラムロも無事だ」
抱きしめたかと思えば、次には
「うぅ…………グスッ…………だって、2人ともいないから…………ヒック…………死んじゃったのかと思って…………」
まあ、それだけ俺たちのことを心配してくれていたってことなんだろう。今ばっかりは、この行動を止めるのは無粋だろう。
「おい、ルフーナ。わかったから離せって」
「いや、ラムロ。このままにしておこう。ルフーナが泣き止むまででいいから」
「うえぇ………………」
そんな様子のルフーナを置いて、レムロさんとセフィーさんは話を始める。
「あら、ごめんなさいね。2人とも。ウチの娘が迷惑かけちゃってるみたいで」
「おい、セフィー。お前のことがバレた。どうする?」
レムロさんのその言葉を聞いたセフィーさんの表情は、いつもの優しい表情が真剣な顔に変わる。
「そう…………まあいつかはそうなると思っていたから、別にどうってことはないわ」
そこで、俺たちは当然疑問に感じる。
どうしてそんなにセフィーさんが狙われているのだろうか?
「なあ親父、なんでセフィーさんはあんなヤバい奴から狙われてるんだ?」
そう尋ねられると、レムロさんは少し考えてから俺たちの方へ向き直した。
「そうだな、いずれ知ることだ。タオヤという特異な存在がいる以上、多少早くなっても問題あるまい。さて、どこから話したものか……………」
「そうね………まずはこの世界の始まりからってところじゃないかしら?ほら、ルフーナ。貴女も聞いて頂戴」
「う、うん」
この世界の始まり?ロメイルの始まりが関わってくるっていうのか?
「この世界の始まりは、当然ではあるが神が関わっている。この世界の始まりを想像したんだ。それを神と言わずして何と言う?」
「でもね、神はあくまでも世界を見守って何かのきっかけを生み出す存在なのよ。そして『15神王』と呼ばれた神たちの中の王、『グレイル』はこのロメイルが生まれるきっかけを生み出した。それが、私やルフーナのご先祖様である『元素師ウージー』を含めた3人の魔法使い、『三大賢者』と呼ばれる偉大な魔法使いよ」
な、何言ってるのかさっぱりだ…………急に大量に情報を詰め込みすぎだ……………!
「す、すみません。ちょっと何を言ってるのか理解しきれないんですけど…………」
「あら、ごめんなさいね。そうね………じゃあ、三大賢者の説明からしましょうか」
すみません、次話は資料を説明するような内容になるのでもしかすれば退屈かもしれません