消す黄金の太陽、奪う白銀の月   作:DOS

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第13話『試験終了!それから…』

 結局、試験会場に戻ってこなかったキルアが不合格となった。

 本来なら「まいった」というまで不合格にはならないけど、キルアはすでにこのホテルを去った後、あきらかに戻ってくる意思が無い。それに、今のキルアには聞けばすぐに「まいった」の言葉も出てきそうだったしね。

 ネテロ会長達も、話し合った結果、キルアを不合格とした。

 それによりキルア以外の9人は合格。あっけない幕切れだったけど、最後は無事に誰も死なずに終わった。

 

 次の日、ハンター証の講義を受けるために講義室に合格者全員集まった。イルミさんが一瞬ちらりとこちらを見たけどあえて無視したよ。で、当初は普通にビーンズさんによる講義の途中にクラピカ、レオリオによるキルア不合格の反論をしている時、扉を開いてゴンが入ってきてイルミさんの横まで来た。今の今までハンゾーにのされてた為ずっと眠っていたらしい。

 

「キルアに謝れ」

 

 どうやら寝てる間に起こったことの顛末を誰かに聞いたみたいだね。あ、確かサトツさんがゴンの所にハンター証持って行ってた気がするよ。そしてゴンは、当然の如くイルミさんにご立腹みたい。

 

「謝る……?何を?」

 

 心底わからないと言う顔(無表情だけどそんな感じ)で問い返す。ゴンも少し困惑したみたいだけど、負けじと言い返す。

 

「お前に兄貴の資格ないよ」

「?兄弟に資格がいるのかな?」 

 

 折れた左腕と反対の動く右腕でイルミさんの右腕をつかみ、椅子の上から無理やり引っ張り上げる。自分より大きいイルミさんを持ち上げる腕力は流石、だけどそのままうまく床に着地したイルミさんに怒った言葉を出す。

 

「友達になるのだって資格なんていらない!!」

 

 思い切り右腕を握る。あれはやばいね、骨が。念でガードしてないみたいだから、イルミさんのあの手骨が折れてるかもね。ていうか変色して晴れ上がってるし、変な方向に曲がってるから確実に折れてる。よし、ナイスゴン!

 

「キルアのとこへ行くんだ。もう謝らなくたっていい、案内してくれるだけでいいよ」

「そしてどうする?」

「キルアを連れ戻す」

「まるでキルが誘拐でもされたような口ぶりだな。あいつは自分の脚でここから出て行ったんだよ」

「でも自分の意思じゃない。お前たちに操られてるんだから誘拐されたも同然だ!」

 

 まあね。私もそれに近いと思ってるよ。証拠とかは全くないけどね。みんなも不満みたいだし。クラピカ理論だと暗示をかけて、ていう説があったよ。日常的に殺人に触れた家系でなら、本来暗示で殺人示唆なんてできないことでもやってのけてしまう、と。

 そこに念が加わればほぼ100%可能だと言いたいけど、それは流石にこの場じゃ言えなかったよ。念使いより非念能力者の方が多いし。

 

「キルアならもう一度受ければ絶対合格できる。今回落ちたことは残念だけど仕方ない。それより、もしも今まで望んでないキルアに無理やり人殺しをさせていたのなら、お前を許さない」

「許さない、か………で、どうする?」

「どうもしないさ。お前達からキルアを連れ戻して、もう会わせないようにするだけだ」

 

 そのゴンの言葉に、イルミさんは反対の手を伸ばし、念を威圧的にゴンへと少し流す。念を感じることはできないが、ゴンは持ち前の野性的な勘で手を離して距離を取る。そして肩に誰かの手が触れたのを感じた。

 

「ヒノ?」

「ふふ。大人気ないよね、イルミさん。そんな威圧的にしないでよ」

 

 自分とゴンを守るように、念を纏う。ゴンはイルミさんからの威圧が弱まったのを感じたのか、驚いたような顔をする。その光景にわずかに顔を顰めたイルミさんだったが、すぐに念を霧散させて元の席に付いた。

 

「ヒノ………ありがとう」

「ま、気持ちはわかるから、先に講義終わらそ♪そのあとキルアの家行くにしてもイルミさんぶちのめすのも何でもしていいからさ」

「あ…いや、そこまで言うつもりは無いけど………」

(この女意外とひどいな)

 

 なんかイルミさんがひどい事考えているような(人の事言えない)?まあそれは今はいいや。

 ゴンとイルミさんの話が一区切りしたところでビーンズさんによる講義再開。

 

 要約すればハンター証はいろんな施設をタダで使え、いろんな場所に入れる。そして高く売れて再発行はされない。なくしたらまずい。え、説明内容が簡略化し過ぎだって?

 まあ確かに公的施設の95%は無料使用可能、売れば人生7回遊べるだけの資金が手に入り、利息0限度額無制限にお金を借りることができる。ていう割と細かい説明があったけど、それは使いながら知っていけばいいと思うよ。

 

 

 ハンター証に関しての講義が終了したと同時に、ビーンズさんから激励の言葉をもらい宣言された。

 

 

「ここいる9名を新しくハンターとして認定いたします!」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これでもうこの建物を一歩出たら諸君らはワシらと同じ!ハンターとして仲間でもあるが商売敵でもあるわけじゃ。ともあれ、次に会う時まで諸君らの息災を祈るとしよう」

 

 では、解散!! とネテロ会長に告げられ、部屋を後にする私たち。

 ついにハンター試験は終わった。

 

 講習が終わるとすぐに、ゴンがイルミさんの元へ行きキルアの居場所を尋ねた。イルミさんはやめた方がいいと言ったけれど、当然の如くゴンが食い下がる。

 

「誰がやめるもんか。キルアはオレの友達だ!! 絶対に連れ戻す!!」

「後ろの3人も同じかい?」

「当然!」

 

 ゴンの後ろのレオリオが頷く。ちなみに私もクラピカもいるよ。ここまで来たら付き合おうじゃないか。

 

「………ククルーマウンテン。この頂上にオレ達一族の住処がある」

 

 マウンテンって言ってるから、山だよね?少なくとも私は知らないから、後で調べてみないと。クラピカかレオリオなら知ってるかな?

 ふと後ろに気配を感じると、そこには合格者の一人であるハンゾーがいた。

 

「よぉ。俺はこれから国に戻る。長いようで短い間だったが楽しかったぜ。もし俺の国に来るような事があったら観光の穴場スポットを紹介するぜ」

 

 そう言ってもらったのは、名刺。しかも『雲隠流上忍 半蔵』って書いてるマジで忍者の名刺だし。あ、一応漢字と世界公用語のハンター文字の両方で書かれていたよ。

 まさか忍者から名刺をもらうとは、ゴン達も驚いていたよ。自己主張の激しい忍もいたものだってね。

あと余談だけど、私はジャポンから来たから名前のジャポン表記、つまり漢字バージョンってあるんだよ?

 

「それじゃ調べに行くか」

「あ、ちょっと用事あるから先行ってて、すぐに行くから」

「ん?おお、分かった。早く来いよ」

 

 一先ず許可をもらって、私はさりげなく3人から離れて移動。そして目的の人物、ヒソカとイルミさんを見つけた。とりあえずゴン達には気づかれないように向かった。ほら、ヒソカと知り合いだと分かると色々と説明が面倒というか、ヒソカと知り合いだと思われたくないというか………。

 

「やっほーヒソカ、それにイルミさん」

「ん?やぁ、ヒノじゃないか♥君の方から声をかけてくれるなんてね♥」

「確か100番、ヒノ。色々と邪魔をしてくれたけど、一体何者なんだい?」

「えっと………通りすがりの少女……かな?」

「………ヒソカ?」

「クックック♣ボクの友達だよ♦」

「いえ違います。私にこんな友達はいません」

「つれないな~♥」

「………お前も家に来るなら面倒だね。やっぱり今のうちに………」

「そんな殺気出さないでよ。まあ行こうかと思うけど基本ノータッチだから。だって、私が何かしなくてゴンがしてくれるしね」

「………そう。まあいいや」

 

 そう言って去り際に名刺をくれた。忍者とか殺し屋とかありえない人が名刺配ってるな。ああ、さっきハンゾーにももらったの。ゴン達ももらってたよ。

 

「イルミさんってヒソカとどっちが強い?」

「どうだろうね♣イルミはかなり強いからね♠」

「ふーん。ところでヒソカ、クラピカとボドロさんになんて言ったの?」

「ん?ボクが蜘蛛だって教えてあげただけだよ♠」

「ふ~ん、クラピカにも?」

「そうだよ♠」

 

 まあ他にもなんか言ったと思うけど………まあいいかな。ボドロさんも災難だったね。

 

「ヒソカこの後どうするの?」

「そうだね♦果実が、美味しく実るまで待つさ♥」

「………それってゴン達の事だよね?念を覚えるまでって事?」

「それは最低条件♣さらに強くなるまで、かな♠」

 

 確かに、念を覚えたからと言ってすぐに劇的に、まあ強くはなるけど、同じ念能力者と比べたらまだまだだろうしね。身体能力的にも、技術的にも。

 

 このあと食事でもしないかと誘うヒソカを、適当に用事があるからと無視して分かれてゴン達の元へ向かう。まあ用事はあながち間違ってないけどね。その途中、廊下を歩いていると向こうから来たボドロさんに会った。

 

「昨日はありがとう。おかげで助かった。なんとお詫びをしたらいいのか」

「いいよいいよ。たまたまだし」

 

 義理堅く、お礼をしたボドロさんは連絡先だけ交換して去っていった。やはりいいことすると気分がいいね。人死は基本的にゴメンだね。ポックルとハンゾーにも別れを済ませゴンたちを探してコンピュータールームに来たら、ゴンとクラピカとレオリオがいた。

 

「やっほー諸君。何してるの?」

「あっヒノ!おめーどこにいたんだよ」

「あはは。ちょっと道に迷って」

「それよりヒノありがとね。キルアがボドロさんを殺さないようにしてくれたんでしょ?」

「ちょっと気になったから見てただけだよ。殺人の阻止は偶然だよ。それに私もキルアの友達だしね」

「いやいや。気づいたらキルアとヒノの二人がいるのにボドロの前にいたオレはびっくりだぜ。ありゃ偶然にみえねーよ」

 

 ははは。まあ結構キルアもかなり早く動いてたからね。私はまあ、キルアとイルミさん注視してたし。

 

「あ、そう言やヒノ、お前のホームコードも教えてくれよ。これは俺のだ」

「これは私のだ」

「ホームコードって何?」

「お前もか!?」

 

 レオリオによると、ホームコードは留守番専用の番号らしく、基本家にいないハンターはこのコードに知り合いからの情報を留守電として入れてもらい、自分の携帯を通じて必要な情報を引き出すらしい。こんな便利なのあったんだ。

 

 で、もう一つが電脳ページ。簡単に言えば電脳世界の百科事典みたいなもので、専用の回線と登録コードを購入したら誰でも使えるらしい。ちなみに、これはハンター証でも検索出来て、さらには無料で使えるとか。ハンター証って便利!

 

「携帯、ホームコード、電脳コード。ハンターの電波系三種の神器だから揃えておいた方がいいぜ。つーかゴンはともかくヒノも知らなかったのは意外だな」

「レオリオひどい!?」

「まー、私は基本携帯電話あれば事足りる生活してたしね。あ、携帯番号これね」

「携帯もってるだけゴンよりマシだな」

「そう言ってやるな、レオリオ。ゴンの家庭環境を考えればむしろ持っていない事の方が普通だと、私は思うよ。むしろ持っていたらそれはそれで違和感がある」

「クラピカも何気にひどい!?」

 

 ゴンの故郷はくじら島という島で、定期便がたまにくるくらいの長閑な島らしいので、確かにそういう所なら携帯とか必要なさそうだね。中だけで事足りるだろうし、森が遊び場まさに野生児、みたいな。

 

「それで、キルアの家は分かったの?」

「ああ。パドキア共和国のククルーマウンテン。そこがキルアの家の所在地らしい。飛行船だとおよそ3日という距離だな」

 

 そこそこ距離あるんだね。それじゃあ早速チケットの予約!

 そう思った時、何かが聞こえた。

 

 

 

♪~~♪~~♪~~♪~~

 

 

 

「ん?なんの音だ」

「あっ、私の携帯の音。ちょっと待ってて、………(ピッ)もしもし?」

 

 かかってくる人間が限られている為、特に画面を見ずに電話に出たけど、すぐに聞こえてきた声で誰かはすぐに分かった。柔らかく、久しぶりに聞く懐かしい声。

 

『よぉヒノ。オレだけど今どこにいる?』

「あれ?ジェイ!?どうしたの?今ハンター協会貸切のホテルだけど………」

 

 電話をかけてきたのはジェイ。私の家族からだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハンター試験も無事終了!次回から新展開!

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