消す黄金の太陽、奪う白銀の月   作:DOS

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50話かと思ったら、途中でキャラ紹介が入っていたのでまだ49話でした。


第49話『必然と偶然の分岐点』

 

 

 まず用意するのは砂糖!そんじょそこらの砂糖では無く、ヨークシンの競売市で朝早くから主婦達がオークションする程に大人気のヨークシンシュガー(そのまんまだね)!詳しい事は省くけどヨークシンで手に入る一般的な砂糖の中ではトップクラスらしい。無事に手に入れました。

 そして水!ヨークシンのとある一角にある水競売で料理人達が競い狙っている、どっかの山の天然水!詳しい事は省くけどとりあえずかなり美味しい水らしい!

 

 共に比率良く煮詰めて、はいできた!カラメルソース!

 そして次に用意するのは、本日のメインディッシュのクモワシの卵ー!やっぱこれだよね。そしてあらかじめ温めておいた、ここらへん省略していい感じの牛乳と一緒に砂糖も混ぜる。一緒にじゃないよ、順序良くだよ。後泡立たない様にも注意だね。

 後は定番の型に流し込んでオーブンにイン!そして焼き時間省略してそのまま冷蔵庫へゴ―!

 

「ふぅ、後は冷やすだけっと」

「何今のふわっとした曖昧な料理教室。はっきり言ってわけわからん」

「あ、ミヅキおはよー」

 

 なぜか知らないけど呆れた様な表情をしているミヅキ。既に身支度を整えて、どこにでも行けるぜ!状態でダイニングに入って来た。

 

「それで、こんな朝から何してるの?」

「プリン作ってた。後2時間くらいしたら食べてもいいよ」

「いや、そうじゃなくて」

 

 だとしたら一体何を?あ、朝ご飯作って無いや。そろそろゴン達起こして食べないとね。

 じゃあ残りのクモワシの卵でハムエッグを。クモワシの卵マジ万能。いや、他にも卵あるけど。

 

「ああ、もういいや。それより僕は出かけて来るよ。ヒノ、携帯貸して。代わりに僕の使っていいから」

「それは良いけど、どうしたの?」

「いや、充電切れたんだ。今充電中だから、ヒノが出る頃には回復してると思うし」

「ちゃんと充電して無かったんだ………………」

 

 これが今まで携帯を持った事無い輩ですか。まあ別に構わないけど。

 ポケットの中の携帯を放るとうまくミヅキはキャッチして、そのままひらひらと手を振って出て行ってしまった。

 

 さて、それじゃあ朝ご飯と………………ミヅキと話している間に、とりあえず完成!ハムエッグ美味しいよね。後は味噌汁!味噌汁美味しいよね、私は豆腐派。それと白米は必須だよね。

 

「あ、いい匂い!ヒノおはよ!」

「ゴンおはよ。キルアは………ああ後ろ。おはよー」

「はよー………ふわぁ」

 

 朝っぱらなのに元気なゴンと対照的に、今だ眠そうなキルアは後ろから現れる。いつもひねくれた髪が今日は一段とくるんとしている気がするよ。寝ぐせ?

 

「レオリオは?」

「まだ寝てるのかな?」

「ゴン、上から飛び乗ってやれ。絶対面白い起き方するぜ」

 

 くくくと笑うキルアだけど、その起こし方結構やばいらしいからやめた方がいいと思うよ。いや、でも今のレオリオならかなり頑丈そうだから大丈夫かな?しかし小さな子が父親を起こすような定番のやり方をゴンがやると結構破壊力的にくるんじゃないかな。強化系だし。ま、ゴンなら普通に起こすと思うけど。

 

 その後、レオリオの叫び声が一瞬聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「それで、今日も朝から腕相撲するの?」

「まあな。まだ予定金額もねぇし、他の方法も思いつかねぇしな」

「ギャンブルは?」

「一発当たればでかいんだけどなぁ。できればやりたい所なんだけど―――」

 

 そう言いながらちらっと隣を見れば、そんなキルアをじっとりとした目で見るゴンの姿。ああ、そういえば 一回未遂、ていうかギャンブルで500万消し飛ばしたんだっけ。そりゃゴンもお怒りだ。

 

 朝食も終わり、レオリオはソファに座って新聞を見て、私とキルアとゴンは食卓のテーブルに着いて今日の予定を建てていた。といっても、昨日の続行でゴンの腕相撲大会するみたい。でもあれだけ派手に暴れたらもう挑戦者こないんじゃないの?200人斬りとかしてたよこの子。それともキルアと交代?まあレオリオも何か考えているらしいけど。

 

「レオリオなんか面白いニュースやってる?」

「そうだなぁ、あちこちオークション情報はあるけど、これといってパッとしたのはねぇな。今はヨークシンにマフィアが集まってるから、ドンパチした事件とかならあるが」

 

 てことは、表立って地下競売襲撃の件はニュースに無いんだ。うまい事揉み消したのかな。流石に非合法の地下競売襲撃!とか新聞に載せられないよね。

 ううむ、やっぱり金策するにしても、新聞に載ってる情報じゃまともな数億単位の利益なんて出無さそうだね。

 と、考えていたら、そろそろいいかな?

 

「あ、そういえばプリンあるけど食べる?今朝作ったの」

「今朝って、どんだけ早起きしてんだよ………」

 

 キルアが少々呆れた様な感心した様な微妙な表情をしている。日中は予定があるからしょうがない。旅団の所に行くつもりだったから、朝作らないとね。早いと言っても作ったの6時くらいだよ?まあ食材調達に5時くらいの競売行ったけどね!結構面白かった。

 

「あ、せっかくだしアラモードにしよう。クリームとサクランボあるからホイップしてからサクランボ一つ乗っけよう」

「やった!」

「ゴンは呑気だなぁ。あ、俺サクランボ2つな」

「はいはい」

 

 カシャカシャとクリームを泡立てる。普通にパックのしか無かったから今作るけど、まあそう時間はかからないよね。これぞハンター的身体能力任せのクリーム調理術!普通に高速でクリーム混ぜてるだけなんだけど。

 そんな時、対面に座っていたゴンが少し腰を浮かせた。

 

「あ、ヒノ頬にクリームついてるよ。ちょっと止まって………………ほら取れた!」

 

 そう言って、私の頬のクリームを指で拭い、ついたクリームをパクリと食べてしまった。純粋に爽やかな笑顔をして。

 

 ………………………………///!?

 

「ゴン、お前ってなんかすげーな」

「突然どうしたのキルア?」

「いや、なんでも無い」

 

 少々驚いた様に、というか若干呆れ気味なキルア。よく呆れますねキルア。確かに今の動作は中々の破壊力でしたよ。ええ、ほんと………………ちょっと吃驚しちゃった。

 

「………?どうしたのヒノ」

「いや…………別に」

「え、何?お前照れてるの?照れてんのか!?マジで?お前も一応照れるんだな、正直意外だ。へぇ~」

「………………キルア今日の晩御飯は蟹の殻」

「マジすんませんでした」

 

 食事を掴む者が家の中で一番強いのだった。

 そんな様子に聞き耳を立てていたレオリオは、触らぬ神に祟りなしとばかりに、知らんぷりをして新聞へと一心不乱に目を通すのだった。

 

「美味しいね!」

 

 そしてゴンは無邪気に、プリンを食べるのだった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 腕相撲をするゴン、キルア、レオリオと別れて、私はプリンを持って旅団のアジトに来ていた。相変わらずボロボロの仮アジトである廃ビルに脚を踏み入れると、少しだけを顔を顰める。

 

「これって………血の匂い?」

「ん?ヒノか、よく来たな」

 

 部屋の中央程で座って相変わらず読書をしていたのは、黒ずくめの団長フォームのクロロ。読んでいた本をパタンと閉じる。周りを見て見れば、ちらほら誰かがいる、パクにコルに………………あ、ヒソカいる。そしてすぐにこっちに気づいた。

 

「やぁ、ヒノじゃないか♥久しぶりだねぇ♥」

「ヒソカ久しぶり。そういえばいたの忘れてたよ」

「あはは、相変わらずひどいね♠」

 

 うん、割と本気で忘れてた。ていうかクロロ、旅団の情報が洩れる時があったらきっとヒソカが原因だと思うよ。確証は無いけど、旅団員の過半数の賛同は得られる自信あるよ。そん自信は、ヒソカ自身にもあるみたいだけど。

 

「クロロ、皆は?」

「時間も時間だし、どこかで昼食でもとってるんじゃないか?」

「そこは把握してなよ。旅団の団長の威厳が回復するかもしれないのに」

「いや、そんなに落ちていないと思うんだが」

 

 私の中ではクロロの威厳は昨日少し下がった。原因は電話をすぐに切ったから!掛けてきた来たのはクロロの方からだけど。

 

「あ、プリン作ってきたけど食べる?パクもコルもー」

「わぁ♥まさかヒノが僕の為に手料理を振舞ってくれるなんて♥僕はついてるなぁ♦」

「………………まあヒソカの分もあるからいいけどさ」

「ヒノ、あんまり優しくするとつけあがるわ。後いただくわ」

「いただきます………うまっ」

 

 持ってきていたクーラーボックスヒソカもパクもコルもとり食べ始める。表情を見るに、中々美味しくできたっぽい。

 

「それじゃあ俺も」

「あ、これクロロの分ね」

 

 そう言って一つだけ容器の違うプリンを渡す。若干訝し気だったクロロだけど、普通に受け取り食べようとして、その手が止まった。

 

「………………ヒノ。見間違いじゃ無ければ、プリンがカラメルの底に沈んでいるんだが」

「そりゃプリンが半分しか無いからね」

 

 型に流し込む時に容器の真ん中までしか入れて無いからね。そしてクロロにはサービスでカラメル多めにしておいたから、ちょっと沈んじゃった☆

 

「………………普通にうまい」

「それは良かった」

「本当に美味しいねぇ♥ヒノ、良かったら君の家でぜひ僕に手料理でもごちそ―――」

 

 タアァン!!

 

「………………パクノダ、危ないじゃないか♠」

「あらごめんなさい。手が滑ったわ」

 

 パクのリボルバーが火を噴いた。ヒソカは紙一重でひらりと躱したけど、躱さなかったらすごい事になってたよ、多分。連射しないだけ良心的だねパク。ヘッドショットで良心的も何も無いけど。

 しれっと悪びれも無く言うパクだけど、ヒソカはあまり気にした様子無くプリンを食べ終えて、自前のトランプでパラパラと遊び始めた。

 

「ごちそうさま、美味しかったよヒノ」

「うん、お粗末様」

 

 ………………………あれ?コル今どうやって食べたの?コルの顔って片目以外顔の輪郭すら髪で全て隠れてるからどうやって食べたか見て無かった!ううむ、ちょっと残念、ヒソカに気を取られないでよく見ておけばよかった。コルの素顔って実は見た事無いんだよね。けど見せてって言うのも何か違う気がするし、難しい。

 

 まあそれはそれとして、本題本題。

 

「それでクロロ、昨日は結局どうしたの?なんかマフィアに追われたんだっけ?」

「それなんだが、一応解決したと言えば解決したが、一つ問題があってな」

「問題?」

「ウボォーが、ちょっと出ていてな」

 

 昨夜のオークション。

 シャル達はヨークシン外れの岩盤地帯まで気球で逃げ、そこからは追ってきたマフィアを迎え打っていたらしい。盗みに入ったのに競売品が無いから、追いかけてきたマフィアをぶちのめして聞き出すという、まあ旅団らしいといえば旅団らしい手法だ事。まあ盗賊とマフィアのドンパチだし、私は我関せずだけどね。関わる機会があったら関わるかもだけど。

 

 ウボォーが結局暴れまわって敵を倒しまくったけど、どうもマフィアの一人に一回捕まったらしい。鎖でぐるぐる巻きにされ、釣られた魚の様に引き寄せられて、一瞬で捕らえられたと。正直驚いた。

 

「ウボォーが?まあ正面からのぶつかり合いじゃなくてそういう感じなら無くも無い………かな?」

「相手は鎖を使う能力者らしいからな。捕らえるだけならば、そういう能力にすればいい」

 

 例えば、捕えた相手に状態異常を負荷する、とか。強化系に匹敵する強度を実現する、相応の操作系能力者って場合もあるけど。けど鎖かぁ。使い勝手がいいと言えばいい武器だよね、鎖。

 

「まあすぐにウボォーはマフィアから取り返したんだが、その後ウボォーがその鎖野郎始末すると言い出してな。まあ今日の予定は無いし、シャルが情報集めに協力しながらその鎖野郎探しに出ているんだ。ちなみに夜中からまだ戻っていない」

「あー、そりゃ倒すまで戻ってこなさそうだね」

 

 ああ見えてウボォー義理堅い所あるからね、相手にとっては有難迷惑な義理堅さだけど。

 ちなみに今日の予定が無いのは、昨日の内にマフィアから2日分の競売品を盗んだかららしい。そりゃ、マフィアだって今日はお休みだよね。2日分だから、明日は普通に競売はあるらしいけど。

 

 さて、ウボォーは戻ってこないみたいだし、皆も別行動。どうしよっか………あ、そういえば。

 

「そういえばクロロ、誰か怪我したの?」

「ん?急にどうした?」

「いや、ちょっと血の匂いがした様な気がしたんだけど」

「随分目ざといな。実はフェイタンが少し切り傷を受けた程度でな。まあ多少の傷だから、明日には治っていると思うが」

「フェイが?しかも切り傷?そりゃ意外だ」

 

 ウボォーとは反対に、こっちは基本スピードタイプだからね、普通に少し驚く。

 確かに旅団の実力はプロハンターと比べても抜きんでているけど、匹敵する相手がいないわけじゃ無い。ハンターの中には星を持つプロだっているし、全く知らない所にもアマチュアの実力者だっているしね。まあ星を持つハンターが全員旅団級に強いってわけでも無いけど。ハンターの職業も色々だからね。バリバリ戦闘タイプの賞金首(ブラックリスト)ハンターならともかく、そうじゃ無い場合は偉業=戦闘力にならないしね。

 

「シャルが調べた感じだと、ヴィダルというマフィアの一人らしくてな。もう一人はまだ情報は掴めて無くてフェイタンに急かされていたよ。ちなみにフェイタンは上のフロアで一人でいる」

「フェイタンもこっちくればいいのに」

 

 なんでかな?あ、わかった。多分ヒソカがいるからだ。フェイタンヒソカ嫌いだからねぇ。まあヒソカに好感持っている団員達の方が少数派………ていうかいるのかな?まあ何にしても、そろそろ行こうっと。

 

「それじゃ、残りは皆来たらあげてね」

 

 クーラーボックスごと置いていって、一先ず旅団のアジトは後にした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 太陽が照り付ける空の下で、人が割と通っている都市の中を歩いている。こうしてみると、やっぱり都会だねヨークシン。町じゃなくて都市だよ。広大そうというか、大きいビルが多いね、ホント。

 

「さてと、どうしよっかな。どっかのオークションでも見~に行っこうっかな――――――!」

 

 適当なリズムを口ずさみながら歩いていたら、ビルの角を曲がってきた人影に思わずぶつかってしまう。が、咄嗟に腕を伸ばし、相手の手を掴んで引きつつくるりと遠心力で回り、無事に倒れずに済んだ。あー、良かった。

 そして改めて相手を見て見ると、私よりかは3つか4つくらい年上の少女だった。

 

 長い髪を、バンダナみたいな布を使って後頭部でまとめ上げて、所々跳ねる様な髪型に、垂らした毛先に丸い水晶の様なアクセサリーを付けた、ちょっと変わった髪型の女の子。あどけない表情で今起こった事態にきょとんとしつつも、目の前で手を繋ぐ私を、背の関係上見下ろすと、少々驚いた様な表情をしたと思ったら、喜色満面の笑みを浮かべた。

 

「ありがと!ねぇ、あなた!今暇?暇だよね?良かったら一緒にお茶しない!お礼にご馳走するから、ね?」

 

 ころころと表情が変わり、割と感情の起伏が激しいような天真爛漫な女の子かと思ったら、その通りに割とぐいぐいくる。別に全然嫌じゃないし、断る理由も無いんだけど、ぶつかったのはお互い様だよね?

 

「暇と言えば暇だけど、お互い様だよ?」

「じゃあそれでいいよ!街中で()()()()()()見つけたら、折角だしお茶したいじゃない!ね、付き合って?いいとこ知ってるんだ!」

 

 どこぞのナンパの手法ですかそれ。いや、確かに美人と言えば美人、いや可愛い系かな?多分年齢は、翡翠姉さんと同じくらいだと思うけど。あ、そういえば翡翠姉さんってクラピカと同い年だったね。いや、今はどうでもいいんだけど。

 いやはや、こう可愛くお願いされたら断りにくいよね。暇だし断るつもり無かったけど!

 

「それじゃあ、お願いしても?」

「任せて。私はネオン。ネオンって呼んでね。あなたは?」

「ヒノ。よろしくね、ネオン!」

「お、お嬢様!」

 

 慌ただしい声が聞こえたら………………おお、懐かしの和服。鮮やかな色合いの和服を着た二人の女性が、ネオンの背後から遅れてやってきて、息を整えていた。お嬢様って言葉から察すると、侍女の人?ていうかネオンってもしかしてどっかの上流階級的な感じの人?

 

「二人共遅ーい。それよりそこのホテルの屋上カフェあったでしょ?あそこ行こ!今招待した所なの。二人もおいでよ」

「はぁ……はぁ、あまり妙な所に行くと後で怒られますよ?御父上も夕方には到着する予定ですのに」

「それまで暇なんだもん!お茶くらいおしゃれな所でしたいじゃない。それにどうせ護衛の人がどっかにいるんでしょ?」

「それはそうですけど………」

 

 こうしてみると、我がままお嬢様と苦労人な侍女2人って感じに見える。なんだか大変そうだね。

 もう一人の着物姿の女性が私の方へ来た。

 

「エリザと申します。すみませんね、お嬢様は少々真っすぐと言いますか、有言実行と言いますか………」

「あ、その辺りなんとなくわかったんで大丈夫ですよ」

 

 わざわざポジティブな言葉を選んでいる辺り、この人優秀で普通にいい人だね。ていうか護衛って言ってたけど、この二人じゃ無いみたいだし、他にどっかから見てるのかな?

 

 ………………あの人かな?

 少し離れた所の壁にもたれかかっている、なんかもじゃとした黒髪の男の人。首の後ろで一つに縛ってるからそうでも無いけど、あれ絶対に解いたらアフロっぽい髪型になりそうだね。後足元に結構犬がわらわらしてる。何あれ可愛い、撫でたい。視線がネオンと私の方に向いてる気がするし、念能力者っぽいから多分あの人が護衛かな?

 他には………………あー、なんかそれっぽい人がいる気がする。適当に変装しておけよって言われたらした様なサングラスとバンダナとかしてる男の人とかもいるし。

 

 ………………ま、私には関係無いか!別に私は暗殺者とかじゃ無いし!

 

「じゃ、折角だしネオン、そのカフェ行こ。案内お願いしても?」

「任せて、すぐそこよ♪」

 

 私はネオンに連れられて、屋上にカフェがあるというホテルへと案内された。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 ピッ!

 

「私だ、どうした?」

『俺だ、スクワラだ。ボスがルラータホテルの屋上カフェに入っち待ってよ、センリツいないか?」

「スクワラやバショウでは入れない場所、という事か?」

『なんか女性限定カフェらしい。ボスも面倒な所選んでくれるぜ。まあリーダーなら違和感無く入れ―――」

「次の言葉を言ったら私の鎖でお前の首を絞めるが、構わないな?」

『るわけねぇよな、リーダー男だし当然の事だよな!つーわけでセンリツ呼んでくれ、お願いします』

 

 電話口からでも漲る殺気に気が付いたのか、スクワラは電話の向こうで冷や汗を流して全力でさりげなく(?)話題転換を行う。やや嘆息しつつも、僅かに電話を握る手に籠められた力を緩め、話を続ける。

 

「分かった。その間は入り口を怪しく無い程度に、さりげなく監視してくれ」

『あいよ。ああ、あともう一つ』

 

 

 通話を切ろうとして、護衛の一人であるスクワラは思い出した様に引き延ばす。

 

『ボスが街でぶつかった年下の女の子誘ってそのカフェに行ってよ。まあ害は無さそうなんだが、そいつどうも念能力者っぽいんだよな』

「前半何を言ってるのか全く分からなかったが、少女の念能力者か。確かにいないわけでは無いが、偶然で片づけるには出来過ぎているともいえる。どういう人物だ?」

『ずっと【纏】をしてるから常に何かに警戒している様に見えるが、普通に自然体にも見えるから不思議だ。見た目は金髪と紅い目で、リボンで縛ってる』

「なるほど、ボスが気に入りそうな容姿だな。金髪に紅い……………………スクワラ、その子の名前とか分かるか?」

『いや、俺の位置からじゃよく聞き取れなかったな』

「………そうか、わかった。場所はここから近いし、センリツは直ぐに向かわせる、その間を頼む」

『了解』

 

 ピッ!

 

 通話を切り、青年は金髪を揺らしながら、近くにいた小柄な女性の方を向いた。既に内容は把握しているであろうが、新参だが一応リーダーという役に就いているのもあり、指令を下す。

 

「そういうわけだ。済まないがセンリツ、カフェ内に入ってボスの近くで警護を頼む。後できれば夕刻まで、というか早めにホテルに帰宅する様に言ってくれると助かる」

「うちのボスは気まぐれだから骨が折れそうね……わかったわ。行ってくるわね、クラピカ」

 

 暖かい花畑を彷彿させる様な柔らかい声音で返事をし、センリツよ呼ばれた小柄な女性はクラピカに手を振って拠点を後にした。

 

「金髪に紅い目をしてリボンで髪結ったボスより年下の少女の念使い………いや、まさかな」

 

 残るクラピカは一人椅子に腰かけ、時を待つのだった。

 

 

 

 

 

 


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