ほかの作品完結させて、アニメ全部見て書けそうだったら書いてみたいかも。
響が最初に受ける傷が重い
ウェルが綺麗
この2つしか考えてない
ツヴァイウィングのライブ事件から1ヶ月後、動画投稿サイトにある1本の動画が投稿された。
病院のベッドの上で上体を起こした少女が映った、シンプルな構成の動画だ。
ただ、その少女は顔のほとんどを包帯で包まれ、その素顔を見ることはできないものだった。
『私は立花響。今世間を騒がせている、ツヴァイウィングライブの生き残りです』
その言葉から始まった動画は、あの日、あの場所で彼女が何を見て、何を体験したのかを訥々と語る内容で進んでいった。
突然のノイズの出現。パニックになる観客。人波に弾かれ倒れ伏した彼女の全身を瓦礫編が直撃し、目が見えなくなり絶望するさなかにツヴァイウィングの片翼、天羽奏の声が聞こえたのだと。
『奏さんは私にこう言いました。『生きるのを諦めないでくれ』と。意識の薄れゆく私に力強く、言ってくれたんです』
そういって彼女は自身の顔を覆う包帯を解いた。そこにはつぶれた両目が傷の癒えきっていない状態で、彼女が二度と光を見ることがないことを物語っていた。
『私のこの眼は、もう何も見る事ができないそうです。でも、私のお父さんは、よく私に『困ったことがあっても、へいき、へっちゃら。と言って自分を奮い立たせるんだ。そうすれば拓ける道がきっとある』と言っていました。私は子の言葉と、奏さんがくれた言葉。『へいき、へっちゃら』と『生きることを諦めない』の二つを胸に刻んでこれから生きていきます。生き続けていきます』
彼女は大きく息を吐き、言葉を続けた。
『今回のことで多くの方が亡くなって、私を含めてごく少数しか生き残れなかったと聞いています。私を助けてくれた奏さんも亡くなられたと聞きました。私のこの眼は、もう涙を流すことすらできません。声をあげてなくこともできません。でも、だからこそ、私は声をあげてこういいます。『へいき、へっちゃら』『生きるのを諦めない』と。だって、あの日、ノイズが出るまでは、あの場にいたみんなが幸せだったんです。ツヴァイウィングの二人の歌に幸せを感じてたんです。私は、そのことを覚えていたい。忘れたくない』
彼女は再び息を吐き、さらに続けた。
『ご遺族の方には、生き残った私から、なんて声を書けたら言いかわかりません。わからないから、代わりに聞かせてください。亡くなられた方の事、メールでもいい。手紙でもいい。直接会いに来てくださってもいいです。私があの日感情を共有した人の事、教えてください。それで何かが解決するわけじゃない事くらいわかっています。それでも、聞かせてほしいんです。私が、そしてご遺族の方が『生きるのを諦めない』ために。あ。ただ、電話をかけるのはやめていただけるとうれしいです。回線がパンクしちゃうらしいので。動画の最後に私のメールアドレスと家の住所、私が今入院している病院の住所を載せます。ご連絡、待っています』
彼女が深く頭を下げて、画面が暗転し、彼女が言っていたようにメールアドレスと自宅の住所、病院の住所が表示されて動画は終わった。
個人情報が載っていたため、動画自体はすぐに削除されてしまったが、さまざまな場所に転載され、動画が消えていく事はなかった。
ここから同じ設定のGXでのシーンを
「さて、マリアはマムへの対応でしばらく戻ってこない。少し、話をしようじゃないか」
ウェルは未来の目の前に座り込むと、檻を挟んで向かい合った。
「キミは物語を読むかね?」
ウェルからの突拍子もない質問に、未来は目を瞬かせながらうなずいた。
「ボクもね、本を読むのがすきでね。幼少のころは英雄譚にのめりこんだものだった。そして、ボク自身が英雄になりたい。そうおもってたんだよ」
ウェルはそういって苦笑する。その笑みが先ほどまでの、どこか狂気染みたものではない事に、未来は驚きを隠せないでいた。
「あぁ、さっきまでのは、言ってしまうと演技に近いからね。こっちが素なんだよ。まぁいい。英雄になりたいと思いながらも、ボクは英雄になる事はできないでいた。科学者として実績を残そうにも、画期的なものがそう簡単にできるものではないしね。そんなときに研究所の同僚にいた日本人に、あるアニメをみせられてね。その作品で、英雄的な主人公がピンチに陥ったときに、仲間の博士が『こんなこともあろうかと』なんて言って主人公を助けるんだ。ボクは天啓を得たとおもったよ。英雄を助けた博士の行動が英雄的だと思ったのさ」
ウェルの話の意図がつかめず、眉間にしわがより始めた未来に、ウェルは苦笑を向けた。
「ボクはね。今、その博士の立ち居地であらんとしてる。僕が見出した主人公は二人。一人はマリアだ。世界を救おうと、世界を見捨てようとする政治家を糾弾しようとする彼女は、英雄的だろう?だが、彼女も、マムも甘すぎる。そして優し過ぎる。だからボクが黒幕を演じて彼女を英雄にするのさ。でもそうなると困った事に、ボクが英雄であったと誰も知らないまま終わってしまう。だから君には知っていてほしかったのさ。ボクが彼女たちを裏で支えた行動を」
「そんな。あなたもマリアさんたちと一緒に・・・」
「それは出来ないんだよ。ボクが彼女たちの動きに合流したときには、彼女たちのシナリオはポイント オブ ノーリターンを過ぎていた。修正が出来ない段階だったのさ。だからボクは、全てが終わったときに彼女たちが世界に受け入れられる足がかりを作るために動くしかなかったのさ」
ウェルの言葉に、未来は口を押さえた。
「もうすぐボクは、ネフィリムと融合する事で狂気を増していく事になる。おそらくボクはボクでいられないだろう。世界最大の極悪人はボク一人で、ボクが英雄になるために彼女たちを利用した。そういう結末になるはずだ。だから、その前に、ボクが見つけたもう一人の主人公に手助けをしておきたいとも思っている」
「だれなんですか?そのもう一人の主人公って」
「立花響くんだよ」
ウェルから出た名前に、未来は目を見開いて驚いた。
「彼女の動画をボクも見たよ。そして、彼女がシンフォギア装者になった事を知ったときに、ボクは昔やっていた研究を秘密裏に昇華させた。その研究があれば、彼女にもう一度光を与える事が出来る」
「響の目が見えるようになるんですか!?」
「眼球の復元は今の医療技術でも不可能に近い。いや、不可能だ。だから別の受信装置をつければいい。視覚情報も含め、人の感覚は全て電気信号だ。極端なたとえになるが、カメラで撮ったものを電気信号に変換して脳に伝達してしまえばいいんだ」
「機械の義眼。ということですか?」
「キミは理解が早くて助かる。装者になった当初の立花響の写真を見た。彼女が普段傷跡を隠すためにつけているバイザーにカメラを取り付け、後頭部から脊髄に入力装置をつなげる。それで問題はない。ただ、試作機とデータを二課に届ける手段が今のわれわれには1つしかない」
ウェルは白衣のポケットから小型端末を出すと、目的のデータを開き未来に渡した。
「キミの体に取り付ける。二課は君を取り戻しにくるから、確実に回収される。人体実験と言われても仕方のない諸行だが、どうするかね?」
「それで響きに光が取り戻せるなら!」
「即答とは恐れ入るね。君も正しく英雄を助けるものだよ」
ウェルは立ち上がると、未来を檻から出した。
「後一つ、君の寮の部屋宛にある書類が後日届くように手配してある。全てが終わった後に着くはずだ」
「何の書類なんですか?」
「それは見てからのお楽しみと言う事さ。さて、はじめようか」
GX終了後数日~1週間後くらい
「おかえり未来~。なんか未来に届いてたから、机においてるよ~」
部屋に戻った未来に、ベッドでゴロゴロしていた響きが声をかけた。
未来の体に取り付けられていた装置の解析しだいでは、再び目が見えるかもしれないと聞いてから響きは常に機嫌がいい。
「ただいま~。なんだろう?私宛って」
机に置かれていたのは少し厚みのある封筒だった。宛名はジークフリートとなっていた。
「ジークフリートって、ラインの黄金の英雄よね?」
封を切って中に目を通す。
『これを君が呼んでいるころには、私は良くて監禁、最悪死んでいる事だろう。この書類はマリア達の適合係数を低リスクで上げるための薬品の調合リストになっている。これを二課に届けてほしい。彼女たちの命を永らえるためのものだ。彼女たちは罪の減免と引き換えに装者として使われる事になるだろう。その彼女たちの一助となるはずだ。よろしくたのむよ。追伸、優しい君の事だ。ボクの事を話さない事に気を病んでいるだろう?ボクとしては生涯黙っていてほしいところではあるのだが、君が良いと思ったときに話してくれてかまわない。君が響くんと健やかにある事を願う。英雄になりたかった男より』
1枚目の手紙以外は難しい記号などでわからなかったが、誰からのものかは、すぐにわかった。これがウェル博士の言っていたものなのだと。
「響。ちょっと二課にいってくるね。指令に用事思い出したから」
「ん~。一緒に行こうか?」
「大丈夫。響きもまだ完全に調子戻ったわけじゃないんだから、ゆっくりしてて」
「は~い。いってらっしゃ~い」
「そうか。ウェル博士がこれを」
未来から誘拐されていたときにウェルと話した事、そしてウェルから届いた封筒を渡され、弦十郎はつぶやいた。
「はい。あの人こそ英雄だったんだと、私はちゃんと知っていてほしいと思います。マリアさんたちに伝えるのはまだ先の方がいいとは思いますけど、その判断は指令に任せたほうが・・・」
「いや、それは未来君。君が決めたまえ。それがウェル博士の望みだろう。響君の目の子とも、Linkerのことも二課が何とかした事にしよう。それが覚悟を決めてやり通した漢への礼儀だ」
「漢、ですか」
「そう。漢のプライドの話さ。バカだとおもうか?」
弦十郎の言葉に未来は苦笑を浮かべて首を振った。
「いいえ。かっこいいと思います」
「そうか。そう言われて博士も満足だろう」
「だといいんですけど。男って面倒くさいものなんですね」
「まったくだ」
二人そろって苦笑を浮かべた。
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