ガンダム・フレームアームズ・ガール   作:不動ユーゴ

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プラモデルを買いに その2

 バルバトスはフラウロスへ近付いていきながら、滑腔砲による追撃を重ねていき、彼女のライフゲージを確実に減らしていった。

 

「全力での砲撃はもう無理そうだし、これ以上食らうのは流石にマズイか!」

 

 流石にフラウロスもこれ以上の被弾は危険だと判断したようで、いままでストッパーの一部としていた腕部アーマーを腕に戻すために変形させ、他のストッパーも地面から外していく。それと並行してフラウロスは、2丁のマシンガンで細かい弾丸をばら撒き、接近するバルバトスを迎え撃っていた。

 

「これで、チェックメイトだ」

 

 それでも、フラウロスの足元が自由になるよりも先にバルバトスは辿り着いた。バルバトスは滑腔砲を背中に戻すと、左手の太刀を頭の上に持っていき、そこから両手持ちにしてフラウロスへ振り下ろしていく。

 

「グッ、やるな!けどまだまだ、詰みじゃあねぇ!」

 

 フラウロスはマシンガンをすぐさま手放し、アサルトナイフを肩から二本それぞれ抜き取ると、頭上でクロスさせ、バルバトスの斬撃を受け止めた。バルバトスの動きを止めている間に、脚部から展開してビルをホールドしていた最後のストッパーを折りたたみ、自身の装甲に収納させる。脚を自由に動かせるようになることを確認すると、受け止めていたバルバトスと太刀を受け流し、彼女に背中を向けた。

 

「今度こそ、逃がすか!」

 

 バルバトスは左腕のワイヤークローを射出させて、逃がすまいとフラウロスの右脚になんとか絡みつかせると、両足で踏ん張ってスラスターを逆噴射。フラウロスの離脱を許さなかった。

 

「へぇ、よく考えたなバルバトス。……まぁその程度じゃ、俺は止められないけどよ!」

 

 しかし、フラウロスのスラスター出力はバルバトスのそれを遥かに上回っていた。フラウロスはバルバトスを引き摺るようにしていくと、そのままどんどん加速させていく。そしてその勢いを付けたまま右脚振りぬき、バルバトスをビルに叩きつけた。

 

「むァッ……!」

 

 バルバトスのライフゲージは大きく削られていき、加えて大きな隙が生まれてしまった。その攻める絶好の機会をフラウロスが逃すはずも無く、キャノンを怯んでいるバルバトスへ向けて狙いを定めた。

 

「フルパワーじゃねぇが、この距離とあの残りライフなら決められる」

 

 ロックオンが完了し、勝負を決めるために弾を撃ち込もうとする。しかし、それはできなかった。フラウロスの体は大きく揺れ、バルバトスがいるビルの方へと引っ張られているのだ。

 

「……チクショウ、まだ動けたのかよ!それならこのワイヤー切っておくんだった!」

 

 自分の失態に思わず愚痴を零しながらも、フラウロスは再び脚部と背面に備わったスラスターに点火させて、これ以上は引っ張られまいと抵抗を見せた。

 

「ダァァ!」

 

 だが、ビルにメイスを突き刺し、支柱代わりとしていたバルバトスがビクともするはずがなく、今度は逆にフラウロスが地面へと叩きつけられた。

 

「ガハッッ!」

 

 漸く自分が有利な状況を作れたバルバトスは、突き刺していたメイスを引き抜き、下にいるフラウロスへ向かって急降下しながら、大きく振りかぶった。

 

 フラウロスはフラフラとよろつきながらも起き上がって、手にあったアサルトナイフで防御する構えをとった。

 

「これで、終わらせる」

 

「……チッ、これはマズったな」

 

 バルバトスが接近戦に持ち込んでからの展開は早かった。メイスでフラウロスのガード毎弾き飛ばして懐をガラ空きにすると、そのまま連続攻撃を決めてノックアウト。

 

 勝敗は決した。

 

『Winner、バルバトス』

 

「ぐぬぬ、一発目のギャラクシーキャノンで決めてればなぁ。……なんで、外しちまったんだか」

 

 フィールドから戻ってきて早々、いきなり未練がましいことを口にしていると、グシオンは意味深な笑みを浮かべながら近付いていく。

 

「そんなこと言ってますけど、最初に外したのは絶対にわざとですよね。バルバトスに対してのサービスだったんじゃないですか?」

 

「え、そうだったの?フラウロス。不良みたいな真似してるのに、意外と優しいところあるんだね」

 

「は、はぁ?そ、そんなわけねぇだろ。だいたい、何を根拠にそんなこと……」

 

「あんな当たらないスレスレを掠めるなんて、狙ってやらないと難しい芸当かと思うんですけど」

 

「そんなのただの偶然。偶然だっての」

 

「えぇ~、偶然?怪しいですね~?」

 

「……こ、この!」

 

 ――こういうのツンデレ、って言うんだっけ?フラウロスも可愛いなぁ。

 

 グシオンとフラウロスのやりとりを頬を緩め、ニヤつかせながら眺めていると、時間差でバルバトスがフィールドから戻ってきた。

 

「フラウロス、ありがとう。一応、参考に、なった」

 

 今にもグシオンに飛び掛かりそうな勢いのフラウロスだったが、状況を一切知らないバルバトスに声を掛けられたことで、気を取り直した。

 

「……一応ね。ま、いいか、そいつは良かったな、バルバトス。今日は俺の負けだが、またバトルしようぜ。今度は俺が勝つからよ!」

 

「うぃ!また、やろう」

 

「……よし、バトルもこれで終わったし、プラモデルを買いに行こっか」

 

「そうだな、サツキ」

 

 フラウロスとのバトルがとりあえず終わったので、当初の目的のプラモデルを買いに行くために、皐月は色々な出かける準備を、バルバトスは準備ができる少しの間充電することにした。

 

 そして皐月が準備を終えると、バルバトスは手提げ鞄の中へと入っていき、外出準備が完全に整った。

 

「それじゃあ、二人とも行ってくるね」

 

「行ってくる」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

「おう、良いもん選んで来いよ~」

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

「ここだね。とうちゃ~く」

 

「もう着いたのか、速い」

 

 スマホのナビゲーションアプリを頼りに自宅から歩いて約15分ほど、駅前にある模型店へ到着した。ちなみに、模型店というものに今回来ること自体が初めての皐月。少し緊張しているのか、入り口手前で一瞬立ち止まるが、意を決して店内へと入っていった。

 

「……意外と人、多いね」

 

「人が、たくさん」

 

 店内へ入って皐月が最初に思ったことは人の多さ。休日ということもあり、普段よりも多く人が集まっていることは間違いないだろう。バルバトスも鞄の隙間から覗きこんで、そのことを確認していた。

 

「え~と、フレームアームズ・ガールの売り場は……っと」

 

 皐月はFAガールが売っているであろうコーナーを探していくと、それはすぐに見つかった。幸いなことに、こちらのコーナーは他の場所に比べて人が少なかったため、バルバトスが悪目立ちすることはなさそうだった。

 

「ここだね。それでバルバトスは、どういうのがいい?」

 

「この中だと、よく見えない。顔だけ、出していいか?」

 

「……ん~、うん。こればっかりはしょうがないね、いいよ。あと、よさそうなのがあったら教えてよ。私が手に取って近くで見せてあげるから」

 

「うぃ。それは、すごく助かる」

 

 許可をもらえたバルバトスは、鞄からひょっこりと顔を出すと、まじまじと商品を眺め、品定めを行っていく。

 

「……スティレット、迅雷、マテリア。ふ~ん、バルバトス達の他にもこんな子達がいるんだ」

 

 皐月は皐月で自宅にいる3人以外にも、FAガールがいることを知り、少し興味を持ったのか、パッケージに書かれた説明文を読んでいた。

 

 そして、皐月とバルバトスがここに来て5分ぐらいが経過した頃、ついにバルバトスが気になるものを見つけたようで、皐月に言った。

 

「サツキ。上の段にある、『ライフルセット2』?、を取って欲しい」

 

「ん~と、これね。ほいっ」

 

 パッケージの説明書きと絵を確認すると、どうやら種類の異なる遠距離系武器が3つ(手持ち式レールガン、ロングレンジライフル×2、ショートバレルキャノン×2)作れるキットとなっているようだ。

 

「ふ~ん、実際にパーツを見ないとわからないけど、作りやすそうかも。バルバトス、どう?」

 

 バルバトスは少しの間、黙々と近くでじっと確認してから、再び皐月に言った。

 

「サツキ、これにしよう」

 

「うん、わかった。……他に気になるのはある?」

 

「むぅ……いや。ここには、もう無い」

 

「よし!じゃあ買って帰って、早速作ろっか」

 

 皐月はもういらないというバルバトスの言葉を聞くと、その一箱だけ持って足取り軽やかに、レジへと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

「…………あ、花谷さん、行っちゃった。結局、最後まで話せなかったけど、鞄の中にいたのはFAガールだった、よね?……けど、意外だなぁ。同じクラスに私と同じ趣味を持った子がいた、なんてね」

 

 そして、皐月とバルバトスは気が付いていなかったが、少し離れた場所で水性塗料を見ながら皐月のことを偶然見つけ、一緒にいるバルバトスに気が付いた女の子がいた。

 

「……うん、月曜日に声かけてみよう、かな」

 

 その少女はその時、皐月に勇気を出して話しかけることはできなかったが、休み明けに皐月と話してみようと、心に決めるのだった。

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

「ただいま~」

 

「おかえりなさい、二人とも」

 

「おう、おかえり。……で、どんなの買ってきたんだ?」

 

 皐月が帰ってくると、余程楽しみだったのか、グシオンとフラウロスは玄関で待っていた。

 

「え~とね、銃が3種類入ってるみたい。詳しくは作ってから確認してね」

 

「はい。皐月さんの手腕に期待して待ってますね!」

 

「え、えぇ~?変なプレッシャーかけないでよ、グシオン」

 

「それなら、問題ない。サツキ、とても器用」

 

「そういやバルバトスのアーマーも皐月が作ったんだったな。初心者であの出来なら、たしかに安心だろ」

 

 こうして和気藹々とした空気の中、プラモデル作りが開始された。バルバトスの時ほど大それたモノでは無かったため、ものの一時間程度で作業は終わった。

 

 ちなみに、なぜバルバトスがこのキットを選んだのかというと、3人で分配でき、グシオンとフラウロスにも渡せるからという単純明快な理由だった。




FAガール バルバトス

 ガンダム・フレームシリーズの新型として開発された内の一機で、接近戦に特化した性能と武器を持っている。ただし、装備の変更によって、中距離程度までならば対応は可能。また、グシオンやフラウロスのように背面や腕部に大きめのユニットが装備されていないため、武装の後付けもできる。

 ASが不完全な状態で本来起動できないはずのバルバトスが、皐月は偶々起動できてしまったため、今に至る。一部知識の欠損、他のFAガールと比べて若干幼さが残っているなどの特徴が見られるものの、戦闘における不具合は表れていない。

 ボディスーツの色は白で、髪色はイエロー系。髪型はロングとショートの中間で結っていない。





 それと、この物語はアニメ版から5年後の未来と設定しております。
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