星4礼装しか出ないだと……。
呼符のアイテム説明ってあったんですね。知らなかった……。
アラン 属性:虚 起源:求道
黒髪の少年。カルデアに生き残ったもう一人のマスター。
その正体は異聞帯から送り込まれた、どこにでもいるごく普通の少年。レフの爆破により死亡したマスターの体に魂が写り、クリプターとなった。一種の転生ともとれる。それはとある蛇や人形遣いの魂の転写とは全く異なり、不完全なモノ。故に肉体に魂が引っ張られる形となった。このため、人理修復後は何らかの手を打たなければ、死亡が確定する。
魔術とは一切縁のない家系であり、藤丸立香と同じ立場。英霊にとって守るべき無垢な民の一人。固有結界なんて持ってないし、異能持ちでもない。ただ少しばかり我慢強いだけ。
カルデアに存在するサーヴァントの生前のほとんどを、文献で自己学習しており英霊に対する理解と意欲は誰よりも深い。それは彼らの生き様に触れてみたいという探求心でもあり、彼らへの敬意でもある。それ故に立香が契約したサーヴァントとも互いに意見を交わせる関係であった。
ちなみに好きなサーヴァントは日本人系。土方歳三と柳生但馬守宗矩はドストレート。
本編では聖杯により転生先の世界の人間として生まれ変わった。また未来が変わったためカルデアの体勢は継続。そこに魔術協会からの候補生として、カルデアにもう一度移籍。英霊に携わる仕事を就き、多くのマスターとサーヴァントの関係を保つ事に全力を尽くす。
外伝では全ての記憶を失って元の世界に帰還する。だが、とある少女と出会い記憶を取り戻すきっかけを掴んだ。学校を卒業後、記憶を取り戻すために世界を回る旅をする事を選んだ。
ネタ元はスネイプ先生。名前の由来は作者の好きな俳優から。
アランと言う肉体について
元々カルデアにあった彼の体は、デミ・サーヴァント計画で生み出されたホムンクルス。いわゆるデザイナーベビー。しかしサーヴァントの能力を扱いきれず、ただサーヴァントの人物像だけを模した失敗作に終わった。選ばれたサーヴァントは、アンリ・マユだった。
その体はオリジナル(デミ・サーヴァント実験にて失敗し死亡)→アンリ(レフ・ライノールのテロによって死亡)→アランと三回、人格が移り変わっている。
元々レフ・ライノールから人としての手解きを受けており、彼に対しては深い感謝を抱いていた。マシュとは不安定要素として切り離されていたため、互いの事を完全には知らない。故にマシュは彼を外部のマスターだと思い込んでいた。彼の事実を知るのはオルガマリー、ロマニ、レフの三人のみで、後のスタッフは真実を知らない。
彼が呼べるサーヴァントについて
召喚出来るサーヴァントは限定される。彼と同様の「泡沫の存在」「悪」「裏切り」「もう一つの側面」が当てはまるものしか召喚されない。
つまりはオルタ系か、ランスロット、メディア、呂布などが該当する。ただどのサーヴァントが呼び出されようとも、彼とサーヴァントの関係が変わる事は無い。サーヴァントが望むマスターになる。ただそれだけである。
「」について
彼が「」を召喚したのは特異点F。つまりは転生してすぐであった。そこで、未来を知り自身が生き残る未来を選ぶために、力を求める。この時点で半ビースト。魔術王からの裏切りの勧告と後押しで完全にビースト化する。
最初こそ「」にとって彼はただの人間に過ぎなかったが、彼についていく内に、その生存を執着。彼がビーストⅦとして倒された時、世界の時を書き換えて全てを無かった事にした。
例えどのような結末を辿ろうとも、彼女は彼を見守り続けている。
ビーストⅦについて
こちらは作者の完全な予想になるが、本来のビーストⅦはカルデア――即ち藤丸立香になる筈だった。それを知った彼は、自身がビーストⅦになる事を決意。彼らの運命を持っていく事を選んだ。
上記の理由としてギルガメッシュは「ビーストⅦはⅠが生まれた時点で出現している」と発言している。ゲーティアとほぼ同時期に動き出したのはカルデア。ただし、まだまだ謎が多い。
本作の設定としてはビーストを一体倒す事に少しずつビーストⅦとして完成されていく。
異聞帯について
こちらも作者の勝手な想像になるが、異聞帯の数は七つであり、それらを修復するごとに何かの糧になる事が予想される。作者的には恐らく異聞帯七つを超えた先にあるのがビーストⅦの出現ではないかと踏んでいる。帯とついているのは、獣を繋ぎとめる鎖的な何かか。
残るビーストの数は多分3つ(まだビーストⅢ/LとⅤ、Ⅵ)。異聞帯の4、7が個人的に怪しい。ビーストⅢ/Lは恐らく愛歌であるため、こちらは期間限定イベントでの登場を予想している。
多分ビーストが出ても更新はしません。本編と絡めるのはきついです……。
ロンドンのセイバーについて。
ビーストⅦ/Rが覚醒した時のための切り札として位置づけられた。いわゆるビーストⅦ/Rに対してのカウンター。
呼ばれる時以外は基本、座の底で眠っていて、誰かの人生を垣間見ている。
主人公が捕らえられていた場所について
座ではなく、ビーストとして覚醒し羽化するための幽世。一度目の世界にて時間神殿で消滅した後はそこに捕らえられ、ビーストになるための準備が進んでいた。
外伝ではカルデアに召喚されるため無理やり叩き起こされた形となり、不完全な覚醒となった。そのため彼の中にいた「」が足りないビーストの代役として取り込まれる。
この作品のヒロインって誰だよ。
俺が知りたい。
設定はざっとこんな感じになります。
また感想で質問がありましたら、答えられる限り答えさせていただきたいと思います。
長らくの応援、本当にありがとうございました!
それは誰かに聞かせるような話でもない。
古い夜に、遠い雪の空を思い出すような。
そんなささやかな、願いの話。
永い旅だった。
記憶を辿る、と言ったはいいものの。果たして何処へ行けばいいのか。何を探せばいいのか。
そんな事すら曖昧なままで出発したのだから、それはまあ当然の事だろう。目的のない旅なんて、永遠と変わらない。
色々な出会いがあった。色々な風景を見た。
まずは記憶だけを頼りに、とある日本の街へ向かった。
たどり着いたのは何てことない、鉄骨がむき出しになった、貧相な一軒家。
そこで一人の女性と出会った。日本を発つ前に、彼女と出会えたのは幸運としか言えなかった。
『実に莫迦だな、としか言いようがない。目的地も不明、時間も分からない。自分の記憶だけを頼りに、ごく一部の人間と再会する?
――非現実的にも程がある。ああ、いや、可能性の話じゃない。キミが生きている間にそれが出来るか、と言う話だ』
彼女は言った。それは遠い星を掴むようなモノだと。
『出会いなんてモノはそこら中に転がっているが、それにはいくつもの偶然が必要だ。
月日、場所、人物は当然として、後は気まぐれで動くこともあるだろう。或いはその日の予定、食事、仕事――人間が移動する理由なんていくらでもあるし、いくらでも変化する。それこそ確実なモノにするためには念入りな調査が不可欠さ』
そう、淡々と言った。けれどそれらの事実を述べられた所で、決意は変わらなかった。
あの雪の夜の出会いを――雪下の誓いを忘れる事など無かったから。
『――あぁ、何も言わなくていい。言いたい事は充分伝わってるとも。
私が言ったのは理論的な話。つまりは常識の範疇だ。
だから、いつだってそれを壊すのは非常識な連中さ。そしてそういった莫迦共はごまんといる。
私らしくないセリフだが、結局は根競べという事だよ』
その女性はヒントをくれた。
イギリス――その時計塔や大図書館にもしかすると、記憶を取り戻す切欠が転がっているかもしれないと。
女性に手を貸してもらい、イギリスへ飛んだ。空港に辿り着き、まず真っ先にロンドンへ向かった。
――その街並みを、酷く懐かしいと思ってしまう。
そこで、一人の青年と出会った。
『やぁ、お困りのようだね。私で良ければ話を聞くよ』
白いフードを被った、不思議な雰囲気を纏った青年だった。
彼に連れられて、アーサー王の墓所と言われる場所、グラストンベリーへ向かった。
平日の昼間とはいえ、それなりに人は多い筈。だが、彼らがいる間だけは人気が途絶えていた。
墓所の前で、青年は言った。
『……そうか、行くべきところを探しているんだね。でもそれは、言ってしまえばあまりにも難しい』
青年は言った。
『なぜなら、それにはいくつもの偶然が必要だ。丁度キミがその出会いに惹かれたようにね。
そして再会するべき相手も、それを待ち続けなくてはならない。それがいつになるかも分からない間、ずっと――。それは、とても苦しくてきつい事だろう。増してや再会した所で相手が思い出していないのなら、それはただ虚しいだけに終わる。
そんなのは、ほら。言いにくいけれど――』
そんな現実を、青年はいともたやすく突き付けてきた。
分かっている。自分が目指すモノ――そのために、自身の時間をどれだけ費やさなくてはならないか、なんて。
『キミの旅は、歩いて星を目指す事と同じだ。人の時間では短すぎる。いや、長すぎるともいえるだろう。苦渋の旅になるよ。
――それでも、行くのかい? キミに罪なんてないのに。ただ亡くした出会いをもう一度、求めただけだというのに』
“はい。それに見合うだけの、モノを受け取った筈ですから”
その言葉に、青年は眩いモノを見たかのように目を細めて。満足げに頷いた。
『分かったよ。ならこれは私からの餞別だ。キミにおまじないをかけよう。
――“その道行に祝福を。貴方の旅は長く、だからこそ得難いものになると、信じて”』
アーサー王が眠る墓の前で、青年はフードを取った。長い白髪が、地面に零れる。
黄金の輝きが、周囲を包み込む。
『さぁ、次にキミが向かうのはフランスだ。マルセイユに行くといい。そこできっと、彼と出会うだろう。
どうか、良い旅を。そしてその先に――。あぁ、いやこれ以上口を挟むのはいらないお節介だったね』
青年に礼を述べて、グラストンベリーを後にした。
バスを利用して、様々な人と話しながらフランスのマルセイユを目指して旅をした。
マルセイユで、宣教師を名乗る一人の男と出会った。
『――話は聞いている。出会うべき場所と人を探しているとな』
白髪の男だった。まるでこの世全てを憎んでいるとも言わんばかりの眼をしていた。
だが、その雰囲気にどこか見覚えがあるようにも思えた。
男に連れられて、何気ない店の中で話をした。
『……成程。だが生憎、フランスにその出会いを思い出すような切欠は無かろう。
あの女は、泡沫にしか存在しないのだからな』
そうして、男が見せたのは金色の栞だった。
どこかで見たような気がする、小さな栞。
それを受け取って、大事に仕舞い込んだ。
『ソレを決して手放すな。時代を超える道標だ。
その出会いを辿れ。そして追っていけ。オレから言えるのはそれだけだ』
男から貰った、金の栞。
それを頼りに、またもう一度旅は始まった。
ただ一つ――不思議な事に、助言をくれた彼らと出会う事は二度となかった。でも、彼らから様々なモノを貰ったから。
それだけでも充分、歩いていける。
様々な場所を回って、色々な人と出会って。思い返すだけでも笑みがこぼれるような日々ばかりだった。
でも、ずっと胸に引っかかっていた感情が薄れる事は決してなかった。
――そうして、彼にとって。
気が遠くなる程、長い長い年月が過ぎました。
吹雪の中を歩いていた。
視界は全て遮られていて、ただ白い風景だけが続いている。
羽織ったマントが吹き飛ばされないようもう一度強く巻いて。眦を強く絞り、未だに果てのない先を、目指し続けていた。
もうあれからどれだけの時間を重ねたかは分からない。最後に誰かと話したのはどれくらい前だったか。
体はとっくに擦り切れていて。ただ歩くだけの機械に成り果てつつあった。でも、長い旅になるのだから、それぐらいで丁度いい。
ふと、体のどこかが熱を帯びている事に気が付いた。見れば、いつか貰った金の栞が、虹色に輝いている。
「――」
視界が晴れた。
あれだけ吹雪いていた空は、曇り一つ無く晴れ渡っていて、世界は銀色の雪景色に包まれている。
視界の先に、誰かが立っているのが見えた。
「――」
駆け出した。
一歩踏み出していくごとに、記憶に色が戻っていく。ずっと、胸に引っかかっていた感情が溢れ出してくる。
ただ歩くだけの機械だった体に血が通う。
長かった、永かった――だがもう、時間を語るのに意味はない。
止まった時計の針が動き出すように。またここからきっと、新しい世界が始まるのだから。
「――」
彼らの姿がはっきり見えた。
言葉が溢れてきて、けれどもどれも、零れる息となって消えるだけ。
小さく息を吸って。
ずっと、底に秘めていた言葉を口にする。
「ただいま、皆」
その言葉に、皆は微笑んで。
歩み寄ったその体を抱き締めた。
「おかえりなさい――」
独りの旅はこうして終わりを告げた。
語る者が沈黙し、紡ぐ者が途絶えても、物語は終わらない。
彼の小さな道は、これからも続いていく――。